こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
「タレントマネジメントって従来のやり方と何が違うの?」
「導入することで会社にどんなメリットがある?」
「効率よくタレントマネジメントを導入する方法を知りたい」
という方は多いのではないでしょうか?
時代の流れとともに、働き方や企業のあり方が変化してきました。労務管理についても昔ながらのやり方では、スムーズな企業運営が難しくなっています。IT化が進む昨今では、タレントパレットの導入がおすすめです。
そこで本記事ではタレントマネジメントについて
- 必要とされる理由
- 意義や目的
- 得られるメリット
- 導入までのステップ
- 導入の際のポイント
- 実際の導入事例
などについて解説します。
「社員一人ひとりのモチベーションを高めて、会社全体の生産性を高めたい」という方のお悩みを解決できる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。」
タレントマネジメントの定義や考え方について
まずはタレントマネジメントの定義や考え方について、以下の2つの視点からみていきます。
- タレントマネジメントとは人事情報の活用で組織のパフォーマンス向上を図ること
- タレントマネジメントについての欧米と日本の考え方の違い
日本と諸外国では、タレントマネジメントの定義は異なります。それぞれの違いを理解することで、日本のタレントマネジメントシステムの理解がより深まるでしょう。
タレントマネジメントとは人事情報の活用で組織のパフォーマンス向上を図ること
タレントマネジメントとは社内の人事情報をうまく活用して、個人や組織全体のパフォーマンスを高めることをいいます。
そもそも、「タレントマネジメント」という言葉の「タレント」の部分には、才能や素質などの意味合いがあります。この点から、人材配置や人材教育などにおいて、タレントとは「優秀人材」や「企業に貢献できる人材」などの定義で使われるケースが多く見られます。
企業が長期的な目標を実現し、成長し続けるためには、自社の社員が持つタレント(才能、スキルや能力)を正確に把握しておくことが欠かせません。そのため、それぞれの能力や資質などを考慮しながら適材適所の人材配置(最適配置)を行ったり、適切な人材育成を用いたりすることは非常に重要です。
個人の能力を正しく評価したうえで、全体を最大化させる取り組みがタレントマネジメントの手法といえます。
タレントマネジメントと似た言葉にHRMがあります。HRM(ヒューマンリソースマネジメント)は「人的資源開発」や「人材マネジメント」と訳される概念で、人材の管理から開発まで、社員に関するさまざまな機能が含まれた考え方です。
HRMでは、経営資源の一つであるヒトは「育成する資源」と考えます。ヒトは、感情や思考を持っており、物や情報を使って新たな価値を創造していくためです。
また、ヒトは職場においては上司や周りの同僚などからの刺激によって、期待以上に育っていく可能性を秘めています。
HRMはタレントマネジメントと比べるとより経営的な目線に立ち、組織の構造に踏み込んだ施策を立てるもので、非常に近い意味を持っています。
タレントマネジメントの目的について詳しく知りたい方は「【令和5年版】タレントマネジメントの目的は3つ!メリットや導入までのステップも解説」の記事もぜひお読みください。
タレントマネジメントについての欧米と日本の考え方の違い
欧米と日本ではタレントマネジメントについての認識が異なります。
欧米で生まれた概念であるタレントマネジメントは、徐々に日本でも普及し、ビジネストレンドになり始めています。ここ数年で人事や人材の分野で耳にするようになりました。
CMや書籍などで目にしたこともあるのではないでしょうか。ただしアメリカのタレントマネジメントと日本のそれとでは、対象が異なるという点に注意が必要です。
欧米では「タレント」は能力があり優秀な成果を上げている社員を指すことが多く、後継者育成といった一部のハイパフォーマーのさらなるパフォーマンスの向上をタレントマネジメントの目的としています。
