インクルーシブデザインとは?言葉の意味や取り入れた事例を交えて徹底解説!


インクルーシブデザインとは?言葉の意味や取り入れた事例を交えて徹底解説!

現代のビジネスにおいて、「多様性」は企業や組織の価値を大きく左右する重要なテーマとなっています。

今回は、多様性の象徴といえるインクルーシブデザインの意味や成り立ち、重要性、商品・サービスに活用されている事例などを詳しく見ていきましょう。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。


     ビジネスでは「多様性」が日本だけでなく海外でも重要性を持つようになっています。多種多様な属性、国籍、価値観を持った人材がともに活躍できる企業や組織は、それ自体が重要な社会的意義を持つのです。


この記事では、多様性というテーマに大きく関連する「インクルーシブデザイン」について、意味や成り立ちといった基本的な事項から詳しく解説します。実際に商品・サービスに取り入れられている事例も踏まえて、理解を深めていきましょう。


インクルーシブデザインの意味と歴史

現代社会は、様々な属性や価値観を持った人々が共存するダイバーシティ(多様性)の時代とされています。「インクルーシブデザイン」はダイバーシティを背景にして重要視されるようになった概念です。まずは、インクルーシブデザインの基本的な意味や歴史について理解を深めましょう。


インクルーシブデザインとは?

インクルーシブデザインとは、従来の製品・サービスからは排除されてしまいがちだったマイノリティを含めて、設計されるデザインを指します。たとえば、障害がある人でも利用できるバリアフリー型の設備が挙げられます。          


インクルーシブとは

     「インクルーシブ」の語源は、「含める」という英単語「Include」であり、「除外・排除」を意味する「Exclude」の対義語だといえます     。


従来の製品・サービスは、身体的な特徴やジェンダー、国籍、言語、環境といった面でマイノリティにあたる人々を排除してしまう性質を持っていました。たとえば、「インターネット環境がないためにサービスを受けられない」「身体的な障害を抱えているために特定の製品が利用できない」といったケースです。


また、広い意味では「英語が話せないので、海外で看板やアナウンスを理解できない」といった現象も、一時的な排除に該当します。そうした意味では、条件やタイミングによって誰もが排除されてしまう対象になり得るということです。


インクルーシブとは、こうした「排除されてきた人々」を巻き込み、包括的に取り込んでいくという意味を持っているのです。


インクルーシブデザインの歴史     

インクルーシブデザインは、1990年代前半にイギリスの国立美術大学「ロイヤル・カレッジ・オブ・アート」の名誉教授であるロジャー・コールマンによって提唱されたのがはじまりです。きっかけは、デザイナーであったコールマン氏が、車いすを使う女性の友人から依頼された自宅キッチンのデザインです。


当初はただ「車いすでも問題なく使える」という機能性を考慮していたコールマン氏でしたが、友人から「ほかの人が羨むようなキッチンにしたい」という希望を伝えられたことで、彼女が本当は何を求めているのかを追求するようになりました。その結果、障害を持つ人々と同じ目線でデザインを考える重要性を発見したのです。


身体的なハンディがある相手に対しては、どうしても機能性のみを追求してしまいがちです。しかし、実際にはより多様なニーズが秘められており、デザインはその点を深く理解したうえで行うべきだという考えに至ったのです。


コールマン氏に提唱されて以来、インクルーシブデザインの概念は世界に浸透していき、実際の製品開発やデザイン研究の場でも広く用いられるようになっていきました。


ユニバーサルデザインとの違いは?

