中堅社員は、企業の中核を担う重要な存在です。そのため、中堅社員のモチベーションが低下すれば企業にとってリスクになる恐れがあります。中堅社員のモチベーションを維持するには、どうすればよいのでしょうか。この記事では、中堅社員のモチベーションが低下する理由に触れたうえで、具体的なリスクや対策について解説します。
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中堅とされる社員とは
中堅社員とは、1人で自立して業務を遂行できる社員のことです。新人ではなく幹部でもない世代の社員が中堅社員と呼ばれています。ただし、中堅社員の定義について独自の見解がある企業も少なくありません。
一般的には、入社3年目以降の社員のうち、役職についていない社員を中堅社員とするケースが多いです。事業の中核を担う、現場の重要なプレイヤーとして認知されています。次期管理職候補として期待されている中堅社員も珍しくありません。
中堅社員が成長すれば企業の成長にも直結します。そのため、中堅社員のモチベーションが低下した場合、企業にとって大きなリスクになる可能性が高いです。業務の後退につながる恐れもあるため、早期に対策を講じる必要があります。
中堅社員のモチベーションが低下する理由
中堅社員の多くは仕事に熱心に取り組み、企業の中核を担っています。しかし、状況によっては、モチベーションが低下する場面もないとはいえません。ここでは、中堅社員のモチベーションが低下する理由を解説します。
仕事への刺激が低下するから
仕事のマンネリ化は、中堅社員のモチベーションが低下する大きな要因です。中堅社員になると仕事にも慣れ、業務をスムーズに進められるようになります。その結果、自分の力量に対して仕事が少ないと感じたり、刺激が足りないという不満をもったりするケースも珍しくありません。
中堅社員は、仕事の分野が固定される傾向です。仕事に慣れている分、ミスなく効率的に仕事を進められます。そのような状況は、企業にとって有益です。しかし、中堅社員はそれをマンネリ化と捉え、仕事を通して成長を感じられないと悩む可能性もあります。
仕事の分野を固定しすぎるとモチベーションの低下を招く恐れがあるため、業務の割り振りについては定期的な見直しも必要です。
昇進の可能性が低いから
現在の仕事を続けても昇進を期待できないと社員が感じている場合も、モチベーションが低下する要因です。管理職を設けないフラット化に取り組む企業も増えていますが、それが中堅社員のモチベーションを低下させる原因になっている可能性もあります。
また、管理職のポストが用意されていても、ある程度以上の年齢にならないと役職につけない場合は中堅社員のやる気が低下しがちです。さらに、優秀な若手の人材が多いほど、昇進の可能性は低くなります。キャリアアップの道筋が見えにくい状況では、不安を抱く中堅社員が多くなるでしょう。
年齢を重ねるにつれてキャリアチェンジの難易度も上がるため、ラストチャンスと考える中堅社員も少なくありません。多くの企業が人材不足に陥っており、転職は売り手市場です。そのため、昇進できないなら転職しようと考えるケースもよく見られます。
業務量が多く疲れが溜まるから
中堅社員は仕事をこなすためのスキルが熟練しているため、業務も集中する傾向があります。単独で任される業務量が多いだけでなく、上司のサポートや若手の育成にも対応しなければなりません。そのため、中堅社員には疲れが溜まりがちです。体力と精神力の両方が必要となります。
過度な疲労が蓄積されると、仕事に対するモチベーションが低下する可能性が高いです。その状態が続けば過労となり、最悪の場合、疾病を誘発する恐れがあります。中堅社員は企業の中核を担う頼れる存在ですが、業務の負担については十分な配慮が必要です。
待遇面に不満があるから
中堅社員が給料や待遇に不満を持っている場合も、仕事に対するモチベーションが低下しがちです。近年は新入社員の初任給が飛躍的に高くなっており、中堅社員と給料の差が小さくなっている企業も増えています。
このような状況では、中堅社員が仕事に精を出す意味がないと思う可能性が高いです。中堅社員は新入社員よりも多くの業務を担い、企業に対する貢献度も高くなります。それが給与や待遇に反映されなければ不満につながり、モチベーションを低下させる原因になるでしょう。
手本となったり尊敬できたりする上司や先輩がいないから
上司や先輩のなかに手本となったり尊敬できたりする人物がいないと、中堅社員のモチベーションは低下する傾向があります。仕事における目標を定めにくくなり、成長に対する意欲をもてなくなるためです。
また、企業や経営層の不満を口にする上司や先輩が多い場合も、モチベーションの低下を招きます。手柄を横取りしたり、責任を押し付けたりする上司や先輩がいれば、中堅社員のモチベーションはさらに低下するでしょう。不公平な評価やストレスの発生にもつながるため、注意が必要です。