一方、日本ではタレントマネジメントの本質が少し変わっています。優秀な人材の引き上げ目的というよりは「全社員」を対象としており、パフォーマンスが上がらない場合は配置転換や業務内容の変更、育成施策を実施するなど、全体の底上げを優先することが日本ビジネス界のタレントマネジメントの特徴です。
つまり、欧米ではタレントマネジメントは優秀な人材にスポットを当てたエリート教育であるのに対して、日本の場合は全体の底上げを目的とした育成が中心です。
タレントマネジメントが必要とされる6つの理由
日本の企業でタレントマネジメントが人気になっている理由としては、さまざまな事柄が挙げられます。
- 組織を横断的に管理する必要がある
- ITの発展によるビジネスモデルが変化した
- 社員個人の能力や資質を把握できていない
- 市場が成熟化した
- 働くことに対する意識が変化した
- 少子高齢化によって労働力人口が減少した
さまざまな背景を知ることで、今後の企業のあり方について考える際にも役立つでしょう。
組織を横断的に管理する必要がある
まず、日本の企業では、管理すべき人材の幅が広がりを見せているという背景があります。また、日本の企業は競争力を高めるために、子会社の分社化や、持ち株会社が設立されるなどの取り組みが行われているのが現状です。
このように組織が拡張していくと、トップダウンによる人材管理には限界があります。また、従来の経験に基づいた手法では偏りがあったり、属人的な施策となってしまう可能性もあります。
企業間の競争力を高めるという意味合いからも、組織を横断的に捉えながら人材活用ができるよう、人材管理を行う必要性が生じてくるでしょう。
ITの発展によるビジネスモデルが変化した
経営環境が激しく変化していることも、タレントマネジメントが必要な理由といえます。ITが発展したことにより、ビジネスモデルは大きく変化していきました。
企業には、あらゆる問題に対してスピーディーに対応する能力が求められるようになってきました。昨今はエンジニア主体の新規参入企業が登場するなど、企業は市場の変化に対応するために今まで以上に社員の見える化が必要となってきています。
そのためにタレントマネジメントによる人材活用が期待されています。
社員個人の能力や資質を把握できていない
日本の企業においても急激にグローバル化が進んでいることから、国内外のタレントの能力を人事が把握することは急務といえるでしょう。
個人の能力や資質を企業が正確に把握しなければ、適材適所の人材配置は不可能です。グローバル化が進むと、日本国内に限定して人材を獲得する必要はなくなります。
ゆえに、国内外の人材開発や人材育成は日本企業が優先すべき課題のひとつといえます。
市場が成熟化した
市場が成熟化したことも、タレントマネジメントが必要とされる理由のひとつです。現代の日本はモノであふれ、「量産すればある程度は売れる」という時代は終わってしまいました。
モノが豊かになると消費者のニーズも多様化してきます。また、企業側も「本当に価値があるものは何か」という点を正しく理解したうえで経営戦略を立て、それに応じた人材を配置する必要があります。
働くことに対する意識が変化した
現代の日本企業では、仕事に対するやりがいなどが重視されるようになり、労働の意識が変化してきたという事実があります。これまで日本の企業では、上司の命令や指示を中心とした人材育成が行われていました。
しかし、この手法は現場の社員を中心に考えられて行われているものとはいい難いため、反発を受けやすいというデメリットがあります。
終身雇用が一般的であった時代には、それぞれの人材の能力や資質などに目を向ける必要性はそれほどなく、あらかじめ決められた人材の量さえ確保できれば良いという考えがありました。
しかし、バブルが崩壊すると終身雇用の制度は終わり、人材が流動するようになりました。
人材は自らの手でキャリアを構築するようになり、企業は優秀人材の確保が難しくなってきたのです。
