こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
「パルスサーベイがどんなものなのか知りたい」「センサスサーベイと何が違うの?」「パルスサーベイを導入することで得られる効果は?」とお悩みの方が多いのではないでしょうか。近年の意識調査では、パルスサーベイが注目されています。パルスサーベイとは、社員に対して短い期間で意識調査を繰り返し、日々変わっていく考え方をリアルタイムで確認する方法です。
リアルタイムの情報を収集するので、調査頻度が上がり負担が大きく感じる方もいるでしょう。時間をかけても成果が出なければ「意味がないのではないか」と、考えてしまいますよね。本記事では、パルスサーベイを取り入れるメリットや実施方法を解説します。今の意識調査での改善に行き詰まっている人事担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
パルスサーベイの基礎知識
パルスサーベイは社員の意識調査を行う手法の一つであり、短期反復型です。短い期間で繰り返し行うことで、変わっていく考え方をリアルタイムで確認できます。ここでは、パルスサーベイの基礎知識について解説します。
- パルスサーベイとは社員の意識を調査する手法
- センサスサーベイとの違い
パルスサーベイのイメージが湧かない方やセンサスサーベイとの違いが知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
パルスサーベイとは社員の意識を調査する手法
パルスサーベイは脈拍の意味である「Pulse(パルス)」と、調査の意味である「Survey(サーベイ)」を一つにまとめた言葉です。脈拍を確認するのと同じように、高頻度で社員の健全性を素早く確認するという意味が込められています。
パルスサーベイを行うことによって、社員の会社に対する愛着心や仕事に対する思い入れなどを表すエンゲージメントを把握可能です。
センサスサーベイとの違い
センサスサーベイとは、簡単に言うと現在普及している一般的な意識調査のことです。年に1、2回程度と頻度が低く、調査内容が濃くなります。調査する組織と回答する個人に、かかる負荷が大きくなってしまいます。パルスサーベイとセンサスサーベイの違いを表にまとめましたので、参考にしてみてください。
パルスサーベイ | センサスサーベイ | |
調査頻度 | ・毎日 ・週1回 ・月1回 |
・年1回 ・半年に1回 |
設問数 | 10問程度 | 50問程度 |
特徴 | ・社員の状態がリアルタイムでわかる ・設問数が少ないのでお互いの負担が少ない ・異変を感じた段階で早めに対処できる |
・社員の状態が詳しくわかる ・設問数が多いのでお互い負担が大きい ・異変を感じたときにはすでに遅く、社員は退職を検討している可能性がある。 |
パルスサーベイとセンサスサーベイでは、実施する目的が違います。パルスサーベイは、社員の状態をリアルタイムで把握することが目的です。一方で、センサスサーベイの目的は社員や会社の状態を詳細に把握することです。
センサスサーベイは設問数が多いため、社員の状態や会社の問題点を詳細に把握できるというメリットがあります。会社の中には、パルスサーベイとセンサスサーベイを併用しているところもあります。
ITの進化で調査が容易になった
パルスサーベイは、短期間に繰り返し行う意識調査です。センサスサーベイよりも実施頻度が低いものの、担当者に負担がかかります。しかし、IT技術の進化で、パルスサーベイの実施が容易になりました。サーベイツールを活用すれば、人事担当者が聞き取る必要がなくなります。分析にAIを活用すれば短時間で済むため、人員の削減も可能です。
タレントマネジメントシステムを利用すると、パルスサーベイを効率的に実施できます。システムを有効活用するには、タレントマネジメントサイクルが大切です。タレントマネジメントサイクルについて詳しく知りたい方は、別記事「タレントマネジメントサイクル」をあわせてご確認ください。
パルスサーベイを実施する目的
