メンター制度の成功事例は?成功に導くためのポイントを解説


メンター制度の成功事例は?成功に導くためのポイントを解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

近年注目を集めるようになったメンター制度です。導入に成功して大きな成果を上げた企業がいくつもあります。実際に導入を検討している企業の中には、どのような成果が得られるのか、どうやったら成功するのか気になっている人事担当者もいるのではないでしょうか。

今回はメンター制度の成功事例を、業界別に7つ紹介します。成功させるためのポイントも解説しているため、これからメンター制度を導入しようと思っている企業の方もぜひ参考にしてください。

メンター制度とは人材育成の手法の一つ

メンター制度とは、上司や先輩社員を助言者(メンター)として、若手社員や新入社員(メンティ)の悩みを解決したり支援したりする制度のことです。人材育成の手法の一つとして注目されており、双方の信頼関係を前提にキャリア形成上のサポートを行います。

メンターとメンティに上下関係はなく、対等な関係として進むのがメンター制度の基本です。従来の指導とは異なり、双方向での意見交換や共有を行うことで、メンティの成長をサポートするのが狙いとされています。もちろん、メンターにもメリットが大きく、双方にとって成長のチャンスとなり売る制度です。

メンター制度を成功させるためには、自社の業務内容に合わせる必要があるといえるでしょう。そして、メンター制度の成功例を踏まえた上で、そもそもメンター制度の前提となるメンタリングについて詳しく知りたいという方はこちらの記事を参考にしてください。

「メンタリング」については、こちらの記事をご確認ください。

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メンター制度の成功事例



メンター制度は、業種業態を問わず多くの領域で採用されています。その中でも特筆した成功を収めている事例があるため、ここでは、7つの業界のメンター制度の成功事例をみていきましょう。

飲料業界

大手飲料メーカーであるキリンは、人材育成プログラムの一環として、総合職や管理職として活躍してほしい女性社員に対してメンター制度を採用しています。

プログラム内容としては、メンターに女性経営陣・メンティーに役員を、設定して女性社員が働きやすい環境についてメンタリングを行いました。その結果、女性社員の離職率低下や主要ポストへの進出など、当初期待していた通りの成果を得ることができたのです。

リサイクル業

とあるリサイクル事業を営む企業では、ベテラン女性をメンターにしたほか、同性同士でのマッチングを行ってメンター制度を実施しました。

その結果、社員のモチベーションが向上しただけではなく、退職の意向を示していた従業員も継続して働くようになったのです。同性同士のマッチングによりそれぞれの性別で抱える悩みを具体的にできたこと、現場の声を取り入れた施策であることが成功した要因といわれています。

製造業

入社1年以内に過半数が退職してしまうことが課題であった製造業では、入社1年目から5年目までの全社員に対してメンター制度を実施しました。同時並行でOJTやoff-JT、自己啓発プログラムも進めています。メンターは5年目の若手社員です。

成果が出るのに時間はかかったものの、約10年かけて入社1年以内の離職率が50%以上から10%未満まで改善することに成功しました。メンバーへの指導内容は一貫して精神面のフォローだけに絞ったことが功を奏し、メンターへの負担が少なく済み、メンティの悩みにコミットできたのが成功した理由といわれています。

IT企業

他社に先駆けてメンター制度を導入したとあるIT企業では、新入社員の入社前にメンター教育を実施しました。新入社員の入社後は、就業10分前から面談を開始する流れを作っています。なお、終業後はアルコールの飲用が認められていたことから、話しやすい雰囲気で信頼関係の構築ができました。

メンティの悩みや疑問を解決できたことに加え、メンターになった社員が収穫の多さに気が付き、社内にメンター制度が浸透することになりました。教育制度が整っていたこと、アルコールOKというハードルの低さがあったことがメンター制度成功につながった事例です。

流通業界

とある百貨店では、シフト制の勤務が影響してOJTが機能しなくなり、その代替としてメンター制度が導入されました。入社4年目の社員をメンティ、10年目前後の社員をメンターとして、月に1回1時間を半年間、計6回のセッションを実施しています。

メンター制度導入後に満足度調査を行った結果、メンターが63%、メンティが73%有意義と回答している状況です。さらに引き続きメンター制度を実施したいという風土が育ちました。

ポイントとしては、4年目というキャリア形成を考えるタイミングで10年前後というキャリア形成がひと段落した人材をマッチングした点です。この組み合わせでキャリア形成に悩む4年目が抱える悩みを、メンターの実体験を聞くことで具体化できた点が成功した要因です。

生命保険業界

富国生命保険相互会社では、女性社員や若手社員の離職防止やモチベーションアップを実現するために、メンター制度を導入しました。具体的には幅広い世代と交流できるようにメンターを設定し、その成果を追いかける形で研修会や報告書の提出を実施したのです。

