人材育成のポイント|階層別の手法や考え方・大切なことを解説


人材育成のポイント|階層別の手法や考え方・大切なことを解説

人材育成は、企業としての成長や生産性の向上などを目指すのに欠かせません。人材育成の際には、企業に貢献できる人材を育てることがポイントです。この記事では、人材育成について解説します。人材育成のポイントから手法、人材育成で大切なことなどを解説するため、ぜひ参考にしてください。


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人材育成に活用できるスキルマップの作り方

人材育成とは

人材育成とは、企業に貢献して活躍できる人材を育成することです。人材育成では、社員の能力や特性を最大限に発揮できるように育成することで、自社に貢献できるようにすることが大切です。効果的な人材育成を進めることで、企業として社員のパフォーマンスを高めることにつながります。


人材育成・人材開発・人材教育の違い

人材育成とは、社員の能力を発揮してより高いパフォーマンスが行えるようにサポート、育成することを指します。


人材開発とは、社員の適性に応じた支援のことです。人材開発では自社に貢献し活躍できる人材の育成を目的としています。一方、人材開発では社員のキャリアプランや能力などを踏まえたうえでのサポートに力を入れるといった違いがあります。


人材教育とは、業務に必要なスキルや知識などを教えることです。実際の業務を通じてスキルを教えたり、座学で企業理念や人間性などの概念的なことを教えたりします。組織で働くための基礎を教えるのが人材教育で、人材育成の手法のひとつに含まれます。


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人材育成が求められる背景

企業では、人材育成の重要性が高まっています。ここでは、人材育成が求められる背景について詳しく解説します。


人材が不足している

日本では少子高齢化が加速しており、労働人口は減少傾向にあります。少子高齢化は今後も続いていくと予測されており、働く人が減っていくことで人材の奪い合いは激化していくでしょう。限られた人材で効率的に業務を進めて業績を伸ばすためには、社員1人ひとりの生産性を高める必要があります。そのため、人材育成が重要です。


市場が変化している

市場の変化も人材育成が必要とされる理由のひとつです。少子高齢化によって人口は減少傾向にあり、国内市場は縮小していっています。これにより、グローバル化が進んでいますが、海外でも活躍できる人材は不足しています。市場の変化は目まぐるしく予測不可能なため、柔軟に対応できる人材を育てていかなければいけません。


価値観が多様化している

働き方改革やグローバル化などにより、転職を始めとしたキャリアの選択肢は増加しています。また、ワークライフバランスの実現やリモートワークなど多様な働き方も登場しています。価値観の多様化によって人材の流動化も加速化しているため、優秀な人材を自社に定着させるためにも人材育成が求められます。


人材育成のメリット

適切な人材育成を行うことで、企業にもメリットがあります。ここでは、人材育成の主なメリットを解説します。


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組織の生産性を向上させる

人材育成によって、自身の能力を発揮して企業に貢献できる人材の育成につながります。社員がそれぞれの能力や強みを活かせるようになるため、組織としての連携力強化にもつながるでしょう。社員1人ひとりがスキルアップすることにより業務の効率もアップするため、組織力の向上や生産性アップが期待できます。


人材が定着しやすくなる

適切な人材育成により、人材が定着しやすくなることも大きなメリットです。社員が活躍できる環境を作ることは、離職率の低下に重要です。人材育成によってそれぞれの強みを活かして活躍できるようになるため、モチベーション向上につながるでしょう。また、キャリアプランを明確にすることで、人材が定着しやすくなります。


リーダーを育成できる

人材育成は、リーダーを育成するという観点からも必要です。社員1人ひとりの能力を高めることは重要ですが、社員をまとめて同じ方向に導くリーダーは欠かせません。企業経営を存続させるためにも、リーダーとして求められる知識やスキルなどを身に付けさせるなど、チームリーダーの育成を進めることが大切です。


