自治体DX推進手順書は4部構成!手順書の概要やDXを効率的に進める方法を解説


自治体DX推進手順書は4部構成!手順書の概要やDXを効率的に進める方法を解説

自治体DX推進手順書が政府より公表されていますが、多くの自治体はDX化を進められていない状況です。本記事では推進手順書を基にDX化を進めるために必要なことについて解説します。自治体のDX化を上手く進めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。


「自治体のDXなんてどうしたら良いかわからない」「DXに消極的な住民や職員がいる」「推進手順書通りで良いわけではないのか」という方は多いのではないでしょうか。


政府はデジタル社会のビジョンを示し、自治体DXを推進していますが、住民及び職員はDX化に消極的な状況です。また、推進手順書があっても、上手く進んでいないのではないでしょうか。


本記事では、自治体DXを進めるにあたってシステム導入の必要性について紹介します。


職員の理解を得てDX化を成功させたい方は、ぜひ最後までお読みください。


自治体DXとは

自治体DXとは、自治体をデジタル技術を用いて変容させていくことを指します。具体的には、行政サービスや業務効率化が対象となります。


DX化を求められている背景は、少子高齢化による労働人口の減少、高齢化社会での行政サービスに対するニーズの増加により、職員1人当たりの業務量が増加しているためです。これらの問題をデジタル技術によって解消していく必要があるとされています。


また、コロナ感染拡大による各自治体の問題が明るみになったこともあり、政府もDX化を推進するように求めています。その際に、「自治体DX推進手順書」を公表しており、内容は取り組むべき事項や進めていく手順や事例をまとめたものです。


自治体DX推進手順書とは

「自治体DX推進手順書」は、2021年7月に総務省によって作成されたものです。内容は以下の4つで構成されています。


  • 自治体DX全体手順書
  • 自治体情報システムの標準化・共通化に関わる手順書
  • 自治体の行政手続のオンライン化に係る手順書
  • 自治体DX推進手順書参考事例集


参照:自治体DX推進手順書|総務省


自治体DX推進において政府から提示されている6つの課題

政府からは、以下の6つの課題を重点的に取り組むように示されている「自治体DX推進計画」があります。それぞれに対して、スケジュール設定や支援が用意されています。


  1. 自治体の情報システムの標準化と共通化
  2. マイナンバーカードを普及促進
  3. 行政の手続オンライン化
  4. 自治体のAI・RPAの活用
  5. テレワークの推進
  6. セキュリティ対策の徹底


参照:自治体DX推進計画|総務省


推進手順書があっても、現状はDXを成功させている自治体よりも、上手く進んでいないか未着手の自治体が多い状況になっています。原因は共通して、デジタルに強い職員が少ないなどの人材に関する問題が解決できないためです。


自治体DXの手順4ステップ

「自治体DX推進手順書」の「全体手順書」によると、DX化を推進する手順は以下の4ステップとしています。必ずしも手順通りである必要はありませんが、いきなり実行には移せないため、ある程度は手順にしたがって進めることが大切です。


  1. DXの認識共有・機運醸成
  2. 全体方針の決定
  3. 推進体制の整備
  4. DXの取組の実行


参照:自治体DX全体手順書|総務省


DXの認識共有・機運醸成

DX化の目的は、単純に新しい技術を導入することではありません。住民の利便性向上や業務の効率化などをデジタル技術やデータを用いて行うことが目的です。そのため、トップ層の首長や幹部などから一般職員に至るまで、目的を理解してもらうことが、DX化には必須となります。


全体方針の決定

DXに関する知識を深めた後に、全体方針を決め、広く共有することになります。現在のアナログなものをデジタル技術に置き換えるのではなく、住民や職員にとっての利便性が向上することを大切にすることが求められます。


各自治体の規模や既存の仕組みによって、目的が異なるため、他の自治体における成功事例を流用はせず、地域の実績に合わせた方針を定めて、大まかな工程表を作成します。組織全体として協力し取り組むことは、DX化を進める上で重要となります。


推進体制の整備

全体方針の決定後に、DX推進体制を全庁的・横断的に構築することが重要です。DX化を推進する担当部門を設置し、各部門と連携する体制を構築し、デジタル人材を配置することが求められます。


将来的には行政サービスや業務をDX化することを踏まえると、現状のデジタル人材だけではなく、一般職員も教育していくことも忘れてはいけません。


DXの取組の実行

自治体DX推進計画で制定されている課題を踏まえて、計画的に実行します。継続的にDXの効果を確かめつつ、改良していくことが重要となります。ビジネスシーンで使われるPDCAやOODAループなどを活用することも有効です。


自治体DXで自治体情報システムを標準化・共通化する手順3ステップ

政府が2025年度末までに、基幹系17業務システムについて国の策定する標準仕様への移行などを達成することを目標としています。その作業手順として「自治体情報システムの標準化・共通化に係る手順書」が公表されており、以下の3段階で記されています。


