経営資源の20%を「人」に。大変革期を迎えた大同工業が、タレントパレットの「データ活用」で描く人財戦略
課題:人材の見える化、人材育成、研修管理、スキルの可視化、生成AI
課題:人材の見える化、人材育成、研修管理、スキルの可視化、生成AI
業種 製造
従業員数 2,454名
石川県加賀市に本社を置く大同工業株式会社は、1933年創業以来、オートバイ用チェーンなどで世界トップクラスのシェアを誇るグローバルメーカーです。「D.I.D」ブランドとして世界11カ国・17拠点に展開し、高度な技術力で社会を支えています。
創業90年を超えた同社は現在、中期経営計画において「人的資本経営」への大きな転換を掲げています。中でも特筆すべきは、キャッシュアロケーションの約20%を「人」へ投資するという大胆な経営判断です。また、年功序列の廃止や自律型人財の育成など、抜本的な改革も進めています。
この大変革期に人事部へ異動し、プロジェクトを主導した人事部担当部長の安田充(やすたみつる)氏に、タレントパレット導入の背景とその効果、組織変革の軌跡を伺いました。
一番の課題はデータの分析です。私が人事部に配属された当時は、社員情報をExcelで管理しており、データを集約して集計するだけでも膨大な工数がかかっていました。その結果、本来取り組むべき分析業務に手が回らない状況で、「Excel管理の限界」を感じていました。
ちょうどその頃、会社として「人的資本への投資」や「人事制度の刷新」を実現するためのプロジェクトが動き出していました。経営層からの大きなミッションを具現化するにあたり、これまでのアナログな人財データ管理では到底対応できないと痛感しました。
当社では、SaaS系を中心に6〜7社ほどピックアップし、比較検討しました。その中でタレントパレットを選んだ最大の理由は、「マーケティング思考で、時間軸で分析ができる」点です。
他のSaaSツールでも、人財データを取り込むことはできますが、「過去から現在にかけて、どのように変化したのか」といった時系列での分析はできないものがほとんどでした。これからの人事戦略には、データを時系列で捉え、次の一手につなげる「マーケティング思考」が不可欠だと考え、タレントパレットの導入を決めました。
過去のExcelデータは形式が統一されていなかったため、すべてをシステムに合わせて整え直すよりも、スムーズな運用開始を優先しました。
当初は、過去の人財データをすべてタレントパレットに取り込むことも検討しましたが、情報の一元化を急ぐあまり、現場が混乱しては意味がありません。そのため、まずは「直近1年分」のデータに対象を絞って移行し、それ以降に新しく発生するデータをタレントパレット上に蓄積していくかたちで運用をスタートしました。
まずは、タレントパレットを“使うことが当たり前になる状態”をつくるため、定期業務の中に組み込みました。具体的には、タレントパレットで自己申告を行わないと人事評価のプロセスが始まらない仕組みにすることで、全社員がシステムに触れ、活用を習慣化できるようにしました。
また、アンケートの回答も、システム上で行なってもらう運用とし、取得資格の登録についても、社員自身が資格証の画像をアップし、ワークフロー機能を使って承認・登録まで完結できるようにしています。
日常業務の中で、タレントパレットを使う機会を増やし、少しずつ浸透を進めていきました。
はい。人事評価の次に活用を進めたのが従業員の持つ資格や業務スキル、経験などのスキル可視化で、スキル機能を活用しています。単なる保有スキルの記録ではなく、スキル基準を明確化し、標準化を図ることで、結果として「人財育成を中心とした利益改善(生産性向上)」につなげることを目的としています。時系列でデータが保持されることも成長を図る上で有効な機能です。
ダッシュボード機能とアンケート機能を活用しています。ダッシュボードは、各部門での「OJTの一覧表」として活用しています。先輩や上司が「誰に・何を教えているか」を可視化し、指導状況が把握できるようにしています。また、当社はグローバルに展開しているため、海外への出向者や赴任者が「どの拠点に、いつまで行っているか」もダッシュボードを見れば一目で確認できます。
