目標管理シートの基本項目と職種別のテンプレート・例文!ポイントや注意点も解説


目標管理シートの基本項目と職種別のテンプレート・例文!ポイントや注意点も解説

社員のマネジメントやスキル向上に役立てるため、目標管理シートは、さまざまな企業で導入されています。しかし、目標管理シートを導入していない場合は、どのように記入すればよいかわからないケースもあるでしょう。そこで、この記事では目標管理シートの役割やメリットを紹介します。基本項目や職種別のテンプレートも紹介するので、ぜひ参考にしてください。


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目標管理とは

まずは、目標管理の特徴や似た用語との違いについて解説します。


目標管理の特徴

目標管理は企業で用いられる組織マネジメントの手法です。社員自らが業務目標を設定・申告し、進捗・結果を管理します。英語の表記は「Management by Objectives」です。目標管理は英語表記を略してMBOと呼ばれることもあります。


目標管理と目標設定の違い

目標設定とは、企業・部門・個人などが目的やゴールなどを設定することを指します。目標設定の目的とは、目標達成への道のりを可視化することです。目標管理は、社員自らが業務目標の設定から結果までを管理します。目標設定は目標管理の一部です。


目標管理制度とは

目標管理制度とは、企業の目標と個人の目標を一致させることで、業績向上につなげるための仕組みです。目標管理を個人、チーム、部署単位で行い、目標を設定・管理する手法を指します。


目標管理制度の歴史

目標管理制度は、アメリカの経営学者が1954年に著書で提唱したマネジメント手法です。日本では、1990年代に多くの企業が導入するようになりました。


目標管理制度と混同されやすい用語

目標管理制度と類似した制度・手法がいくつかあります。それぞれの特徴や目標管理制度との違いは以下のとおりです。


OKR

OKR(Objectives and Key Results)とは、マネジメント手法の1つです。企業・部署・チーム・個人などの階層ごとに目標を設定し、リンクさせて同じ目標に向けて取り組む目標設定方法になります。目標の見直しや達成の頻度が目標管理制度より多いことが特徴です。


OKRの目標設定の特徴と進め方!企業・部門・個人別の手順と注意点


KPI

KPI(Key Performance Indicator)とは、マネジメント手法ではなく、目標設定のために使用される指標です。特定の目標や目的の達成度を測定するため、売上目標を決める際は売上額や顧客獲得数などにKPIを設定します。


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KGI

KGI(Key Goal Indicators)とは、重要目標指標と呼ばれる、組織の最終的な成果や成功を表す指標です。KGIは、組織全体の目標に直結した達成状況を示します。


目標管理シートを導入する目的

目標管理シートとは、業務目標を明確にし、進捗や達成度を管理するためのシートです。目標管理シートには、社員の自主性、マネジメント、育成効果を高めるなどの目的があります。


目標管理シートは上司(評価者)と共有するため、上司は部下の目標・計画・プロセスなどの把握が可能です。目標管理シートを活用することで、より効率的なマネジメントを行えるようになります。


目標管理シートを導入するメリット

目標管理シートを導入すれば、以下のように企業にとって多くのメリットをもたらします。


客観的かつ透明性の高い人事評価ができるようになる

目標管理シートがあれば、目標までのプロセスや達成度が可視化できるようになります。あらかじめ担当業務に合った評価基準を設定できるため、達成度に応じた評価がしやすくなるでしょう。社員自身が作成した目標管理シートをもとに人事評価を行うため、評価される側の納得感が得られやすくなります。


社員のモチベーション向上につながる

社員自らが目標を管理するため、積極的、意欲的に業務に取り組めるようになります。目標を達成すると、社員のモチベーションアップも期待できるでしょう。目標管理シートを基準に評価すれば、社員自身が行うべきことがわかるようにもなります。


社員の自主性を高める

社員自ら目標を管理することで、業務に対する自主性が高められます。自ら立てた目標をもとに達成を目指すため、自主的に業務にあたれるようになり、仕事に対する意識の変化やスキルの向上なども期待できるでしょう。