障害を持つ人々を意識したデザインとしては、「ユニバーサルデザイン」という概念も広く知られています。インクルーシブデザインとユニバーサルデザインは、どちらも同じような概念ですが、アプローチの方法に大きな違いがあります。


ユニバーサルデザインは「すべての人」が利用できる汎用性の高いデザインを意味しており、基本的にはデザイナーが設計を担当するのが特徴です。一方、インクルーシブデザインは、排除されてきた人々の課題解決を起点にして、それらの人々と一緒にデザインを設計していく概念です。


そのため、インクルーシブデザインは結果として、万人向けのデザインにはならないケースもあります。一方、マジョリティの視点では気づかないような「潜在的ニーズを発見できる」という可能性も秘めている特徴があります。


インクルーシブデザインの作り方


インクルーシブデザインを実現するには、ステップを踏んで設計の方向性を固めていくことが大切です。そこで、インクルーシブデザインを実現するうえで4つの重要なポイントを解説します。


多様なニーズを取り入れる

まずは、どのようなユーザーがどのような場面で排除されているのか、現状を正確に把握することが第一歩です。必要に応じて、ユーザーインタビューやエスノグラフィー調査(実地調査)などを用いながら、丁寧に情報収集しましょう。


そのうえで様々なユーザーの意見を聞きながら、多様なニーズを取り入れることが重要です。


デザインプロセスをユーザーと共有する

インクルーシブデザインの特徴は、実際に課題を感じているユーザーを巻き込んでデザイン設計を行う点にあります。早い段階からユーザーとプロセスを共有すれば、デザイナーや専門家の視点では気づかないようなニーズに目を向けられます。


現場の観察や意見交換、デザインの提案など、様々な工程をユーザーと進めることが大切です。


発案と試作を繰り返す

インクルーシブデザインは、専門家ではない一般のユーザーと作り上げていくため、アイデアの共有などには工夫が求められます。発案と試作を繰り返しながら、実物を通して少しずつイメージを共有していくなかで、より良いデザインが生まれていくという考え方になっています。


制限を設けずに考える

インクルーシブデザインでは、先入観にとらわれず、誰もが柔軟な発想で取り組むことが重要です。制約条件を設けず、自由な発想を心がければ、本質的な課題の発見や解決につながりやすくなるのです。


発想の段階では、実現性や費用対効果といった点を考慮せず、思いつくままに意見交換をするのがコツといえるでしょう。


インクルーシブデザインが重要な理由

インクルーシブデザインの重要性が高まっている理由には、さまざまな側面が関係しています。そのなかでも特に大きな影響を与える2つの社会的な動きについて見ていきましょう。


インクルーシブデザインはSDGsの側面を持っている

「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」は、2015年に国連サミットで採択されて以降、国際的な協力課題として世界共通のテーマになっています。インクルーシブデザインは、SDGsの主要なテーマの1つである「誰一人取り残さない」という観点に合致する考え方であることから、現代社会では急速に重要度が高まっているといえます。


インクルーシブデザインで生まれた製品・サービスは、多様性を大切にする現代社会にあって、様々な形でヒントを与えてくれるでしょう。また、多様な人材と一緒に課題解決を図るという過程も、SDGsを推進するうえで重要な意義を持っていると考えられます。


関係のない人はいない

「排除される」というシチュエーションは誰にでも起こり得るものであり、関係のない人はいないでしょう。そのため、インクルーシブデザインは誰にとっても関係のある課題ととらえることもできます。


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インクルーシブデザインを行う上で意識すべき原則

インクルーシブデザインを実現するうえでは、いくつかの原則をおさえておくことも大切です。そこで、代表的な4つのポイントをご紹介します。


すべてのユーザーが同じことを体験できる

インクルーシブデザインは、すべてのユーザーに同等の体験を提供できることを理想としています。ユーザーの状況に応じて異なるツールやアプローチを用いても、コンテンツの品質を損なうことなく体験できるかどうかが重要なテーマとなります。


具体的なものとしては、視覚や聴覚にハンディを持った人でも同等の内容を楽しめる音声解説、手話などの代替コンテンツが挙げられます。     


デザインに一貫性を持たせる

ユーザーにとっての使いやすさを考慮するうえでは、デザインに一貫性を持たせることも大切です。ユーザーにとって馴染みのあるパターンを用いたり、一定の規則に基づいてレイアウトを構築したりして、すぐに親しめるような工夫を凝らす必要があります。


