― 目次 ―

  1. ソーシャルメディアが注目される3つの理由
  2. 媒体ごとの特性を理解し、効果的に使い分けることが重要
  3. ビジネスにおけるSNSデータの活用 5つのケース

1.ソーシャルメディア(SNS)が注目される3つの理由

ビッグデータをいかに迅速かつ効果的に活用できるかが企業の競争力に大きく影響するといわれる今、企業ではサービスや商品の改善・新規開発、生産・営業業務の効率化など、さまざまな場面で多様なデータが活用されています。

これまでBtoC事業を手がける企業では、お客様のニーズを的確に捉えるためにアンケートやインタビュー、さらにコールセンターに寄せられるお客様の声などの情報を活用してきました。近年、これらに加えてソーシャルメディア(SNS)が企業にとって有効なビックデータとして注目され、活用が加速度的に広がっています。

では、SNSが注目される理由を3点お話していきましょう。

1. スピーディなPDCAを実現させる

ソーシャルメディア分析の特徴

 1つめの理由は「リアルタイムの情報がわかる」ということです。

 例えば、新商品やプロモーションの反響を知りたいとき、アンケート調査では設問の設計から調査の実施、集計、分析、レポート作成まで、数週間から数ヶ月の時間がかかります。一方SNSでは、発売初日にどんなことが話題になっていたのか、プロモーションの反響はどうだったのかなど、翌日にはその反響を知ることができます。

 こうしたリアルタイム性は、特に、製品の入れ替わりのサイクルが短い業界で有効です。例えば、飲料や食品、玩具メーカーでは、発売から2~3ヶ月で販売終了する商品も少なくありません。そのため、発売直後から商品への反響、不満の声を把握し、必要に応じて、製品を即座に改善するといった対応が求められます。

 SNSのリアルタイム性を活かして、このようなPDCAサイクルをスピーディーに回し、売上の拡大に繋げようとする企業が増えています。

2. 脚色されていない生活者の本音を知ることができる

 2つめの理由は「生活者の本音を手軽に収集できる」ということです。

 例えば、ある商品についてアンケート調査で「価格についてどう思いますか?」という質問をすると、価格について特に意識していない回答者も「できればもっと安いほうがいい」と回答してしまう恐れがあります。つまり、質問が原因で回答に影響が出てしまうということです。

 ツイッターでは、基本的に自発的に発言がされているため、「高いと思ったけど、買ってよかった」「もう少し安かったら、買いたい」といった、脚色されていない生活者の本音を知ることができます。そうした発言から潜在的なニーズを掘り起こしたり、直接コールセンターには寄せられないちょっとした不満、さらに「あったらいいな」という、いわゆる「未充足ニーズ」を把握したりすることができます。

3. 競合他社の情報を収集できる

 3つめの理由は「自社だけでなく、他社の情報が得られる」ということです。

 コールセンターへのお問い合わせやアンケート回答など、企業が保有するお客様の声は基本的に自社の製品やサービスに関するものに限られていて、他社にどのような問い合わせやクレームが寄せられているのか、その内容を知ることはできません。

 これに対して、SNSは、他社製品を購入した人のクチコミや評価、他社から発信された情報に対する反応など、自社と同じ条件で競合他社の情報を収集し、比較分析することができます。

分析の目的を明確にし、目的に合ったデータを活用する

 SNSが注目される理由が「早く、手軽に、大量に、消費者の本音の情報を収集・分析できる」という特長にあることをご理解いただけたかと思います。

 その一方で、SNSはデータ量が膨大で、すべてを読むのは難しいという点や、アンケートと比べて漠然とした回答が多いという特性を押さえておく必要があります。例えば、「この商品はどんなところが美味しいですか?」というアンケートの質問には「軽い食感」「甘すぎないこと」など具体的な回答が期待できますが、SNSでは「これ、美味しいよね」といった有用性の低い単なる感想が多くなる傾向があるということです。

 ビジネスにおいて、データ分析を効果的に活用していくためには、データの特性をきちんと理解した上で、「何を知りたいのか」という分析目的に合わせてデータを選択し、分析ストーリーを組み立てていくことが重要です。

2.媒体ごとの特性を理解し、効果的に使い分けることが重要

 SNSの媒体にはそれぞれ特性があり、分析テーマや、分析対象とする業界、製品などにあわせて使い分けることが大切です。ここでは、日本で多く利用されているツイッター、フェイスブック、ブログ、レビューサイトについて、それぞれどのような分析に向いているか、留意すべき点を含めて詳しくご紹介していきます。