パルスサーベイ最大の目的は、社員の状態をリアルタイムで把握することです。社員が現在何を考えているのかをしっかり確認しておくことで、抱えている問題を瞬時に把握し、解決策を提案できます。社員が不満を抱えている期間を短縮できるため、会社に対する信頼度が上がりやすいです。社員が自身のことを考えてくれる会社だと実感し、離職率低下につながるでしょう。
パルスサーベイを実施するなら、タレントマネジメントシステムを利用するのがおすすめです。必要事項を入力するだけで分析が完了するため、担当者の負担が大幅に軽減されます。パルスサーベイの担当者を減らせるので、他の業務に時間を使えるようになるでしょう。
タレントマネジメントシステムについて知りたい方は、別記事「タレントマネジメントシステム」をあわせてご確認ください。
パルスサーベイを導入する4つのメリット
パルスサーベイを導入することで、社員の状態をリアルタイムで把握できます。センサスサーベイではできなかった「社員の今」を知ることで、フォローまでにかかるスピードを改善可能です。問題に対して迅速に対応することで、社員の満足度を高められます。ここでは、パルスサーベイを取り入れるメリットを4つ紹介します。
- 社員の現状をリアルタイムで把握できる
- エンゲージメントの向上が期待できる
- 内省習慣が身につく
- コストパフォーマンスが高い
パルスサーベイのメリットがわからず、実施できずにいる人事担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
社員の現状をリアルタイムで把握できる
パルスサーベイは調査頻度が高いため、リアルタイムで社員の状態が把握できます。一定ではない気持ちの変化に、いち早く気づけるのがメリットです。早期の社員のケアが、満足度と会社への信頼につながります。自分のことを考えてくれていると感じてもらい、長く勤める意欲を持ってもらうよう心がけましょう。
パルスサーベイをタレントマネジメントシステムを使って行うなら、タレントパレットの導入を検討してみてください。社員一人ひとりの情報が整理され、わかりやすいグラフで調査結果を把握可能です。変化があった社員にいち早くヒアリングできるため、信頼関係を構築できます。タレントマネジメントシステムにお悩みの方は、タレントパレットの導入がおすすめです。
エンゲージメントの向上が期待できる
パルスサーベイは実施する頻度が高いので、最近の出来事を把握できます。現在遂行している仕事の問題点を上司が把握でき、すぐ部下に指摘して行動してもらえれば、業務効率が上がるでしょう。また、問題に対する対処が早ければ、社員からの信頼が上がります。その結果、社員一人ひとりのエンゲージメントの向上が期待できます。
社員エンゲージメントの向上が目的なら、エンゲージメントサーベイを実施するのもおすすめです。エンゲージメントサーベイついて詳しく知りたい方は、別記事「エンゲージメントサーベイ」をあわせてご確認ください。
内省習慣が身につく
社員が仕事で成果を上げて成長していくためには、個人が内省することが必要です。社員が自分を見つめ直す機会を設けることが大切です。社員から上がった報告に対して、適切なフィードバックをしましょう。パルスサーベイを実施すると、社員が自分を見つめ直す機会になります。繰り返すことで、社員に内省する習慣が身につくでしょう。
ただし、内省する習慣を身につけてもらうには、有効な設問を用意する必要があります。さらに、社員の回答に対してフィードバックを行うと、より大きな効果が期待できます。社員に内省習慣を身につけてもらいたいなら、適切な設問を用意するだけでなく、フィードバックも行いましょう。
コストパフォーマンスが高い
パルスサーベイは、一般的な調査であるセンサスサーベイと比較すると低コストです。センサスサーベイは調査や分析が大掛かりのため、外注せざるを得ない場合があるでしょう。外注すれば、自社のリソースを割く必要がなくなりますが、費用がかかります。
それに対して、パルスサーベイは1回あたりの設問数が少ないため、調査や分析にかかる負担を軽減できます。他社に依頼しなくても自社で運用できるため、コストパフォーマンスが高いです。
パルスサーベイの実施手順4ステップ
パルスサーベイがどんなものか理解できても、運用方法がわからなければ実施できません。少しでもやり方がわかれば、導入を検討しやすくなります。ここでは、パルスサーベイの実施方法を4ステップで紹介します。
