預金量2兆円超の岐阜信用金庫が実践する、回答率ほぼ100%のサーベイと「データ主導の迅速な制度改定」で作る自律型組織
課題:エンゲージメント向上、キャリア自律の促進、生成AI
課題:エンゲージメント向上、キャリア自律の促進、生成AI
業種 金融業
従業員数 1,392名
岐阜県と愛知県を中心に89店舗を展開し、預金量約2兆6,598億円という全国屈指の規模を誇る岐阜信用金庫。同庫は創業100周年の節目を迎え、さらなる地域創生と活性化を担うべく、中期経営計画において「人的資本価値の最大化」を基本戦略に掲げています。
従来、Excelに依存し分散していた人事情報をタレントパレットに統合。月次のパルスサーベイやエンゲージメント調査を通じて「現場のリアルな声」を可視化し、寄せられた声に対して「機動的な人事施策」をスピーディーに実行。昇格要件の可視化により自主研修への参加者が倍増し、エンゲージメント指数も着実に向上するなど、組織全体に劇的な変化が生まれています。データと対話を融合させた、同庫の戦略人事についてお話をお伺いしました。
当庫は岐阜県と愛知県に店舗網を持ち、預金量については2兆6,598億円、融資量については1兆5,008億円と、全国の信用金庫の中でもトップ10に入る規模を有しています。
この地域には地方銀行様など強力な金融機関が存在する中で、我々のような信用金庫ならではの「face to faceの身近な存在感」をいかに発揮していくかが常に問われています。
地域創生や活性化を推進していくためには、やはり職員一人ひとりの力が最大の原動力となります。
人事部には「人財開発課」と「人事企画課」の2つがあります。人財開発課が新卒採用や新入職員の研修を担当し、現場に送り出すまでの「育成の入り口」を担う一方で、私どもの人事企画課は、中途・パート採用に加え、適材適所の人員配置、納得感のある人事考課制度の構築、職員スキルの把握など、人的資本経営を実践するための人事政策全般を担当しています。具体的には、エンゲージメントの向上や定着率のアップ、離職率の低下、福利厚生の満足度向上といった領域を網羅的に見ています 。
以前は、職員のスキルや研修の受講状況、人事評価などのデータがExcelでバラバラに管理されており、情報の一元化が全くできていませんでした。システムに取り込む際にも多大な手間がかかり、職員の本当のスキルや、誰がどのようなポテンシャルを持っているのかをタイムリーに把握することが困難な状況でした。経営戦略を達成するためには、経験や勘に頼るだけでなく、データに基づいた客観的な指標で人材を可視化する仕組みが急務だと感じていました。
タレントパレットは、非常に直感的な操作性を持っており、ITリテラシーの壁を感じさせないUIが魅力的でした。また、もう一つの大きな理由が「エンゲージメント調査」の柔軟なカスタマイズ性と、他企業と比較しやすい点です。
当庫では、信金中金が実施しているエンゲージメント調査の項目を参考に、タレントパレット上で自社向けに少しアレンジを加えたアンケートを構築しました。他社や業界全体の平均値と比較しやすい尺度を持たせることで、「自分たちの立ち位置がどこにあるのか」「全国の信用金庫の中でナンバーワンを目指すにはどの指標を上げるべきか」が客観的に分かるようになります。単に自社だけの閉じたデータにするのではなく、外部と比較しながらゴールを明確に設定できる環境を作れたことは非常に大きかったですね。
はい。ログインして最初に目に入るトップページには、経営戦略や人事戦略のメッセージを視覚的に配置しています。中期経営計画の戦略目標や、エンゲージメント向上のための「重要施策」のパワーポイント資料をボタン一つで閲覧できるようにしました。日々の業務の中で必ず目に入る場所にメッセージを置くことで、人事部が今どこに重きを置いているのかが全職員に自然と伝わるように設計しています。
現在、エンゲージメント調査は四半期ごとに、パルスサーベイは月次で実施しています。
導入当初は半期ごとの実施でしたが、それだと「施策を打った結果、現場の意識がどう変わったか」の効果検証に時間がかかりすぎてしまうことに気づきました。間隔が空くと、現場の課題感とのズレを修正できないまま進んでしまう恐れがあります。そこで頻度を上げ、四半期・月次でタイムリーにデータをキャッチアップし、打ち手を素早く修正できる体制に変更しました。
