行動計画とは?従業員に目標を達成させるタスクメリットや、作成方法を解説


行動計画とは?従業員に目標を達成させるタスクメリットや、作成方法を解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

企業は経営理念や経営計画で定めた目標を達成するための方策として、行動計画(アクションプラン)を定めることがあります。行動計画の作成の一義的な目的は、目標達成の確率を高めることです。

しかし、行動計画には目標を達成しやすくすること以外にも、さまざまなメリットがあります。ここでは、行動計画作成のメリットと作成のポイントについて、知っておきたいフレームワークとともに解説します。

組織における目標と行動計画の関係性

行動計画は、目標達成に欠かせないものです。行動計画を考えるにあたって、そもそも「組織における目標とは何か」を理解しておく必要があります。ここでは、組織における目標の定義と行動計画との関係性について解説します。

組織における目標とは

組織の最大の目標は「経営理念」の実現です。

経営理念は企業理念や経営哲学とも呼ばれ、企業がどうありたいかというビジョンを定めたものです。具体的な業績に関する目標ではなく、企業がどのような価値観を持って事業に取り組み、社会に対してどのような価値を創造していくか、といった理念を示します。

経営理念の例としては、「自社製品の販売を通じて、人々の暮らしに豊かさを提供する」などが挙げられます。

このように、経営理念は具体的な業績目標ではなく、企業のビジョンやパーパスを示すものである点がポイントです。

この経営理念を達成するために、長期的な時間軸で会社全体として進む方向性や選ぶべき戦略の大枠を示すものが経営計画です。

事業計画は、経営計画の達成に向けて具体的にどのような行動を起こすかを示す、行動計画の一種です。

行動計画には、会社や部署が何をしてどんな目標を達成するかを示す事業計画と、事業計画を課や担当者ごとに細分化して計画を立てる、狭義の行動計画があります。

行動計画は目標達成への道しるべ

行動計画のもととなる経営計画は、計画を立てる期間によって長期経営計画・中期経営計画・短期経営計画に分けられます。

長期経営計画は、5〜10年先に達成したい目標とその道筋を示します。10年先となると、ビジネスを取り巻く環境は大きく変わっているでしょう。

特に近年のように変化が大きい時代においては、10年先のことを予想するのは困難です。よって、達成したいビジョンや注力分野など、おおまかな方針を定めます。

中期経営計画は3〜5年かけて達成する目標と、それに向けての計画を定めたものです。年単位で行われるプロジェクトの計画など、具体的な数値目標とともに設定する計画を指します。

ここでは、経営理念を十分に反映させつつも、従業員が実際の事業計画・行動計画に落とし込みやすいように、ある程度の具体性も求められます。

最も短いスパンで計画される短期経営計画は、1年ごとの具体的な行動計画に落とし込んだものです。ヒト・モノ・カネの経営資源をどのように活用していくのか、数値目標や具体的な行動、プロジェクト単位の計画を立てます。

このように、経営計画は対象期間が短くなるほど具体性が増します。特に、短期計画は具体的なアクションプランと達成すべき数値目標まで落とし込んでいるため、行動計画としても十分活用できます。

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行動計画を設定するメリット


行動計画を設定する第一の目的は、目標を達成しやすくすることです。しかし、行動計画のメリットは目標達成だけではありません。ここでは、行動計画を設定するメリットについて解説します。

やるべきことが明確になり、行動しやすくなる

行動計画が設定されていると、具体的なアクションが明確になり、動きやすくなります。また、それが従業員のモチベーション向上につながるというメリットもあります。

目標があっても、具体的に何をすればよいのかわからないと、始めに何をするか考えるという非効率な時間が発生します。場当たり的に行動した結果、遠回りな行動を取ってしまうリスクもあります。

また、何をしたらよいのか、今の自分の行動が目標達成に効果的なのか、自信を持てないまま仕事を進める状態は、ストレスの原因になります。目標達成に向けて着実に行動を重ねることが、モチベーションの向上にも寄与するのです。

これらの行動を個人の判断・計画立案に委ねるのではなく、組織全体として行動計画を立てた上で各個人の行動計画に落とし込みましょう。

その行動計画に沿って自身の役割を果たすことで、組織全体で目標に向かって進んでいくことができ、組織の一体感も生まれます。

目標達成に向けた進捗管理ができる

目標を確実に達成するためには、期限までに何度も現在の達成状況を確認し、適切に軌道修正をしながら進めることが大切です。行動計画なしに進めると、計画に対する進捗を管理しにくくなります。

従業員は「いつまでに何を達成しておかなければならないか」を認識しておくことで、計画的に行動できます。

さらに、管理者にとっても業務が計画どおりに進んでいるかどうかを把握しやすくなるでしょう。特に進捗が思わしくない部分があれば、人員の追加や担当者のフォローなどの対策が必要になります。

行動計画を設定すると、いつまでに何をするのかが決まります。これによって、PDCAを繰り返し、目標達成に向けて軌道修正を行いながら進められることが、従業員と管理者双方のメリットといえるでしょう。

行動計画を設定する際のポイント


ここまで、行動計画が目標達成において欠かせないことを説明しました。次に、実際に行動計画を設定する際のポイントを、目標設定や行動計画の立案に役立つフレームワークとともに紹介します。
「行動計画書き方」については、こちらの記事をご確認ください。

