エグゼクティブとは?ビジネスでの定義や役職の例・必要なスキルについて解説


エグゼクティブとは?ビジネスでの定義や役職の例・必要なスキルについて解説

エグゼクティブとはビジネスシーンにおいて、重要な決定権を持つ上級管理職を指す言葉です。エグゼクティブな人材にはマネジメント力や先見の明、さまざまなスキルが求められます。

この記事ではエグゼクティブとは何か、どのような役職があるのか、エグゼクティブな人材に求められるスキルなどについて解説します。併せてエグゼクティブ転職やエグゼクティブコーチングについても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

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エグゼクティブとは

エグゼクティブのビジネスシーンにおける意味、ビジネスシーン以外での意味を解説します。

エグゼクティブの意味

エグゼクティブは英語で「executive」と表記され、「実行力を持つ」「執行部の」といった意味の英単語です。ビジネスシーンで用いられる場合が多く、企業において実行力があり執行に携わるという面から、幹部や管理職を指すワードとして使われます。管理職というと現場監督や役職陣がイメージしやすいかもしれませんが、エグゼクティブはより上位の立場を表すワードです。たとえば社長やCEOに近い立場の重役などがエグゼクティブと呼ばれるイメージでしょう。

ビジネス以外での意味

エグゼクティブはビジネスシーン以外でも使われます。「特別な」「豪華な」「一段上の」という意味を表すことが一般的です。エグゼクティブルームやエグゼクティブシート、エグゼクティブ会員などのワードを耳にしたことがあるでしょう。エグゼクティブという形容詞がつくと、特別なサービスを示す場合が多いといえます。

独自の肩書として使われることもある

エグゼクティブというワードが、企業・業界独自の肩書に用いられるケースも珍しくありません。元々は特定の業界で使われていた肩書が、次第に他の業界にも広がって使われるようになったという経緯があります。異なる業界ごとに慣例的に使われている肩書となり、厳密な定義があるわけではないため、業界によって意味の区別が必要です。

エグゼクティブの役職

企業においてエグゼクティブとされる役職は下記のとおりです。

  • CEO(最高経営責任者)
  • COO(最高執行責任者)
  • CTO(最高技術責任者)
  • CFO(最高財務責任者)
  • CIO(最高情報責任者)
  • エグゼクティブプロデューサー
  • エグゼクティブマネージャー


それぞれ詳しく解説します。

CEO(最高経営責任者)

CEOとはChief Executive Officerの略です。日本語では最高経営責任者を意味します。経営における責任者となる役職です。

日系企業では代表取締役会長や、代表取締役社長がCEOを兼任するケースが多く見られます。一方、外資系企業では社長とは別にCEOが置かれるケースが一般的です。CEOと代表取締役では責任の範囲が異なっており、CEOの責任は経営に限定されています。

COO(最高執行責任者)

COOとはChief Operating Officerの略語です。日本語では最高執行責任者を意味します。実務や企業運営の責任者となる役職です。

COOはCEOに次ぐポジションとされる場合が多いでしょう。COOにはCEOが決めた経営戦略を実行に移す役割があります。日系企業では代表取締役会長がCEOを兼務し、代表取締役社長がCOOを兼務するケースが多い傾向です。

CTO(最高技術責任者)

CTOとはChief Technical Officerの略語です。日本語では最高技術責任者を意味します。技術関連の責任者となり、企業における研究開発・製造など技術面の最高ポジションです。

CTOには技術職としてのスキル・知識だけでなく、技術活用の方針策定、技術部門の組織強化なども求められます。デジタル技術に対する需要の高まりを背景に、ビジネスにおいてCTOの重要性が向上している傾向です。

CFO(最高財務責任者)

CFOはChief Financial Officerの略語です。日本語では最高財務責任者を意味します。企業の財務や会計に関する総責任者です。

CFOは予算管理、コストカット、資金調達、財務戦略の立案などを担当します。企業を資金面からマネジメントするため、財務・会計についての専門知識の他、経営的な視点が求められる役職です。各種監査の対応も担い、高度なコミュニケーションスキルが必要とされます。

