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上質な顧客体験を提供する、顧客データ活用と店舗販促施策を融合したエストネーション流CRM活用術

株式会社サザビーリーグ エストネーションカンパニー
事業戦略課 枝 直樹氏

『エストネーション』をはじめ『ロンハーマン』などのアパレルから、雑貨も扱うカフェ『アフタヌーンティー』、話題のハンバーガー店『シェイクシャック』といった飲食店まで、幅広い事業領域でブランド展開を手がけている株式会社サザビーリーグ。ミッションは「私たちはクリエイティブリテイラーとして半歩先のライフスタイルを提案して新たな価値を創造しつづける」こと。“一歩先”ではなく、手が届く“半歩先”の提案を通して顧客のライフスタイルに彩りを提供している。

サザビーリーグには4つの社内カンパニーと13の事業会社があり、その中のひとつがエストネーションカンパニーだ。モノだけではなく心まで満たすことを追求する“ニューラグジュアリーストア”というコンセプトのスペシャリティストアで、店舗規模は大型店が中心。取り扱う商材はメンズ・ウィメンズのアパレルから専門的なアイウェア、ハイブランドのジュエリー、さらに生花やドローンなどのガジェットに至るまで多岐に渡る。

そんな同カンパニーでは店舗での施策中心にCRM戦略を練っているという。同社でマーケティングを手がけている枝直樹氏にカスタマーリングスを導入したきっかけと、導入後のCRMデータ活用と店舗販促施策を融合したエストネーション流CRM活用事例について語ってもらった。

デジタル時代だからこそ、店舗で味わえる顧客体験を大切にする

当社のCRM戦略は店舗を中心に考えています。現状、メールなどデジタルでアプローチできる顧客は一部だけで、店舗に訪れるお客様が圧倒的に多いからです。オンラインでアクションを行なっても実際にお客様が店舗に来店されたときのコミュニケーションが良くなければ、店舗への再来店に繋がらないばかりかECサイトからお客様が離反してしまう可能性もあります。世の中のコミュニケーションの軸足がデジタルに寄れば寄るほど当社ではオンライン・オフラインのコミュニケーションチャネルを切り分けずに捉え、“思い”や“気持ち”を伝えやすいリアルでのコミュニケーションの質を重視しています。

また当社は店舗スタッフと顧客との繋がりが深く、売上の向上やお客様を育てるといったCRM的な意識が店舗にもスタッフにも根付いているのが強み。そのため「購買体験」だけではない、さまざまな「コトの体験」も提供できるリアル店舗での施策に力を入れています。例えばフラワーアーティストに来ていただいて店舗でデモンストレーションをやったり、ウイスキーブランドとコラボしてハイボールを飲みながらショッピングしてもらったり。関西の店舗では夏にお祭りをヒントに店内で撃ち落とした商品をプレゼントする射的を開催。お子様からご年配の方までとても喜んでいただけました。ブランディングはもちろん、お客様のロイヤリティ向上と再来店に繋がる「コトの体験」施策を大切にしています。

膨大な時間を費やすデータ抽出で回せないPDCA

カスタマーリングス導入前は2つの課題がありました。まずは、顧客データ抽出のための作業工数と負荷。施策を打つたびにシステム担当者がSQLやAccessなどを使い、顧客データベースから情報を引っ張ってきて整形してからやっと本部に展開。システム担当者の作業がかなり膨大で負荷がかかる一方、セグメントの精査が上手くいかず、狙ったターゲティングができないといった課題がありました。もうひとつはこうしたデータ抽出の負荷から施策や販促の検証にも時間がかかって考える時間がなくなり、PDCAが上手く回せなかったということ。作業工数の削減とCRMの強化、そして顧客管理のリスクを考え、カスタマーリングスを導入することにしました。

カスタマーリングス導入でデジタルのコミュニケーション強化を推進

カスタマーリングス導入時はまずPOSやポイントカード、ECの顧客情報が入っている基幹システムにカスタマーリングスを繋ぎ、施策実行のためのマーケティングに必要な情報を集約できるようにしました。そこからメール配信やリスト作成、分析・検証、レポート作成も行なっています。カスタマーリングスを導入してからはデータ活用の幅も広がったので、購買データなどから実際の店舗を活用した顧客接点強化の推進をスタート。ECサイトでもリアル店舗への送客に軸足を置いたアクションを開始しました。

