タレントパレットへ移行し、より円滑で自律的な「学びの場」を実現
課題:人材育成、研修管理
課題:人材育成、研修管理
業種 サービス・店舗・小売
従業員数 約15,900名(2025年3月時点)
2008年に「株式会社三越」と「株式会社伊勢丹」が経営統合して生まれた三越伊勢丹グループは百貨店業を中心にクレジット・金融・友の会業、不動産業、その他の事業セグメントからなる全42社で構成され、国内百貨店は北海道から九州まで20店舗、海外店は東南アジアを中心に23店舗を展開しています。
株式会社三越伊勢丹ホールディングスでは、グループ横断的な人財育成施策としてラーニングプラットフォーム「MANABIの森」を運営しており、この管理システムをタレントパレットに移行することでユーザービリティの向上を実現しました。
2000年に株式会社三越に入社し、新宿三越の婦人営業部や本社の人事部、2009年からは株式会社三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズに出向し、人財開発推進で人財開発推進チーム、人財コンサルティングG企画営業担当と採用企画担当長を務めました。出向中に、慶應義塾大学大学院の経営管理研究科で学び、2020年からは三越伊勢丹ホールディングスのグループ人事部にて人事企画部プランニングスタッフとして勤務しています。
三越伊勢丹グループは、百貨店を中心に金融、建装、旅行、システム、人材派遣など幅広い事業を展開しています。中核事業である百貨店には、多くのお客様に認めていただいている「のれん」の価値や、長い歴史の中で大切にしてきた顧客基盤といった強みがあり、それらを継承し、人財や不動産の強みも最大限に活用することで、従来の百貨店モデルを変革し、新たな価値を創出してきたいと考えています。
「お客さまの暮らしを豊かにする“特別な”百貨店を中核とした小売グループ」というビジョンの実現に向けた期間を3段階のフェーズ(再生~まち化準備~結実)に区分し、取り組みを推進しております。前中期経営計画では「高感度上質戦略」、「個客とつながるCRM戦略」の2つの重点戦略を中心に百貨店の再生を大幅に進展させました。本年4月より始まった新たな中期経営計画では、前半の3年間を個客業プロセス活動(「集客」→「識別化」→「利用拡大」→「生涯顧客化」)によりマス向けのビジネスモデルである「館業」から「個」のお客さまとつながる「個客業」への変革、後半の3年間を個客業プロセス活動の進化と“まち化”(百貨店を中核とした複合開発で用途を広げ、グループアセットをフル活用したビジネスモデル)を本格始動するフェーズと位置づけています。
まず当グループの事業を「百貨店」「不動産」「金融」「その他の関連事業」の4分野に分け、それぞれの事業の成長を担う人財を確立すること。そして、すべての分野を横断するかたちで「人財基盤の構築」および「グループ経営人財の創造」を強化すること。こういった縦横2軸で“人財の期待役割”に応じた人的資本施策を実行しています。
三越伊勢丹グループでは、従業員が自らキャリアビジョンを描き、その実現のために、自律的に考え、学び、変化し続ける姿勢や意欲を持つことを大切にしています。
こういった「自律的なキャリア形成」をサポートするために、マネジメントを担う上司などが、従業員一人ひとりとキャリアについて話し合い、成長に向けて伴走するという施策をグループ全体で取り組んでいます。また企業としては、個々のキャリアフェーズに合わせて「公平な機会」と「環境」を提供するとともに、ワークライフバランスの観点も交えながら、人事制度や機会拡充等のサポートを実施しています。
当グループでは、企業の持続的な成長に向けて、すべてのステークホルダーにファンになっていただくというコンセプトで、「MANABI」をキーワードに、一人ひとりのキャリアを豊かにするための風土つくりや環境・機会の提供を行っています。
そして、この施策の一環として「MANABIの森」というeラーニングプラットフォームを運営しており、その管理システムとしてタレントパレットを活用しています。
「MANABIの森」のユーザー数はグループ32社の約16,000名で、コンテンツの数は700以上にのぼります。以前は別のeラーニングシステムを使用していましたが、これだけのボリュームを管理する関係上、様々な不具合も生じていました。例えば、受講コースの表示や受講履歴のデータ出力、研修申し込みなどに関して課題があり、それらを解決するために新たなシステムの導入を検討することにしました。
三越伊勢丹、地域事業会社、関連会社において社員の評価や社内公募、昇格審査の案内などにタレントパレットを活用していたことや、グループ全体で人財データの活用やマネジメントについて新たな方向性を模索していたこともタレントパレット導入のきっかけとなりました。
既にグループ内の3社でタレントパレットを導入していたため、それぞれの会社によってログインの入り口が違っており、また、従業員がどのタレントパレットにログインすべきか迷うことなどもあったため、事前に運用の検証を行いました。その他にも、三越伊勢丹の各所属の教育担当者やグループ各社の人事教育担当者に対して、ラーニングシステムを変更する理由や今後の構成などを説明し、同意を得るといったことも行いました。
要件定義、コース移行、システムのマニュアル作成、稼働テスト、教育担当者への操作説明といった一連のタスクを、プラスアルファ・コンサルティングの担当者3名と私ども人財・組織開発担当3名で進めていき、約半年間ほどで受講をスタートさせることができました。
現在はeラーニングの受講をはじめ、研修の申し込み、アンケート、受講コースランキングなどにタレントパレット活用しています。自律的なキャリア形成のためのeラーニングコースは580コースをラインナップしています。その中には、すべての従業員が毎月1回必須で受講するコースも含まれており、コンプライアンス、健康、ハラスメント、カスタマーハラスメント、サステナビリティ、人権、情報管理、情報セキュリティ等に関する学びを提供しています。
管理・運用体制としては、三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズの管理・運用担当者が2名、三越伊勢丹ホールディングスの管理担当者が1名、合計3名で行っています。
※画面はイメージです。
まずTOPページにアクセスすると、各種コンテンツがカテゴリーごとに分類されており、自分の受けたいコースを選べる構成になっています。その中には、スキルアップや知識取得を目的としたラーニングコンテンツに加えて、グループ各社での日々の業務やキャリアの歩みなどを紹介する「みんなのおしごと紹介」というコンテンツも掲載されています。三越伊勢丹グループ内にある様々な「働く場所」や「成長の機会」を知ることで、自身のキャリア構築の参考にしてもらえればと思い、このようなコンテンツを提供しています。
まず「なぜタレントマネジメントが必要なのか?」を明確にした上で、グループ全社において入社から退社までを視野にいれたタレントマネジメントの実施を検討中です。
例えば、人的資本開示やアンケート機能を使ったエンゲージメント調査、1on1の面談の記録、人事異動、本人の経歴やスキル、リスキリング、教育の効果測定などをタレントパレット上で実施できないかと考えています。
システム面では、複数のタレントパレット同士の連携やメンテナンスに時間がかかっている基幹システムと連携自動化が今後の課題です。また、1on1の面談の記録などは取り扱いに注意が必要なので、複数の権限を設けるなどの対策を講じることで安全性や安心感を担保できればと考えています。
人事の「今」と経営の「未来」を変える、
タレントマネジメントシステムです。