オンライン研修とeラーニングは同じものとして扱われがちですが、実はさまざまな違いがあります。本記事では、オンライン研修とeラーニングの違いや、それぞれのメリット・デメリットを解説します。eラーニングシステムを選ぶときの比較ポイントや導入効果を高めるコツも解説するため、ぜひ参考にしてください。
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オンライン研修、eラーニングの概要
まずは、オンライン研修とeラーニングとはどのようなものなのか、それぞれの概要から解説します。
オンライン研修とは
オンライン研修とは、Web会議ツールなどを用いて、オンライン上で実施される研修のことです。「Webセミナー」や「ウェビナー」とも呼ばれています。あらかじめ決められた日時に開催され、オフライン研修と同様にリアルタイムで行われます。
eラーニングとは
eラーニングとは、動画や画像などのオンライン教材を使った学習方法です。オンデマンド研修とも呼ばれています。オンライン研修のように一斉に受講するわけではなく、受講者は各々の都合のよいタイミングで、あらかじめ用意された動画を視聴します。
オンライン研修とeラーニングの違い
オンライン研修とeラーニングは、どちらもオンライン学習の一種ですが、両者の最も大きな違いは「双方向性」と「リアルタイム性」の有無です。オンライン研修はリアルタイムで実施され、疑問点を質問するなど、講師とのコミュニケーションも可能です。一方、eラーニングはあらかじめ用意された動画などを受講者が任意のタイミングで視聴し、自分のペースで学習を進めます。
アーカイブ配信型のオンライン研修もある
オンライン研修のなかには、生配信された講義やセミナーを録画し、あとから受講できるようにしているケースもあります。録画した研修は任意のタイミングで受講でき、繰り返しの学習も可能です。ただし、この場合は双方向のコミュニケーションはできないので、形式としてはeラーニングに近いといえるでしょう。
eラーニングをオンライン研修の1種として扱う場合もある
eラーニングは研修に利用されることもあるため、eラーニングをオンライン研修の1種として考える場合もあります。本記事では、eラーニングとオンライン研修を別のものとして扱います。
オンライン研修のメリット
オンライン研修を実施するメリットは、おもに以下の2つです。
学習内容の理解や定着を促しやすい
オンライン研修では受講者が講師に直接質問することも可能なので、学習内容に対する理解が深まりやすいというメリットがあります。また、オンライン研修では、講師は受講者の理解度を確認しながら研修を進めることが可能です。工夫次第では、研修内容を即座にアウトプットする機会も設けられるので、学習内容の定着を図れるでしょう。
受講者同士のコミュニケーションも可能
オンライン研修では講師と受講者だけでなく、受講者同士もリアルタイムでコミュニケーションをとれます。研修の内容について意見交換をするなど、受講者同士の交流を深めることが可能です。また、ディスカッションやグループワークなど、多様な形式での研修を実施できます。
オンライン研修のデメリット
オンライン研修にはメリットもある一方、以下のようなデメリットもあるので注意しましょう。
スケジュールを調整する必要がある
オンライン研修は日程が決まっているので、参加するためにはスケジュールの調整が必要です。また、自社で研修を主催する場合は、講師のスケジュール調整も必要となります。
受講環境を整える必要がある
オンライン研修に参加するためには、Webカメラ・マイクなどの機材や、ツールやアプリが必要です。社員が自宅から参加する場合は、必要に応じて受講環境を整えてもらわなければなりません。自宅のインターネット環境によっては、配信が途切れ途切れになるなどの通信トラブルにより、満足に受講できない可能性もあるでしょう。
eラーニングのメリット
ここでは、eラーニングを実施するメリットについて解説します。eラーニングをはじめとする人材育成に取り組む人事担当者には、こちらの資料もおすすめです。社員のスキルレベルを可視化した「スキルマップ」の作成方法や、効果的な活用方法を紹介しています。
社員が自分のペースで学習できる
eラーニングのメリットは、インターネット環境があればいつでも、どこでも学習できるので、社員が自分のペースで学習を進められる点です。それぞれの理解度に応じた学習が可能となるため、苦手な分野は繰り返し動画を視聴したり、得意な分野は先にテストを受けたりできます。また、採点の自動化による即時フィードバックも可能なため、受講者は効率的に学習を進められるでしょう。