能力のある人材を獲得し続けるためにも、企業は社員のモチベーション維持のために働きかける必要がでてきました。適材適所の人材配置やキャリア支援が、より求められるようになったといえるでしょう。
少子高齢化によって労働力人口が減少した
少子高齢化によって労働力人口が減少していることも影響しています。労働力人口とは、15歳以上のうちの就業者と完全失業者を合算した人口のことです。
総務省の行った労働力調査によると、2022年平均の労働力人口は6902万人であり、前年と比較して約5万人減少しています。
また、国内の生産活動の中心となっている15〜64歳の人口が生産年齢人口です。日本の生産年齢人口は、1995年がピークとして年々減少しており、2050年には5275万人にまで減少すると見込まれています。
少子高齢化に伴う、労働力人口・生産年齢人口の減少は、日本が抱える大きな問題の一つといえます。人口が減り続けると、企業は限られた人材で最大限のパフォーマンスを行い、成果をあげる必要があります。
人材が限られている状況では、個人の強みや弱みを企業がしっかりと把握しておくことが大切です。
以上のような環境要因から、今や大企業だけでなく、数十人~数百人の中小企業でもタレントマネジメントは必要とされています。
参考元:総務省 労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)平均結果の概要
総務省 生産年齢人口の減少
タレントマネジメントの意義や目的とは
タレントマネジメントの意義や目的には主に以下の2つがあります。
- 戦略的な人材戦略を立てる
- 生産性を向上させる
これらを理解しておくと、具体的な取り組みを考えるときに役立つでしょう。
戦略的な人材戦略を立てる
タレントマネジメントを取り入れると、戦略的な人材戦略を立てることが可能です。日本では労働人口が年々減少し採用難が続いていることから、企業は既存社員のパフォーマンスを上げるために、効果的な人材戦略を考える必要があります。
社員のパフォーマンスを上げるためには、社員スキルや能力を企業が正確に把握しておく(見える化する)ことが大切です。
また、タレントマネジメントによって人材育成の強化を行えます。企業がそれぞれの社員の能力を正しく把握できれば、次のようなイメージがしやすくなるでしょう。
- 将来的にどのようなポジションに配置するのが適切か
- そのポジションに就くにはどのような経験を積みスキルを磨けばよいのか
そうすることで、社員はキャリアデザインが描きやすくなり、その時々で必要な人材育成を展開することが可能になります。
優秀な社員のモチベーションを維持できなければ、その社員は将来的に自社以外の場所へと流出していく恐れがあるでしょう。しかし、定期的に効果的な研修などのプログラムを企業が展開、レコメンドしていれば、社員はモチベーションを維持しやすくなり、自社の人材が流出するのを防げます。
また、パルスサーベイ(短周期で同内容の設問を実施するアンケート手法)に取り組むことで、モチベーションが低下している社員を早期に発見できます。
生産性を向上させる
働き方改革に対応し、生産性向上を図ることも必要になります。これからの変化の大きい時代に自社の経営戦略を進めていける強い組織を作るためにも、タレントマネジメントは欠かせません。
それぞれの人材を見える化し、適材適所で配置し強みを伸ばせれば、組織の活性化を促進し、パフォーマンスを上げられます。そのために、まずは社員一人ひとりの能力や資質を正しく把握するところからはじめましょう。
そして、タレントマネジメントを実現するためには、IT技術を駆使することが必要となってきます。社員に関する膨大な情報を管理し活用するためには、タレントマネジメントシステムが有効です。
タレントマネジメントシステム導入によって、人事情報を蓄積し人材の可視化を容易にでき、社員の変化を時系列で確認できます。
また、タレントマネジメントシステムを使うことで、人事部門だけでなく、経営層やマネジメント層など複数のレイヤーで人事情報を活用できます。
