ユーザーサポートのフル活用と積極的な“攻めの学び”で
VOC最適化を加速させた第一三共ヘルスケア

第一三共ヘルスケア

第一三共ヘルスケア株式会社

CS推進部VOCグループ グループ長

菊地 功氏

サマリ:導入初期の課題とその後の成果

導入時の課題

1. VOCサイクルを推進する「CS推進部」を立ち上げたが、VOCに関する知見がなかった

2.『見える化エンジン』の運用体制をゼロから構築しなければならなかった

課題の解決策

1. プラスアルファコンサルティングの講習やヘルプデスクなどサポートをフル活用した

2. すでに『見える化エンジン』を導入し、活用している企業へ訪問取材を行なった

3. 運用体制が十分にできていなくとも、とにかくレポート作成に打ち込んだ

解決後の成果

1. 当初のスケジュールより1ヶ月前倒しで「VOC情報発信」を本格稼働させることができた

2. 訪問取材した企業から得ていた知見により、閲覧率が落ちたレポートの改良に素早く着手できた

3. レポート改善とVOCサイクルを連動させ、商品開発・改善提案に繋げている

1. 業界トップクラスの顧客満足度を目指す「CS推進部」発足

国内の大手製薬メーカーである第一三共のグループ会社である第一三共ヘルスケア株式会社。「ルル」や「ロキソニンS」「ミノン」 といった医薬品や化粧品などの製造、販売を手掛けている。従業員は約400名で、売り上げは2018年3月期、700億円を上回った。

取り扱っている約60ブランドの商品は、タレントを起用したTVCMでおなじみのものも多い。どれも薬局・ドラックストアで購入でき、風邪や痛み止め、敏感肌用の洗浄剤 など身近にある症状や悩みを解消するものばかりだ。そこで同社は 「消費者起点の発想」を体現すべく、2017年4月にCS推進部を発足。「お客様の声」を商品企画・事業活動に反映させた業界トップクラスの顧客満足度を目指している。

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2.稼働までの道のり

2-1. サポートをフル活用

CS推進部のミッションは「情報を一元管理し、VOC起点のPDCAサイクルを迅速にまわす」こと。 本格稼働はその年の10月を予定していた。そこにVOC担当として着任したのは、それまで営業やマーケティング畑を歩んできた菊地氏。 着任当初は「VOC」について右も左もわからず、何をしていいのかすら見当がつかない状態だったという。

とはいえ、本格稼働まで6ヶ月しかない。運用体制はまったくできていなかったが、幸いなことに『見える化エンジン』の導入だけは決まっていた。 そこでまずはVOCの情報収集もかねてプラスアルファコンサルティングが開催している『見える化エンジン』の講習を受けることにした。

講習を受けつつ、4月の発足から1ヶ月後にはレポートとポータルサイト作成に着手。最初はグラフィックをつくることすらままならなかったが、 サポートデスクを惜しみなく活用し、ひとつひとつ作業の不明点を解決していった。 東京だけでなく大阪の窓口にも問い合わせ、わからないことはとことん質問。 一日に何度も問い合わせたこともあったという。そうして約2ヶ月後の7月には、稼働スケジュールどおりにレポートとポータルサイト作成を完了させた。

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2-2. 導入企業への訪問

よりスピーディーに見える化エンジンを活用できるよう、もうひとつ行なったことがある。 すでに見える化エンジンを導入し、活用している企業への訪問取材だ。「どのように運用しているのか?」「社内の反応はどういったものなのか?」 “わからないことはわかっている人に聞くのが早い”と実際に現場へ行き、細かいところまでヒアリング。活用法などを指導してもらったという。 その甲斐あって、VOC情報発信は予定よりもなんと1ヵ月前倒しで本格稼働を開始することができたのだった。

3. レポート配信から見える社内の反応

3-1. 閲覧率の低下

メインの業務は日報、週報、月報のレポート配信で、本社従業員を中心に230名へ送っている。 日報はメールにデータを張り付け、開封すればすぐに確認できる形式で作成。 週報、月報はポータルサイトのURLを添付し、ログインしてもらう方式で配信した。 ポータル内にはVOC簡易検索や他部署から依頼された分析データなどを配置し、『見える化エンジン』でできることをアピール。 レポートは作成していくうちに、この情報もあったほうが良いだろうと社内のニーズをできる限り汲み取った結果、非常にボリュームのあるコンテンツとなった。

