創業320年 建築業界の老舗が挑む「人事DX」と「スキルの見える化」とは
課題:人材の見える化、人材育成、研修管理
課題:人材の見える化、人材育成、研修管理
業種 建設業
従業員数 902名(2025年3月31日現在)
今から320年前の江戸時代初期に宮大工として創業。建築、土木工事を数多く手掛けており、
東京の吾妻橋や勝どき橋を手掛けるなど「橋の錢高組」とも呼ばれた株式会社錢高組。
同社では長らく人事制度を変えてこなかったことから、待遇や福利厚生の改善が必要になり、制度改革に着手。制度変更を推進しています。
人事情報は管理されていたものの、人材マネジメントの観点から必要な情報の収集やその可視化ができていなかったため、人材データの可視化を目的としてタレントパレットを導入。人材活用の活性化が進みつつあります。
江戸時代初期の1705年、宮大工であった錢高林右衛門が棟梁として建立に携わった本願寺尾崎別院の落慶を創業の起源とし、それ以来320年間にわたり、さまざまな建築・土木工事に携わってきました。その長い歴史の中で多くの施工実績とともに、野村胡堂氏の名作「銭形平次捕物控」は、当社の社名と社章をヒントに誕生したという逸話も残っています。
大型商業施設や物流施設などの建築工事と、上水道や地下鉄、さまざまなインフラ整備を行う土木工事を数多く手掛けています。最近では、愛知県初のアウトレットモールの設計・施工を受注し、インフラから施設の建設まで、建築・土木一丸となって工事を進めています。
社員は約1,000人で、内勤の設計や事務方以外の多くの社員は現場で働いています。
私たちは、主に給与や社内制度を担当する人事部・人事二課に所属しています。
給与に関連する評価制度も重要なため、タレントパレットの運用も人事二課で担当しています。最近では、社員が働きやすい環境をつくるため、社内制度の改革に力を入れています。
当社では長年社内制度を変えてこなかったため、時代に合わせた改革が必要となりました。社内からは「この制度、機能していないのでは」という声も上がっていました。
また、人材不足の影響もあり、人材確保のためにも給与面や手当、福利厚生を充実させる必要がありました。
そこで、2、3年前から制度改革を開始し、古い制度を一気に是正していくこととなりました。社員が働きやすい環境をつくるため、待遇面や手当の見直し、福利厚生の充実、健康経営優良法人の取得などを推進しています。
2024年10月には新等級制度がスタートし、2025年4月からは給与体系が新しくなります。大きな改革はこれで一段落ですが、残りの制度も数年かけて更新していく予定です。
制度改革と同時期に、給与システムの入れ替えがありました。
旧システムは、データの蓄積はできるものの、人材データの可視化や他のシステムとの連携は難しかったため、人材データをタレントマネジメントシステムに集約しようと考えました。
また、評価システムも刷新したいと考えまして、従来の内製の評価システムでは限界があり、今後も利用するためには大掛かりな改修が必要でした。システム自体が古く柔軟性が低かったため、些細な変更でもシステム部門に依頼する必要がありました。そこで、柔軟な人事評価を実現でき人材活用を促進できるタレントマネジメントシステムを導入の検討を開始しました。
当初は、人材データをビジュアル化して可視化することを重視していました。
例えば、管理職への昇格時に、評価結果を一覧にして見やすくすることで、意思決定がしやすくなることを期待しました。
選定は6社から始まり、最終的にタレントパレットを含む3社に絞り込みました。
使いやすさを重視し、タレントマネジメント機能を比較検討していく中で、タレントパレットのカスタマイズ性の高さやテキストマイニング機能に魅力を感じました。
特にテキストマイニングは、研修後のアンケート分析に活用できると考えました。
これらのポイントと、コストのバランスから、タレントパレットを選定しました。
元々評価システムの置き換えを主眼としていたため、人事評価機能をよく使っています。新入社員のレポートから、管理職研修の最終課題まで、全社員利用しています。
例えば、新入社員は毎月レポートを提出させるのですが、管理画面で提出状況がひと目で確認でき、未提出者への催促メールも簡単に送信できるため、業務の効率化が実現しました。
タレントパレットを評価目的で最初に活用したのは、目標管理でした。目標管理は元々内製のシステムで行っていましたが、タレントパレットの導入により非常に楽になりました。
また、社員が目標設定をしっかり行うようになり、目標値を入れると達成度が計算されるため、社員も意識するようになり、目標管理の精度も上がっています。
2024年からは、建築・土木の技術系社員に対してスキル評価を開始しました。
施工監理技術者の講習の実施可否や、工事経験の履歴、そして研修参加状況などを個人カルテとして記録しています。スキルや経験、取得資格などが可視化されたことで、次世代の作業所長候補の選定や、若手のキャリア育成プランの策定などに活用できるようになりました。
大きな変化としては、30代の作業所長が増え、活躍していることが挙げられます。
これまでは、各現場の作業所長自身の経験に基づき、弟子のような社員を選んで、経験を積ませていましたが、個人カルテとして情報を可視化したことにより、作業所長に必要な経験やスキルを客観的に評価できるようになりました。その結果、多くの資格を保有する社員の存在が可視化され、若手の作業所長が増えたと考えています。
