ピグマリオン効果と対となる心理効果。ゴーレム効果について解説


ピグマリオン効果と対となる心理効果。ゴーレム効果について解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

ピグマリオン効果とは、部下が上司の期待に応えようとして自発的に成長する心理行動のひとつです。ピグマリオン効果と真逆となる心理行動に、ゴーレム効果と呼ばれるものがあります。仮に、ゴーレム効果が表に出てきてしまった場合、生産性やモチベーションの低下など、企業の経営活動において大きなマイナスになる可能性も否定できません。

では、企業としてゴーレム効果にはどのように対処すればよいのでしょうか。

本記事ではピグマリオン効果の概要とゴーレム効果の概要、ゴーレム効果の注意点と対処法について詳しく解説します。

ピグマリオン効果の概要



ピグマリオン効果とは、教育する側が教育を受ける者に対して期待をかけることで、期待をかけられた側の能力が向上するという心理行動のことです。アメリカの教育心理学者であるローゼンタールが提唱した理論で、別名ローゼンタール効果とも呼ばれています。

主に教育現場で採用されている考え方であり、ローゼンタール自身による実験も行われました。

ピグマリオン効果はビジネスでも活用できる

ピグマリオン効果は、教育心理学における心理行動のひとつであるため、教育支援での活用が一般的です。しかし、近年ではビジネスシーンでもピグマリオン効果が活用されています。

たとえば、人材教育やマネジメントにおいては、上司が部下に対して期待をかけていることを何らかの形で伝え、モチベーションアップや自発的に業務や課題を遂行していく流れが期待されている状況です。

前提として、ある程度の信頼関係が構築されている必要があるものの、より良い結果を残す可能性が高いことから、多くの企業で採用されている手法です。

よりピグマリオン効果について知りたい場合や細かな注意点に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。

「ピグマリオン効果」については、こちらの記事をご確認ください。

ピグマリオン効果の注意点

ピグマリオン効果を手法に取り入れる場合は、次の2点に注意しなければなりません。

  • 過度に期待をかけない
  • コミュニケーションとしても褒めすぎない


それぞれどのような点に注意すればいいのか、詳しくみていきましょう。

過度に期待をかけない

期待をかけることで部下のモチベーションや生産性をアップさせることがピグマリオン効果の目的です。しかし、過度な期待はプレッシャーに感じる人もいる点は把握しておきましょう。そのため、ピグマリオン効果を発揮させるためには、個々の性格に合わせたアプローチが必要になります。

また、期待をかけすぎるあまり、業務量や課題が過剰に多くなってしまわないようにコントロールが必要です。マネジメントの裁量で適切な期待をかけ、個人の特性やフォローを前提としてマネジメントを行いましょう。

コミュニケーションとしてもほめ過ぎない

ピグマリオン効果に期待する場合、コミュニケーションにおいても褒めすぎないように注意しなければなりません。たとえば、期待していることを伝えようとするあまり良かった点ばかり目を向けては、フィードバックとしても部下は不信感を抱いてしまう可能性もあるためです。

また、評価を行うために業務を俯瞰的に見た場合には、どのような業務でも良かった点と改善点があります。部下の成長を本当の意味で祈っているのであれば、良かった点と改善点を織り交ぜて伝えることを意識しましょう。

育成管理だけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析

時代は人材情報「管理」から人材情報「活用」へ!
タレントマネジメントシステム『タレントパレット』で、様々な教育課題と向き合えます。

・チェックシートへの回答だけで簡単に従業員のスキルを一括管理
・成長変化とスキルから従業員のポテンシャルを発見
・受講管理とアンケート収集で効果を測定し成長を支援
・評価やスキルと昇進タイミングを基に育成計画を設計

タレントパレットの資料を見てみたい

ゴーレム効果の概要



ゴーレム効果とは、上司や周囲から期待や関心を持たれない結果として、総合的なパフォーマンスが低下するという心理効果のひとつです。ピグマリオン効果と同じくローゼンタールが提唱した心理行動で、次の2種類に大別できます。

  • 絶対的ゴーレム効果
  • 本人が周囲から期待や関心を持たれていない場合に発生するゴーレム効果
  • 相対的ゴーレム効果
  • 本人が所属する集団が周囲から期待や関心を持たれていない場合に発生するゴーレム効果


どのパターンでも総合的なパフォーマンスが下がる心理行動である点に変わりはありません。相対的ゴーレム効果は、優秀な人がいたとしても環境によってパフォーマンスが下がってしまいます。企業視点でもプラスではないため、ゴーレム効果が少しでもあると感じた場合は改善が必要です。

ピグマリオン効果との違い

ゴーレム効果は、ピグマリオン効果とは次のように性質が真逆であり、得られる結果も真逆です。

  • ピグマリオン効果は、部下の成長を期待することで経営状況の改善や人材の育成につながる
  • ゴーレム効果は周囲を巻き込んでパフォーマンスの低下を招く


ピグマリオン効果はゴーレム効果とは全く反対の心理効果を示すものです。そのため、マネジメントにおいてもピグマリオン効果を知り、活用していく必要があります。ピグマリオン効果について知りたい方はこちらの記事へ。

「ピグマリオン効果」については、こちらの記事をご確認ください。

ホーソン効果との違い

ホーソン効果とは、注目してくれた人の期待に応えようとした結果、良い方向で生産性やパフォーマンスが向上する心理効果のことです。ゴーレム効果とは異なり、企業全体をプラスの方向に導く心理行動として知られています。