タレントマネジメントによって得られる5つの効果
タレントマネジメント導入で得られる効果は以下の5つです。
- 人材教育を効率的に行える
- 社員を正当に評価でき離職率が低下する
- 採用活動をスムーズに行える
- 社員を適材適所に配属できる
- 多様な働き方ができるようになる
これらの効果が相乗的に働くことで、企業の経営状況にも良い影響が期待できるでしょう。
人材教育を効率的に行える
タレントマネジメントによって社員一人ひとりのスキルの可視化を行うことで、スキルギャップを埋めるためには、どこを補強すればよいかが見えてきます。
ただ闇雲に研修等を受けさせるのではなく、俯瞰的な視点で教育プランを策定することで、計画的に社員教育のプランを立てられるようになります。
社員を正当に評価でき離職率が低下する
タレントマネジメントによって社員の離職率が低下します。従来は、人事異動によって配置転換が行われる際には、明確な理由が示されていないことがありました。
タレントマネジメント導入により、社員のスキルや能力に合致したポジションへの配属が可能となり、社員の仕事のパフォーマンスが上がります。
正当な評価をしてもらえていると感じた社員は、仕事への意欲やモチベーションが上がり、結果として企業に長く勤めたいと思うようになるでしょう。
また、自分が高いパフォーマンスを発揮することで企業に貢献できていると実感でき、社員のエンゲージメントを高めることにもつながります。
採用活動をスムーズに行える
タレントマネジメントによって、社内ではどのような人材が不足しているのかを把握できるようになります。
採用活動においても、どのようなスキルや能力を持った人にアプローチすれば良いかが可視化でき、明確な基準を持って採用を行えるようになるでしょう。
社員を適材適所に配属できる
タレントマネジメントによって、社員のスキルや能力、これまでの経験などを一元化でき、社員が最大限のパフォーマンスを発揮できるポジションに配置できるようになります。
社員のパフォーマンス向上によって、組織全体のパフォーマンス向上にもつながり企業の業績アップが期待できます。
多様な働き方ができるようになる
タレントマネジメントによって、社員一人ひとりに合った多様な働き方ができるようになります。これまでの日本では「終身雇用」「フルタイム勤務」「転勤」といったことが当たり前のものとされてきました。
しかし、現在は働き方の多様化によって以下のようにさまざまな働き方があります。
- 正社員
- 契約社員
- 外国人雇用
- 高齢者雇用
- パートタイム
- フリーランス
タレントマネジメントによって、企業内で働く一人ひとりに対して目を向けられるようになることで、それぞれのライフスタイルに合った多様な働き方が可能になります。
タレントマネジメントの10ステップ
タレントマネジメントはそれぞれの会社に合ったやり方が存在しますが、ステップに沿って行うと効率的です。
- 目的を明確にする
- 対象とする人材の範囲を決める
- 人事情報の可視化
- 人事情報の分析
- マネジメント層への展開
- 採用・育成計画書の作成
- 適切な人材を配置する
- 人材育成を行う
- 人事評価を適切に行う
- タレントマネジメントの見直しを行う
タレントマネジメントをスムーズに行う上で必要なステップを押さえ、フローの体系を確認しておきましょう。
目的を明確にする
タレントマネジメント導入の前には、目的を明確にすることが大切です。タレントマネジメントをただ闇雲に導入するだけでは意味がありません。
企業によって「有能な社員を増やしたい」や「次世代のリーダーを育てたい」といったように目的が異なるものです。
目的が異なれば、人材育成のための計画も変わってくるため、最初に方向性をしっかり設定することが大切です。
対象とする人材の範囲を決める
対象とする人材の範囲を決めます。タレントマネジメントの目的によっては、「タレント」の範囲が異なってきます。
次世代の幹部候補を対象にするのか、あるいは全社員を対象にするのかを明確にして目的に沿った人材育成を行う必要があります。