アンケートの回答率も産休・育休などの休職者を除くと、「ほぼ100%」です。
一番の理由は「職員から寄せられた声を絶対に無視しない」という人事部の考え方が、現場に浸透していることだと思います。パルスサーベイには自由記述欄を設けており、「本部に言いたいこと」「営業店での悩み」などを自由に書いてもらっています。
例えば、健康経営の一環でアンケートを取った際、「フィットネスジムを増やしてほしい」という声が多く寄せられました。そこで、すぐに要望の多かった施設と法人契約を結び、安く利用できるように整備しました。また、「サッカーがやりたい」という声があればフットサル競技場と提携するなど、声に対して具体的なアクションを素早く返しています。
職員側も「アンケートに答えれば、本当に会社が変わるんだ」という実感を持てるようになり、それが高い回答率と本音の抽出に繋がっています。さらに、パルスサーベイは個人の退職予兆の検知やフォローにも活かされています。例えば、毎月の回答結果で「やりがいを感じる」から「感じない」へとモチベーションが急変した職員がいれば、それを見逃さず、該当店舗の役席(管理職)に注意喚起を行って個別のフォローを促すなど、データに基づいたきめ細やかなケアを行っています。
はい。実は、データ活用によって「やめる決断」「減らす決断」ができたことが、非常に大きな成果だと思っています 。
その最たる例が「1on1ミーティング」です。当初は全職員に対して毎月実施していたのですが、タレントパレットでアンケートを取ったところ、「1on1の仕組み自体は素晴らしいが、毎月はしんどい」「お互いに負担になっている」という現場のリアルな声が多く見られました。
そうです。1ヶ月ごとのスパンでは、目標の進捗も大きな変化が見られにくく、成長に向けた対話というより単なる「悩み相談の場」になってしまっていました。そこで、アンケートのデータを根拠に、データに基づくスピーディーな意思決定を行いました。若手職員については手厚い教育が必要なため頻度を維持しつつ、一定以上のキャリアを持つ職員に関しては、1on1の頻度を四半期ごとに変更しました。
このように、制度を作って終わりにするのではなく、データを見ながら現場の温度感に合わせて修正を加えていく。このサイクルを回せるようになったことは、組織として非常に大きな進歩だと感じています。
以前はExcelで管理していた昇格に必要な要件や資格情報を、すべてタレントパレット上で可視化しました。職員は「次のポジションに上がるためには、いつまでに何の資格を取るべきか」がシステム上で一目で分かるようになり、実績効果の目標管理シートと連動させて運用しています。
結果として、若手から中堅まで、資格取得に対する意識が全社的に高まりました。例えば、昇格の最低要件である「法務・財務3級」については、合格率が9割5分に達するほど定着しています。また、土日に開催しているスクール形式の「自主研修」への参加人数は、研修プログラムを充実させたこともあり、直近では、前年度と比較して倍増しています。さらに、私たち人事や支店長といった管理者側も、誰が昇格要件を満たしているかをダッシュボードで瞬時に把握できるようになったため、評価や配置の検討業務が大幅に効率化されました。
職員が主体性を持ち、自分らしさを仕事に活かせる「自律型人材」を育成するために、タレントパレットに標準搭載されている適性検査(TPI)を活用した「自己成長サポート診断」を全職員に受診してもらいました。「会社から評価される」ためではなく、「自分自身の強みや、何に動機づけられるのか(ドライバー)を知る」ことを目的としています 。
自分が協調性を重視するタイプなのか、成果を重視するタイプなのかを自己認識するとともに、上司もそのデータを見ることで、相手のタイプに合わせたマネジメントや1on1のコミュニケーションができるようになりました。
はい。当庫が営業店で取り組むべき標準的な行動プロセスを「ミニマムスタンダード」として定義しているのですが、これが現場でどこまで浸透しているかをアンケートで計測しています。