SNS毎の特性

1. 投稿数“No.1”生活者の声を幅広く収集できるツイッター

 ツイッターは、投稿数が圧倒的に多いことが最大の特徴です。気軽に投稿できるので、「今、コンビニでおつりを間違えられた」というようなリアルタイムの情報がどんどん発信されていきます。その気軽なスタイルから、日常の小さな不満や「あったらいいな」といった消費者のちょっとしたニーズ、また、テレビコマーシャルで「○○が出ていたのがよかったな」といった企業のコールセンターには届けられないような生活者の生の声を集めることができます。

 また、キーワードで検索すれば、自社製品・サービスのユーザーだけでなく、幅広い層の生活者の声を収集できることも大きなメリットです。さらに、140文字という制限の中で書かれた短い文章だからこそ、一つのつぶやきの中で話題がぶれにくいというメリットがあります。

 一方、例えば、「昨日食べたパスタがおいしかった」という文章からは、どこのパスタの話なのか分からないといったように、深掘りできないデータが多いというデメリットもあります

 そのほかの注意点としては、広告系のツイートが多く、必要に応じてデータの精査、絞り込みが必要なこと、ヤフーやグーグルから検索した場合、全データの10%しか抽出されないといったことが挙げられます。さらにSNS全般に共通するデメリットとして、投稿者の年齢・性別などの属性がわからないため、仮説の発見や検証が難しいということもあります。

2. 既存ファン層の声を深堀分析できるFacebook

 Facebookの情報を活用する上で気をつけておきたい点が、ツイッターのように「好きなキーワードで検索し、その商品、サービスについての反響を知る」といった使い方はできないということです。通常、Facebookで分析できるのは広く一般に公開されている企業の公式ページであり、公開制限のかかった個人のページのデータは取得できません。

 一方でFacebookは各企業に一定の興味がある層が「イイね」すること、また、ツイッターと比較して投稿頻度が低く、1つ1つの投稿が読まれやすいことから、自社のコアなファン層の声の分析に適しています。

3. 趣味や特定のテーマに特化したブログ

 ブログは特定のテーマに関するまとまった記事として書かれたものが多いのが特徴です。カメラや音響機器、鉄道といった専門性の高い趣味の話題や、子育てなどテーマが特定されていることが多いため、検索されやすく、情報発信力が高いという傾向があります。例えば、健康機器メーカーが介護施設の困りごとを知りたいといったケースの場合、日々の介護の様子がつづられているブログから何かヒントが見つかるかもしれません。

 デメリットとしては、ツイッターと比べて更新頻度が低いこと、情報発信者が少ないこと、媒体としての人気が下降気味であることが挙げられます。また、文章が長いため分析結果がブレやすく、例えば、ある飲料メーカーが「○○茶」「好き」で検索した場合、「○○茶を買ってから、好きな俳優が出ている映画を見た」というような、知りたい内容とは違うデータが拾われてしまうということがあり注意が必要です。

4. 既存商品の良い点、悪い点の抽出に適したレビューサイト

 レビューサイトとは、ユーザーが商品やサービスに関する評価を投稿するサイトのことで、アマゾン、楽天、価格.comなどの口コミ情報がこれに当たります。

 実際に商品を購入した人によって、良かった点や悪かった点がブログなどよりも細かく書かれていること、価格や使用感など細かい項目ごとに満足度がわかること、商品名や店名など比較対象が明確なこと、投稿者の属性がわかることなど、さまざまなメリットがあり、企業にとって有益なデータとなります。また、各サイトが信頼性を維持するためにステマや広告などを排除していることもメリットとして挙げられます。

 デメリットとしては、製品ごとのレビューの件数がそもそも少ないこと、すべての媒体を横断的に見るということができないことなどがあります。

 例えば、家電製品など客観的に機能を比較でき、かつ、高額で消費者が事前にレビューを見たいと考える製品の分析には適している一方、食品・飲料など、客観的な比較が難しく、価格も高くない商品の分析には適さないというように、業種や商品によっての相性が異なります。

不要なデータを排除することで、分析の精度を高める

 媒体ごとのメリットとデメリットを理解したら、実際にデータをどうやって収集し、各媒体のデメリットであるスパムや広告、有効性や関連性のないものを除外していけばいいのか、というところが気になるところですよね。それには、お馴染みのヤフーやグーグルといった無料の検索ツールを利用する方法と、有料のツール(「見える化エンジン」ほか)を利用する方法があります。

 では、無料と有料のツールでは何が違うのでしょうか?