人事情報を可視化する
人材情報の可視化を行うことも大切です。たとえば、保持している資格やスキル、これまでの経歴など、企業で働いている社員の情報をデータとして活用できるよう集約しましょう。これにはタレントマネジメントシステムの導入が最適です。
タレントマネジメントシステムにより、人材データを加工の工数をかけずに活用できます。管理項目も汎用的なフォーマットがあるため、すぐに始められます。
管理する情報についてのデータを収集し見える化を行いますが、情報の可視化にはタレントマネジメントツールの活用がおすすめです。
また、企業内では社員の入退社があるため、情報は日々更新していく必要があります。部署間で情報を共有できるとスムーズに連携が取れるでしょう。
ただ、人事情報は個人情報でもあるため、取り扱いについて罰則を設けるなどの対応も必要です。
タレントマネジメントシステムについて、もっと詳しく知りたい方は「タレントマネジメントシステムを導入してできること|種類や選び方についても詳しく解説」の記事も合わせてお読みください。
人事情報を分析する
次に、集まった人材データを目的別に分析していきます。最適な人材配置を実現したり社員の声を見える化したりするために、以下のようなことを実施することで、様々な人事施策を実践できます。
- 異動シミュレーション
- マッチング分析
- ハイパフォーマー人材の特徴分析
- 従業員満足度調査などのアンケートデータの集計
- テキストマイニング等の文章解析
労務や営業のデータと連携すれば、勤怠や売上の視点からも人材を分析できます。分析をしていくうちに、新たに必要なデータがわかることもあるでしょう。その際は、新たに情報を収集・蓄積・分析するサイクルを実現していくことが重要になります。
マネジメント層へ展開する
人材情報の蓄積と分析が進んだ次のステップは、マネジメント層への展開です。人材情報の活用は部門のマネジメント層にも有用です。
情報が見える化されることで社員が持つスキルや適性を把握でき、相互理解の促進やパルスサーベイ、モチベーションの低下を検知できます。
採用・育成計画書を作成する
続いて、採用・育成計画書の作成を行っておきましょう。それぞれのタレントプールで育成計画を立てておき、人材が不足しているようならば新たな採用計画を立てることも必要です。
人材を採用・配置するときには、誰が見ても経営戦略と人事戦略を紐づけられるようなマネジメントを可能にすれば、今後の人材教育に役立ちます。研修内容の改善にもつながるでしょう。
さらに、人材配置や採用などで職場が新しくなったら、上司と部下が面談を行うなどして成果を評価していきます。MBO(目標管理制度)やコンピテンシー評価など、自社にあった評価方法を選びましょう。こうした面談や自己申告書を通して、個人のキャリアプランも共有できます。
企業としての成長が不十分であると感じる場合には、研修を行ったり、人材を異動させたりするなどしてモチベーションアップを図りましょう。従業員のエンゲージメントが高まり、リテンション(人材維持)にもよい効果をもたらすはずです。
社内での運用が難しそうな場合は、外部のコンサルティングの検討がおすすめです。過去の成功事例やテンプレートなどを持っている会社を探すとよいでしょう。
適切な人材を配置する
タレントマネジメントの目的達成のための人材について、適切な部署に配置します。配置するだけでなく、その場所が社員にとってパフォーマンスを発揮できる場所であるかどうかを見極めるために、アンケート調査などを定期的に行うことも大切です。
配置した社員の様子を知るためにも、関係部署との連携が欠かせません。
人材育成を行う
人材育成のためには、それぞれの社員の現状のスキルと理想とする状態のギャップ(スキルギャップ)を把握する必要があります。
スキルギャップを埋めるためには、以下のようなプログラムを用意して社員に受けてもらうなどフォロー体制が重要です。
- 研修
- eラーニング
- OJT
研修については「目的に応じた企業の研修内容を紹介|研修を成功させるための5ステップも徹底解説」の記事も合わせてお読みください。