中堅社員のモチベーションが低下している兆候
ここでは、中堅社員のモチベーション低下によって現れる兆候について、詳しく解説します。
主体性が低下し、仕事のやる気が感じられない
モチベーションが低下している場合、中堅社員にはさまざまなサインが現れます。たとえば、主体性が失われ、業務に対して積極的に行動しなくなる可能性があるでしょう。以前よりも受動的な態度になり、上司や先輩からの指示がなければ行動を起こさなくなります。また、仕事に対するやる気や覇気が感じられなくなる場合も多いです。
自ら仕事に取り組もうとする意欲がなくなると業務を適切に進めにくくなり、企業が求めているような結果も得られなくなる恐れがあります。
パフォーマンスが低下していてミスも多い
中堅社員のモチベーションの低下は、パフォーマンスの低下にもつながります。業務のミスが増えたり、指定された納期までに仕事を完了できなかったりするケースも多いです。また、仕事の質を高めようという意欲が感じられなくなる場合もあります。以前と比べて言動が投げやりになっている人も、モチベーションが低下している可能性が高いです。
中堅社員の業務上の問題が増えたときは、モチベーションが低下していないか確認する必要があります。
企業や部署への不満や愚痴が増えている
仕事に対するモチベーションの低下は、仕事以外の部分にも現れる場合があります。そのため、中堅社員の日頃の言動もチェックしましょう。たとえば、同僚に仕事の愚痴をこぼす機会が増えた場合、モチベーションが低下している恐れがあります。中堅社員が上司の悪口を広めようとしているケースも同様です。
さらに、仕事に対するモチベーションが著しく低下すると、社外に不満や愚痴を訴える可能性もあります。早い段階でモチベーションの低下の兆候をつかみ、適切に対処することが大切です。
中堅社員のモチベーションが低下するリスク
中堅社員のモチベーションの低下には複数のリスクがあるため、注意が必要です。ここでは、具体的にどのようなリスクがあるか解説します。
業務が停滞するリスク
中堅社員は、業務を遂行して自社のビジネスを成功させるために不可欠です。企業としての成果を実際に築き上げる存在となります。また、後輩の指導育成にも関わり、今後の企業の発展にも大きく貢献する可能性が高いです。
このように企業の中核としての重要な役割を果たしている中堅社員のモチベーションが低下した場合、業務が著しく停滞する恐れがあります。自社の業績に悪影響をもたらす可能性も高いです。
コミュニケーションが悪化するリスク
中堅社員のモチベーションが低下すると、社内のコミュニケーションが悪化する原因にもなります。中堅社員は新入社員と管理職の間に立ち、両者をつなげる役割を果たす場面も少なくありません。新入社員の頃の記憶もまだ残っているため、若手の悩みを自分のことのように理解できます。一方、業務の経験を通じて経営側の視点もある程度身につけており、管理職の立場を理解できる人も多いです。
実際、中堅社員がクッションのような役割を果たし、スムーズに運営できている部署は多く存在します。そのため、中堅社員のモチベーション低下は、部署全体のコミュニケーションを停滞させる要因として注意しなければなりません。
ノウハウやナレッジが蓄積できなくなるリスク
中堅社員のモチベーションの低下は、ノウハウやナレッジの蓄積にも影響します。ノウハウやナレッジは、自社の業務を進めるうえで重要な知識や知見です。中堅社員は先輩や上司からさまざまなノウハウやナレッジを引き継いでいます。それをさらに後輩へ引き継ぎ、社内にノウハウやナレッジを蓄積することが重要です。
しかし、中堅社員のモチベーションが低下している状況では、ノウハウやナレッジが適切に継承されない恐れがあります。ノウハウやナレッジの蓄積に問題が生じれば、その後の企業の運営や業績にも悪影響をもたらすかもしれません。
中堅社員のモチベーション低下を防ぐ方法
では、どのようにしたら中堅社員のモチベーション低下を防げるのでしょうか。ここでは特に注目したい6つの方法を解説します。
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業務負荷の適正化や労働環境を改善する
中堅社員のモチベーションを低下させないためには、業務負荷を見直す必要があります。すでに触れたとおり、中堅社員には業務が集中しがちです。業務量が増えすぎるとモチベーションの低下を招くだけでなく、過労や疾病の原因にもなります。業務量が多いために長時間労働に陥るパターンもあるため、労働環境の改善が不可欠です。
中堅社員の業務の状況を定期的にチェックし、業務量や労働時間が適切かどうか確認しましょう。問題が見つかったときは早急な改善が必要です。業務の割り振りを見直し、特定の社員に負担が集中しないよう配慮してください。