結果、当社の思惑通りの成果が実現でき、女性社員の間のネットワーク構築や新入社員のモチベーションアップを実現しました。セッションをやって終わりにするのではなく、車内研修や報告書の提出という形で継続性を持たせた点が成功した要因と考えられるでしょう。

通信販売業界

通信販売のオークローンマーケティングでは、新入社員の現場への定着促進とキャリアイメージの形成を目的に、メンター制度を導入しています。社内ネットワークの形成も視野に入れつつ、制度を実施しました。

メンター向けにメンタリングのルールを定めたほか、懇談会を実施するなどの施策にも取り組み、当初の目的のほかにも離職率低下やチームワークの形成に成功しています。また、女性マネージャーが増加するなどの成果も出てきました。

医療福祉法人

メンター制度の必要性を現場の社員に感じてもらうための研修を実施した医療福祉法人があります。専門の講師を招聘して管理職やリーダーにメンター制度の研修を実施した結果、メンター制度導入に賛成する声が多く生まれました。

メンター制度に似た制度は導入していたものの、成果が出ていないという状態だったものの、専門家の研修を通じてなぜ失敗したのかといった原因を明確に制度を見直しています。その結果、形骸化していたメンター制度を見直すきっかけになり、研修内容が有効活用されるようになったのです。

メンター制度を成功に導くポイント



ここまで7つの業界のメンター制度導入の成功事例を紹介してきました。では具体的に、どのようなポイントがメンター制度を成功に導くのでしょうか。重要なポイントは以下の4つです。

  • 課題解決に適しているのか
  • メンターとメンティの相性を考える
  • メンターに対する評価制度を整える
  • 就業規則に明記し、周知させる


これからメンター制度を導入しようと思っている企業の担当者は、自社での導入・運用を成功させるためにもぜひ参考にしてください。

課題解決に適しているのか

メンター制度を導入することで自社が抱えている課題解決に有効なのかを考えなければなりません。課題の解決方法がメンター制度が適切でなかった場合、実施する意味が社内で見出せないまま、形骸化してしまう可能性があるためです。

メンター制度導入にあたっては、形を作っただけで終わらないように解決したい課題を明確にすることが重要とされています。形骸化させないためにも、本当にメンター制度が有効なのかを検討する必要があるでしょう。

メンターとメンティの相性を考える

メンターとメンティの相性を考慮しておかなければ、メンター制度そのものが瓦解してしまう可能性があります。双方の相性が合わない場合、お互いにストレスになってしまい当初の目的を果たせなくなってしまう可能性もあるでしょう。

成功事例の中にもあった通り、同性のメンターだから相談できる悩みがある点も事実です。性格やスキルだけで判断を行うのではなく、性別なども合わせて考慮し、お互いが相談しやすいペアにすることが求められるといえるでしょう。

メンターに対する評価制度を整える

メンターは、自分の業務に加えてメンター業務を行うことになります。その活動や貢献度に対して適切な人事評価を行わなければ、メンターのモチベーションが下がってしまい、メンティにも悪影響を及ぼしかねません。

メンター制度を実施する前に、明確な評価制度を整えるようにしましょう。また、改めた評価制度を賞与や給与に反映させるといった仕組みを構築した上で、ただ単に業務が増えたとならないようにしなければなりません。

就業規則に明記し、周知させる

メンター制度を導入するタイミングでは、就業規則にメンター制度の存在を明記しておくことが重要です。周知するという目的を達成するためには、最も良い方法といえるでしょう。

また、明記する際には制度の運用ルールや実施期間、メンターの職務内容も記載しておく必要があります。会社によっては重要な制度になる可能性もあるため、メンター制度については就業規則に明記しておくことを推奨します。

まとめ

メンター制度を成功させるためには、メンターに対する評価制度を整えたり、メンターとメンティの相性を考えたりと準備することが多くあります。導入しただけでは、成果が出るものではなく、企業がどの程度本気でメンター制度に取り組むかといったポイントが重要です。

この記事で紹介した7つの成功事例は、いずれも手間を惜しまず、メンター制度成功に向けて行動した結果成功した事例だといえます。なぜメンター制度を導入するのか、何を目的にしているのかを明確にして、導入に向けて不足しているところがあれば研修や教育などで対応するようにしましょう。

また、メンター制度を成功させるために必要な人事評価システムを整えることが大切だといえます。タレントパレットでは、人事評価をまとめて管理できるため非常に便利です。

社内の人事評価を一括で管理したい、メンター制度導入以外にも人事を管理できるシステムが欲しい方は、ぜひタレントパレットの機能をご確認ください。

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