エンゲージメント調査を年に1回実施しており、その中で、記述式の回答欄に「飛び石連休の間の稼働日は、学校が休みになってしまい、子どもの世話をする人がいなくて困る」といった声が寄せられました。工場の稼働を維持するため、当社では基本的に飛び石連休をつくらない方針でしたが、それが従業員の負担になっていたことが可視化されたのです。そこで、この声に応えるかたちで「特別な有給休暇」を人事課員の提案により新設しました。
おっしゃる通りです。エンゲージメント調査の結果を見ると、どうしても点数の低い部分ばかりに注目してしまいがちですが、弱みを平均レベルに近づけるだけでは「世間並み」にとどまってしまいます。
それよりも、当社の特徴であり強みでもある「休みの取りやすさ」といったポジティブな面をさらに伸ばしたほうが、会社としての魅力をより伝えやすくなると考えました。
アンケート結果の集約にはAI機能なども試していますが、そこからどんな施策につなげるかは、やはり「人間の頭」で自社らしさを踏まえながら判断し、実行しています。
はい、最近は毎回参加しており、非常に大きな刺激を受けています。
同業の製造業や電気業界の方々はもちろんですが、全く異なる業種の方ともお話しする機会があるのが魅力です。例えば、大手保険会社の方とお話しできたのは驚きでした。通常の業務では、接点が生まれにくい異業種の方々とつながる機会が持てるのは、非常に良い刺激になります。それぞれの企業で、全く異なる視点での人事施策やシステムの活用法を伺えるのは、このコミュニティならではの大きなメリットだと感じています。
はい、集計がワンストップでできるようになり、本当に作業が楽になりました。以前のExcel管理と比較すると、集計作業にかかる手間は60%ほど削減されました。
これにより、「人的資本を高めるための策を考える時間」や「施策を検証する時間」を確保できるようになりました。集計作業そのものは、新しい価値創出にはつながりません。そこに多くの時間をかけるよりも、より未来につながる業務に時間を使えるようになったことは非常に大きな成果です。
タレントパレットは、豊富で便利な機能を備えているため、導入の際には「全体を見渡す役割」を置いていただくと、より効果的に活用が進みます。システム自体は直感的に操作できますが、たとえば「アンケート結果」と「評価データ」をどのように組み合わせ、経営課題の解決につなげていくかといった“データの掛け合わせ”を設計する役割があると、システムの価値を一層引き出せます。私はそのハブ役として、単なる機能管理にとどまらず、「人事戦略を実現するために、どのデータをどう活用するべきか」という全体像を意識しながら運用を進めています。そうした視点を持つことで、組織としての活用がスムーズになり、成果につながりやすくなると考えています。
4月からスタートする新しい人事制度では、昇格にあたって特定の資格や研修の受講が必須となる予定です。
それに合わせてタレントパレットをより活用し、誰が要件を満たしているかを自動で抽出したり、昇格要件をスムーズに確認できたりする仕組みづくりを進めています。中長期的には「グローバルリーダーの育成」にも活かしていきたいと考えているところです。
そして今まさに、次世代のリーダーやサクセッション(後継者)をどう育成していくかという議論が社内で進んでいます。今後は海外拠点の社員データなども含めて、より戦略的に人財を把握し、育成につなげていけるような体制を描いています。
「社内の人財育成と管理」にしっかり取り組みたい企業には、ぜひお勧めしたいですね。単に管理するためではなく、「一人ひとりの能力を高めていきたい」「社員の成長を後押ししたい」といった想いを持つ企業に、フィットすると思います。
そして、これからの時代は、社員自身がキャリアを主体的に築いていく「自律的キャリア」が重要になります。その流れの中で、会社として社員を把握し、育成を支援できる仕組みがあることはとても大切です。そのための基盤として、タレントパレットは大いに力を発揮してくれるツールだと思います。
人事の「今」と経営の「未来」を変える、
タレントマネジメントシステムです。