人的資本経営を支えるインフラとしてのタレントパレット
~大同生命のEX改革とは~

課題:人材の見える化、人材育成、研修管理

大同生命保険株式会社
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    業種 生命保険

    従業員数 7,000名

中小企業をメインマーケットに、生命保険事業を展開している大同生命保険株式会社。長年培われた誠実な仕事観と人財育成文化を活かしながら、「自律」と「多様性」を新たな軸とするEX改革(人事・人財領域の改革)に取り組んでいます。この改革の実現を支える基盤として導入されたのが、タレントパレットです。分散していた人事情報の統合をはじめ、目標設定やスキル診断、研修情報の一元管理により、従業員一人ひとりが自身のキャリアを主体的に考え、行動につなげるための環境が整いつつあります。

今回は、人財開発部の山本様と井藤様、人事総務部の櫨様に、EX改革におけるタレントパレットの活用状況と、今後の展望についてお話を伺いました。

目次:

EX改革を掲げ”従業員自らが描くキャリアプランの支援”へ

― 貴社の事業内容とご担当業務のご紹介をお願いします。

当社は中小企業のお客さまに対して、生命保険商品および関連サービスを提供しています。私たちの所属する人事総務部・人財開発部では、経営戦略と連動した人事戦略の策定・実行を通じて、一人ひとりが強みや個性を活かし活躍できる職場づくりに貢献することをミッションとしています。

2022年に策定されたサステナブルな組織に向けたEX改革では、「個の多様性を尊重し、自律性を重視する人事」への変革として、従業員一人ひとりがキャリアを主体的に形成し、成長・活躍し続けることができる態勢の構築に取り組んでいます。タレントパレットは、こうしたEX改革を下支えする人事基幹システムとして導入しました。

EX改革を掲げ”従業員自らが描くキャリアプランの支援”へ

自律と多様性の促進に不可欠だった“情報の集約”

― EX改革が進められる中で、どのような課題があったのでしょうか。

システムインフラ面では、人事情報・スキル・経歴などの人財情報がさまざまな場所に散在している点が課題でした。目標設定や異動希望の申告、研修情報の閲覧が別の場所に分かれており、本人が自身のキャリアを一体的に考え、上司がそれをフォローするにはハードルがある状況でした。スキルや経験、志向を俯瞰的に把握し、自律的なキャリア形成につなげるためには、情報の統合とアクセスのしやすさが不可欠です。

さらに、当時使用していた人事管理システムの保守期限が迫っていたこともあり、このまま既存のシステムを使い続けるのではなく、「従業員主体のキャリア形成支援」につながるインフラとして、新たなタレントマネジメントシステムの導入を検討することになったのです。

スキル・研修・API連携──機能の網羅性が導入の決め手に

― タレントパレット以外にも複数の選択肢があったかと思いますが、選定の決め手を教えてください。

タレントパレットを選定した最大の理由は、機能の網羅性にあります。スキルアセスメント、研修管理、異動希望の申告、さらにはAPI連携機能など、人財育成とキャリア支援に必要な機能が一通り備わっている点が大きな魅力でした。

スキル・研修・API連携──機能の網羅性が導入の決め手に

また、タレントパレットは従業員自身が日常的に利用するシステムであるため、操作性や画面のわかりやすさといったユーザビリティも選定における重要な要素でした。当社は全国に支社があり、営業担当者は全国各地で働いています。またオフィスへの出社と在宅勤務を組み合わせたハイブリットワークの活用や、フルリモートで本社業務を行う「どこでもホンシャ®」で働く職員も増えています。このように働き方が多様化する中で、離れた場所で働く従業員も含めて、誰に対してもストレスなく使える設計であることが、活用浸透の観点からも非常に有用だと考えています。

さらに、タレントパレットを有効活用するには、人事管理でメイン利用している外部委託先のシステムとのタイムリーなデータ連携が必要でした。タレントパレットはこの点でも柔軟性があり、当社の運用要件を満たす高い連携性を備えている点で抜きん出ていました。

導入を支えた質の高いサポート体制

― 導入時のサポートはいかがでしたか。

導入初期の段階では、目標設定機能の構築支援をはじめ、さまざまなサポートを受けることができました。特に、目標設定では職務や役職ごとに設定する項目が異なるため、システム的な設計がやや複雑になっています。目標設定はタレントパレットのミッション機能を使って実現しましたが、プラスアルファ・コンサルティング社には細部にわたって構築方法をご助言いただきました。従来からの運用をタレントパレット内にどう落とし込むかという点についても、丁寧に相談に乗っていただき大変ありがたかったです。この時に得られた知見は導入後の自走体制に役立っています。

櫨 藍子 様

従業員の成長サイクルが回り出す──日常業務に溶け込む活用設計

― 現在タレントパレットのどのような機能を主に活用されていますか?