まずは目標を明確にする

行動計画を立てるには、まずはゴールとなる目標の設定が必要です。ここで設定した目標が明確でないと、行動計画を立てにくくなります。

目標設定をする上で意識したいのが「SMARTの原則」です。

SMARTの原則では、目標設定に欠かせないポイントとして以下の5つの要素を挙げています。

・Specific(具体的であること)
・Measurable(測定可能であること)
・Achievable(達成可能であること)
・Related(経営計画に関連していること)
・Time-bound(時間制約がある)

例えば、国内での事業を中心とする新規企業が「海外において世界トップレベルの販売額を達成する」という目標を設定したとしましょう。

しかし、これでは「トップレベル」がどの程度のレベルを示しているのかがわからず、目標達成を定量的に判断できません。また、いつまでに達成すべき目標なのかが明記されていないのも問題です。

また、国内事業を中心に展開する経営計画との方向性の違いや、新規企業としては高すぎる目標など、SMARTの原則が守られていない、悪い目標設定の例といえます。

SMARTの原則を意識して見直すと、例えば「5年以内に、国内における自社商品の販売額を30%増加させる」といった目標が考えられます。

SMARTの原則に即して設定した目標における、定量化された目標数値のことをKGI(重要目標達成指標)と呼びます。KGIは社外にも開示されることが多く、外部のステークホルダーにとっては、その企業が目指す方針を理解するための指標になります。

最終目標であるKGIを達成するための評価指標として、KPI(重要業績評価指標)があります。KPIは、KGIとして定めた最終的な目標の達成に向けたプロセスを適切に把握するための中間目標のような役割を担います。

例えば、KGIが「5年後の国内販売額30%増加」であれば、1年以内に

・新規顧客を1万人獲得
・既存顧客のリピート率を10%向上
・客単価を5%向上

などの数値目標がKPIの例として考えられます。

このように、いつまでにどのような状態を目指すのかが明確になっていることが、行動計画作成の第一歩です。

現状分析を行い、課題を明確にする

目標達成に向けて、すでにやっていることを今と同じように、または今以上に力を入れて取り組むだけで目標を達成できるとは限りません。

行動計画を設定するにあたっては、まず現状把握を丁寧に行い、目標達成のために足りないもののを検証する必要があります。課題が明確になることで、具体的に何をすべきかが見えてきます。

企業が現状分析を行うためのフレームワークに「SWOT分析」があります。SWOT分析では、自社を取り巻く現状をプラス要因・マイナス要因、外部環境・内部環境に分け、以下の4つの軸で分析します。

S:Strength(強み)
W:Weakness(弱み)
O:Opportumity(機会)
T:Threat(脅威)

Strength(強み)は自社にプラスの影響を与える内部環境、Weakness(弱み)は自社にマイナスの影響を与える内部環境です。ここでいう内部環境とは、自社の商品力や人材、ノウハウといったその企業固有のものを指します。

自社にプラスの影響を与える外部環境がOppoutunity(機会)で、マイナスの影響を与えるものがThreat(脅威)です。外部環境とは企業努力ではコントロールできない経済状況や他社の動向のことで、近年では新型コロナウイルスの影響などが挙げられます。

ここで検証した4つの要素を組み合わせることで、目標達成に向けた戦略を立案できます。

期限と責任者を定める

SMARTの原則に即した目標を設定し、目標達成に向けた戦略をSWOT分析などを行いながら立案したら、次はそれを着実に実行します。

そのためには、責任者を事前に明確にしておく必要があります。責任者は、まず社内への広報活動と各自に実践を促す呼びかけを行います。そして、実際に計画どおり行動できているか、KPIは達成できそうか、などを管理しなければなりません。

この役割を担う人がいなければ、従業員は他人任せになり、「自分の担当業務が計画どおりに進んでいれば問題ないだろう」という思考に陥りかねません。

責任者を決める際は、全体の統括責任者だけでなく、各業務の統括担当者も決めます。責任の所在が曖昧にならないために意識するべきポイントとして「5W1H」があります。

When(いつまでに)
Where(どこで:どの領域で、どの販売経路で、どの商品で など)
Who(誰が)
Why(何のために:顧客の購入単価向上のために など)
How(どのような手段で)

責任者は、行動計画の進捗管理を5W1Hのポイントを押さえて行う必要があります。進捗が思わしくない場合は、その要因を検討しながら、目標達成に向けた新たな施策を実施しなければなりません。

まとめ

ここでは、企業が重要な目標を達成するために設定する行動計画のメリットや、行動計画の設定にあたってのポイントを紹介しました。

まずは、明確な行動計画を設定しましょう。「目標達成に向けて全力で取り組む」といった曖昧な行動計画を設定すると、進捗を管理できません。

その取り組みが目標達成に効果的なものかどうかの検証が行われず、組織全体が非効率な行動を取ってしまい、それによって目標を達成できないおそれがあります。

行動計画のメリットを十分に理解した上で、時間をかけて明確な行動計画を作成することが大切です。また、行動計画に沿った行動と進捗管理も欠かせません。

タレントパレットでは、従業員の労働状況や離職兆候の把握など、あらゆる人事データを一元管理できます。行動計画をモニタリングする必要がある管理者は、ぜひ活用してください。

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