タレントパレットを使い始める前に、システムを一切使用せずに管理職を対象とした360度評価の準備を進めていましたが、負担が非常に大きく、推進できませんでした。
タレントパレットでは360度評価の機能が基本機能として提供されており、非常にスムーズに社員に展開することができました。日頃使い慣れたタレントパレットに記入して送るので、使い方は理解できていますし、権限設定で上司の目に触れないことによる安心感があるのかもしれません。
本人へのフィードバックはもちろん、人事も評価結果を考慮するようになりました。
これまで噂レベルでしか把握できなかった情報も、360度評価によって確実なデータとして収集できるようになりました。
安全に特化した研修や、原価計算に関する研修など、技術系の研修が多くあります。
また、次世代の作業所長候補者や、若手、中堅向けの階層別の研修も実施しています。
タレントパレットを研修に使っていて最近、活用が目立つのはeラーニングです。
メニューに追加してから非常に盛んに活用されています。
元々内製のシステムがあったのですが、配信するためにはシステム部門に依頼する必要があり、2週間ほど時間がかかっていました。それがタレントパレットでは簡単に設定できるようになりました。
2ヶ月に1~2件です。社内のさまざまな部門からリクエストがあり、例えば、総務部門はコンプライアンスや法務関係、システム部門はセキュリティに関するものなどです。
また、健康経営優良法人認定を取得するに当たっての知識も必要で、メンタルヘルスや女性特有の病気、喫煙や育休に関する内容を配信しています。
様々な部署から引き合いがあるため、各部署で対応できるように掲載方法を教えています。権限を付与して、FAQのサイトのリンクを伝える程度で、何の問い合わせもなく1週間程度でコンテンツが上がっています。予備知識がなくても活用できるのはタレントパレットの使いやすさの証だと思います。
アンケート機能は非常に便利だと感じています。人事部に限らず、研修後のアンケート収集と集計が格段に楽になっています。以前はメールや、イントラネット、クラウドサービスのフォームを使用していましたが、タレントパレットのアンケート機能を使うようになってからは、アンケートの回収はもちろん、結果がリアルタイムでわかることが、非常に効率的だと感じています。
人事部では、採用パンフレットを改定する際に、若手社員の意見を取り入れるためにアンケート機能を使用して、その便利さを実感しました。以前はメールでExcelファイルを配布し、回収、集計するというプロセスが必要でしたが、タレントパレットなら瞬時に結果がわかりますし、未回答の社員もすぐわかり、リマインドも簡単にできるため、パンフレット作りに大きく寄与しました。
新入社員レポートに対して、初めてテキストマイニングを活用しました。
結果を見て、これまで肌感覚で感じていた新入社員の課題が明確になり、新入社員に対するアプローチを変えるきっかけになりました。
最近では、技術系の講演会などで集めたアンケート結果にも活用しています。
これまで集計だけで苦労していたのが楽になったので、回答内容を把握して講演会や研修のブラッシュアップに役立てられるようになったのは大きな成果だと思います。
総じて、業務負荷が減ったことから、制度改革に割く時間を多く取ることができるようになったのが最大のメリットだと感じています。おそらく、タレントパレットを導入していなかったら、このスケジュールで制度改革を進めることはできなかったと考えています。
タレントパレットの導入により、作業所長の若返りなどが見られます。
また、内製のシステムが数多くありましたが、タレントパレットの導入を皮切りに、ワークフローやデータベース、会計システムなどのパッケージやクラウドのシステムが抵抗なく導入されるようになり社内のDX化が推進され、会社全体が変革していく可能性を感じています。
現在、タレントパレットは社内の情報インフラの一つとして、かなり重要な位置を占めています。例えば「>こういう事をやりたいのだけど、タレントパレットでできないの?」と言われることもあります。
伝統がある会社で保守的な部分もありますが、タレントパレットの導入により、新しいシステムに対する抵抗感はなくなったと思います。さらに、新しいものが得意な若手が上の人達のサポートを積極的にしてくれる点でも変革を感じます。
FAQをよく活用していて、ほぼ9割の課題はFAQで解決できます。他部門から使い方を聞かれてもFAQを教えるだけでほぼ解決できているので、FAQの質が高いと感じています。
FAQで解決できない場合はチャットを利用しますが、レスポンスが速く満足しています。他のクラウドサービスと比較すると、サポートのチャネルが豊富で、サポートの質が格段に良いです。
まだ活用できていない古い人事データが大量に残っており、それらをタレントパレットに入力し、タレントパレットの豊富な機能を活かして、さらに使い方を進化させていきたいと考えています。
また、具体的な施策としては、アンケート機能をつかったアセスメントを実施し、より働きやすい環境をつくるために、社員の意見を引き出して、それを踏まえた人事制度の改革を引き続き取り組んでいきたいと考えています。
人事の「今」と経営の「未来」を変える、
タレントマネジメントシステムです。