教材の修正やアップデートが容易
eラーニングは、あらかじめ用意されたコンテンツを提供するため、あとから教材の内容を修正したり、アップデートしたりもできます。たとえば、法律に関わる講義を提供する場合は、法改正に迅速に対応するなど、常に最新の情報を提供できる点が強みです。
教育品質を均一化できる
eラーニングは、全ての受講者に同じ教材を配信するので、学習機会を平等に与えられます。また、講師によって研修品質にばらつきが生じるという心配がなく、教育品質の均一化を実現できるでしょう。
学習進度や成績を管理しやすい
LMS(学習管理システム)を活用すれば、社員1人ひとりの学習進度や成績も管理できます。
LMSとは「Learning Management System」の略称です。LMSにはさまざまな機能があり、教材の配信や学習履歴、成績の管理など、eラーニングの運営に役立つ機能も豊富に備わっています。学習データの一元管理により効率化を図り、管理コストを大きく低減できるでしょう。また、蓄積されたデータは、人事評価に活用することも可能です。
eラーニングのデメリット
eラーニングにはオンライン研修にはないメリットがありますが、同時に以下のようなデメリットもあります。
社員からの質問に対応しにくい
eラーニングは、講師との双方向のコミュニケーションを取りづらい点がネックです。リアルタイムの研修のように、受講者の質問にその場で答えるということが難しく、疑問の解消に時間がかかってしまいます。
受講生同士の交流機会が少ない
eラーニングは受講生同士がリアルタイムでコミュニケーションをとる機会もないので、学びの共有が難しい点もデメリットです。オンライン研修のようにグループワークやディスカッションを実施することも難しく、アウトプットの機会を得にくいでしょう。
学習意欲を保ちにくい
eラーニングは社員が好きなタイミングで学習できる分、強制力が働きにくいというデメリットがあります。学習進度は個人の意欲に依存する部分が大きく、運営側は社員のモチベーションの維持が課題となるでしょう。
eラーニングシステムの種類
eラーニングコンテンツの提供には、専用のシステムを用いるケースが一般的です。eラーニングシステムは、おもに「コンテンツ型」と「プラットフォーム型」の2種類に分けられます。
コンテンツ型
システム内でeラーニング用のコンテンツが提供されており、そのなかから受講者自身が教材を選んで学習を進めていくタイプです。コンテンツ型のeラーニングシステムは、ビジネスシーンで広く必要とされる講座を取りそろえた汎用型タイプと、専門分野に特化したタイプに大別できます。自社で教材を用意できない場合や、対応が難しい分野をカバーしたい場合などにおすすめです。
プラットフォーム型
自社で用意したeラーニング教材を利用したい企業を対象に、教材を配信する環境を提供するタイプです。プラットフォーム型のeラーニングシステムは、すでに作成されたコンテンツを配信するタイプと、コンテンツの作成・共有ができるタイプに大別できます。自社に特化した学習コンテンツを提供したい場合や、オフライン研修からeラーニングに切り替えたい場合などにおすすめです。
eラーニングシステムを選ぶ際のチェックポイント
eラーニングシステムにはさまざまな製品があるので、どれを選べばよいか迷う人も多いでしょう。eラーニングシステムを選ぶ際に比較したいポイントは、以下の6つです。
コンテンツの種類や更新頻度
コンテンツ型のシステムを導入する場合は、「自社のニーズにマッチしているか」という視点から、どのような内容のコンテンツが配信されているのかをチェックしましょう。自社のニーズとの合致度を確認するためには、eラーニングの導入目標を明確化する必要があります。また、「新人研修」などのパッケージ化されたプランが充実していると、目的に合わせて利用しやすいでしょう。
そのほか、教材の更新頻度や、カスタマイズ性の高さもチェックしたいポイントです。カスタマイズ性の高いシステムを選べば、対象職種や部署ごとにコンテンツを編集することもできます。
独自教材やテストに関する柔軟性
自社が作成した教材を使用したい場合は、システムが対応しているファイル形式をチェックしておきましょう。PDFや動画、PowerPointなど、幅広い形式に対応しているシステムがおすすめです。また、システムによっては独自テストの設計に対応している場合もあり、学習内容に合わせたテストを柔軟に実施できます。