ユーザーが選択できる

多様なユーザーが利用するケースを想定し、目的を達成するための手段は複数設けておくことも大切です。利用できるのが1つの手段に限られていると、ユーザーが置かれた状況によっては目的を完遂できない可能性も考えられます。


そのため、あらかじめ別の手段を提供しておき、ユーザーが自由に選択できるような設計を目指すことが重要となります。


付加価値をつける

インクルーシブデザインでは、ユーザー体験に付加価値をつけることも原則とされています。各種デバイス機能を活用したり、その他のツールとの連携を図ったりしながら、ユーザーにとってより有益な価値を提供できる方法を検討することも大切です。


インクルーシブデザインを取り入れた事例


インクルーシブデザインについて理解を深めるうえでは、具体例を通してイメージを膨らませるのも1つの方法です。実際に行われた4つの事例をご紹介します。


ジョンソンエンドジョンソン「バンドエイド」

ジョンソンエンドジョンソンの絆創膏である「バンドエイド」は、肌の色の多様性を考慮した5つのカラーバリエーション展開を実現し、世界各国で幅広い注目を集めました。薄い色から濃い色まで、様々なカラーバリエーションが登場したことで、各国のユーザーから「絆創膏の色が目立たずに使いやすい」といった反響が寄せられています。


花王「アタックゼロボトル」

花王が2019年に発売した「アタックゼロボトル」は、視覚障害者や軽度のまひを持つ方などの協力を得て開発した、独自の容器デザインに特徴があります。1回のプッシュで5gを計量できる「ワンハンドプッシュ」という機能は、視覚に障害のある方でも簡単に計量できるとともに、握力の弱くなった高齢者や子どもでも使いやすいのが利点です。


TOTO「パブリックトイレ」

TOTOはパブリックトイレの開発において、身体的な障害を抱えている人やオストメイト利用者、トランスジェンダー、乳幼児連れといった様々なケースで使いやすい設計を実現しています。トイレ内で動作しやすい空間を確保したり、介助が必要な場合に同伴者と一緒に入れるスペースを設置したりなど、従来の公共トイレを不便に感じていた方の声を参考にしている点が特徴です。


山形市南部児童遊戯施設「シェルターインクルーシブプレイス コパル」

山形市の「シェルターインクルーシブプレイスコパル」は、年齢や家庭環境、障害の有無、国籍といった違いにかかわらず、誰もが一緒に遊べることをコンセプトにした児童遊戯施設です。単にバリアを解消するだけではなく、誰もが新しい学びや遊びを体験し、仲間を作れる仕組みが施設全体で実現されています。


まとめ

インクルーシブデザインは、従来の商品・サービスでは軽視されがちだったマイノリティの意見に目を向け、新たな潜在的なニーズを探る方法です。デザイナーや専門家の視点だけでなく、多様な環境、属性からの意見を踏まえることで、画期的なデザイン設計が創造されるケースも少なくありません。


自社でインクルーシブデザインの実現を目指すうえでは、多様な人材を活かして、共創できるだけの柔軟な組織運営が求められます。そこで重要なカギを握るのが、「タレントマネジメントシステム」です。


タレントマネジメントシステムとは、人材の能力やスキルを最大限に発揮してもらうために、人材データを集約・一元管理して、高度な意思決定を可能にするシステムのことです。各人材のスキルや保有資格、経歴などのデータをもとに、計画的な人材育成や高度な配置戦略を練るために活用できます。


タレントマネジメントシステム『タレントパレット』は、データに基づいた科学的な人事を実現するためのシステムです。あらゆる人事データを蓄積・統合することにより、精度の高い分析を行い、人事や経営課題について根拠のある施策を打ち出せるようになるのが強みです。


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