経営戦略実現に向けタレントパレットを導入
多数精鋭組織を育成するニトリHDの構想とは

課題:人材データ分析、人材育成、最適配置

株式会社ニトリホールディングス
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    業種小売

    社員数6,000名(2022年12月時点)

「住まいの豊さを世界の人々に提供する。」というロマンを原点に、2032年に出店数3,000店舗、売上高3兆円をビジョンとして目標に掲げるニトリホールディングス(以下、ニトリ)。
1973年から掲げている30年ビジョンは2期目を迎えており、その中で目標として挙げられているのが「2032年までに売上高3兆円、3,000店舗の実現」。35期連続増収増益を実現し、ノンストップで成長するニトリでは、人材についてどのように考えているのか、30年ビジョン達成に向けてタレントパレットでどのような施策を行うのか、今後の構想について伺いました。

目次:

必要な人材は「外から連れてくるのではなく育て上げる」 ニトリの多数精鋭組織

― 貴社では30年ビジョンを掲げていますが、実現に向けどのような経営戦略を立てているのですか?

ライフスタイル総合提案企業への進化とグローバルチェーンストア実現が大きな柱です。また、社会課題解決とロマン実現を両立するサステナビリティ経営を進めることです。そのためのサプライチェーンマネジメント、IT、人材育成も含めた組織戦略等、ビジネス基盤の改革を進めています。

人事としては、経営戦略の実現のために現在のニトリの人材プールに不足する機能を質量ともに特定し、現在の人材のリスキリングも含め、人材プールを育成することがカギとなります。しかし社外から「それができる人」を連れて来るだけでは、ニトリが大切にしている他社が真似できない自社のコアコンピテンスを希薄にして拡大することになってしまう。ニトリのコアコンピテンスの神髄を理解している社内人材を軸に、必要に応じて人材のリスキリングを図り、育成することで、ロマンとビジョン実現に向けて進んでいきたいと考えています。

コアコンピタンス

― 30年ビジョンの実現に向けた人材育成で、重要視していることを教えてください。

全社員が個々人のコアコンピテンスを錬磨すること。その上で「自分が解決したい社会課題は何か」を設定し、その実現に向かうに十分なスキルを修得することです。

ニトリは多数精鋭からなる組織づくりを行っています。全員が活躍できる組織であることを目指し、成長促進のために採用しているのが「配転教育」です。HRテクノロジーの進化、発展を活用することで、スケールアップしていく組織でも、多数精鋭の組織づくりが容易になりました。

「所属部署が変わる中で異なる経験を積む。様々な経験が組み合わさり、自分だけの固有な価値が生まれる。その過程が個人個人の成長を一層促す。」と考えています。およそ6,000名の全社員を対象に、3年に1度の高ペースで配属替えを行っています。その配置換えを検討しているのが、我々組織開発室です。

配置転換

配置転換は、定量データと定性データからなる様々な要素を勘案し、総合的判断に基づいて決められるのが理想。研修履歴や適性、経験などを一元化して分析することで、社員一人ひとり毎に、例えば「現在は店舗勤務だが、実際は本社でITに関する業務を担当するのが向いているのでは」などデータを根拠に仮説を立てられるようになるでしょう。経営戦略や目的からバックキャストすることで、どのような人材が必要なのか設定されていますので、それにマッチしている社員が誰なのか、その社員はどのような業務を望んでいるのかなどがしっかりとデータに基づいて把握される状態を作れば、経営の要請に沿った異動を起案することが可能となると考えています。

ユーザーインターフェイス(UI)の分かりやすさと目指していた分析機能で導入を決定

― タレントパレットの導入に至ったきっかけを教えてください。

タレントパレットを導入している企業とお話しする機会があり、少し画面を見せてもらったところ、タレントパレットの明るい画面とUIの良さを見て、非常に使いやすそうだと感じ、「我々が長年やりたいと考えていたことが実現できるかも」と感じました。