「お客様を選定するにあたり、役席(管理職)の関与は十分にあるか」「クロージングの場面でフォローがあるか」といった項目を指標化し、タレントパレットのダッシュボードで可視化しています 。
これにより、複数の営業店を統括する推進役(スーパーバイザー)が、「A支店は役席の関与が弱く、浸透度が低いからテコ入れしよう」といった具合に、データに基づいた店舗マネジメントや指導ができるようになりました。従来は店舗に行って直接確認するしかなく、実態の把握が困難でしたが、今ではボタン一つで課題のある店舗や職員を特定し、ピンポイントでアプローチできています。
新たにタレントパレットの「サンクスポイント」機能を活用し、職員同士が日々の感謝の気持ちをポイントと共に送り合う仕組みをスタートしました。
背景として、パルスサーベイの中で「本部の一部部署の対応が冷たい」「営業店からの問い合わせに対して『マニュアルを見たのか』といった態度をとられる」といった声が散見されていたことがあります。「態度を直して」と注意するだけでは、組織風土の改善につなげていくのはなかなか難しいように感じます。そこで、まずは小さな親切に対して「ありがとう」と言い合える、心理的安全性の高い職場環境を作ろうと考えたのです。
理事長や役員陣も巻き込んで、トップダウンで推進しました。ポイントを多く獲得した職員や、素晴らしい取り組みをした職員に対しては、理事長から直接表彰を行い、徐々に組織全体に感謝を伝える文化が根付きつつあります。
最大の成果は、エンゲージメント指数の着実な向上と、それに伴う「定着率の向上」です。中途採用で入社した職員の離職についても、直近では過去最少を記録するなど、組織全体への定着が進んでいます。
結婚や転居など、やむを得ない事情による退職はゼロにはなりませんが、「会社が嫌で辞める」といったネガティブな離職は劇的に減ったと感じています。全国の信用金庫ネットワークを活かし、転居先でもキャリアを続けられる仕組みが整っています。こうした取り組みが、職員の会社への愛着や信頼につながっていると感じています。
また、タレントパレットに集約されたデータを活用することで、適材適所の人員配置の精度が飛躍的に向上したことも定着率アップの大きな要因です。現在、自己申告に基づく希望業務へのマッチ度は、第2希望まで含めると95%以上に達しています。採用の段階から「営業をやりたいか」といった意向をしっかりとすり合わせていることもあり、職種間のミスマッチによる早期離職は極めて少なくなっています。
そうですね。以前は「営業に出るより内部(事務)の業務を希望する」職員が多かったのですが、今は営業部門への希望者が大きく増えています。評価や給与体系の差もありますが、何より営業職としてお客様と接することにやりがいを感じ、スキルをつけたいという「キャリア志向」を持った職員が増えているのです。
特に女性職員の意識変化は顕著で、初級管理職の登用試験においては、以前は合格者のほとんどが男性でしたが、直近では女性の合格者が男性を上回る年もあるなど、男女比がほぼ半々になるまで増えています。自律的にキャリアを築こうとする風土が、間違いなく育ってきていると感じます。
今後は、タレントパレットに搭載されているAI機能をさらに活用していきたいと考えています。現在、AIアドバイス機能等を活用し、自己診断の結果に対する客観的なフィードバックを一部解放していますが、人事が直接言うよりも、AIからの客観的なアドバイスの方が職員も素直に受け入れやすい側面があります。
また、今年度中に現在の資格・スキル情報の可視化をさらに発展させ、タレントパレット上でより高度な「キャリアマップ」を本格的に構築する予定です。「将来このポジションに就くには、今どの部署を経験し、何の資格を取るべきか」という双六(すごろく)のようなマップを明確にし、データドリブンな適材配置をさらに進めていきます。
自分の考える人事政策を実現していく上で、タレントパレットは、必要不可欠なツールになっています。現場の声を直接拾い上げ、時代に即した「働きやすい職場環境」を醸成することで、結果として金庫全体のパフォーマンス向上に繋げていく。そんな好循環を、これからも積極的に作っていきたいですね。
人事の「今」と経営の「未来」を変える、
タレントマネジメントシステムです。