 ツイッターの日本語データを検索する場合、ヤフーやグーグルなどの無料のツールでは、独自のフィルターによって特定のワードが除外され、全データの10%しか抽出されません。一方、有料ツール では、リアルタイムの全量データから検索することができます。そこから、Botアカウント(機械的に自動投稿されるアカウント)やスパム、広告などを除外するためのキーワードを個別に設定することで、より精度の高いデータ分析が可能となります。

3.ビジネスにおけるSNSデータの活用 5つのケース

分析したデータの活用方法とは?

 突然ですが、日本は世界で突出してツイッターが利用されている国であることをご存知ですか?その背景のひとつに、漢字、カタカナ、ひらがな、略語を駆使する日本語と140文字という文字数制限との相性の良さがあるのではないかと言われています。例えば、英語で「朝起きてトーストを焼いて食べました」と表現すると、140文字を超えてしまいますが、日本語では「朝起きてトーストを焼いて食べ、登校しようとしたら鍵を忘れて、慌てて家に取りに帰った」と、ここまで書いてもまだ40文字程度です。他の言語と比べて情報量が多いため、国内企業だけでなくグローバル企業からも有効なSNSデータとして注目が集まっています。

 以下では、ツイッターをはじめ、さまざまなSNSデータが実際にビジネスの場面でどのように活かされているのかをご紹介します。SNSデータを分析すると結局何がわかるの?と疑問をお持ちの方も多いと思いますが、大切なのは分析の目的を明確にすることです。基本的には以下の5つの分析のどれを行うのかということが、出発点となります。

1. 反響分析(新商品・プロモーションの効果測定)

 マーケティング部門や広報部門で行われる、新商品や新サービス、リアルイベント、CM、SNSキャンペーンプロモーションの反響を知ることを目的とした分析です。

 ある食品メーカーが発売したお鍋の素について、発売当初は味やヘルシーさを訴求するテレビコマーシャルを打ち出していました。しかしながら、ツイッターにおけるユーザーの声から、鍋の最後に「リゾットにした」「ラーメンを入れると美味しい」といった独自のアレンジや食べ方の工夫の話が盛り上がっていることがわかり、楽しみ方を提案するコマーシャルに切り替えたということがありました。

 このようなスピーディーな対応を可能にすることも、SNSの大きな特長のひとつです。

2. 市場動向・トレンド分析

 商品企画部門などで行われる、既存の製品やサービスにとらわれず、幅広いキーワードから、業界で流行っていることや市場で求められていることを見つけ出すことを目的とした分析です。

 ある旅行会社では、「夏休み」といったキーワードから浮かび上がってきたものから、市場のうねりやトレンドの兆しを分析し、夏向けのツアー企画のヒントとしています。

3. リスクモニタリング

 品質管理部門やコールセンター部門、人事部門では、ネット上から、会社としてリスクのあるワードが含まれる声(商品や企業に対して)をいち早く見つけ出し、早急に対応することを目的とした分析が行われています。

 食品メーカーでは「異物」「体調不良」、玩具メーカーでは「(自社製品が)すぐに壊れてしまう」とったキーワードを含む書き込みを見つけ、すばやく品質改善に対応することで、リスクをできるだけ回避するといったことです。

4. 競合分析

 商品開発部門やマーケティング部門で行われる、自社名と競合他社の強み、弱み、共通点をあぶりだすことを目的とした分析です。自社名と競合他社名でSNSデータを収集し、これを分析することで、自社が差別化すべきポイントと、絶対に外してはいけないポイントの両方を見つけ出そうというものです。

5. 未充足ニーズ分析

 顕在化した声は少なくても、多くの人が潜在的に求めているであろうニーズを見つけだし、新製品の開発や改善に活かすための分析です。生活者がまだ不満として自覚していないようなことや、「あったらいいな」というレベルのニーズを形にする、あるいは、既存商品について想定していない使い方を探ることなどがこの分析に当たります。

 例えば、旅先で車がなくて困ったという発言から、自社のツアーパッケージにレンタカーを組み込んだり、雨の日にコンビニの入り口で滑ったというちょっとしたエピソードから、店の入口に吸水マットを置いたりするといったことです。

 以上、SNSデータが実際にビジネスの場面で活用されているケースを5つご紹介しました。

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