初見で感じたのは、やはりUIのわかりやすさです。日本人的な感覚にとてもマッチしているなと感じました。機能面では分析機能が非常に充実しています。いずれも見せかけの機能ではなく、人事情報を扱う側に立ち「これ、必要だよね」と話しかけてくるような機能が多数あり衝撃を受けました。タレントパレットの作りが、我々が目指している形そのものになっていて。何より集積したデータの分析によって、組織をより良くしていきたいという思想を感じたんですよね。マーケティングが基盤にあり、数字を根拠に結果を出していくという考え方で開発されているので、説得力があるなと感じています。

実は、3年前にもタレントパレットに触れる機会がありました。当時と比較してタレントパレットはSaaSの理想的な成長の仕方をしており、気付いたら僕らの期待していたところの斜め上にいました。時代に合った新機能が随時追加されていき「一緒に成長していけること」も魅力に感じました。他社のシステムだと新機能に追加料金がかかるものもありますが、タレントパレットはほとんどが標準装備。役員からは「どんどん機能が追加されて、しかも追加料金がかからないって、そんなことあるの?」と驚かれました。

バージョンアップ

― ご導入いただき現在は構築を進めていただいている段階ですが、今後タレントパレットでやりたいことを教えていただけますか。

まずはメインである人材データ分析です。データの管理は今でもできているのですが、もっと活用できるはずだと考えています。そのため、本質をずらさずにデータを活用し、いかに価値を生み出すか、あるいは社員の幸せにつなげられるかが重要だと考えています。
具体的な例を一つあげると、ニトリでは社員に対して半年に1回、「30年キャリアデザインシート」という人事アンケートを実施しています。5年後、10年後、30年後何をしていたいかを社員に対して自由記述で聞く項目があり、回答されたおよそ6,000名分の回答はExcelに集約し、共通するキーワードに色付けするなど管理をしていました。今後はテキストマイニング機能を使って社員の声をより見える化していきたいですね。

テキストマイニング機能画像

もう一つ例をあげれば、全国展開していることに加え、業種柄、様々な拠点に人材を配置するニトリの特性から、「拠点マップ」にも非常に期待しています。「この拠点なら無理なく通える」などの判断も行いやすくなるはず。

拠点マップ機能画像

タレントパレットの良さは、機能面はもちろんですが、この直感的に操作ができるUIだと思っています。どこにどんな情報が入っているかが直感的にわかる。タレントマネジメントシステムを使う上では、「誰にとっても使いやすいこと」も非常に重要なカギになります。DXの目的は、「顧客の体験が良い方向に変化すること」と定義づけていて、タレントマネジメントによって、社員がキャリアパスを考えやすくなり、ロジカルな適性配置が可能になることが重要です。

店舗異動

社員がタレントマネジメントシステムを活用している指標として、ログイン率を重視しています。毎週トップマネジメントや各部署から社員に向けてメッセージを流して確認してもらうなど、タレントマネジメントシステムを好きになってもらうための取り組みを推進しています。

― これまでのお話の中で、“効率化”というワードが一切出ていないのも印象的です。

そうですね。効率化の考え方もあるかと思うのですが、DXの本質は仕事を楽にすることではなく、顧客の体験を良い方向に変えること。タレントマネジメントシステムの場合は、「社員の体験を良い方向に変えること」だと思います。
人事の業務効率化は、飽くまでも副産物で良いと考えていて、タレントマネジメントシステムを導入することで、データが集積され一元化されることで今まで見えなかったものが「見える化」された結果、従前よりも人事が忙しくなるくらいがちょうどいいと考えています。
人事のお客様はいわば社員です。我々の仕事が何のためにあるかを問うなら、自分の仕事を効率化することではなく、全社員のキャリアのため、あるいは社員の夢や思いを実現するためにあると思っています。