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目標管理シートの基本項目のテンプレート

目標管理シートに記載する内容は、業種によって異なりますが、まずは目標管理シートに記載する基本項目を解説します。


目標管理シートの書き方とは?メリット、効果的に活用する方法を解説|職種別の例文も紹介


業務目標

個人の目標を記載する項目です。組織全体や所属部署などの目標とずれが生じていないかを確認することが重要になります。具体的な目標と共に、可能な限り「前年比20%増」などの数値を記載すると、達成度に対しての評価がしやすくなるでしょう。


目標達成の評価基準

目標達成の評価基準をあらかじめ明確にしておくと評価がしやすくなり、目標達成に向けて社員のモチベーションアップにもつながります。ただし、「目標を達成するように努力する」「頑張る」などの曖昧な表現にはしないようにしましょう。


設定した目標に対しての達成度を段階別に分けることがポイントです。前年比より売上が20%以上増えた場合は評価「S」、10~20%であれば評価「A」など、アルファベットの評語を用い、それぞれに対応したスコアを分けると評価がしやすくなります。


目標達成までの期限

何年何月までに目標を達成するかを記載する項目です。上司からの指示がない場合は、目標の内容や性質に合わせて適切な期限を設定しましょう。期限を過ぎるとマイナスの評価を受ける可能性もあるため、実現可能なスケジュールにすることがポイントです。


成果指標・行動計画

目標と期限から、取り組むべき内容を洗い出し、成果指標にします。現実的かつ具体的な指標が望ましいでしょう。洗い出した成果指標を、行動計画に落とし込みます。


結果

最終的な成果、達成度、評価を記載します。実際の結果だけではなく、目標達成に向けた工夫、努力、具体的な行動などの定性面の事柄も記載しましょう。達成度は、数値などで具体的に示せるようにしておき、目標を達成できなかった場合は改善点や今後の課題を記載します。


振り返り

結果に対する振り返りや考察を記載します。目標達成できた理由、できなかった理由を振り返り、次期に生かせるようにしましょう。上司のフィードバックを記入欄を設けることで、上司からの客観的かつ実践的なアドバイスが得られることもあります。


目標管理シート導入のポイント

目標管理シートを導入する際は、以下のようなポイントを押さえておきましょう。


社員の自主性を尊重する

社員が主体的に取り組めるように自主性を尊重することが重要です。上司が一方的に部下の目標を決めれば、自主性がなくなり、部下のモチベーションも低下します。


導入目的を周知する

目標管理シートを導入する際は、まず組織全体に周知しましょう。なぜ導入するのか、どのような効果が得られるのかを具体的に説明すれば、社員の理解と納得感を得られます。個人の成長につながる、評価の公平性や透明性が高まるなどのメリットも合わせて伝えることもよいでしょう。


達成可能な目標にする

高い目標を持つことはよいことですが、高すぎる目標は達成できないとモチベーション低下の原因になります。ただし、目標が低すぎても社員のスキルアップにつながらず、企業のためにもなりません。努力すれば達成できそうな現実的な目標にすることがポイントです。


短期間で達成できる目標も設定する

目標が高すぎる場合は、成功体験を得られにくいため、短期間で達成できそうなサブの目標も設定することがポイントです。成功体験を積み重ねることで自信がつき、モチベーションを少しずつ高められます。挑戦すべき目標と達成可能な目標を、バランスよく組み合わせることがポイントです。


フィードバックを反映させる

目標管理では、社員の自主性を尊重しつつも、組織や部署の目標とリンクした目標であることが大切です。目標を設定する際は、上司のフィードバックをもらい、改善したほうがよい場合は修正して、よりよい目標にします。


目標管理シートを活用するポイント

目標管理シートを活用するためには、以下のようなポイントを押さえておく必要があります。


進捗確認やフィードバックは定期的に行う

目標管理の際、上司は部下の進捗を定期的に確認し、フィードバックを通して目標達成の確度を高めます。部下に不安や問題点があれば、早期に解決することで目標達成に近づけるでしょう。


