「1年目の離職率が6〜7pt改善」松屋フーズがタレントパレットで挑む、採用から教育までをシームレスに連携させるデータ活用術

課題:採用強化、社員定着、人材育成、エンゲージメント向上

株式会社松屋フーズホールディングス
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    業種 サービス・店舗

    従業員数 2,180名(2025年3月期・連結)

外食産業にとって人手不足は極めて深刻な課題となっています。牛めし定食事業をはじめ、とんかつ、鮨、ラーメンなど12業態を中心に事業を展開する松屋フーズグループでは、人員確保の課題に対して中途採用から入社後の教育研修までをシームレスに繋ぐ体制を整備。タレントパレットをプラットフォームとして多様な人材データを蓄積し、多角的に分析することで、積極的な出店に必要な「人員確保」、持続的な事業成長に向けた「次世代教育」、一人ひとりの活躍へとつながる「適材適所」を推進しています。

目次:

積極的な出店に伴い人員確保が急務の課題に

― 事業戦略における人事の位置づけやミッションについてお聞かせください。

これまでの一般的な人事は守りの側面が強く、「組織を維持する」「既存の枠に収める」といった役割が中心だったと思います。しかし弊社では、人事を経営の一部と捉え、事業環境の変化に応じて、その都度、戦略を見直しながら人事の仕組みづくりや運用を進めています。

外食業界全般に言えることですが、今は人員の確保が非常に難しい状況であり、弊社としても、いかに人材を集め、いかに長く働いてもらうかが喫緊のミッションとなっています。また、さらなる事業成長を実現するには、「人員確保」に加えて、次世代を担う「人材の育成」や社員一人ひとりに活躍できる場所を提供する「適材適所」も必要不可欠であり、これらのミッションを人事戦略の三本柱として位置づけています。

積極的な出店に伴い人員確保が急務の課題に

多角的な人材データ分析を目指してタレントパレットを導入

― 「タレントパレット」を導入した経緯や背景について教えてください。

「人員確保」「次世代育成」「適材適所」という三本柱を進めるにあたって、かつて使用していた人材マネジメントシステムでは機能的に弱かったことからシステム切り替えを検討しました。一人ひとりの社員の人材データを登録・閲覧するだけでなく、様々な角度から分析・検討したかったのですが、前のシステムでは実現が難しかったのです。

例えば、適材適所の配置を考える際に、本人の「やりたいこと」と「できること」が一致していればベストですが、実際にはそれらが乖離しているケースが少なくありません。そのような場合でも、既に活躍している人の業務履歴や適性検査の結果などを参照し、同じような傾向がある人であれば「本人は希望していないけれど、この人だったらきっと活躍できるだろう」という予測が立ちます。適材適所の配置を考える上で、潜在的な可能性を見出すことは非常に重要な部分であり、タレントパレットなら、ヒアリングだけでは見えてこない「できる」をシステム的に可視化できるということで導入を決めさせていただきました。

多角的な人材データ分析を目指してタレントパレットを導入

採用面接予約のリードタイムと工数を大幅に短縮

― 三本柱の人事施策に関してタレントパレットをどのように活用されているのでしょうか?

まず「人員確保」についてですが、直近で年間100店舗ほどの新規出店を計画しているので、その出店数分の人員が必要になります。また、離職した人の補填も必要になります。そういった状況に対応するため、即戦力となる人材の確保を目的に中途採用を積極的に進めています。
中途人材の募集は人材紹介会社からの推薦を中心に行っており、お付き合いのある人材紹介会社は8社ほど。2024年度は年間約200名を採用しており、面接の数だけでも相当なボリュームになります。以前はそれぞれの人材紹介会社にメールで面接予約の連絡をしていたのですが、現在は、タレントパレット上のスケジューラーに各人材会社さんから予約を直接入れてもらう仕組みに変更しました。

採用面接予約のリードタイムと工数を大幅に短縮

― 毎月、何人くらいの面接予約があるのでしょうか?

現在は毎月70~80名ほどが面接に参加されます。メール連絡だったら、これだけの人数に対応するのは難しかったと思います。あくまで体感ですが、業務負荷は半分ほどに減り、対応できる人数は2~3割くらい増えたかと思います。
タレントパレットの導入によって、リードタイムの短縮という面でも効果が出ています。書類選考を通過した方への連絡が迅速になったことで、面接の参加率が伸びています。転職希望者は早く次の職場を決めたいという気持ちが強いので、面接までの期間が長いとその間に他社へ行ってしまうこともあります。しかし、タレントパレットの導入でリードタイムが大幅に短縮され、途中キャンセルの数がほとんどなくなりました。

業務負荷の削減で毎月70~80名の面接対応が可能に

採用から教育・研修までをシームレスに連携

― 人員確保というミッションに関しては「採用」だけでなく「継続的に働いてもらう」ことも重要かと思います。その点に関してはいかがでしょうか?

人材の定着は非常に重要な課題で、弊社では入社後のフォローにも注力しています。以前は採用と教育研修の部署が別だったのですが、現在は一つの部署に統合し、採用から教育研修までをシームレスに繋ぐ体制になっています。
入社面接や適性検査の内容、初期研修の状況や研修後の面談に対する所感などをタレントパレットに登録し、それをベースに人事部と現場のマネージャーがコミュニケーションをとり合うといったかたちで定着率向上に取り組んでいます。

採用から教育・研修までをシームレスに連携

蓄積されたデータを一人ひとりの成長と適材適所に活用

― 「次世代育成」や「適材適所」に関しては、どのようにタレントパレットを活用されていますか?