CIO(最高情報責任者)

CIOはChief Information Officerの略語です。日本語では最高情報責任者を意味します。企業の情報戦略を統括する役職です。

CIOは企業のネットワーク・ITシステムについて基盤を整え、データの管理体制を構築します。DX推進の効率化、IT投資の実施なども重要な役割です。ITを通した顧客満足度の向上も求められ、企業において重要なポジションとなります。

エグゼクティブプロデューサー

エグゼクティブプロデューサーとは製作の総指揮を執る上席プロデューサーです。一般的なプロデューサーと比べ、さらに上位の役職となります。制作における管理職・幹部です。

エグゼクティブプロデューサーは制作における企画や脚本作り、制作費の確保など、工程全般の責任を負います。出資側のプロデューサーを指すことが一般的ですが、制作側において最終判断を行う責任者を指すケースもあります。

エグゼクティブマネージャー

エグゼクティブマネージャーとは企業における上級管理職です。マネージャーを省略し、エグゼクティブと呼ばれる場合もあります。代表取締役会長や社長、専務、常務、事業部長など、上級のマネジメント層を指すことが一般的です。役職名がチーフ(Chief)で始まるCレベル人材を指す場合もあります。

エグゼクティブマネージャーには経営の意思決定を行い、目標に向けた具体案を立案する能力が必要です。決定した施策を実行に移す行動力、イレギュラーな事態に対応する臨機応変さも求められます。

エグゼクティブな人材の特徴

近年はエグゼクティブな人材への需要が高まっています。エグゼクティブな人材の特徴は下記のとおりです。

  • マネジメント力がある
  • 先見の明がある
  • 正確な目標設定ができる
  • 周囲から信頼されている


それぞれ詳しく解説します。

マネジメント力がある

エグゼクティブな人材には組織を管理し、適切に運営する能力が求められます。同じマネジメント経験であっても、より扱った組織の規模や成果が大きい方が、ハイレベルな経験として重視されるでしょう。チームとしてメンバーを巻き込んで取り組めたか、メンバーの能力を成長させられたかなど、組織を動かしていくスキルが重要となります。チームの人材をうまくマネジメントして活用した上で、組織全体の目標を達成できる人材がエグゼクティブな人材といえるでしょう。

先見の明がある

先見の明とは将来を見据えて先手を打つための能力です。近年は社会やビジネス環境の動向が目まぐるしいため、未来を予測して動く必要があります。エグゼクティブな人材には企業の行く先や市場の動向を見通し、有効な施策を考える先見性が必要です。

同時に、先見性に基づく施策を他社にも分かりやすく、説得的に伝えられる能力が求められます。先進的なアイデアがあっても他社に説明できなければ、ステークホルダーを納得させられないでしょう。具体的な根拠・データを提示しながら論理展開できる人材なら、周囲を味方につけて取り組みを進められます。

正確な目標設定ができる

エグゼクティブな人材なら正確な目標設定が可能です。企業を持続的に成長させていくには、現実的かつ有効な目標設定が求められます。達成不可能な目標を掲げたところで、社内の人材はモチベーションが上がらずかえって逆効果となるリスクもあるでしょう。一方、簡単に達成できてしまう目標では、たとえやり遂げたとしても企業の大きな成長にはつながらないと考えられます。

適切な目標があれば企業で一丸となって取り組み、より高いパフォーマンスの発揮が可能です。エグゼクティブな人材には目標達成のための環境整備、周囲の意欲向上につながる施策立案なども求められます。

周囲から信頼されている

大きな目標を達成するには個人ではなく、チームで取り組む必要があります。そのため、エグゼクティブな人材には周囲からの信頼が必要です。尊敬できる人物でなければ周りはついてきてくれず、チームとしてのパフォーマンスを発揮できないでしょう。

一方、チームとしての絆があれば1人ひとりが真剣に取り組み、より大きな成果を達成可能です。エグゼクティブな人材は周囲を巻き込むコミュニケーション能力、魅力的な人間性などが備わっています。

