経営戦略からバックキャストで描く「全員戦力化」への道のり
課題:人材の見える化、人材育成、スキルの可視化、キャリア開発
課題:人材の見える化、人材育成、スキルの可視化、キャリア開発
業種 情報通信業
従業員数 1,020名
アジア最多の17機の衛星を保有・運用し、衛星放送の「スカパー!」をはじめとするメディア事業と衛星通信サービスや衛星画像データ活用などを行う宇宙事業を展開。これら2つの事業を両輪とするスカパーJSAT株式会社。同社では、経営戦略の一つとして「人的資本強化」を掲げ、2023年4月から新人事制度をスタートしました。既存ビジネスの収益強化と事業領域の拡大・成長の実現を目指し、変革・成長・改善の原動力となる人財の「採用・育成」「抜擢・配置」に取り組んでいます。
今回は、スカパーJSATが現在進めている戦略人事の基本思想をはじめ、施策実行プロセスにおけるタレントパレットの活用状況などを人事部のお二人に伺いました。
本記事はセミナーレポートです。部署名や役職は2025年2月セミナー当時に準じます。
「会社も社員も選び選ばれる関係になって、みんなで新しいステージに向かおう」「一人ひとりが強い意志を持って行動し、スピード&アクションで会社を変えていこう」という考えのもと、会社を変革する人財を一人でも多く輩出し、企業価値を高めるというのが新人事制度の目的です。
当社では中期経営計画として「2030年に当期純利益250億円以上」という目標を掲げています。現在はその実現に向けた足固めのフェーズであり、人事部としては人財の変革や新規領域の人財の育成・獲得といったミッションに取り組んでいます。
新人事制度の基本思想がまだ浸透しきっていない状況ですので、新たな制度の意図や目的をより積極的に発信していく必要があるかと思っています。また、人事制度の再整備と運用の強化も現状の必須課題と考えており、「評価」「報酬」「育成」「登用」という4つの要素で様々な施策を進めています。
「報酬」についてはすでに動き始めており、「評価」についても評価者トレーニングや目標設定トレーニングなどの取り組みを継続的に進めています。残る「育成」と「登用」はまさに現在の重要課題です。「適所適材」は私どものミッションの中核であり、その実現の第一歩として「タレントパレット」を用いたタレントマネジメントやスキルマップの導入を進めています。
人財開発の方針である「働く社員一人ひとりの能力を引き出し、最大化して、事業に貢献する」ということを、上司、社員本人、人事部という3つの側面から検討していく中で、人事部としては「HRテクノロジーの活用」が重点課題であるという考えに至りました。
「HRテクノロジーの活用」の目指すところとしては、社内に点在している人事情報を一括管理する仕組みづくりをはじめ、タレントマネジメントやピープルアナリティクスを活用した人財開発と組織開発なども視野に入れており、そういった施策を実現するためのツールとして「タレントパレット」を導入しました。
人財開発を進める上で「人財の見える化」はすべての施策の起点であり、それをベースに、業務効率化や生産性向上、さらに人財の活性化や全員活躍の人財戦略を目指す、というのが「タレントパレット」導入の根底にある考えです。
経営視点では経営戦略に合わせた人財ポートフォリオを確立し、業界内での優位性を高めること。社員視点では、目指すキャリアを実現できて、自分が望む場所で経験を高められる仕組みを整えること。そうすることで社員のモチベーションが上がり、パフォーマンス向上に繋げられると考えました。
基幹データベースとのデータ連携がしやすく柔軟性が高いこと、そして、高機能の分析が可能だったことが導入の決め手となりました。ラーニングコンテンツなどのアプリケーションとの連動性などもタレントパレットを選んだ重要なポイントでした。
平均年齢や勤続年数、各部署の人数、管理職の状況、適性検査の結果や分布状況などを「見える化」しています。基幹システムと月2回連携をし、中途入社した社員の情報などもリアルタイムに反映できるようにしています。
スキルマップ導入と合わせて各種データの整理を進め、社員自身が自分の情報を見やすく閲覧できるようになりました。2025年度からは個人ダッシュボードの中に「人財カルテ」を作成し、各社員の経歴や所属履歴、キャリア開発の申告内容、資格情報、研修の履歴、適性検査の結果、評価の履歴などを俯瞰して見られるようにしています。