導入検討の際に役員へ稟議書を出したときにも「効率化」のワードは出ませんでしたね。「未来に対してこんな人材を育成したいので投資したい」と提言し、満場一致で可決されました。

組織開発室 キャリアデザイングループリーダー 上田 聡 様

― 今後、社内でどのような変化がもたらされると考えていますか。

社員にとっての一番の理想は、自分のキャリアや未来に向けての道筋が根拠を持った形で示され、それに向けて必要な経験や学習内容が提案されていることだと思います。理想通りに実現できていなかったところなので、まずはそこを変えていけると思います。

個人的には、社員一人ひとりに期待するキャリアの可視化も見込んでいます。社員からよく相談を受けるのが「今、キャリア迷子なんです」という内容。経験すべき職務は分かるが「それが本当に自分のやりたいことなのか分からない」「今やっていることを続けていいの?」といった疑問は、多くの人がどこかのタイミングで抱くことではないでしょうか。

その悩みに対して、人事としてロジカルに情報を提供していくのが大事だと感じます。「あなたにはこんな適性があり、こういうことが向いていますよ」「だからこそこういった勉強をして、こんな資格を取ってくださいね」と会社から提案していけたら、迷子になることもないのではと考えています。しかしそういったことは人事側が一方的に行うデータ管理ではできないんですよね。社員側も可視化された情報を見て、自分の成長性や次のステージを確認できる。いわば、自分が入れたデータが自動的に自分の道標になるわけです。

キャリア迷子に陥るのは、“点で仕事をしている”のが要因であるケースが多いです。点だけで仕事をすると、現在にしか目が向かなくなり、自律的な成長ができなくなる。それを防ぐために「過去の蓄積」と「未来にどうしていきたいか」があって「今がある」ことが分かる仕組みにしていきたいですね。
上司からしても、部下の過去と未来に何をやりたいかに目を向けられると、マネジメントの方向性も変わるはず。その結果、組織全体が未来志向になってくると考えています。

目指すのは経営と共にある人事 ニトリを次のステージへ引き上げるためにできること

― 人事としての今後の展望を教えてください。

タレントパレット導入による最終的な目標は、社員自身が解決したい社会課題や、やりたい仕事に向かっていける環境を整えること。それが成長環境です。eラーニングの結果や希望など様々な情報を可視化することで、自分の進みたい道へ自ずと進めるようにしていきたいですね。

そのためには、会社も同時に、目指している未来像を描き、社員に向けて明確に示し続けるべきだと思います。10年後、自分のいる会社がどんなビジネスを行う企業になっていくのかを解像度高く提示している組織はあまり多くないと思います。社員が迷子にならないためにも、ニトリがどうなっていくかをしっかり描きたいですね。

また人事としては、経営層に対して、タレントパレットを用いて組織の状態や足りていないリソースについて数値で見せられるようにしていきたいです。そして、会社全体で何が足りていないかの共有認識を持ち、人材育成していければと考えています。

近年、人事が経営層を巻き込んだ形で、今までにないポストを作ったり、将来の経営者をどうしていくかの議論を始めたりしています。そこでも、タレントパレットがきっと生きてくるはずだと考えています。社員と人事だけではなく、今後は経営側にとってもなくてはならないシステムになっていくと思います。

― 人事を人事の部署内で完結させるのではなく、経営と共にあることを見据えているように感じます。

中長期経営計画の実現に向けて、人材開発や組織開発が連動していくことがとても重要だと考えています。組織として本当に成長していきたいなら「今」だけでなくその先も見ていく必要がありますからね。

組織診断を入念に行うことで、社員のエンゲージメント向上にもつながるはずだと考えています。社員がこの会社で継続してキャリアを描き続けられると感じる制度作りは、人事としてより力を入れてやっていくべきだと思います。そこはタレントパレットの機能の強みでもあるので、期待しているところです。タレントパレットを活用して社員に寄り添いつつ、経営戦略の実現を果たしたいと考えています。