  1. 計画立案
  2. システム選定
  3. 標準準拠システムへの移行


参照:自治体情報システムの標準化・共通化に係る手順書|総務省


1.計画立案

計画立案するためには、首長の統率力による推進体制の立ち上げおよび現行システムの基礎情報についての調査が必要となります。なぜなら、自治体のシステムは、これまで各自治体の判断に任されているため、自治体ごとに異なっていることが当たり前となっていたためです。


また、移行計画には、住民への影響を最小限にとどめることも考慮する必要があります。さらに、具体的かつ余裕を持った標準準拠システムへの切り替え時期を定めることも重要です。


2.システム選定

計画立案で作成された移行計画を踏まえて、標準準拠システム提供ベンダを選定することになります。ベンダ選定までに必要なことは以下です。


  • ベンダに対する情報提供依頼(RFI)資料の作成から実施
  • RFI結果分析および移行計画の詳細化
  • 予算要求
  • ベンダへ提案依頼(RFP)


さらに、ベンダ選定・決定後には、契約詳細スケジュールを確定し、特定個人情報保護評価(PIA)も行うことが必要になります。


3.標準準拠システムへの移行

標準準拠システムへの移行となるため、円滑な稼働開始に向けて、条例や規則の改正要否も含め確認していきます。システム移⾏時の設定やデータ移⾏、運用テストはもちろんのこと、職員に対しての十分な研修も必要です。


庁内ネットワークとの接続や、他業務システムとの連携のために、既存環境の設定を次期情報システムに合わせます。条例や規則等の改正が必要となると、議会日程なども勘案しながらの改正も必要となってくるでしょう。


自治体DXで行政手続をオンライン化する手順4ステップ

政府は、住民がマイナンバーカードを保有することによって、メリットを最大限享受できるように、自治体は行政手続のオンライン化について「自治体の行政手続きのオンライン化に係る手順書」で必要性や手順について示しています。具体的な作業手順は以下の通りです。


  1. 推進体制の構築
  2. オンライン化に取り組む手続きについての検討
  3. 仕様検討・調達
  4. サービスの導入、運用


参照:自治体の行政手続のオンライン化に係る手順書|総務省


1.推進体制の構築

行政手続のオンライン化の実施について、庁内においてさまざまな意見が出ると考えられ、全職員に強いメッセージで意識を浸透させることが必要となります。まずは、全庁的・横断的な推進体制を立ち上げ、準備段階で首長などに説明を行い、オンライン化の体制整備についての理解を得ることです。


2.オンライン化に取り組む手続きについての検討

自治体ごとにオンライン化の取組みについての進捗状況は異なるため、以下の4類型に分類し提示される内容が変わります。


  • 今後、オンライン化に取り組む
  • 現在、ぴったりサービスの導入で、オンライン化を実施済み
  • 現在、汎用的電子申請システムの導入で、オンライン化を実施済み
  • 手続により、ぴったりサービスおよび汎用的電子申請サービスをそれぞれ導入して、オンライン化を実施済み


3.仕様検討・調達

DX推進担当部門や情報政策担当部門、行政改革担当部門を中心として、システム導入に向けた作業に移ることとなります。プロジェクトを立ち上げて、オンライン化に取り組む手続きが決定後、関係規定等の検討および整備から予算要求、調達仕様の作成などです。


4.サービスの導入、運用

ベンダからシステムを調達した後から、運用開始後もオンラインの利用率を伸ばすための行動が必要です。具体的には、利用する住民の声を聞くことで、UI/UXを見直していくことになります。


自治体DXの参考事例

「自治体DX推進手順書参考事例集」には「自治体DX全体手順書」のステップ毎と、ステップ2と3は、さらに3つに分類されています。具体的には以下が分類として追加されています。また、事例集の内容は、ポイントとなる部分や概要、図、自治体のURLなどの情報です。


  • 組織体制
  • DX推進のための自治体職員の育成
  • DX推進のための人材確保
  • デジタル技術を活用した業務改善等
  • 行政手続のオンライン化
  • デジタルデバイド対策


参照:自治体DX推進手順書参考事例集|総務省


自治体DX先進事例について詳しく知りたい方は、別記事「自治体DX先進事例」をあわせてご確認ください。


自治体DXを進めるためには人材管理システムが有効

自治体DX推進手順書に共通する最初の段階は、上層部から一般職員までの全ての職員に、DXについての理解を深めてもらうことです。いくら周知をしたところで、知らないことを理解し受け入れることは難しいため、教育していくことが大切となります。


また、アナログで業務を行ってきたことにより、ITリテラシーやセキュリティの意識が低いと、情報漏洩のリスクが高くなるため、職員の教育は欠かせません。教育には人材の管理が必要となるため、デジタル化を推進することも含めて、人材を管理するシステムを導入することがおすすめです。


自治体DX推進手順書のまとめ

自治体DXは、住民や職員のために必要なものだが、さまざまな問題により上手く進められない状況です。


政府より示された自治体DX推進手順書があっても、職員の理解が得られず上手く進められないのであれば、まずは職員の人材育成から力を入れることが有効です。


タレントパレットは、人材育成や管理に適したシステムと、十分なサポートも用意しているためおすすめです。


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