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人材育成に大切なこと

人材育成を進めるうえで、意識したいことが6つあります。ここでは、人材育成で大切なポイントを解説します。


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目的の明確化

人材育成においては、目的を明確化することが重要です。社員それぞれにスキルや特性が異なるため、社員それぞれの目的を明確化して具体的なゴールを設定するようにしましょう。目的やゴールがなければ、具体的に何をすればよいのかわかりにくくなります。目的を明確化することで各社員の動機付けとなり、効果的な人材育成につながるでしょう。


環境の整備

社員が躊躇わずに挑戦できる環境を整備することも大切です。人材育成には、社員のキャリアデザインを実現することも含まれています。会社の考え方と社員の考えにズレが発生すると、成長を阻害したり離職につながったりする可能性があるため注意しましょう。社員が自発的に学べる環境を整備し、キャリアデザインの実現をサポートすることが重要です。


評価制度の構築

社員にとって納得感のある評価制度を構築することも欠かせません。評価制度を構築する際には、客観的かつ正当な評価ができる制度を目指しましょう。主観的な評価では社員の納得感が得られず、不信感や不満を抱かれるリスクがあります。また、評価制度を構築するだけでなく、社員を適切に評価する能力を高めることも重要です。


自発性の促進

自発性とは、決められていないことでも自分で考えて実行することです。人材育成を行う際には、育成を受ける社員の自発性を促すことも重要になります。自発的に学ぶ姿勢があれば、考える力や学習する力が身に付くため、育成の効果があらわれやすくなります。また、教えていないスキルも伸びていくため、人材育成の効率化にもつながるでしょう。


モチベーションの管理

人材育成においては、モチベーションの管理も重要です。モチベーションを管理する際には、以下の2つのモチベーションを意識しましょう。


  • 外発的動機付け:金銭や報酬、評価といった外部から与えられるモチベーション
  • 内発的動機付け:自己決定や何がしたいかなどの自由な気持ち


面談や教育によって内発的動機付けを高めて、報奨金や適切な評価制度の構築といった社内施策で外発的動機付けを維持するとよいでしょう。


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育成方法の選択

社内のスキルや評価などをもとにして、最適な育成方法を選択することも大切です。適切な育成方法を選択しないと、育成が思ったように進まず時間やコストが無駄になる可能性があります。人材育成の手順や方法を具体化して、長期的なスパンで取り組みましょう。また、育成方法だけでなく、教える側のスキル取得や学習も必要です。


人材育成の手法

人材育成の手法はさまざまです。ここでは、3つの人材育成の手法について解説します。


OJT

OJTとは、「On the Job Training」を略した言葉です。実務を通してスキルや知識を学ぶ教育のことを指します。OJTは主に、スキルや知識をまだ得ていない新入社員や若手社員などに対して実施されることが多いでしょう。職場での実務を通してスキルを学ぶため、上司が部下に対して教育することが一般的です。


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OJTのメリット

OJTのメリットは、実務を通してスキルや知識を学んでいくことで、業務をステップアップで経験できることです。段階を踏んで業務について学ぶことができるため、難しい仕事でも少しずつ覚えていくことができます。


また、状況に応じた教育ができることもメリットです。それぞれの強みや特性、理解度などに応じて指導内容を変えられるため、柔軟かつ効果的な教育につながります。


OJTのデメリット

OJTのデメリットとしては、教える側のスキルや指導力によって社員の成長に差が出てしまうことが挙げられます。教える側の上司のスキル不足や指導力不足によって、教育の効果にバラつきが出てしまう可能性があるため注意が必要です。


また、学習者との関係性によっても教育の成果が変わる場合があります。OJTでは、指導する側と教わる側の間にどれだけ信頼関係があるかによって成果が左右されてしまうため、良好な関係や信頼関係を構築することが重要です。


Off-JT

Off-JTとは、「Off the Job Training」を略した言葉です。職場外での教育を指しており、研修やセミナー、eラーニングといった外部での指導、学習などが該当します。Off-JTは、社員のスキルアップや知識の増強、業務プロセスの改善などといった、体系的な知識を身に付けるために行われます。