さらに2018年4月にはリアル店舗の顧客情報とECの顧客IDデータを統合。店舗でお客様へ行なっている提案や接客サービスといった世界観をECでも体験できるような環境を整えました。そして自社マーケティングチームから新たにデジタルマーケティングチームが立ち上がり、もともとオフライン中心だったコミュニケーションをデジタル強化しようという流れもできています。実際にエストネーションで行なっているCRM施策の中からリアル店舗での事例を4つご紹介します。

事例1:店舗スタッフへのCRMの見える化

最初に実施したのが店舗スタッフへのCRMの見える化です。当社は価格帯が高単価のラグジュアリーブランドを取り扱っているため、それに見合った丁寧な接客や購買体験は当たり前。期待を上回る接客や購買体験を提供しないと、お客様のロイヤリティに繋がりにくく「エストネーション」というブランドの印象づけもなかなか難しいという背景がありました。なので、もともと顧客や売上情報から現場で施策を考える風土が根付いている店舗でCRMを活用すれば、より質の高いパーソナルな提案や接客ができるのではないかと考えました。また、自分の接客したお客様がデータでわかるとスタッフのモチベーションが高まり、アフターフォローもしやすいはず。そこで各店舗にカスタマーリングスが見られるタブレットを導入。店舗を回ってCRMの意義から画面の見方まで時間をかけてトレーニングを行ないました。

カスタマーリングス上ではパーソナルな提案・接客・アフターフォローなどが行なえる土台として機能をカスタマイズし、本部用と店舗用での分析機能を実装しています。さらに店舗別、スタッフ別、顧客別などの集計も専用メニューから手軽に把握できるように設計。メンバーサービスへの会員登録促進も定量で見える化しました。スタッフが期間を入力するとそのあいだに自分が接客した顧客情報からアイテム・ブランドの購買履歴まで、お客様の好みや購買傾向を調べることができます。検索は顧客情報でもできるので、接客中のコミュニケーションからリアルタイムにCRMデータを確認することも可能です。こうした店舗内でのCRM活用で、接客やイベント後にサンクスDMを送るといったアフターフォローも積極的に実施できるようになりました。

事例2:イベント販促チャネルとしての活用

当社は月20~50以上のポップアップストアやイベントプロモーションを実施。開催ごとにメールやSNS、Webなどの配信チャネルで告知をしています。しかしイベント数が多いことで情報が埋もれてしまい、お客様に適切な情報が届いているのかどうか疑問がありました。どうすれば正確なアプローチができるかと策を講じていたときに、やはりエストネーションの強みを活かし、顧客と距離の近い店舗スタッフからのアプローチが効果的ではないかと考えました。とはいえ何百というブランドを取り扱っているので当然それぞれのブランドでターゲットが異なり、プロモーションの内容によってもメインの対象となるお客様が違ってきます。そこで全顧客の中から本当に対象となるお客様だけを抽出し、リストにして店舗に共有。きちんと顧客にセグメントをかけてコミュニケーションすることで離反の抑止にもなるとの仮説を立て、顧客セグメントとメールやSNSなどの配信チャネル、会員情報側のパーミッションをかけあわせてターゲティングの最適化も実施しました。

まずマスメディア向けにSNSで拡散をし、メール配信ができる方にはメールでもアクション。メールもDMも受け取らないという方には店舗から直接電話で訴求したり、ご来店いただいたときにスタッフから口頭で伝えてもらうといった店舗と連動したアクションを実施。その結果、レスポンスや商品の購入率に反響がありました。そのため当社ではセグメントに重点を置き、対象のお客様が1000人でも15人でも関係なく、ビジネスインパクトより顧客接点の最適化を優先しています。本当にそのイベントにあったお客様に向けて訴求やアクションを行なう。そういった意識のもと施策を実行しています。

