人事評価で部下がやる気をなくす7つの原因|モチベーションを上げる施策や人事評価方法を解説


人事評価で部下がやる気をなくす7つの原因|モチベーションを上げる施策や人事評価方法を解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。人事評価は、社員の給与や配置を決める際に重要な指標となります。社員の成長を促すためにも重要です。しかし、人事評価によって逆に部下がやる気をなくしてしまっている状況にお困りの方は多いのではないでしょうか。


そこで今回の記事では、人事評価で部下がやる気をなくす具体的な原因やフォロー方法について解説します。部下のやる気を高める人事評価方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。


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人事評価で部下がやる気をなくす9つの理由・原因を解説

この章では、人事評価で部下がやる気をなくす理由を9つ紹介します。


  • 客観的な評価基準がない
  • 評価を共有する場が設けられていない
  • 成果を出しても報酬が上がらない
  • フィードバックが適切でない
  • 他の社員と比べて評価が低い
  • 上司と部下の関係性ができていない
  • 結果のみが評価され、プロセスが評価されない
  • 評価指標が実態と乖離している
  • 年功序列が優先される


やる気をなくした部下がいる場合、何が原因でやる気がなくなっているか把握しましょう。


客観的な評価基準がない

客観的な評価基準で人事評価が行われていないと、部下が「公平な評価になっていないのでは」と感じてしまう可能性があります。人事評価においては、可能な限り上司の主観によらない客観的な基準に基づいた公平な評価が大切です。


部下が評価基準に納得していない場合「会社の方針で評価基準が明確に定められていること」や「複数名の承認によって最終的な評価が決定していること」などを具体的に伝えましょう。


評価を共有する場が設けられていない

評価面談など共有やフィードバックの場が設けられていないことも、部下がやる気をなくす原因です。評価面談がないと「評価を上げるためにどのように改善すべきか」「今後の自分に期待される役割」などが確認できません。


評価面談は、四半期ごとや半年ごとなどタイミングを決めて行い「より評価されるためには何を改善すべきか」などについて建設的な話し合いができるとよいでしょう。


成果を出しても報酬が上がらない

評価が報酬に反映されないと、部下のモチベーションが保てなくなる原因となります。部下が仕事で成果を出して高い評価を得ても、報酬が上がらなければ「頑張るだけ損」といった気持ちになってしまいます。


評価に応じた報酬制度がない場合は、早急に整えましょう。評価に応じた給与体制がある場合には、給与テーブルなどの仕組みを部下が理解しているか確認します。


フィードバックが適切でない

人事評価において「褒める」ことと「指摘する」こと、どちらか一方に偏ったフィードバックは適切ではありません。褒めてばかりだと、部下の成長の停滞につながってしまいます。また全く指摘がないと、部下は「自分は上司に放置されているのでは」と不安が生じるでしょう。一方で指摘ばかりだと、部下は自信を喪失してストレスを抱えてしまう可能性があります。 


人事評価のフィードバックは、良い部分と改善すべき点を両方伝えることが大切です。両方とも伝えることで、部下はモチベーションを保って改善に向けたアクションを起こしやすくなるでしょう。


他の社員と比べて評価が低い

自分が同僚や他の社員よりも評価が低いと分かったとき、劣等感などからモチベーションが落ちる可能性があります。他の社員の評価が見えないような仕組みにするなど、情報が漏れないよう対策を検討しましょう。


劣等感からやる気を失っている場合は「勇気づけ」が効果的です。勇気づけでは、部下に信頼していることや貢献できていることを伝えます。勇気づけによって「自分も会社の力になれている」と自信やモチベーション回復効果が期待できます。


上司と部下の関係性ができていない

部下との関係性ができていないと、話を素直に聞き入れてもらえません。そのような状態で評価やフィードバックを行っても、部下に納得感を持たせるのは難しいでしょう。関係性を良好にするためには、普段から雑談を含めたコミュニケーションを取ることが大切です。


上司と部下の間でわだかまりなどがある場合、個別に時間を取って傾聴姿勢をとることで、より話しやすい関係へと改善できます。普段からの態度や話し方などが「部下にとってストレスになっていないか」を振り返ることが大切です。


結果のみが評価され、プロセスが評価されない

人事評価の数値や結果のみが重視され成果に至るまでのプロセスや努力が評価されないと、社員のモチベーションは下がり、やる気をなくしてしまいます。成果指標や結果のみを重視しすぎると、「これだけ頑張ったのに評価されない」と、社員は不満を抱えるでしょう。成果に至るまでの過程やプロセスにも目を向け、評価に取り入れることで、社員からの理解が得やすくなるでしょう。


評価指標が実態と乖離している

社員に明示されている評価指標と実態が乖離していると、社員は不満を募らせます。企業の経営戦略とマッチしていない評価指標では、社員は評価に納得できないでしょう。実現不可能な目標を提示される、評価指標をクリアすることと業績に関連性がない場合なども、不満を募らせる要因の1つです。評価指標と実態に乖離がないか、実現可能であるかをしっかりと確認しましょう。