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Off-JTのメリット

Off-JTの大きなメリットは、知識やスキルの習得に差が生じにくいことが挙げられます。Off-JTでは、均一化した教育が行われるためOJTのように、指導者のスキルや資質、学習者との関係性などによって教育の成果にバラつきが出にくいです。


また、Off-JTは業務から離れて研修やセミナーなどを受講することになるため、インプットに集中できます。業務に追われることなく集中して学習できるため、高い学習効果が期待できるでしょう。


Off-JTのデメリット

Off-JTのデメリットは、教育コストがかかる点です。Off-JTは研修やセミナーなどを実施するため、講師や外部機関に依頼するなどある程度のコストがかかります。また、研修を遠方で行う場合には移動費や宿泊費などが発生するため、コストがかさむでしょう。


また、学習者によって理解度や習得度に差が生まれるケースもあります。Off-JTは均一的な教育が行われますが、個人によって学習ペースや理解度には差があるため、進捗や熟練度に差が出やすい点はデメリットです。


SD

SDとは、「Self Development」を略した言葉です。SDは社員が自分でスキルアップする自己啓発を指します。企業から与えられた教育を受けるのではなく、社員が自分の意志で必要なスキルを身に付けたり能力開発をしたりすることです。SDは多岐にわたり、社内外のセミナー参加、資格取得、書籍や専門書での知識取得などが挙げられます。


SDのメリット

SDの大きなメリットは、社員が学習する内容を自由に選択できることです。OJTなどでは業務に必要なスキル、知識などを身に付けさせるために企業が必要な指導、教育を行います。しかし、SDでは社員自らが必要と思うスキルや資格を習得できるため、自由度が高いです。


自発的にセミナーに参加する、資格取得するなどの取り組みを行うことになります。隙間時間を活用するなど時間の有効活用にもつながるため、短期間でスキルアップする可能性があります。


SDのデメリット

SDのデメリットは、社員のモチベーションを維持することが難しい点です。SDでは社員自らが必要なスキルや知識を学ぶために行動するため、各社員のやる気や意識などに依存します。モチベーションが維持できないと、途中で挫折する可能性もあります。また、やる気のある社員とそうでない社員で差が出やすい点もデメリットでしょう。


企業の状況によっては、SDに費やす時間が短くなる可能性もあります。業務に追われて学習時間が取れない、残業や休日出勤が多くてSDに時間を割けない場合もあるため注意しましょう。


人材育成の考え方

人材育成の際には、3つのポイントを意識しましょう。ここでは、人材育成の考え方について詳しく解説します。


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長期視点をもつ

人材育成は短期的なスパンで行うのではなく、長期的な視点をもつことが大切です。社員に対して適切なフィードバックをしながら、中長期スパンで育成することを意識しましょう。人材育成では、自社に貢献できる人材を育成することが重要です。短期的な人材育成では、知識が身に付くだけになり知識を使いこなせない人材になってしまう可能性があります。


育成する人物像を考える

どのような人材に育成するのか、具体的な人物像を明確にすることも重要です。会社によって求める人材、優秀な人材の定義は異なります。そのため、事前にどのような人材を育てるのかといった人物像を考えておきましょう。効果的な人材育成を行うためにも、人材育成体系を構築することが重要です。


人材を階層に分けて考える

人材育成と一口にいっても、新入社員や若手社員、中堅職員、管理職などによって育成方法は異なります。階層によって求められる能力や必要なスキルなどは異なるため、人材を階層に分けて育成のポイントを検討しましょう。特に具体的な施策を考える際には、どの階層を対象にするのかを明確にすることが求められます。


