タレントパレット×コンサルティングでサーベイの質が飛躍的に向上 東北電力が描く人財データ戦略
課題:人財ポートフォリオの構築、エンゲージメント向上、キャリア自律の推進
課題:人財ポートフォリオの構築、エンゲージメント向上、キャリア自律の推進
| 業種 | エネルギー |
|---|---|
| 従業員数 | 11,134名(東北電力/東北電力ネットワーク2社合計、2025年3月末時点) |
事業環境が大きく変化する中、東北・新潟地域の電力供給を担う東北電力株式会社は、再生可能エネルギーの導入や新たな事業領域の創出に積極的に取り組んでいます。
異なる専門性が求められる事業部門を数多く擁し、1万人以上の社員が在籍する社会インフラ企業において、いかにして「経験と勘」に頼る人事からデータに基づく「科学的人事」への転換を果たしたのか。人財ポートフォリオの構築やエンゲージメント向上に向けたタレントマネジメントの取り組みについて人財部の皆さまにお話を伺いました。
私たちは2020年に策定した中長期ビジョン「よりそうnext」で掲げたありたい姿「東北発の新たな時代のスマート社会の実現に貢献し、社会の持続的発展とともに成長する企業グループ」を目指しています。創業以来、東北・新潟地域との共栄という理念のもと、電力の安定供給を柱としてきましたが、東日本大震災や人口減少、電力自由化など、事業を取り巻く環境は大きく変化しました。こうした背景から、再生可能エネルギーの導入や火力発電所の脱炭素化といったカーボン・ニュートラルに向けた取組み、電力事業にとどまらない新たな事業領域の開拓にも力を入れています。
「電力の安定供給」と「新たな取り組み」を両輪として未来を描くには、高度なスキルや経験を持ち、変化にも対応できる人財が欠かせません。中長期ビジョンと連動した人財戦略を立てる上では、まずは現状を正しく把握し、将来像とのギャップを認識することが必要です。また、限られた人員で、ギャップを埋めるための人財を計画的に育成、確保するには、経験と勘に頼りがちだった人事にデータという客観的な指標を取り入れ、人財戦略そのものを高度化する必要がありました。こうした問題意識のもと、人財マネジメントシステムの基盤となるデータを整備できるシステムを比較・検討し、タレントパレットの導入を決めました。
膨大なスキルデータを可視化できるだけでなく、データに基づいた分析まで実施できる点です。検討段階では、可視化したデータをどのようなアクションにつなげられるのか、具体的なイメージを十分に描けていませんでした。東北電力・東北電力ネットワークの両社だけで1万人以上の従業員が在籍しています。事業部門や拠点の数も多く、部門ごとに求められるスキルや一人ひとりの経験も多種多様です。たとえデータとして整理できたとしても、詳細な分析は難しいのではないかと思っていました。
それだけに、導入後にデータを分析し、可視化した際の驚きは大きかったですね。多様な人財要件は、約200項目に整理され、人財部が目指していた「定量データを基に将来とのギャップを分析し、戦略につなげる」という形がようやく実現しました。
従業員一人ひとりのスキルや経験が定量データとして可視化されたことで、どのタイプの人財が各部門にどれくらい在籍しているのか、中長期ビジョンと連動した人財戦略における「将来ありたい姿」とどのようなギャップがあるのか、具体的に分析できるようになりました。異動候補者のリストアップや採用計画の策定においても、データという根拠をもとに「当たり」をつけやすくなったと感じています。求める人財像が明確化されたことで、キャリア採用の手応えも感じています。
一方、実際の人事を行う際には各現場で求める人財像や本人の適性といった、定量データだけではわからない要素も少なくありません。人財ポートフォリオでの分析結果に、人事としての経験値や、部門ごとの考え方を組み合わせることも重要だと思います。
まずは自社の仕事・必要な能力をきちんと整理することから始めました。将来ありたい姿から考えるのも大切ですが、そもそも今、社内のどの部門にどんな人がいて、どのような役割を担っているのかを全て洗い出すことが必要です。実際に整理し始めると,事業領域ごとに職種や役割が大きく異なり,情報量があまりに膨大なため、当初は何から手を付けていいかわからず途方に暮れましたが、最初は大まかな所から素案を作成し、部門とのディスカッションを重ねながら,ブラッシュアップしていく方法を採りました。
前述の作業を繰り返し、当初2025年のありたい姿としての人財ポートフォリオを作成しました。現在は2030年のありたい姿を見据え、現状と将来の差を比較することで、ギャップの有無を把握し、重点的に育成・採用すべき人財のタイプや人数を細かな粒度で検討することが可能です。
人財戦略を実行性あるものとするため、2023年からエンゲージメント・サーベイを始めました。当社が重視しているエンゲージメントの要素は、「働きがい」「働きやすさ」「能力伸長」の3つです。