- 設問項目の設定
- 実際の調査
- 調査結果の集計・分析
- 課題を検証して対策を実施
一つひとつ確認して、パルスサーベイを実施してみましょう。
設問項目の設定
設問項目の設定には、具体的な目的を定める必要があります。以下のような複数の項目の目的を定めても問題ありません。
- 仕事
- 職場環境
- 人間関係
目的が決まれば、それに合わせて5〜10問の設問を設けます。設問が少ない方が、回答率が上がりやすいメリットがあります。しかし、少なすぎたら得られる情報量が少なくて、活用できなくなる可能性があるため注意が必要です。
フリーコメント欄を設けると、リアルな意見を集めやすくなります。何も記載しない人が多いですが、本当に改善してほしいといった強い思いのある人には記載してもらえるでしょう。
実際の調査
利用調査フォーマットを作成してメールなどで一斉送信すると、担当者の負担が減らせます。より簡単な設問設定にすることで、答えやすくなります。回答率が上がるように、送信する時間帯にも工夫することが必要です。
回答者の個人名を記載するシステムにするなら、個人情報を漏らさないように気をつけましょう。回答内容が他の社員に共有されてしまったら、回答率が下がると同時に正直に書いてもらえなくなってしまいます。個人の回答結果は、他の社員には共有されないように徹底しましょう。
調査結果の集計・分析
調査結果の集計や分析は、できるだけ早く抽出する必要があります。変化を起こした社員への対応が遅れると、精神的に追い込まれ、休職や離職につながる可能性があるためです。できるだけ早く集計・分析して、社員や上司へフィードバックを実施しましょう。
課題検証・対策実施
パルスサーベイでは、調査そのものをゴールとするわけではありません。結果を分析し、課題を検証することが必要不可欠です。良かった点と悪かった点を、しっかりまとめておきましょう。良かった点は継続するだけでなく、施策をさらに強化するのがおすすめです。悪かった点は、次回調査までに改善策を打ち出し、対応しておきましょう。パルスサーベイでは、常にタイムリーな調査や対策が求められます。
パルスサーベイの4つの質問例
パルスサーベイで効果を得るための適切な設問設計は、難しいと感じる方が多いのではないでしょうか。エンゲージメントの向上に直結する設問があるのが理想です。ここでは、パルスサーベイの具体的な設問例を4つのジャンルにわけて紹介します。
- 業務内容
- 社員の健康状態
- 社内の人間関係
- 現在の職場環境
パルスサーベイの設問設計が難しい場合は、ここでしっかりと確認しておきましょう。
業務内容
業務内容の設問では、社員が仕事にやりがいを感じているか、業務の効率性がよいかなどを設定します。業務内容が社員とマッチしているかを確認するのが目的です。社員自身に適している自覚がないと満足度が下がり、生産性がなかなか上がりません。
- 今の仕事は自分に適していますか?
- 最近仕事で達成感を感じられましたか?
- 仕事は効率よく進められていますか?
- 今の仕事量は適切だと感じていますか?
- 仕事で困っていることはありますか?
上記5つの項目を参考にして、作成してみましょう。
社員の健康状態
社員の睡眠状態や食事状況を把握することで、過度なストレスを抱えていないかを判断できます。睡眠不足や食事摂取不足は、長い期間続くと体調を崩しやすくなります。
- 睡眠時間は足りていますか?
- 睡眠時間が足りていないなら、それはなぜですか?
- 仕事でストレスを抱えていますか?
- イライラしやすい状態ですか?
- 仕事と私生活のバランスは合っていますか?
社員の健康状態を把握して、素早く異変に気づける環境をつくることが大切です。
社内の人間関係
長期間同じ会社に勤務し続けるには、良好な人間関係を築くことが大切です。業務内容が社員に合っていても、人間関係がうまくいかないと離職につながる可能性があります。
- 職場にハラスメントがあると感じますか?
- 何でも相談できる同僚がいますか?
- 尊敬できる上司はいますか?
- 上司の指導に共感できますか?
- 職場の人間関係は良好であると感じますか?