【新入社員】育成のポイント

ここでは、新入社員を育成する際のポイントを詳しく解説します。


社会人の基礎を固める

新入社員の育成では、企業の一員としての心構えや基本的なビジネスマナーなどを身に付けさせましょう。たとえば、自社の経営理念や自社のビジネスモデル、業界としての基礎知識など自社の一員として活躍できる土台を構築することが重要です。また、学生時代の感覚から社会人としてのマインドに移行させるためにも、ビジネスマナーを学ばせる必要があります。


担当者のサポートを重視する

新入社員の育成では、育成スキルのある人材を担当者にすることも大切です。コーチングスキルやサポートの質が高い人材を育成担当者にすることで、良好な関係を築きやすくなり育成効果が高まる可能性があります。頭ごなしに指導したり自分の価値観を押しつけたりするのではなく、一緒に考えられる人に育成を任せましょう。


心理的安全性を確保する

心理的安全性とは、不安を感じずに活動できる状況かどうかを表す指標です。新入社員は初めての環境や慣れない業務によってストレスを抱えやすいです。そのため、心理的安全性を確保することで不安を軽減し、活き活きと活動できる環境を構築しましょう。新入社員が委縮しないような配慮が求められます。


【中堅社員】育成のポイント

ここでは、中堅社員を育成する際の3つのポイントを解説します。


組織の中核メンバーであることを意識させる

中堅社員の育成では、組織における自分の役割を自覚させることがポイントです。組織のなかで中核メンバーであり重要な存在であると認識させましょう。中堅社員は業務の慣れやマンネリを感じて、モチベーションが低下することがあります。権限が大きいポストを与えたり難易度の高い案件を任せたりして、重要な存在であることを自覚させます。


後輩の育成やサポートを担当させる

部下の指導や業務を管理させるなどして、中堅社員としての立場を自覚させることも重要です。中堅社員は業務に関するスキルや知識などが備わっており、1人で問題なく業務を遂行できます。そのため、業務の手順をわかりやすく伝える、お手本を見せるなど新人社員の精神的な支柱としての役割が期待されます。


リーダーシップを身に付けさせる

中堅社員は、自社の方向性や理念などを理解して率先して動けるリーダーシップを育むことが重要です。自分が期待されている役割を全うするだけでなく、周囲を巻き込んで行動したり企業の雰囲気を活発にしたりすることが求められます。周囲からの信頼を得る、メンバーの能力を引き出して活躍させることなども大切です。


【管理職】育成のポイント

ここでは、管理職を育成する際のポイントを詳しく解説します。


経営の視点を身に付けさせる

管理職を育成する際には、経営の視点を身に付けさせることが大切です。経営の視点とは、経営戦略や自社の理念、方針を理解したうえで組織全体を最適化させることです。経営の視点をもつためには、経営戦略や組織論などを学ばせるとよいでしょう。上層部の役職になるほど、経営的な視点が求められる傾向にあります。


マネジメントの経験を積ませる

OJTや集合研修、eラーニングなどを通じてマネジメント経験を積ませることでスキルを高めるとよいでしょう。事前にマネジメント経験をさせることで、基礎的なスキルを身に付けられます。マネジメント能力は個人の努力だけで身に付けることは難しいため、必要なスキルや知識を示して研修プログラムなどを実施するとよいでしょう。


マネジメント研修の内容は?研修の種類や選定するポイントも解説


コミュニケーションのスキルを高めさせる

コミュニケーションスキルは、部下への指示やチーム、部署間での連携、育成などさまざまなシーンに影響を及ぼします。そのため、コミュニケーションスキルを高めることは欠かせません。相手の立場に立って考え、協力関係を築けるコミュニケーションのスキルを身に付けさせることが必要です。


コミュニケーション能力を高める要素とは?高い人の特徴や会社で鍛える方法を解説


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まとめ

人材不足や市場の変化、価値観の多様化などにより人材育成の重要性が高まっています。人材育成では、目的を明確化することや評価制度の構築、自発性の促進などのポイントを意識することが重要です。また、新入社員や中堅社員など階層ごとに適切な育成方法を選びましょう。


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