入社時の適性検査や毎年のTPI検査(タレントパレットに搭載されている適性検査)、配属希望などを記入した自己申告シート、入社時および入社後の各種面談の記録、キャリア履歴などをタレントパレットに蓄積し、人事や現場の上長が定期的にそれらのデータをウォッチしながら、本人の成長や配置転換に繋げていくという使い方をしています。
例えば、本人から「こういう仕事をしたい」という希望があれば、各種データを参照して「だったら、今の業務の中でこういうスキルを磨いてみるといいよ」といったアドバイスをする。そうやって本人の成長を促しながら、希望部署に欠員が出たらエントリーしてもらうという流れで適材適所を進めています。

配置転換に関しては、まず本人が手を挙げて、それに応じて異動を検討することになります。新たな人材が必要になった部署から人事に相談が来たら、自己申告シートなどのデータから希望者を抽出し、その中から求める要件を満たした人を選び出すというのが基本的なフローで、候補者選びに関する一連の作業はすべてタレントパレットで行っています。

蓄積されたデータを一人ひとりの成長と適材適所に活用

― タレントパレットは配置転換のミスマッチ防止にも役立っていますか?

本人の希望に沿って配置転換するので、多くの人が「願いが叶った」という気持ちで仕事に取り組めているかと思います。しかし、どうしても一定数のミスマッチは生じてしまいます。ミスマッチ防止は非常に難しい課題で、ここを改善していくには経験の蓄積が必要であり、タレントパレットを活用しながら、成功事例はもちろん失敗事例も参考にすることでマッチ精度向上の道を探っていきたいと考えています。タレントパレットにはマッチ度の高い人をAIが推薦してくれる機能(社内スカウトもあるので、今後ぜひ活用を検討してみたいと思っています。

タレントパレットにはマッチ度の高い人をAIが推薦してくれる機能

タレントパレット導入後、離職率が着実に改善

― タレントパレットをベースにした採用と教育研修のシームレス化は、離職率の改善にもつながっていますか?

採用に関しては、業務負荷やリードタイムが削減されたことで、選考に費やす時間が増え、面接に集中できるようになったことが非常に大きな変化だと感じています。
より多くの候補者と会えるようになっただけではなく、選考の精度も向上しました。
こうした変化は数値にも表れ始めており、現在では1年目の離職率が前年比で6~7ポイント改善しています。

入社後のケアに関しても、情報収集の効率化により、定期面談などでより本質的な対話ができるようになったと感じています。
タレントパレットに蓄積された情報を活用することで、限られた時間の中でも一人ひとりが求める答えにたどり着きやすくなりました。
また、上長が変わった場合にも、過去の面談内容を引き継げるため、現場での上司と部下の関係づくりにも繋がっています。
数値的な成果については、まだ注視が必要ですが、2年目以降の離職率は業界平均より低い水準で推移しており、さらなる改善が期待できます。

タレントパレット導入後、離職率が着実に改善

― 退職された方のデータも採用や教育研修に活用していると伺っています。

早期退職者の傾向を採用活動にフィードバックするかたちで活用しています。例えば、前職での経験や適性検査のデータなどを参考にしながら、定着しやすい人物像を見極めるといった使い方です。「飲食業の経験者は定着率が高い」というデータを人選の参考にするといったことはもちろん、未経験者であっても適性面で弊社にマッチしていれば「きっと長く働いてもらえるだろう」という判断につながります。タレントパレットは、未経験者の中から有望な人材を発掘することにも役立っています。

ダイバーシティ推進やさらなる社員エンゲージメント向上を目指す

― タレントパレットのさらなる活用について、どのような構想をお持ちですか?

今後は、外国人やシニア層の採用機会も増えると思いますので、そういった方の採用やエンゲージメント強化にもタレントパレットを活用していきたいと考えています。
また、社員情報を格納・閲覧するだけでなく、さらに有効な活用方法を模索しており、直近ではサンクスポイント制度の導入を2026年4月から開始する予定です。

― サンクスポイント制度の導入によって、どのような効果を期待されているのでしょうか?

これまで弊社では、社員同士で褒め合う文化があまり浸透しておらず、評価の際も「できてない点」や「改善点」に指摘が偏りがちでした。
こうした状況を踏まえ、良い行動をしっかり評価することで、エンゲージメント向上につながると考え、サンクスポイント制度の導入を計画しました。
例えば、店舗で、お身体の不自由なお客様に寄り添って対応している姿を見た際に、サンクスポイントを送るといった使い方です。良い行動がポイントとして可視化され、さらにタレントパレットならコメントを添えることもできます。
この施策により、本人のモチベーション向上はもちろん、管理職の目線も変わると期待しています。良くない点は目につきやすい一方で、良い点は意識しなければ見逃しがちです。サンクスポイント制度を通じて、良い行動を見逃さない文化が育まれることを期待しています。

ダイバーシティ推進やさらなる社員エンゲージメント向上を目指す

タレントパレットの対応力と提案力に期待

― 今後、タレントパレットに期待することは?

事業環境は常に変化し続けています。それに合わせて、人事戦略や私たちのやりたいことも変わってきます。タレントパレットには、変化し続ける要望に常に応えてくれるプラットフォームであり続けてほしいですね。従来とは異なる視点や施策にも柔軟に対応できることはもちろん、私たちの意図に応じてシステム側から「こういう人もマッチするのでは?」「こういうデータを組み合わせて分析してみては?」といった提案がもらえる機能をより一層進化させていただけたら非常にありがたいです。

タレントパレットの対応力と提案力に期待