操作性やわかりやすさ
受講者の学習習慣の定着を妨げないために、操作方法がわかりやすいシステムを選ぶことも大切です。また、導入するシステムは、受講者だけでなく研修担当者の使いやすさも重視しましょう。管理画面のサンプルやトライアルなどを通じて、実際の運用をイメージしながら選ぶことがおすすめです。
機能の充実度
便利な機能が充実しているシステムを選ぶと、eラーニングの運営を効率化することができます。
リマインド機能やテスト機能など、自社のニーズに合わせて必要な機能を備えたシステムを選びましょう。
たとえば、eラーニングは双方向のコミュニケーションを取りづらい点がデメリットですが、掲示板機能やFAQ機能などがあれば、受講者が疑問をスムーズに解消できます。また、セキュリティ機能が充実しているシステムなら、情報管理をより強固なものにすることが可能です。
料金
従量課金制や月額固定料金など、eラーニングシステムの料金体系は製品により異なります。まずは予算を設定し、その範囲のなかからシステムを選定するとよいでしょう。
ただし、料金の安さばかりを重視するのではなく、導入目標を達成できるシステムを選ぶことが大切です。自社のeラーニング運営に必要な機能を備えていることを確認したうえで、コストバランスに優れたシステムを選びましょう。
サポート体制
サポート体制が充実しているシステムなら、eラーニングを初めて導入する場合や、トラブルが起きた場合も安心できます。サポート体制を比較する際は、問い合わせ方法や対応可能時間なども確認しておきましょう。また、自社で教材を作成する場合は、コンテンツ作成のサポートを受けられると便利です。
オンライン研修やeラーニングの効果を高めるコツ
最後は、オンライン研修やeラーニングの効果を高めるコツを紹介します。以下の4つのポイントを押さえて、導入効果の最大化を目指しましょう。
目的に応じて使い分ける
オンライン研修とeラーニングには、それぞれ異なるメリット・デメリットがあります。両者の強みと弱みを理解し、目的に応じて使い分けることが大切です。たとえば、情報共有や知識の提供にはeラーニング、スキルの習得にはオンライン研修が適していると考えられます。
また、eラーニングで学習した知識をオンライン研修のグループワークで実践するというように、2つの方法を組み合わせることも可能です。誰に、どのような研修や講座を受講させるか決めるには、それぞれのスキルを把握する必要があります。人材育成に役立つスキルマップの作成方法は、こちらから確認してください。
導入前・導入後のサポートを実施する
オンライン研修やeラーニングを導入する際は、事前説明会を設けて、システムやツールの基本的な使い方をレクチャーするとよいでしょう。受講者の安心感や理解が高まり、学習をスムーズに進められるようになります。なお、研修参加やコンテンツ受講により全ての社員が内容を理解できるわけではないので、習熟度に応じてサポートすることも大切です。
参加状況や進捗などを管理する
研修の参加状況やeラーニングの進捗状況を管理することにより、1人ひとりに適切なサポートを実施できるようになります。
特に、eラーニングは講座の読み飛ばしやスキップも可能なので、最後まで視聴しないと受講済みにならないシステムを選ぶなど、対策を講じるとよいでしょう。進捗状況やテスト結果などの一元管理には、前述のLMSを活用すると便利です。
受講者へのヒアリングの機会を設ける
オンライン研修やeラーニングの導入後は、受講者へのヒアリングの機会を設けましょう。定期的なヒアリングを通じて不満点などを洗い出し、研修やコンテンツ内容の改善につなげます。個別のヒアリングが難しい場合は、アンケート機能の活用もおすすめです。受講者の意見を反映させたブラッシュアップを繰り返すことで、より効果的な学習を実現できるでしょう。
まとめ
オンライン研修とeラーニングは、異なる強みを持っています。オンライン研修は講師やほかの受講生との双方向のコミュニケーションが可能であり、気になることをその場で質問したり、学習内容をアウトプットしたりすることも可能です。一方、eラーニングは受講者が自分のペースで学習を進められ、講師による差が生まれにくいというメリットもあります。
自社のニーズに合わせてそれぞれの強みを活かし、効果的な人材育成に役立てましょう。
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