PDCAサイクルをまわす

目標管理シートは、以下のようなPDCAサイクルを継続的にまわすことで、より効果的になります。C(Check)の進捗確認では、具体的な数値や事実にもとづいて現状を把握することがポイントです。


  • P:目標設定(Plan)
  • D:実行(Do)
  • C:進捗確認(Check)
  • A:改善(Action)


必要があれば目標を修正する

適切な目標を決めても、社内外の環境変化や本人のスキルが原因で目標達成が難しいことが判明するケースもあります。達成が困難であると判断できる場合は、上司と部下で相談し合い、目標を変更することも必要です。修正を必要なタイミングで行うことで目標を達成しやすくなります。


目標管理シートのフィードバックを効果的に行う方法

上司が部下に対して目標管理シートのフィードバックを効果的に行うには、以下のような方法があります。


場所

まずは、お互いが納得いくまで話せる場所を確保しましょう。社員のプライバシーに配慮し、安心して話せる場所で行うことがポイントです。場所を早期に確保して部下に伝えることで、部下は面談の重要性を認識しやすくなります。


時間

上司は面談が続くとスケジュールどおりに済ませたいと考える傾向があります。しかし、社員がフィードバックに納得できるかどうかが重要です。途中で切り上げる、納得しないまま終わるなどは、社員のモチベーションを下げることになるので注意しましょう。面談を延長できない場合は、再面談ができるようにスケジュールを調整します。


頻度

目標管理シートのフィードバックは、月に1回など一定の頻度で行う面談が理想的です。フィードバックを頻繁に行うことで、部下のモチベーションの維持・向上が期待できます。


目標管理シートを効率的に運用する方法

目標管理シートは、組織規模が大きい場合や担当している部下が多い場合は形骸化しやすくなる傾向にあります。適正な目標管理や人事評価を行うには、目標管理を効率化するシステムの導入を検討するのもよいでしょう


目標管理システムや目標管理の機能を搭載したタレントマネジメントシステムを利用すれば、データの一元管理ができて、目標管理から評価までを効率的に行えます。


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目標管理シートを導入する際の注意点

組織目標と個人の目標が結びついているだけではなく、目標達成に向けた意欲や主体性を持てるような目標を設定しましょう。達成に向けた意識が薄いと意欲が湧きません。また、目標の数が多いと中途半端に終わってしまうことがあります。優先順位をつけて、上位3つ程度の目標に絞ることがポイントです。


目標管理シートのフォーマットを頻繁に変更すると混乱を生じさせます。誰でも理解しやすく記入しやすいものを最初に決めて導入しましょう。


目標管理シートのポイント・テンプレート【営業職】

まずは、営業職の目標管理シートのポイント・テンプレートについて解説します。


営業職の目標管理シートのポイント

営業職は、成果や数値などの目標を具体的な数値で示しやすい職種です。成約件数や売上など、設定した数値目標を達成するために必要な具体的な行動も記載します。


営業職の目標管理シートのテンプレート

営業職の目標管理シートのテンプレート例は、以下のとおりです。


  • 営業部の売上拡大に向けたアポイント獲得のために、1日の架電回数を〇件にし、年度末までに新規顧客を〇件獲得する
  • 売上を前年比◯%増やすため、アポイントを◯件増やす


目標管理シートのポイント・テンプレート【事務職】

事務職の目標管理シートのポイント・テンプレートについて解説します。


事務職の目標管理シートのポイント

事務職は営業部とは異なり、定量的な目標の設定が難しい職種です。ただし、コスト削減の目標などは、定量的な目標にしやすいでしょう。


事務職の目標管理シートのテンプレート

事務職の目標管理シートのテンプレート例は、以下のとおりです。


  • 紙の書類を整理してDXを推進し、〇月までに印刷コストを前年比より◯%削減する
  • 〇月末までにダブルチェック体制を整え、発注ミスをゼロにする


目標管理シートのポイント・テンプレート【管理部門・バックオフィス職】

経理部・人事部・総務部などの管理部門・バックオフィス職の目標管理シートのポイント・テンプレートについて解説します。


管理部門・バックオフィス職の目標管理シートのポイント

管理部門・バックオフィス職は、売上に直接的に関わらない部門のため、業務効率化、費用削減などを目標として設定することが多い傾向にあります。専門知識が求められる職種は、資格の取得などを目標にすることもおすすめです。