人的資本を強化し、将来ありたい姿に近づくためには、社員一人ひとりの声を施策に反映し、満足度を高めることが欠かせません。
上記3つの要素をモニタリングし、東北電力で働く社員として最大限のパフォーマンスを発揮してもらいたいという思いから、定期的な調査・分析を行うことにしました。
集計・分析結果は、グラフなどで見やすく整理され、ダッシュボードを通じて各事業部にも公開しています。人財部にとって全社的な戦略立案の材料となるだけではなく、事業部ごとにエンゲージメント向上策を検討するきっかけにもなりました。
一方、当初は質問項目の作成から集計・分析を全て社内で実施していたため、相対的にエンゲージメントの低い部門があっても原因を深掘りしきれない、効果的な打ち手の検討・立案に多くの時間を割けないなどの課題が生じました。そこで、タレントパレットのコンサルティングを導入し、サーベイの精度向上や、役員報告のサポートを受けることにしました。
質問・回答形式を見直したことで、新たな気付きを得ることができました。
従来は集計のしやすさを優先し、選択式の設問が多かったのですが、コンサルティングの提案を受け、過去サーベイよりも自由記述を多く取り入れたことで、社員の意見や思いをより深く理解することが可能となりました。
大量の自由記述データを分析するため、テキストマイニングを活用しました。頻出ワード、その文脈、項目・年代・職種ごとの相関関係などが可視化され、社員が何に満足し、どこに課題を感じているのかを具体的に把握できるようになりました。コンサルタントの方には、原因の相関分析や施策の立案、役員向けの報告までサポートしていただき、サーベイの効果を最大化できたと考えています。社内からの評価も高く、今後は全体分析に留まらず,更に各部門の分析を行うことで,人財部だけが考えればよいということではなく,各部門が自律的に評価し施策が展開できるよう対象を広げていく予定です。
サーベイの結果から、キャリアビジョンやコミュニケーションに対する若手とベテランの世代間ギャップがあることがわかりました。特に、若手社員はキャリアに対する意識は高い一方で、キャリアを探索したり、気軽に相談できたりする仕組みが整っていないため、将来像を明確に描きづらいという課題が浮き彫りになりました。そこで、社員が自律的にキャリアビジョンを描ける仕組みづくりや、日常的なコミュニケーションの活性化に取り組むことにしました。
施策の一つとして、社員同士が他の社員のキャリアや思いを知れるイベントを企画しています。自身のキャリアについて自己開示をしてもらい、若手のロールモデルになりそうな社員に、ウェビナーやポッドキャストといった形式で自身の経験を語ってもらいます。これを社内公募の前に開催することで、応募率の増加だけでなく,配属後のミスマッチの減少にも繋がると考えています。
これまで個人のキャリア情報は見えづらく、若手社員にとって、「自分がどんな経験をしてキャリアを積んでいけばいいのか」、わかりにくい状態でした。
タレントパレットを活用してロールモデルを見つけやすい環境を整え、自らキャリアを考える文化を作りたいと考えています。
社内コミュニケーション活性化の取り組みとして、効果を期待しているのが、タレントパレットの「サンクスポイント」機能です。
一部の部門で試験導入したところ、例えば、休日の急な現場対応にあたった若手に対して,上司が「休日にもかかわらずありがとう」とメッセージを送っている場面がありました。仕事の都合や在宅勤務などの理由により,直接会って伝えることができなくても,感謝の気持ちを伝えられるだけでなく,感謝が可視化され、蓄積されることで、お互いにとって良い影響が生まれていくと思います。
ある発電所の社員からは、「サンクスポイントのおかげで職場の雰囲気が明るくなりました。ありがとうございます」というメッセージとともに人財部にサンクスポイントが届きました。バックオフィスの業務で直接感謝が寄せられる機会はほとんどないため、私たち自身のエンゲージメントも高まったと実感しました。また、特別なことをした時だけでなく、「今日もお疲れさまでした」といった日常的な言葉を気軽に送り合える文化が生まれればと考えています。
タレントパレットは単なる人事システムにとどまらず組織づくりの重要なインフラであり、私たちの人財戦略を通じてともに将来を作っていく「未来志向のパートナー」と呼べる存在です。
人財ポートフォリオを通じて、社員一人ひとりが持つ可能性を見える化できたことで、数多くの気付きや発見がありました。また、ユーザー同士の交流機会も活発で、他業種の方との情報交換は良い刺激になっています。今後は、社員一人ひとりが自分の将来のキャリアを描ける環境づくりを進めていきますが、こうした新しいチャレンジにもタレントパレットの存在が欠かせません。人事に課題を感じている皆さまにとっても、きっと大きな力になるはずです。
人事の「今」と経営の「未来」を変える、
タレントマネジメントシステムです。