エグゼクティブな人材に求められるスキル

エグゼクティブな人材に求められるスキルは下記のとおりです。

  • ヒューマンスキル
  • テクニカルスキル
  • コンセプチュアルスキル


それぞれ詳しく解説します。

ヒューマンスキル

ヒューマンスキルは周囲とうまく協力し、良好な人間関係を構築する対人能力です。リーダーシップによって組織をまとめる統率力も含まれます。また、自分の意見を説得的に主張するネゴシエーション力(交渉力)、自分の考えを正しく伝えるプレゼンテーション力なども重要です。エグゼクティブな立場では社内外を問わず、さまざまな人員と連携を取る必要があります。そのため、周囲と信頼関係を構築し、うまく合意を形成する能力が不可欠です。

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テクニカルスキル

テクニカルスキルとは専門業務をやり遂げるため必要な技術に関する知識です。たとえば、財務部門でエグゼクティブな役職に就くには、会計・経理の知識が求められます。技術部門ならシステム・IT・ネットワークの知識が必要です。テクニカルスキルが不足していると現場の人員からの信頼を得づらく、業務遂行がスムーズに進まなくなってしまうでしょう。

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コンセプチュアルスキル

コンセプチュアルスキルとは本質を見極める能力です。概念化能力とも言い換えられます。コンセプチュアルスキルはVUCA時代において、特に重視すべき力でしょう。VUCA時代とは物事の不確実性が高く、将来の予測が困難な状態を指します。

コンセプチュアルスキルがあれば企業を取り巻く事象について広い視野で分析し、合理的な判断を導き出せるでしょう。経営課題を見極めたり市場の動向を先読みしたりと、ビジネスに必要な判断の精度を高められます。

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エグゼクティブな人材を獲得する方法

エグゼクティブな人材を獲得する方法は下記のとおりです。

  • 現職からのスキルアップを目指す
  • ヘッドハンティングをする
  • 転職サイトを利用する


それぞれ詳しく解説します。

現職からのスキルアップを目指す

現職で昇格していけばエグゼクティブ層へのキャリアアップを目指せます。スキルアップでは積極的にマネジメント経験を積み、経営陣としての能力獲得が必要です。責任者として新規事業の立ち上げに携わる経験も重要でしょう。

もしも自社にエグゼクティブ層の空きポジションがなければ、いくら能力やスキルがあってもキャリアアップが難しくなります。とはいえ、エグゼクティブな人材としての確かな実力が養われていれば、転職によってエグゼクティブ層のポジションを獲得できるようになるでしょう。

ヘッドハンティングをする

ヘッドハンティングとは企業が必要とする人材を勧誘する採用手法です。エグゼクティブな人材として必要な能力・スキルがあれば、企業からスカウトを受けて転職できる場合があります。ヘッドハンティングを受けるチャンスを広げるには、自らの実績や実力について積極的にアピールする必要があるでしょう。

たとえば、ビジネスに特化したSNSにおける実績の公開も効果的な手段です。異業種交流会に参加し、日頃から人脈を形成しておく必要もあるでしょう。ただし、ヘッドハンティングでは基本的に待ちの姿勢となるため成功する保証がありません。他の方法との併用がおすすめです。

転職サイトを利用する

エグゼクティブ層としてのポジションを狙うなら転職サイトの利用も選択肢です。エグゼクティブ特化型の転職サイトもあるため、積極的に活用しましょう。現職でスキルアップしていても、上級管理職に空きポジションが生じるとは限りません。一方、エグゼクティブ特化型の転職サイトなら、エグゼクティブな人材を求めている企業が登録しています。エグゼクティブ転職の詳細については後述します。

エグゼクティブ転職が求められる背景

エグゼクティブ転職とはエグゼクティブ層の転職を指します。従来の日系企業では終身雇用と年功序列が基本だったため、エグゼクティブ層の転職は多くありませんでした。新卒採用の人材が社内で昇進し、エグゼクティブ層までキャリアアップするケースが一般的だったといえるでしょう。