年功序列が優先される

成果よりも、昔ながらの年功序列を優先した評価制度は、社員の不満が募る原因となります。人事評価とは名ばかりで、昇給や昇進が年功序列で決定するケースでは、公平な評価ができず、社員からの納得感は得られないでしょう。昇給や昇進に評価の結果を反映させることで、社員からの理解も得られるでしょう。


人事評価で部下がやる気をなくしたときに避けるべき3つのアプローチ

この章では、人事評価で部下がやる気をなくしたときに避けるべき3つのアプローチを紹介します。


  • 態度や仕事ぶりについて叱責する
  • プレッシャーをかける
  • 人事評価についての話題を避ける


3つのアプローチを実践し、これ以上部下のやる気をなくすことがないように努めましょう。


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態度や仕事ぶりについて叱責する

すでにやる気をなくしている部下に、普段の態度や仕事ぶりについて叱責してしまうと、自信喪失や萎縮、反発を招く可能性があります。その結果、部下はさらにやる気をなくしてしまうでしょう。


部下にやる気がみられない場合には、その原因や仕事に対する悩みなどを聞くことが大切です。原因や悩みを聞いた上で、建設的に「どう成果を出すべきか」を話し合いましょう。


プレッシャーをかける

やる気をなくした部下に対する「もっとできる」といった声かけは、タイミングによってはプレッシャーになってしまうことがあります。過剰にプレッシャーがかかり十分なパフォーマンスを発揮できず、仕事に悪影響がでる可能性もあるでしょう。


プレッシャーにつながる言葉は、部下の鼓舞につながることもあります。しかし部下のやる気を失っている状況では、逆効果となるので気をつけましょう。


人事評価についての話題を避ける

人事評価についての話題を避けると、部下のやる気が低下するに至った原因の特定や解決が遅れます。「部下と人事評価について話すのは気が引ける」と感じる方もいるかもしれません。しかし、やる気低下の原因を話し合わない限り、問題は解決しません。


人事評価は個人の内面や給与にも関わるため、積極的に話題に上げづらいでしょう。しかし部下のやる気を改善させるには、部下とコミュニケーションを取り続けることが重要です。


【今すぐできる】やる気をなくした部下のフォロー方法

この章では、やる気をなくした部下に今すぐできるフォロー方法を紹介します。


  • 意識して褒めるポイントを探す
  • 取り組みや考えに共感を示す


部下のやる気低下を防ぐために、積極的に実践しましょう。


意識して褒めるポイントを探す

人は褒められることでドーパミンが放出され、気分が高まりやる気が出てきます。特に部下の「ネガティブな発言や態度が目立っている」場合などには、褒めるポイントを見つけて積極的に伝えることが有効です。


業務中のちょっとした時間や部下と話す機会があるときにも、成長した点や成果について具体的に褒めるとよいでしょう。褒められることでやる気の低下を防ぎ、部下が自信を取り戻しやすくなります。


取り組みや考えに共感を示す

やる気をなくした状態に共感を示すことで、部下は「状況を理解して支えてくれる」と感じます。部下から頼りにされたり信頼されたりするようになれば、やる気低下の原因や解決に向けた建設的なコミュニケーションを取りやすくなるでしょう。


共感を示す際には、やる気の低下が周囲に及ぼす影響についても伝えることが大切です。1人のやる気低下によるネガティブな雰囲気やパフォーマンスの低下は、周囲に悪影響を及ぼすことを自覚させる必要があります。


人事評価により社員がやる気をなくすことへのデメリット

人事評価により、社員がやる気をなくすとどのようなデメリットがあるのでしょうか。ここでは、3つのデメリットについて解説します。


社員の離職につながる

十分なスキルや経験があるにも関わらず、満足な評価を得られなかった社員は、今よりも好条件の職場を求めて退職します。優秀な人材が流出するだけでなく、新しい人材の確保にも手間やコストがかかります。


社員のモチベーションが下がる

納得できる評価であれば、社員は意識して改善しようと努力します。しかし、正当に評価されないと、モチベーションが下がり「真面目に頑張るのは無駄」「必要最低限のことしかやりたくない」と考え、さらにパフォーマンスが低下するでしょう。


組織の生産性が低下する

評価に不満を持つ社員が多いと、生産性が下がり組織全体に影響を及ぼします。

やる気が出ないため、集中力が落ちてミスが増えたり、単位時間あたりの仕事の量が減少したりと、仕事の質に悪影響を及ぼします。とくに、チームワークを重視する業務においては、チームの雰囲気や関係性が悪化しかねません。