いざ社内公開してみると、デイリーのログイン数は60人ほど。 全体の四分の一の人数だった。正直少ないと感じたが、翌週からさらにログイン率が減少していくという壁にぶつかる。 特集などを組んだときは一時的に回復するが、その後また大幅に減少。 しかし、この推移は以前訪問した見える化エンジン導入企業の担当者からすでに聞いていたことだった。

3-2. 閲覧者の声を拾う

そこですぐに閲覧率を上げようと、閲覧者に緊急アンケートを実施。 今、自分たちが配信している情報を見ている人がどう思っているのか? 閲覧者の生の声を汲み取るべく、「気に入らないこと」だけに絞って記述式で回答してもらった。回答者は80名ほど。 そこにはレポートやポータルサイトへの不満が容赦なく書かれていた。

まず一番多かったのが「レポートの量が多い」というもの。情報の量が多ければ、その分レポートも長くなる。 そのため、本当に見たい内容が後ろのほうで見づらいという声もあった。 また、週報と月報のログインについては「面倒だ」「時間がない」という意見が多数。 良かれと思って一所懸命つくったものだけに、CS推進部内の落胆ぶりは大きかった。しかし、 まずは社内の人たちが無理なくできるレベルでVOCに触れてもらうことが重要だと意識を変え、レポートとポータルサイトを一新することにした。

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3-3. 閲覧者に寄り添ったレポートで開封率向上

ポータルサイトの中で 見られていない情報を把握し、いらないコンテンツをとことん削ってボリュームを大幅に減らした。 これまでログインURLを添付していた週報と月報は、日報と同じようにデータを張り付ける形式に変更。日報は読みたいと意見が多かった 「お客様の声」を冒頭に配置し、週報にも“お喜びの声”としてお客様の声を掲載した。

レポート改良後、日報の開封率で社内の反応を計測したところ、50%に満たなかった日報開封率が徐々に回復。ゆるやかだが、だんだんと閲覧者を獲得していった。その背景には 掲載コンテンツの改良だけでなく、VOCサイクルに基づき、日報と週報・月報のコンテンツを関連づけたことも影響していた。

4.『見える化エンジン』社内展開の軌跡

ここまで同社が『見える化エンジン』を活用できるようになった背景には、社内展開におけるお客様相談室の地道な努力があった。その過程を二期に分けて紹介する。

4-1. VOC推進サイクルに連動したレポート配信と成果

『見える化エンジン』本格稼働前に あらかじめ関連部署へアンケートを取り、VOCニーズを把握。案を絞ってからプロジェクト作成に移った。 同時にVOC専任メンバーを1名抜擢し、『見える化エンジン』のトレーニングを開始。その後、 専任メンバーを中心に閲覧者用のマニュアル本作成や操作勉強会などを実施した。

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日報にはお客様の声の中から、容器やパッケージなどの品質関連でのご意見が中心の「ご指摘の声」も掲載。その 指摘事項の中からヒントやアイデアとして気づいたことを抽出し、週報で提案する。 掲載した提案は、実際に関係部署へ問い合わせて1週間単位でレスポンスをもらうようにし、社長や経営幹部と行なうVOC推進会議で検討。 推進可能になった提案を月報で報告するようにした。 提案によってはすぐに推進できないものや、完了までに年単位で時間を要するものもある。 その場合には別途テーマ別プロジェクトをつくり、CS推進部が中心になって進めていく方針を立てた。

こうしたレポート改善とVOC推進サイクルにより、パッケージデザインの改良や製品の仕様変更、 医薬品の添付文書やホームページ上の表現修正、Q&Aの見直しなど商品やサービス改善が行なわれた。 また、新製品アイデアも生まれているという。さらに、さまざまな部署で「お客様の声」についての話題が上がってくるようになり、社内環境にも良い影響が広がっている。

5. SNSを取り入れた分析強化へ

同社では、SNS分析を商品調査に使ってきた。しかし、どうしても医薬品という特殊な性質上、商品名だけではなかなか狙った声を拾いにくい。 悩みや症状の切り口で検索することでさらなるCS向上に繋がる可能性が広がるという。 今後はコールログに加えて、こうしたSNS分析も積極的に活用していき、さらなる分析強化を図っていきたいと語る菊地氏。

これまでプラスアルファコンサルティングのサポート体制をフル活用し、見える化エンジンの社内運用にスピーディーに着手してきた第一三共ヘルスケア株式会社。 閲覧者の要望に沿ったレポートの即時改良など当事者意識を持った同社の運用姿勢は、VOC最適化スピードをこれからもっと加速させていくだろう。

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