しかし、近年はビジネスにおけるスピード感が速まっている傾向です。事業展開を早めるためにも、外部からエグゼクティブ人材を採用する必要性が高まっています。企業が事業を継続し、海外進出していくにはエグゼクティブ人材が必要です。

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エグゼクティブ転職の特徴

エグゼクティブ転職は求人数が少ない傾向となります。企業における上層の役職ほど人数が少なくなり、枠の数も減るためです。少ない求人の多くの人材が集中して応募するため、採用の倍率が高くなるケースも多いでしょう。

また、エグゼクティブ転職では経験豊富な人材が求められます。そのため、募集要件の年齢層が高くなりやすいという点が特徴です。エグゼクティブ転職をしたいと考えても、求人における年齢の条件にマッチしない場合を考慮しなくてはなりません。

エグゼクティブコーチングとは

エグゼクティブコーチングの概要や目的、一般的なコーティングとの違いを解説します。

エグゼクティブコーチングの概要

エグゼクティブな人材を育てる手段として、エグゼクティブコーチングが効果的です。エグゼクティブコーチングとは経営層や上級管理職などの育成に特化したビジネスコーチングを意味します。エグゼクティブコーチングによって人材の能力が高まり、結果として企業の業績向上や成長が可能です。

エグゼクティブコーチングの目的

エグゼクティブコーチングの目的はエグゼクティブ層の質向上です。専門家による定期的なコーチングによって、人材のリーダーシップを高められます。コミュニケーション能力や意思決定力を強化し、組織を牽引していく能力も鍛えられるでしょう。

一般的なコーチングとの違い

一般的なコーチングは個人の目標達成を中心として進められます。一方、エグゼクティブコーチングは企業における経営目標の達成をゴールとして進められる点が特徴です。エグゼクティブコーチングはコーチングを受ける当事者だけでなく、企業全体に影響を与える重要な人材育成となります。

エグゼクティブコーチングのコツ

エグゼクティブコーチングのコツは下記のとおりです。

  • 1on1形式で行う
  • テーマを設定する
  • 効果的な質問をする


それぞれ詳しく解説します。

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1on1形式で行う

エグゼクティブコーチングはコーチングを実施する側・受ける側の1対1による実施が基本です。対象者には将来の経営幹部候補が含まれます。コーチングの内容はエグゼクティブな人材としての知識・スキル獲得、リーダー・管理職としての悩み解消などが挙げられます。

エグゼクティブコーチングの期間は半年から1年ほどです。1回のセッションは60〜90分です。対面での実施が一般的ですが、オンラインやメール、電話によるサポートが可能な場合もあります。

1on1ミーティングとは|注目される背景やメリット・デメリット、話すべきテーマを解説

テーマを設定する

エグゼクティブコーチングには厳密なカリキュラムが決められておらず、状況に合わせて内容が柔軟に設定されます。企業によってエグゼクティブ層として必要な人材は異なっているでしょう。また、コーチングを受ける人材によっても、必要とする教育・解消したい課題は異なります。

エグゼクティブコーチングのテーマを設定する際は、目標に応じた内容検討が必要です。適切なテーマ設定には密で丁寧なコミュニケーションが求められます。テーマや目標の他、コーチングの具体的な進め方、フィードバックの方法も確認しておきましょう。

効果的な質問をする

エグゼクティブコーチングではコーチングを受ける側へ、効果的な質問を投げかける必要があります。エグゼクティブ層は管理職としての立場から、悩みがあっても周囲に相談できずにいる場合が少なくありません。自分でも気づかずに大きなプレッシャーを抱えているケースもあります。

的確な質問によって人材が抱える恐れ、弱みなどを引き出し、解消に向かわせられるでしょう。課題が言語化されることで明確になり、より効率的に解決できるようになります。

まとめ

ビジネスにおけるエグゼクティブとは上級管理職を指します。近年では企業において、エグゼクティブな人材への需要がますます高まっている傾向です。ビジネスで成果を出し事業を発展させるためには、マネジメント力やリーダーシップを持つ優秀な人材が不可欠でしょう。

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