人事評価への活用で注目されるAI!導入メリット・注意点・企業事例を紹介


人事評価への活用で注目されるAI!導入メリット・注意点・企業事例を紹介

近年、人事評価にAIを導入する企業が増えています。この記事では、人事評価にAIを導入するメリット・デメリットをはじめ、日本で導入が進まない理由や注意点について解説するため、ぜひ参考にしてください。さらに、人事評価にAIを導入している企業事例も紹介します。


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人事評価への活用で注目されるAIとは

AIはデータに基づいて客観的な分析ができます。人事評価業務の全てをAIに任せることは難しいですが、一部の人事評価プロセスを担うのは可能です。人事評価にAIを導入すれば、担当者の負担を軽減しながら、公平な評価を補助できます。具体的には、以下のような業務にAIを活用することが可能です。


  • 人事評価データの集計・分析
  • 人事評価のパターン検出
  • 人事評価のバラつき補正


人事評価にAIを導入するメリット

人事評価にAIを導入すれば、以下のように企業にとって多くのメリットをもたらします。


人事担当の業務効率が向上する

人事評価の業務は一般的に、評価シートの配布や回収、評価データの集計など一連の作業があります。AIを活用したシステムを導入すれば、一連の作業を自動化できるため、担当者や評価者の負担が軽減されるでしょう。人事への問い合わせも、AIチャットボットを活用することで対応を自動化できます。


公平・迅速な意思決定ができる

人間が評価すると、無意識のうちに偏見や感情に左右されたり、評価者による認識のずれが発生したりするケースがあります。評価業務をAIが行うことで公平性が保たれるだけではなく、意思決定も早くなるのがメリットです。また、AIが評価することで、公平性が保たれているという信頼感が増し、社員の納得感も高まります。


複数の評価項目から多角的な評価ができる

複数の評価項目など膨大なデータがあったとしても、データの蓄積や分析が得意なAIを使えば短時間で評価できます。人の手によって新しい項目を追加する際は、人的リソースが必要になりますが、AIを活用すれば項目が増えても処理にかかる時間はほとんど変わりません。複数の評価項目から多角的に判断できるようになるため、納得感も得られやすくなります。


人材の発掘につながる

AIは社員の能力やパフォーマンスを公平に評価できます。そのため、導入前に公平性が保たれていないことが課題だった場合は、人間では見過ごしていた新たな可能性を見つけやすくなるでしょう。十分な機会を得られないまま、能力を発揮できなかった社員のモチベーション向上などにもつながります。


チャンスに恵まれないと感じる社員が離職を決断するなどの損失を防ぐことができるのは、大きなメリットといえるでしょう。


エンゲージメントが向上する

公平な評価や正当に評価されているという実感は、社員の会社に対する愛着心や思い入れを表す「エンゲージメント」の向上にもつながるでしょう。人事評価は、評価者も評価される側も大きな負担がありますが、AIが評価することで評価業務における気の重さを軽減することもできます。


コスト削減につながる

紙ベースの評価業務からAIを活用した人事評価に変更すれば、紙や印刷などのコストも削減可能です。AIを活用することで人的リソースも減らせるため、コア業務に集中できるようになります。


評価精度が向上する

人間が評価する際のデメリットは、評価者の記憶や主観に惑わされるなど、評価者によって精度にばらつきが出ることです。AIは、売り上げやコスト削減率などの数値・数量で表せる「定量データ」、勤務態度やお客様の声など数値・数量で表せない「定性データ」を総合的に分析できるため、評価精度の向上が期待できます。


また、過去のデータを統計的に分析することもできるため、「過去5年間の評価データに比べて評価が極端に低い」などの条件で抽出すれば、評価の見直しや改善点を見つけることも可能です。


人事評価にAIを導入するデメリット

人事評価にAIを導入すれば、企業に多くのメリットをもたらしますが、デメリットがあることも事前に確認しておく必要があります。


導入コストがかかる

AIシステムを導入する際は、選定や導入の工程で、人件費、データ収集・加工費、ソフトウェア・ハードウェア費、教育費などのコストがかかります。


近年は、IT導入補助金、ものづくり補助金、持続化補助金などの補助金制度もあるため、補助金を活用できれば負担を軽減できるでしょう。教育においては、AI開発会社の資料・セミナーなどでサポートを受けられるケースもあります。


ブラックボックス化する可能性がある

AIが人事評価を総合的に判断しているとしても、なぜそのような結果になったのかわからない状態である「ブラックボックス化」することがあります。ブラックボックス化している場合は、社員からの納得は得られにくいでしょう。