ピグマリオン効果とよく似ていますが、周囲人材から期待を寄せられているわけではなく、あくまでも注目を集めた結果パフォーマンスの向上につながるという考え方です。心理行動のひとつとして、使い分ける際は注意をしましょう。

「ピグマリオン効果ホーソン効果」については、こちらの記事をご確認ください。

ゴーレム効果の注意点

ゴーレム効果が発生する原因は、大きな問題ではないことがほとんどです。無意識のうちに発生しかねないゴーレム効果を極力引き起こさないようにするには、次の2点に意識を向けることが重要とされています。

  • 業務内容に対する目的は明確に伝える
  • マイナスな言葉を使わない


無意識のうちにやってしまいがちなため、日頃から意識的に上記の2点を心がける必要があるでしょう。

業務内容に対する目的は明確に伝える

ゴーレム効果が発生する主な原因としては、難易度の低い業務を部下に割り振った際に期待されていないと思い込んでしまうケースが挙げられます。

仮に、簡単な業務を部下にやってもらう場合は、なぜその業務をしてもらうのか、業務全体のどの部分に当たる業務なのかを詳しく説明しましょう。説明が不十分だと、部下は上司から期待されていないと勘違いし、ゴーレム効果の発生につながります。

難易度が高い業務に関しても同様です。必ず依頼する背景やその理由を伝えるようにしましょう。

マイナスな言葉を使わない

ゴーレム効果が発生するもうひとつの大きな理由として、不意に口にした次のようなマイナスな言葉が挙げられます

  • ミスを予見したかのような発言(またか。やると思った。)
  • 仕事に取り組む姿勢そのものを疑う言葉(やる気あるの?)
  • 部下の発言を無視するような言葉(言い訳はいいから。黙ってやれ。)
  • 部下の能力を疑うような言葉(意味わかる?理解できてる?)


全て発言者に悪意がなかったとしても部下にとってはマイナスな言葉として突き刺さるケースも少なくありません。このような言葉を受けることによって本人のモチベーションは下がっていき、ゴーレム効果へとつながってしまうといえるでしょう。

本人の能力や意識を疑ったり、無視したり否定したりするような発言は避けるようにしましょう。仮に無意識で使用してしまうようであれば、研修や学習などを通して意識から変えて行く必要があります。

ゴーレム効果の対処方法

ゴーレム効果が職場に与える影響は大きく、個人だけではなく組織全体のパフォーマンス低下につながるケースも多いといえるでしょう。部下の成長機会が妨げられるだけでなく、企業風土として新しい挑戦がしづらくなる点にも注意が必要です。

このような事態に陥らないためにも、ゴーレム効果に対する次の3つの対処法を知っておきましょう。

  • 課題を与え、達成する流れにピグマリオン効果を意識する
  • 適正なフィードバックを行う
  • ピグマリオン効果を意識し評価する


それぞれ具体的に何を行うのか、注意点も合わせて解説します。

課題を与え、達成する流れにピグマリオン効果を意識する

上司は部下に対して目標を設定し、それに対応する課題を与えて成長を促します。その流れの中でピグマリオン効果を意識することで、ゴーレム効果をなくすことが可能です。

イメージとして、スモールステップで成功体験を重ねていくことが大切だといえます。たとえば、細かく分けた目標を課題としてクリアしていくことで自己肯定感が高まり、周囲の期待や関心に関係なく成長を続けることができるでしょう。

適正なフィードバックを行う

適正なフィードバックとは、第三者がみても納得できるような公正・公平で、客観的な視点からフィードバックを行うことです。企業の風土として、管理職が適切にマネジメントを行う意識そのものを持っていない可能性もあるため、改善するには研修や社内教育で学び直す必要があるケースも少なくありません。

また、自社のフィードバックの方法に問題はないかを検証することも重要です。フィードバック方法に関しては研修が有効な方法として挙げられるため、管理職を対象としたフィードバックの研修を実施してもよいでしょう。

ピグマリオン効果を意識し評価する

ピグマリオン効果を意識したフィードバックは、加点方式でのフィードバックを意味します。減点方式で課題や改善点ばかり指摘していると、部下は期待されていないと勘違いしてゴーレム効果に陥ってしまうでしょう。

加点方式で部下を評価できるようになった場合、できたことや改善されたことに目を向けることができるようになるため、ピグマリオン効果が発揮されやすくなります。

仮に、これまで減点方式でフィードバックを行っていた上司にとっては、加点方式でフィードバックを行うことは難しいと想定されます。しかし、部下や企業を成長させるためには、ピグマリオン効果やプラスになる心理高度が役立つといえます。そのため、加点方式でのフィードバックを心がけ、部下のモチベーションが高まるような工夫をしましょう。

まとめ

ゴーレム効果は、業務中だけでなく、マネジメントの中でも不意に発生してしまう可能性のあるものです。企業全体を巻き込んでしまう可能性もあり、企業の経営活動そのものに悪影響を及ぼすケースも想定されるでしょう。

ゴーレム効果を引き起こしてしまっている場合は、真逆の心理行動であるピグマリオン効果を意識した人事評価やフィードバックを採用するようにしましょう。時間はかかるものの、ゴーレム効果解消とともに企業の人材育成や企業全体の雰囲気の変革につながる可能性があります。

今の社内の雰囲気がゴーレム効果の影響を受けているのか否かを判断する方法のひとつとして、経営課題の洗い出しも必要です。こういった場合は、タレントマネジメントシステムである「タレントパレット」を使えば、すぐに経営課題や人材の課題を洗い出すことができます。企業の風土改善などを目指しているのであれば、ぜひタレントパレットの導入をご検討ください。

タレントパレットのHPはこちら