的確な質問をして、社内の人間関係が良好であるかを把握しましょう。うまくいっていない場合は、早めに対策を考える必要があります。
現在の職場環境
働く環境が社員自身に合っているかを、確認することが大切です。社員がスキルアップしたいのにできない環境なら、改善する必要があります。
- スキルアップできる環境ですか?
- わからないことは何でも質問できますか?
- 上司からの指導は適切ですか?
- 部下への指導は適切にできていますか?
- 会社は自分を必要としていると感じられますか?
社員が働いている職場環境をしっかり把握して、必要なら素早く改善します。不明点を何でも質問できる環境にしておきましょう。
パルスサーベイ3つの注意点
パルスサーベイの効果を最大限に発揮させるためには、人事担当者だけでなく社員一人ひとりの意識が大切です。気をつけるべきところを理解して進めましょう。ここでは、パルスサーベイの注意点と対策を3つ紹介します。
- マンネリ化する可能性がある
- 実施だけが目的になる可能性がある
- 事実を回答しやすいように閲覧範囲を説明する
タレントマネジメントシステムを利用すれば、パルスサーベイを効率よくできます。タレントマネジメントシステムを利用する目的がよくわからない場合は、別記事「タレントマネジメントシステム目的」をあわせてご確認ください。
マンネリ化する可能性がある
パルスサーベイを実施すると、社員は短いサイクルで同じ調査を受けます。回数を重ねると惰性に流されて適当に回答するケースや、設問を読まずに回答するケースがみられる場合があります。回答することが負担に感じる社員もいるかもしれません。
パルスサーベイの目的を果たすためには、社員全員にパルスサーベイを実施する意味を周知する必要があります。パルスサーベイを実施する意味を周知し、会社が働きやすい職場環境の構築を目指していることを社員に実感させることが大事です。意識調査がマンネリ化しないように、時期によって質問内容を変えるのもひとつです。
実施だけが目的になる可能性がある
パルスサーベイの回数を重ねることによって、実施だけが目的となってしまうケースがあります。パルスサーベイを実施するときは、目的を社員一人ひとりに共有するのがおすすめです。回答する社員にしっかり説明をして必要性をアピールすることで、意味のある調査になります。今の会社や職場がどのような問題を抱えているかを共有すれば、一緒に改善する意識を持ってもらえます。
また、運営側が本来の目的を忘れ、得られるものがなくなってしまっては本末転倒です。義務的になってしまうことを阻止するためにも、具体的な目的や設問を見直すなどの施策を行い、運営側にもパルスサーベイの目標を再認識させましょう。
事実を回答しやすいように閲覧範囲を説明する
パルスサーベイの結果を社員に共有する場合は、閲覧範囲を社員に説明する必要があります。他の社員には、自身の回答を知られたくないと感じる人がほとんどです。会社には事実を伝えたい気持ちがあっても、社員に共有されるなら事実と異なる回答をすることがあるので注意しましょう。
- 個人が特定された調査結果を知る人は誰なのか
- 各部署に共有されるときは個人を特定できないようになっているのか
- どのように共有されるのか
- なぜ共有が必要なのか
上記4つのことは、少なくとも説明しておく必要があります。嘘偽りのない正直な回答を得るために、事前説明はしっかりしておくのがおすすめです。
パルスサーベイのまとめ
パルスサーベイは、一般的な意識調査であるセンサスサーベイと異なり、調査頻度が高いです。短期間で実施するためリアルタイム性が高く、社員の意識動向を把握できるというメリットがあります。パルスサーベイを有効に活用して社員のエンゲージメントを上げるには、設問設計やHRテクノロジーの活用が必要不可欠です。
パルスサーベイを実施して効果を得たいなら、タレントパレットの導入を検討してみてください。自由に設問項目を設定でき、目的に合わせて活用できます。テキストマイニング技術で、社員の声を可視化できる仕組みです。社員のモチベーションチェックもできるので、離職率防止の対策ができます。
タレントパレットを導入してパルスサーベイを実施すれば、社員の意見を整理できます。社員一人ひとりの状態が一目でわかるので、いち早く社員の変化に気づけます。パルスサーベイを効果的に導入したいと考えている方は、お気軽にご相談ください。