中堅社員の待遇を改善する
中堅社員のモチベーションを維持向上させるには、待遇の改善も不可欠です。多くの中堅社員は高いスキルを身につけており、重要な業務を任せられています。その分、自社の業績にも大きく貢献している場合が多いです。よって、業務内容や活躍ぶりに見合う待遇でなければ、モチベーションは低下しやすくなります。
すでに触れたとおり、新入社員の初任給が上がっているため、中堅社員の賃金体制も見直しが必要です。重要な役割を果たしている中堅社員が納得できる待遇に改善できれば、高いモチベーションを保って業務に専念してもらえるでしょう。
ジョブローテーションを実施する
仕事のマンネリ化もモチベーションの低下につながるため、ある程度の刺激も重要です。具体的には、ジョブローテーションを実施すると、中堅社員のモチベーションの低下を防止する効果を期待できます。
同じ業務を長く続けている場合、マンネリ化が進んで仕事に対するモチベーションが低下する可能性が高いです。戦略的なジョブローテーションを実施すれば、中堅社員にとって適度な刺激となります。その結果、仕事に対するモチベーションが高まり、スキルアップやキャリアデザインに対する意欲も増すでしょう。
評価基準の明確化と適正なフィードバックを行う
モチベーションを低下させないためには、適切な評価も重要です。現行の評価システムを見直して明確化し、より適正なフィードバックを実施すれば、中堅社員のモチベーションを高める効果を期待できます。頑張りが正しく評価される環境なら、前向きな姿勢で積極的に業務に取り組めるでしょう。中堅社員が目標を達成したり、スキルアップを実現したりした場合に適切な評価を下せる制度を再構築すべきです。
単に評価をするだけでなく、上司による丁寧なフィードバックも実施すれば、モチベーションの低下をさらに防止できる可能性があります。
キャリアパスを提示して成長できる機会を提供
中堅社員のモチベーションの低下を阻止するには、具体的なキャリアパスの提示も必要です。キャリアの方向性が明確になると、中堅社員が自ら次のステップを目指して行動を起こせます。
たとえば、キャリアアップに必要なスキルを習得したり、経験を増やしたりするための支援に取り組みましょう。企業として積極的に中堅社員をサポートするとモチベーションの低下を防げるだけでなく、将来的に活躍できる社員を増やすことも可能です。
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研修プログラムを拡充する
中堅社員のモチベーションを上げるには、研修プログラムの拡充もおすすめです。中堅社員のニーズにマッチする研修を提供すると、スキルアップを通じて仕事に対するモチベーションを上げる効果を期待できます。普段の業務に活かせるため、業務の効率や業績の向上にもつなげることが可能です。
中堅社員のモチベーションを上げるために効果的な研修プログラムの内容については、以下で詳しく解説します。
中堅社員のモチベーションの向上を図る研修
中堅社員のモチベーションを向上させるには、研修の実施も有効です。具体的な研修の内容について解説します。
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モチベーション向上研修
モチベーション向上研修では、それぞれの社員が自分のモチベーションを高める方法を身につけられます。また、部下や後輩のモチベーションを高めるために必要な働きかけついても学ぶことが可能です。
具体的には、モチベーションを上げるために重要な考え方、習慣、思考のパターンなどを学習できます。最終的には、どのような状況もポジティブな発想で乗り越えるスキルを習得可能です。
キャリアデザイン研修
キャリアデザイン研修では、現在から将来までの働き方を見つめ直し、自分のキャリアについて考えられます。主体者意識の重要性を理解し、第三者の視点で自分の強みや弱みを確認することが可能です。改めてこれまでの自分のキャリアを振り返り、身につけたスキルや出した成果などを確認できます。
そのうえで今後の方向性について検討できるため、明確なキャリアプランを打ち出すことが可能です。具体的な目標を立てられると、日々の仕事に対するモチベーションの向上を期待できます。
まとめ
中堅社員は企業にとって重要な存在であり、モチベーションの低下は大きな問題につながります。中堅社員のモチベーションを保つためには、業務の見直しや待遇の改善も必要です。モチベーションが低下している場合はさまざまな兆候が見られるため、早い段階で把握しなければなりません。適切な対策により、中堅社員のモチベーションの低下を防ぎましょう。
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