人事評価を適切に行う
適切な人事評価制度を構築することも大切です。社員側も適切な評価を受けることで仕事に対するモチベーションが上がります。
上司が社員と定期的に面談を行い、必要であれば育成計画について見直しを行うなど、改善しながらタレントマネジメントを進めていきましょう。
また、異動や昇進を行うことによって社員がさらに経験を積めるような人事評価を行うことが大切です。
タレントマネジメントの見直しを行う
社員の育成状況や仕事に対するモチベーションなどを常に把握し、必要であればタレントマネジメントの運用について見直しが必要です。
見直しによって社員の配属先とのミスマッチやモチベーション低下を防げ、離職率の低下にもつながります。
タレントマネジメントシステムを導入する際の5つのポイント
タレントマネジメントシステムを導入時のポイントは、以下のとおりです。
- 目的を明確にする
- タレントマネジメントを行える体制を強化する
- 使いやすいツールを選ぶ
- 導入しやすい価格のものを選ぶ
- PDCAサイクルをまわす
企業がタレントマネジメントシステムを選ぶときには、ツールとしての特徴を比較しながら自社に合ったシステムを選ぶように心がけましょう。
目的を明確にする
「タレントマネジメントシステムで何をしたいのか」という目的をしっかりと考えることが大切です。例えば、以下のようなニーズが考えられます。
- 人材開発に力を入れたい
- 社員のモチベーションを把握したい
- 離職防止をしたい
- eラーニングや研修の受講を管理したい
- レポートを自動化したい
目的によって選ぶツールは変わってくるため、タレントマネジメントによって何を実現したいのか一覧化するのがよいでしょう。最近では、こうした人事業務をAIや人工知能が解決してくれることもあります。
タレントマネジメントを行える体制を強化する
次に、タレントマネジメントを推進する部署を設けるなど、体制を強化する仕組みづくりが必要です。近年では、タレントマネジメントを推進するために「タレントマネジメント推進室」や「タレントマネジメントチーム」といった部署を新たに設置する企業が増えています。
タレントマネジメントを推進する中心にいる社員は、人事にあたる社員をサポートするなどして、人事と経営の紐付けができるよう働きかけることが重要になります。
また、タレントパレットの導入はあくまで手段であって目的ではないことを忘れないようにしましょう。
従来の日本的な雇用慣行から脱却するために、上司やマネージャーは人材戦略を正しく理解することも重要です。
使いやすいツールを選ぶ
次に、使いやすさです。ツールを主に使用するのは経営層やマネジメント層、一般社員であるため、すべてのレイヤーの社員が使えるものでなければ意味がありません。社員全員が使いやすいものであるかどうかも、必ずチェックしておきましょう。
特にスマートフォンに対応しているかどうかは大切です。普段使用するアプリのような感覚で扱えるものがベストでしょう。オンプレミスかクラウドサービス(SaaS)かを考える際にもこの視点は大切です。
導入しやすい価格のものを選ぶ
加えて、導入しやすい価格帯かどうかや、システムの実績や評判などもチェックしておきたいポイントです。国際的な企業であれば、日本語だけでなく英語や中国語に対応しているなどの機能が必要になってきます。
こうした細かな機能が必要になる場合、自社の業界でのシェアを見るのも有効です。これらのポイントを確認したうえで、自社に即したタレントマネジメントシステム導入を検討しましょう。
PDCAサイクルをまわす
タレントマネジメントを効率的に行うためには、PDCAを回すことが大切です。タレントマネジメントの運用中は、思うような結果が出ないこともあります。日常的にPDCAサイクルをまわし、失敗の原因を考えることで将来的に役に立つでしょう。
タレントマネジメントによって一元化されたデータを分析し、積極的に活用することが大切です。
【アンケート調査】タレントマネジメントシステムを選ぶ際に重視した項目は?