社員からの納得を得るには、評価基準を開示する、最終的な意思決定は評価者が行う、評価理由を説明できるようにするなどの工夫が必要です。社員が納得しなければ、評価制度そのものに不満が挙がったり、エンゲージメントが低下したりする可能性があります。


評価担当者がAIに依存する

AIはあくまでも意思決定の支援ツールであり、最終決定を行うツールではありません。AIが補助的なものであることを忘れてしまい、依存率が高まると危険です。AIを過大評価し過ぎず、評価データに偏りがないかを定期的に確認する、AIが出した評価を監視するなどの作業が必要になります。


社員に不安を抱かせて反発される可能性がある

AIの評価プロセスをわかりやすく説明できないと、社員が「なぜこのような評価になったのだろう」などの不安を抱くことになります。低評価を受けた場合などは、成長する機会が失われることにもなるため、不利益を被ったと反発されるケースもあるでしょう。


過去には、AIを用いたシステムを導入し、人事評価制度として運用したことで、企業と労働組合が衝突した事例もありました。


偏った評価になる可能性がある

AIは過去のデータを学習して評価を行うのが一般的です。そのため、過去の評価データが低評価だった場合は、AIも過去のデータを引き継いでしまう可能性があります。特定の大学出身者を過大評価する、特定の職種が低い評価になるなどのバイアスが入り込む可能性も否定できません。


実際に、アメリカのアマゾン・ドット・コムでは、人材採用システムを推進していましたが、差別的な考えを持つ欠陥が見つかったため、2018年にシステムの運用を停止しました。


日本で人事評価にAI導入が進まない理由とは

日本は、欧米に比べて人事評価に対するAI導入が遅れているといわれています。主な理由は以下のとおりです。


活用方法がわからない

AIツールを導入しても、どこまでを業務に活用してよいのか、十分に活用できそうにないなど、活用方法がわからないというハードルがあります。AIは近年急速に発展した技術でもあるため、学んでいない、もしくは学び方がわからないというケースも多いようです。


評価データが整理されていない

AIを活用するには、正確かつ最新であり、抜け漏れやバイアスのない質の高いデータと、目的達成に近づくためのデータ量が必要です。AIはデータ学習を積み重ねることで分析の精度が上がりますが、そもそも元になるデータが整備されていないケースもあります。


評価業務が紙やExcelの場合や、データ書式・保存場所が異なっている場合は、AI導入の前にデータの整備をする作業が必要です。


AIリテラシーが不足している

AIリテラシーとは、生成AIを安全に活用するために必要な知識や心構えです。ビジネスでAIを活用するには、AIの活用を目的化するのではなく、ツールとして使いこなせる「AIリテラシー力」が必要になります。しかしながら、AIリテラシーを学ぶ機会がないために、導入に踏み切れないこともあるようです。


人事評価にAIを導入する際の注意点

人事評価にAIを導入する際には、多くの注意点があります。主に以下のような点に注意しましょう。


社員にAI評価の説明を行う

人事評価にAIを導入する際は、社員の納得感を得るために評価基準や評価理由を事前に説明しておくことが重要です。どのようなデータが判断材料になるのか、判断までの過程が公平であることなどを説明しておくと納得を得られやすいでしょう。


また、社員にどのようなメリットがあるのかを伝えることも重要です。社員から質問や相談がある場合は、担当者が対応することで信頼感が得られます。


AIによる評価基準を明確にする

AIが行う範囲と評価者が判断する範囲を明確にし、社内で共有することも大切です。社員が評価内容を理解し、適切なフィードバックを受ける機会を設けると納得感が得られやすくなります。


しかし、質問や相談があったときなどに、評価の基準などの詳細までは開示できないようなケースもあるでしょう。そのような場合は、評価に使用するデータの種類や、AIが出した結果をどのように反映するのかを説明できるようにしておくと、社員の不信感が和らぎます。


手段と目的を明確にする

AI導入の目的と手段を明確にしておくことも必要です。ただ最新技術を取り入れるのではなく、評価の公平性向上、業務効率化など、組織の具体的な課題や目標に基づいてAIシステムを検討して導入しましょう。


役割分担を明確にする

AIは優れたツールである一方で、人事評価においては人間の判断も欠かせません。AIが出した評価スコアのみで判断するのではなく、最終的な決定は評価者が行うなどの役割分担が必要です。AIと人間の判断を組み合わせることで、客観的な評価と柔軟な判断が両立できます。


必要に応じて修正する

先述したとおり、AIはときに偏った判断をするケースがあります。そのため、AIによる評価は常に適切であると考えないようにしましょう。AIによる評価の結果を確認し、必要があればAI評価を修正することも必要です。


