WOWOW

「見える化エンジン」の導入でSNSの「小さな声」も拾えるようになった

株式会社WOWOWコミュニケーションズ
デジタルサービス事業部 デジタルサービス課: 平山 敬 氏
経営戦略部 経営戦略課: 米山 佳央里 氏

WOWOW

SNSで語られる言葉を活かしたプロモーションを展開

左:経営戦略部 米山氏、右:デジタルサービス事業部 平山氏

TwitterやFacebookなどのSNSは、人々が「日常生活の中でふと思ったこと」を気軽に書き込むことができる世界。「ただ心の中で思っているだけ」ではなく、その思いを友人たちと共有したい人々が日本でも増えている。

ソーシャルリスニングとは、SNS で語られる人々の思いを、Webクローリングツールによって収集し、その内容を調査・分析して商品・サービス、プロモーション活動等に活かすことや、企業に対する評価についての情報を収集しリスクマネジメント等に役立てることを指す。

株式会社WOWOWコミュニケーションズでは、デジタルマーケティングサービスや、コールセンター運営事業などを行っている。デジタルサービス事業部はこれまでWOWOWのPR活動を実施する中で培ったノウハウを活用し、クライアントのSNSマーケティング支援を行う部門だ。同部署に所属する平山敬氏はクライアント企業が行うプロモーション活動の効果をより高めるためにソーシャルリスニングを活用している。

たとえば、テレビで放送されたコンテンツについては、Twitterでどのくらいの発言数があったのか、発言内容・ツイート内容についてはどのような内容があったのかという情報の収集・分析を行う。

何のアニメがTwitter上で盛り上がりを見せているのかを分析し、それを1つの資料として、プロモーションの企画・提案等に使えるレポートを出すこともある。

平山氏によると「スマホをしながらTwitterをするという人も多いと考えられますので、どのような目的・どこの部分で興味を持ち、ツイートをしたりしているのかを分析しています」とのこと。

クライアントは放送業界だけではなく、通信事業者、アミューズメント、製薬会社など幅広い業界に属する。それぞれの企業に合わせて、SNSでの発言内容や口コミサイトで書き込まれる内容などを分析し、リスクマネジメントレポートなどを提供するのだ。

SNS分析をプロモーションに活かし高いエンゲージメントを実現

Twitterを活用して映画のプロモーションを行う場合、特定のTwitterのワードをリサーチし、どのような関連ワードができるかを見える化エンジンで分析する。そして、プロモーションを進めながら、想定していたワードと、分析結果とのギャップを確認する。実際にギャップがある場合にはワードを追加し、想定通りのワードが有効であればそのまま続けていくという方法でプロモーションを進めていく。

平山氏によると、SNSの声はリアルタイムに拾っていくことで、意外な結果が出たケースもあると言う。

「ある映画コンテンツの広告出稿時の話ですが、事前に有名な俳優の名前などをリサーチしてある程度のコンテンツイメージはしていました。ただ、公開後もリサーチを続けていくと『泣ける映画だった』といった感情を読み取れるツイートが増えてきました。映画のタイトルからはまったく想像ができないのですが、『泣ける』といった関連ワードが上位に出てくるようになったので、意外と『泣ける映画なんだ』ということを、当方も知りました」(平山氏)

そのワードを入れたら響くのではないか、ターゲットを広げられるのではないかと考え、『泣く』というワードを入れてみることにした。すると『泣く』ということが、他のワードに比べて3倍以上もの反応を得ることに成功したのだ。

映画の公開に合わせて、出演者の名前などを出すだけでプロモーションを終えるのではなく、途中でユーザの感想などを丁寧に分析し、変化した部分を広告に活かすと、さらにエンゲージメントの高さが得られる、と平山氏は分析している。SNS広告は広告出稿の際に設定するワードをいくらでも変化させられる、という部分を大いに活用できるプロモーション方法だ。

「バズる」状況を作り出すプロモーションも可能に

「バズる」、つまりTwitterやFacebook上で多くの人が注目する状態となったとき、「なぜ、そうなったのか?」を分析することで、プロモーションに役立てることができると、平山氏は言う。

「(テレビ番組、映画などの)演者さんのアカウントから、ファンに向けて投稿するというパターンが一番バズります。プロモーションよりもそちらのほうがバズるということがあります。ファンの方々に向けて投稿しているので、ファンの方々は番組を見たり、気になって商品を買ったりしてくれるので、次の展開にもつながっていきます」(平山氏)

自然発生的にバズる現象が起こっている場には、何かプロモーションを打っていないか、出演者にツイートを依頼したかどうかなど、確認しながら分析を進める。これらの分析結果を集めることによって、広告宣伝にかける予算が少ない企画であっても、SNSアカウントを持つ出演者に番組・映画についての投稿や、番組・映画公式アカウントのリツイートを依頼するといった方法で「バズる」状況を作り出すことも可能だとわかる。

ソーシャルリスニングへの理解と課題

WOWOWコミュニケーションズの事業の1つであるコールセンター運営業務にも、ソーシャルリスニングが活かされている。コールセンターでの業務を長く経験し、現在は経営戦略部経営戦略課に在籍する米山佳央里氏によると「そもそもはWOWOWの解約理由分析を行うことを主目的に、見える化エンジンが導入された」とのこと。

やがて、SNSの普及にともない社内外から「電話だけでは見えてこない、SNSの声を拾うことはできないか?」という声が上がり始め、その後、同社内ではソーシャルリスニングに関する理解が深まりつつある。

しかし「社外販売を展開する上で、ソーシャルリスニングという手法をどうアピールしていくか」という面での課題も残っている。

「電話ではお叱りのほうが圧倒的に多いので、何が良くて、どこを伸ばしていけばいいのかというのが、電話では見えづらいです。」(米山氏)

このため、SNS上でつぶやかれる「クライアント企業を褒める言葉」を提供することで興味を持ってもらうことから始める、という方法も一案だと米山氏は考えている。

また平山氏は、ソーシャルリスニングに対する企業側の意識も変化していていると考えている。

「『一度、試してはみたんだけど、実際にどう活用したらいいんでしょうか?』という声をいただいています。実際、『活用できなかった』というお話もありました。ソーシャルリスニングを『やってみませんか?』という時代は終わり『このように活かしていきませんか?』という風にお話ししないと、興味を持ってもらえないかとは思います。『過去にこういう売り上げが継続しているから、この商品の販売を続けよう』という方針があったとしても、『いや、Twitterでの発言数は年々減少しているのですよ』というデータがあれば、在庫判断・発注の数などを減らすといった判断につなげていけばいいのかなと思いますが、なかなかそこまで進んではいません」

ゆくゆくは言葉の裏側に隠れた属性、過去の傾向、また電話の裏に隠れた傾向など、様々なデータを組み合わせてペルソナを作り、そこに隠れた傾向を分析していくことが課題だと、平山氏は考えている。