個人ダッシュボードでは「能力開発シート」を活用し、タレントパレットに登録した情報を「Will Can Must」のフレームワークに基づいて表示させています。「経験業務」や「スキル」はCan、「今期目標(MBO)」はMust、キャリアディベロップメントで申告する「目指したい姿」はWillです。「Will Can Must」の重なりが濃くなるほど、よりパフォーマンスを発揮できると考えています。この能力開発シートは、上司が部下の能力開発を考える際などの参考情報として活用しています。
今年度からスキルチェックも「タレントパレット」で管理しています。この情報をもとに、上司と部下が「どのスキルを開発していくか?」「いつまでに何をするか?」「上司はどうフォローするか?」などを話し合うツールとして活用しています。
システムの構築は人事部と情報システム部門のメンバーが共同で設定を進めていきました。スキルマップの導入に際しては、作りながら考えながら各種設定を調整する必要があったため、タレントパレットの構築支援サービスである「TPスタッフ派遣サービス」の方にもチームに加わっていただき、一緒に考えながら構築を進めました。スケジュールはかなりタイトでしたが、システム部門ともシームレスに連携でき、非常にスピーディーに実装することができました。
関連情報
「TPスタッフ派遣サービス」は、Excelやマクロに精通したITスキルを持つスタッフがタレントパレットの導入設定からデータ集計・分析、運用メンテナンスまで、タレントパレット内外の幅広い人事業務を常駐でサポートします。
https://www.pa-consul.co.jp/talentpalette/information/221221_tptemporaryworker/
2024年度は全社員がスキルチェックを行ったので、2025年度はまずは個々の社員の能力開発に活用していく予定です。例えば、能力開発シートを基にした人財開発会議もその一つです。人事部では能力開発シートを参照して対象となるメンバーを選定し、チーム長以上の方々が、縦のラインだけではなく、斜めの関係性も見ながらメンバーの育成計画について議論しています。各スキルには等級に合わせて目標値も定めているので、スキルチェック結果を参考にそのギャップを埋める取り組みも進めていく予定です。
将来的には、スキルデータを使って人財ポートフォリオを構築し、全員戦力化を実現していきたいと考えています。すでにトライアルを開始しており、分野ごとに必要なスキルは何なのか?必要なスキルを持った人財が足りているのか?足りないスキルや人員があれば、どのようにして育成・配置をするか?といったことを組織長と対話しながらブラッシュアップを重ねています。
まさにその通りです。「私、あの部署に行きたいんですけど、なんで異動 できないんですか?」といった声をよく耳にしますが、スキルマップなどを活用することで、「部署が必要とするスキルはこれ」「あなたが持っているスキルはこれ」といったことが明確化できますので、その結果、人員配置などのアンマッチやフラストレーションも解消できるのではないかと考えています。また、自分の望む仕事やポジションに必要なスキルが明確になることで、社員自身が自律的・能動的に成長を目指すようになるという効果も期待できると思います。
大田様:一緒に考えて伴走していただけるか、一緒に作り上げてくれるようなパートナーさんを選ぶことが第一ではないかと思います。また、システムはどんどん進化していますので、アップデートなどの更新性も大切。その点、タレントパレットは定期的にアップデートを重ねて進化しており、こういった部分はシステムを選ぶ際に非常に重要なポイントですね。
三上様:タレントパレットを活用する上で、いろいろと課題に直面することもあります。そういった課題に対して、ノウハウをご提供いただいたり、人を派遣していただいたり、様々な側面から解決のサポートを得られたことは非常にありがたいことでした。一緒に汗をかいてくれるパートナーとして、ぜひこれからもご支援をお願いしたいと思っています。
人事の「今」と経営の「未来」を変える、
タレントマネジメントシステムです。