自社に適したAIツールを選定する

AIを活用した人事評価システムの種類にはさまざまなものがあります。自社の評価制度に適したものを選ぶには、以下のような判断基準で選定しましょう。実際に使いこなせるかを導入前に試してみることで、自社に合っているかどうかを判断できます。お試し利用期間が設けられたトライアルを活用するのもおすすめです。


  • MBO、360度評価など自社の評価制度と相性がよいAIツール
  • 評価傾向の自動検出、最適な人材配置の提案など自社のニーズに合ったAIツール
  • UIがわかりやすい、直感的に操作できるなど社員が使いやすいAIツール
  • 自社のほかのシステムと連携できるAIツール


まずは部分的に導入する

一度に全ての部署へ導入するのではなく、まずは役職者に限るなど、部分的に導入していくのがおすすめです。徐々に導入範囲を広げていくことで、リスクを抑えながら成功事例を積み上げられます。


AIは人事評価以外でも活用できる

AIは人事評価以外にも多くの人事業務に活用可能です。ほかの業務にも活用できれば、業務効率化も目指せます。


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採用・選考

採用・選考の場面では、以下のようにAIが活用されています。


  • 履歴書や職務経歴書をAIが読み取って評価する
  • スケジュール管理を自動化する
  • 要件を満たさない応募者をフィルタリングする
  • 候補者の質問にチャットボットで答える


タレントマネジメント

タレントマネジメントとは、能力やスキルを人的資本とし、採用・配置・育成に活用することです。AIを活用したタレントマネジメントシステムは、社員データを一元管理し、効率的に人材配置や成長につなげられます。


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エンゲージメント向上

社内に分散している情報を整備する、AIを活用して業務効率化を高めるなどの方法で、業務を迅速に行えるようになると、社員のエンゲージメントを高められます。適切な人材配置、思考や履歴によるキャリアサポートが受けられるようになれば、社員のエンゲージメントが向上し、人材流出の防止​にもなるでしょう。


エンゲージメントとは?意味や指標となる要素、従業員エンゲージメントを高める方法を解説


問い合わせ管理

AIは、チャットボットで人事労務の質問に答える、過去の質問・回答履歴を学習させて素早く回答するなどの活用も可能です。人事部門の担当者と問い合わせをする社員の負担が軽減されます。


人事評価にAIを活用した企業事例

多くの企業が人事評価にAIを活用しています。以下は、実際の企業事例です。


明治安田生命株式会社

人事マネジメント改革を進めていた明治安田生命株式会社は、社内に散在する人事情報の一元化を目標とし、新たにタレントマネジメントシステムの構築を決定しました。タレントマネジメントシステムを導入することで、金融機関において必須とされる各種資格や研修履歴などの人事情報が一元管理できるようになりました。


参考:ISID、明治安田生命のタレントマネジメントシステムを「POSITIVE」で構築|PR TIMES


三井住友信託銀行

三井住友信託銀行は、人材育成施策を科学的に検討することを目的に、AIを活用した360度評価ツールを導入しています。人材の思考・行動から導き出される共通の「行動特性」の測定や自らをよく見せようとする、適当に答えるなどのバイアスを補正できるため、信頼性の高いデータが得られるようになり、人材育成や配置などが科学的にできるようになりました


参考:IGSが三井住友信託銀行と業務提携契約を締結。人的資本の測定・開示に向けたソリューションとしてGROW360を展開|PR TIMES

参考:社員の意志や希望の実現を促進する仕組みづくりにGROW360のデータを活用する。|Institution for a Global Society


人事業務にAIを活用した企業事例

AIは人事評価以外にも、多くの人事業務に活用されています。AIを活用した人事業務の企業事例は以下のとおりです。


ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社では、応募者の移動にかかる時間や費用が軽減を目的として、新卒採用選考の動画面接の評価にAIシステムを導入しています。これにより、選考作業にかかる時間が従来と比べて約70%削減されることが見込まれています。


参考:新卒採用選考における動画面接の評価にAIシステムを導入|ソフトバンク株式会社


株式会社サイバーエージェント

株式会社サイバーエージェントでは、新卒入社の配属を最適にするため、独自のAIを開発しました。新卒者の希望、適性・特性情報などのデータと各部署の要員募集情報をマッチングすることで、最も活躍できる部署を導き出してくれます。


参考:サイバーエージェント、新卒配属決めにAI|日本経済新聞


まとめ

今回は、人事評価にAIを導入するメリット・デメリットをはじめ、導入する際の注意点や企業の活用事例を解説しました。人事評価にAIを導入している企業が多い一方で、導入が進まない課題があるのも現状です。


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