まず先述のとおり、ミッション機能を活用して目標設定を実施しています。当社では期初の目標設定に加えて、中間期や第3四半期のフォローを通じて年間の目標管理を行っています。他にも、同じくミッション機能でタレントパレットを利用している約3,500人の内務職員等を対象に希望のキャリアプランを毎年、申告する仕組みも整えています。

またファイルアップロード機能を活用し、従業員向けに実施した性格特性や仕事観の自己診断結果などもタレントパレット上に搭載しています。これにより、従業員自身がいつでも強み・弱みを確認できるなど、主体的なキャリア形成を進められる環境を整備しています。

搭載されている情報が増えてきたので、現在は個人の職務情報や人事評価を効率的に確認できる個人ダッシュボードの導入に着手しているところです。

従業員の成長サイクルが回り出す──日常業務に溶け込む活用設計

スキル診断を起点とした能力開発サイクル

― スキルの可視化という観点では、どのような変化がありましたか。

当社はメンバーシップ型の人財育成方針を採用しており、一般的に3年に一度の部署異動を通じて、従業員が多様な職務経験を積みながら成長できる環境を整えています。特定の職務に限定されない「ポータブルスキル」の習得を重視しており、その一環として、毎年スキル診断を実施しています。

スキル診断がもたらす意識改革

この診断では、自身の業務に求められるスキルや現在のレベル、不足しているスキルを把握し、必要な学習に取り組むという能力開発のサイクルを推奨しています。全職務は53種類の職種コースに分類されており、それぞれの職務には「職務定義書」によって必要なスキルが明確化されています。38種類のスキルの中から、職務ごとに特に重要な約10項目を設定し、従業員はそれに基づいてスキル診断を行い、1年間の能力開発計画を立てています。

今後は、こうしたスキル習熟度を経年で分析し、従業員全体のスキル向上状況を可視化していく計画です。さらに、外部研修の受講状況などといった行動特性を把握することで、組織全体の育成方針に反映していくことを目指しています。

井藤 奈津子 様

― 研修面ではタレントパレットをどのように活用されているのでしょうか。

研修の受講履歴や取得資格を一元管理するプラットフォームとして活用しています。金融に関する専門知識だけでなく、ビジネスパーソンとしての一般知識の習得も求められます。そのため、各従業員が自身の研修状況やスキル取得の進捗を把握しやすい環境の整備が必要でした。タレントパレット上に研修情報を集約することで、従業員は自分の現状と理想とするキャリアとのギャップを明確に捉え、ギャップを埋めるための学習計画を立てやすくなります。その結果、学習意欲の向上にもつながっていると実感しています。

研修の受講履歴や取得資格を一元管理するプラットフォームとして活用

また、研修後のアンケートについても、現在はタレントパレットを活用しています。定量的な集計結果はタレントパレット上で即時に確認できるため、集計にかかる作業時間の削減にもつながっています。

さらに研修コンテンツとして「Schoo(スクー)」も活用しています。パソコンだけではなくアプリからも利用可能で、豊富な研修コンテンツを時間や場所を選ばずに閲覧・学習できます。受講履歴や研修内容の選定、進捗確認といった一連の学習プロセスもタレントパレット上で一元管理することができ、学習機会が拡大しています。

関連情報

企業歴史を土台に、新しい価値観を育てる──人的資本を最大限に活かす人財育成へ

― タレントパレット導入後、人財育成の基本的な考え方や、アプローチに変化は見られますか?

当社はこれまでも、年次に応じた必須研修や階層別研修、管理職向けのプログラムなどを実施してきました。これ自体は事業継続に不可欠で重要なものですが、画一的な育成だけでは人的資本を十分に活かしきることはできません。

従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、組織の成長につなげていくという人的資本経営を推進するためには、画一的な育成だけでなく、個々の強みや特性を活かすための仕組みが重要だと認識するようになりました。

スキル診断で個々のスキルレベルや課題を明確にしたうえで、不足分についてはSchooや外部研修会社と連携した学習コンテンツで補完するという学習サイクルを回してもらうこともその一環です。このような取り組みにより、当社の人財戦略は「個の多様性を尊重し、自律性を重視」する育成へ歩みを進めています。

山本 徹 様

― 従業員の方の意識や行動に変化はありましたか。

当社は50年以上にわたり、現在のビジネスモデルを継続し、加入者本位・堅実経営を礎とした企業文化のもとで着実に成長を遂げてきました。こうした文化は、時代の変化に柔軟に対応しながらも、私たちの根幹として今も脈々と受け継がれています。

私たちは、こうした当社の強みや培ってきた文化を維持・発展させながら、従業員の自律性や多様性をさらに引き出し、組織全体の進化を目指しています。その変革を支えるインフラとして、タレントパレットは非常に重要な役割を担っていると捉えています。

もちろん、システムを導入したからといって、即座に変革が実現するわけではありません。従業員が継続的に自身のキャリアと向き合い学びを深めていくことが、組織としての持続的な変化につながっていくと考えています。

使い込むほど価値が増す──人的資本経営を支えるタレントパレット

― 最後に、皆様にとってタレントパレットとはどのような存在ですか。

櫨様:長期にわたり活用することでその価値を一層高めていくシステムだと考えています。単なる現時点のデータ管理だけではなく、これから一人ひとりが歩んでいくキャリアに関する様々な情報を継続して蓄積していくことで、さらに価値あるものにしていきたいと思います。

井藤様:従業員にとって、必要な情報に容易にアクセスできる「信頼できるインフラ」であることを目指しています。今後も継続的に活用を促進し、タレントパレットが従業員一人ひとりの成長を支える基盤として機能し続けるよう取り組んでまいります。

山本様:タレントパレットには、まだまだ多くの可能性が秘められていると思います。長年にわたり築いてきた当社の人事制度や育成体系に、「自律性」や「多様性」といった新たな価値観を融合させることにより、これまでにない人財戦略の実現が可能になると確信しております。タレントパレットの持つ多彩な機能を最大限に活用することで、当社が推進するEX改革の着実な前進につなげていきたいと考えています。

大同生命保険株式会社