人事評価で社員のやる気をなくさせないコツ

人事評価で社員のやる気を向上させるためには、積極的なコミュニケーションや人事制度の見直しが重要です。ここでは、5つのコツを解説します。


積極的にコミュニケーションをとる

評価後に社員とコミュニケーションを取ったり、評価内容に対してフォローしたりしましょう。改善点や評価の理由がわからなければ、社員の不信感は高まります。適宜、コミュニケーションをとりながら意識的にフォローや声掛けをしましょう。


人事評価の理解を促す

人事評価を実施する前に、目的や評価基準の意味などを伝えて、人事評価についての理解を促しましょう。事前に周知し、説明することで社員が結果に対する評価を想定できるようになり、納得感も得られやすくなります。


適切なフィードバックを行う

人事評価の目的は、仕事への向き合い方ややり方を見直し、社員の成長を促すことです。評価基準を改めて説明したうえで、その評価に至った基準、改善点や新たな目標などをフィードバックしましょう。これにより、上司と部下の相互理解が進み、信頼関係の構築にもつながります。


評価者への指導、研修を行う

評価者は、誰が見ても明確な評価指標に基づき、社員を評価しなければなりません。先入観や主観が入った評価は、社員の不満を募らせます。人事評価エラーを引き起こさないように指導したり、公平な評価をおこなうスキルを身に付けるための研修を実施したりしましょう。


評価制度を見直す

多くの社員から不満が出ている場合、評価制度を見直すことも視野に入れましょう。社員のやる気を出す人事評価を構築するためには、公正で客観的な評価基準を設けることも重要です。部下のやる気を高める評価方法については、この後解説します。


部下のやる気を高める5つの人事評価方法

この章では、部下のやる気を高める5つの人事評価方法を紹介します。


  • 360度評価
  • コンピテンシー評価
  • 目標管理制度(MBO評価)
  • バリュー評価
  • 目標管理制度(OKR評価)


人事評価制度は複数あります。社内の評価制度における課題に対して、どの方法がより有効であるか検討しましょう。


360度評価

360度評価は、上司だけでなく同僚や他部署からの評価も含める手法です。上司のみの評価と比較して多様な意見を聞けるため、公平で納得感のある評価やフィードバックとなります。他部署など部下との距離がある人が評価をする場合、事前にどの人が評価者かを決めておくとスムーズです。


評価者を事前に決めると、評価者は日頃から対象者の行動や結果を意識して観察するようになります。いきなり評価を頼むよりも、早くかつ的確なフィードバックとなるでしょう。一方で評価者が多くなるため、低評価や批判的なコメントが増える可能性も高くなります。関係の悪化が懸念される場合、評価者を匿名とするなどの対策が必要です。


コンピテンシー評価

コンピテンシー評価とは、社内で活躍している社員の特徴を複数要素に分解し、評価項目に落とし込む人事評価の手法です。成果を出し活躍している社員は、その企業で求められるスキルを保有し、社内カルチャーを体現している存在と言えます。


一度作成したコンピテンシーは、定期的に更新するようにしましょう。ビジネスモデルなどの変更があれば、求められるスキルや能力は変わってくるからです。


バリュー評価

企業の価値観(バリュー)をもとに行動規範を設定し、社員がどの程度実践できたかを評価する制度です。成果を重要視する評価制度と異なり、どのような姿勢、価値観で仕事に取り組んだかなど、行動や意識を評価します。定性的な目標設定になるため、数字を基準にした評価はできません。


目標管理制度(OKR評価)

組織の目標を達成するために、社員1人ひとりの目標を設定する制度です。OKRの目標は、全社員で共有して見える化します。OKRは、60〜70%達成できれば成功とみなされるため、達成が困難であると思われる高いチャレンジ目標を設定する必要があります。


目標管理制度(MBO評価)

目標管理制度(MBO評価)は、上司と相談して決めた目標を元に人事評価を進める手法です。部下は上司と相談して目標を設定するため、評価について納得感をもちやすくなります。また「目標達成に向けてどうすべきか」考えて行動する必要があるため、社員の主体性向上にもつながるでしょう。


目標は、達成されたかが定量的に分かるように設定します。「早く作成する」などの曖昧な目標では、達成されたのかの判断が困難です。例えば「毎月5営業日までに作成する」「月に5件アポイントを取る」などが定量的な目標となります。


まとめ

部下が人事評価によってやる気をなくす理由には、客観的な評価基準がない、評価に対して報酬が不十分などの原因があります。やる気をなくすと本人の仕事の質が低くなるだけでなく、チームの雰囲気が悪くなるなどの影響を及ぼす可能性があります。


人事評価によって部下がやる気をなくしている場合、他の人事評価制度への切り替えも検討しましょう。人事戦略を科学的に行えるタレントマネジメントシステム「タレントパレット」なら、運用中の評価シートを元に、360度評価やコンピテンシー評価など、幅広い人事評価システムを簡単に構築できます。アンケート機能を用いて社員のモチベーションやエンゲージメント状態を把握することも可能です。


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