上記は実際にタレントマネジメントシステムを導入検討した人事担当者(n=300)を対象に、「タレントマネジメントシステム導入検討の際に重視していた点」について調査したものです。
システムに対する使いやすさが重視されている一方、デザインに対する意識は低いことから、実用性を重要と考えている人事担当者が多いことがわかります。
また次点として、知名度やメジャー感・導入実績といったシステムへの信頼性や、機能の豊富さ・柔軟さといった機能性が挙げられています。
タレントマネジメントの事例5選
タレントマネジメントを実践している企業として、5つの企業をご紹介します。
- エン・ジャパン株式会社
- 株式会社ヒロテック
- 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
- サントリーホールディングス
- ANAホールディングス
それぞれの企業が抱えている課題に対してどう向き合っているのかを知ることで、問題解決の糸口をつかめるでしょう。
エン・ジャパン株式会社
「採用」から「定着」へとシフトしつつある人材領域では、経験と感覚に頼る意思決定ではなく、蓄積されたデータを分析する科学的な“人材の可視化”が必然となっています。
エン・ジャパン株式会社は、業界を牽引する企業として、自らの組織で人材戦略や意思決定のあり方を検証し、そのノウハウを顧客にフィードバックしていくことが使命と考えタレントマネジメントに取り組んでいます。
株式会社ヒロテック
製造業界では人材争奪が予測される中、海外で活躍できる“グローバル人材”の確保が急務となっていますが、これまでの人選方法では限界がありました。
リスク管理を目的に蓄積してきた社員個人の保有資格や技能レベルのデータは、グローバル人材の発掘に活用しています。これまでに蓄積したデータを管理から活用へとシフトするタレントマネジメントへの取り組みが始まっています。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
業界全体の採用競争激化により、採用後の早期人材育成が課題となった三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社。
計画的な人材育成と社員情報の共有、そしてそれを実現するためのプラットフォーム導入を3つの柱としてタレントマネジメントに取り組みました。個人単位と組織単位の2つの視点からデータを分析・アセスメントし、人事施策につなげています。
サントリーホールディングス
サントリーホールディングスは、多様な人材が活躍できるダイバーシティ経営を掲げています。社員一人ひとりの努力に対して正当な評価を行い、希望する部署に移れるようにしたり、キャリアパスを明確化したりといった取り組みによって社員のモチベーションアップにつなげました。
「働きがい」だけでなく「働きやすさ」も目指す取り組みを行っています。
ANAホールディングス
ANAホールディングスは、タレントマネジメントの導入で人事情報の一元化だけでなく、グループ間の人事異動についてシミュレーションを行い、適材適所へ社員を配置したことで生産性がアップしました。
タレントマネジメントをグループ内でも横断的に活用し、グループ全体の人的競争力も高めていきたいと担当者は語っています。
タレントマネジメント導入の実例についてもっと詳しく知りたい方は、別記事「タレントマネジメント成功事例5選|失敗理由や導入方法、注意点も解説」をあわせてご確認ください。
タレントマネジメントは人材育成の課題から計画することが重要
人材能力の変化は、目標の達成が明確となる営業成績のように具体的に数字で表せるものもあれば、表せないものもあります。
数値化できない成長でも、業績アップや企業の成長につながることは多くあるものです。環境さえ整備すれば、人は変化できる可能性を持っています。その可能性を最大限に引き出すためにも、長い視点を持った人材育成は必要となることでしょう。
タレントマネジメントならタレントパレット
タレントマネジメントシステムを利用して組織の分析・把握をするのであれば、タレントパレットがオススメです。タレントパレットを提供している株式会社プラスアルファ・コンサルティングでは、分析の面で国内No.1テキストマイニングツール「見える化エンジン」と、顧客データの統合が可能なCRMツール「カスタマーリングス」を自社開発・提供しており、それらの技術を活用して人事情報のデータ統合・分析を可能とした「タレントパレット」を開発・提供しています。
業務効率化にとどまらず経営などの施策に活かす前提で開発されているため、従業員数が多くデータが溜まりやすく活用しやすい点が魅力です。その結果、大手・中堅企業で国内No.1[1]の売り上げとなっています。
また、自社で活用することも前提として作られているので、使いやすさや細かな権限設定など、ユーザー視点でなければ気付きにくいが重要な機能を盛り込んでおり、継続率99.6%[2]で顧客満足度No.1[3]の評価をいただいています。
タレントマネジメントシステムについて詳しく知りたい方は、別記事「タレントマネジメントシステムを導入する3つの目的と7つの効果!導入ツールの比較ポイントも併せて解説」をあわせてご確認ください。
[1] デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社「HRTechクラウド市場の実態と展望2022年度版(https://mic-r.co.jp/mr/02640/)」ユーザー規模別人事・配置クラウドベンダー売上高(2022年度)より
[2] ITreviewカテゴリーレポート「タレントマネジメント」(2023 Winter)
[3] 2022年12月末時点。既存契約の月額課金額のうち解約に伴い減少した月額課金学の割合(各四半期末月における各12ヶ月の平均値)