事例3:商業施設テナント出店時の顧客情報保持と活用

複数の店舗を展開するにあたって商業施設にテナント出店している企業は多いと思います。そうすると自社ブランドのメンバーカードだけではなく、出店先テナントのハウスカードも持っている顧客が存在しますよね。分析した結果、出店先の商業施設が実施しているイベント期間において自社メンバーカードとハウスカードの両方を持っている方のレスポンス率が非常に高いことがわかりました。そこで商業施設とのイベントと連動して自社からも訴求を行なうことで、来店や売上に繋がるのではないかと考えました。

しかしどの顧客がどの商業施設のカードを持っているのか、自社メンバーサービス会員では何割の方が持っているのか。こうした商業施設に関する情報が正確にとれないと施策を打つことができません。そのためまずPOSレジを改修しました。スタッフがお会計の際にお客様が提示したクレジットカードやハウスカードを見てレジのフラグボタンを押すと、その情報がカスタマーリングス内の顧客情報に連携されます。その顧客情報からセグメントをかけて、メルマガ配信や店舗へのリスト共有などアクションにつなげていきました。

例えば、とある商業施設でハウスカードのポイントが倍になるキャンペーンをやっていたら、自社からもその情報を発信します。なおかつ、その期間に開催されているイベント情報も入れてアプローチしてみたところ、かなり高い10%のレスポンスを獲得できました。店舗によっては売上の40%を占めるところもあります。

事例4:制作物のリッチ化による売上向上

デジタルでの訴求は今の時代さまざまな手法がありますが、当社では昔から販促でハガキを送っていたこともあり、紙媒体と自社顧客との相性はかなり良いものでした。ロイヤリティが高いお客様ほどDM送付の希望をいただいています。そこでエストネーションと積極的に接点を持っているお客様にこのブランドの世界観をもっとお伝えしたいという想いから、よりロイヤリティを感じてもらえる紙媒体は何かと考えました。

とはいえ今までどおりハガキがいいのか、それとも違うアイテムがいいのか。明確な判断基準がなかったので、メンズはハガキ、ウィメンズにはタブロイドを送付するABテストのような施策を実施。そうするとウィメンズに送ったタブロイドが約30%、メンズのハガキが約10%のオンライン・店舗での購入レスポンスを獲得しました。その結果、ABテストとしては完璧ではありませんが、手段とレスポンス率の違いも含め、タブロイドが効果的じゃないかと判断。現在は完全にタブロイドの定期送付に移行し、お客様に年4回お届けしています。ただし、送付対象となるお客様は、タブロイドの企画内容に応じて購入回数や購入金額、住居エリア、強化ブランドの購入経験など毎回違う条件で設定しています。ここでも本当にマッチするお客様へのセグメントという点を重視し、誌面とターゲットのマッチングを意識した施策を実行しています。

さらなる顧客体験向上にむけた3軸の施策強化

今後の展望として3つの施策を考えています。まずは顧客との接点強化です。この施策のひとつにパーソナルなコミュニケーションができる独自機能を搭載した、サービスのスマホアプリ化を検討しています。また優良顧客へのアプローチをメルマガ配信からSMSへ切り替えたり、マスメディア向けと自社顧客向けに広告の出し分けをするなど、カスタマージャーニーに添ったアクションの最適化をしていきたいですね。次に顧客接点や施策のブラッシュアップ。近年、パーソナライズという言葉がよく聞かれるようになったと思います。当社でもこの言葉を念頭においたクロスチャネルによる接点強化を推進し、BIツールのようにマーケティングの投資効果を可視化。その結果を把握し、より施策に活かしていきたいと考えています。3つ目がデータドリブン。CRMデータを全社で共有し、商品企画・販促・宣伝まで会社一体となった顧客体験の提供ということです。この3つの軸をもって、すべてはお客様に上質な顧客体験を味わっていただきたいという想いのもと、CRM施策を実行していこうと思っています。

最後に私自身のCRMへの想いとなりますが、リアル店舗も自社ECも購買チャネルとしてだけではなく、お客様との接点を持てる場所として捉えています。来店やアクセスは顧客体験のひとつです。買ってもらうだけ、売るだけという単なるアクションに留まらず、チャネルを問わずにより良い顧客体験を提供していくっていうのがエストネーションの想いでもあります。お客様のロイヤリティをあげるために、これからもCRMデータ活用と店舗を融合させ、上質な顧客体験を提供していきたいと思っています。