管理部門・バックオフィス職の目標管理シートのテンプレート

管理部門・バックオフィス職の目標管理シートのテンプレート例は、以下のとおりです。


  • 従業員満足度調査を◯月までに行い、課題を解決して前年に比べて離職率を〇%低下させる
  • 〇月までに日商簿記検定の1級を取得し、新たな業務に〇つ以上挑戦する


目標管理シートのポイント・テンプレート【技術職】

エンジニアやプログラマーなど技術職の目標管理シートのポイント・テンプレートについて解説します。


技術職の目標管理シートのポイント

技術職の定量目標は、納期を遵守することや納期後のトラブルを低減することなど、売上に対して間接的に貢献できる目標にする傾向があります。定性目標は、顧客満足度の向上や技術力の向上などを目標にすることが多いようです。


技術職の目標管理シートのテンプレート

技術職の目標管理シートのテンプレート例は、以下のとおりです。


  • 〇月までに、オンライン授業を毎日受講し、C#のプログラミング言語をマスターする
  • 調達部と連携し、〇月までに代替素材による試作を完成させて低コスト化を目指す


目標管理シートのポイント・テンプレート【サービス職】

アパレル販売、外食、カスタマーサポートなど、サービス職の目標管理シートのポイント・テンプレートについて解説します。


サービス職の目標管理シートのポイント

サービス職は、売上の向上、顧客数、顧客満足度など、定量的な数値目標が設定しやすい職種です。目標の数や難易度を精査して、適切な目標を立てましょう。


サービス職の目標管理シートのテンプレート

サービス職の目標管理シートのテンプレート例は、以下のとおりです。


  • 1日あたり〇人の顧客へ積極的な声がけを実施し、〇月までに売り場の個人売上を〇%アップさせる
  • 〇月までにイベント案を提出し、来期の集客数を〇%アップさせる
  • 〇月までに、月に1回の研修を徹底し、応対品質を〇点アップさせる


目標管理シートのポイント・テンプレート【企画・マーケティング職】

経営企画、Webマーケティング、広報などの目標管理シートのポイント・テンプレートについて解説します。


企画・マーケティング職の目標管理シートのポイント

営業職と同様に、目標を数値化しやすい職種です。企画の採用数、マーケティング施策に対する反応率など、数値で具体的に目標を設定しましょう。


企画・マーケティング職の目標管理シートのテンプレート

企画・マーケティング職の目標管理シートのテンプレート例は、以下のとおりです。


  • SNSから購入する人の割合を〇%伸ばすため、投稿を毎日〇回行う
  • ・見込み客の拡大を目指して〇月までにメールマガジンの開封率を〇%アップさせるため、開封してもらいやすいタイトル案や送信時間や曜日の最適解を見つけて運用する


目標管理シートのポイント・テンプレート【管理職】

最後に、管理職の目標管理シートのポイント・テンプレートについて解説します。


管理職の目標管理シートのポイント

管理職の定量的な目標は、個人的な成果ではなく部署やチーム全体の目標を設定し、達成度を目標にする傾向にあります。管理職の定性的な目標は、職場の環境改善や部下のメンタルケアなど、マネジメント視点での目標にするとよいでしょう。


管理職の目標管理シートのテンプレート

管理職の目標管理シートのテンプレート例は、以下のとおりです。


  • 成績上位のメンバーのノウハウをチームで共有し、〇月までにチームの売上目標を〇%アップさせる
  • 〇月までにより働きやすい職場環境を目指し、メンタルケアに関する研修を企画し、実施する


まとめ

目標管理シートを導入することで、評価者である上司は、評価する部下の目標・計画・プロセスなどが把握しやすくなります。導入前よりも効率的なマネジメントを行えるようになるでしょう。本記事では、職種別の目標管理シートのテンプレートも紹介したので、ぜひご活用ください。


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