介護休暇と介護休業の違いとは?介護休業給付金の申請方法も解説


介護休暇と介護休業の違いとは?介護休業給付金の申請方法も解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

介護休暇と介護休業は似ている言葉です。しかし、休暇日数や申請方法が異なるため、企業が企業規則を明確に把握しておく必要があります。
また、高齢化が進んでいることから、介護休暇・介護休業を申請する社員が今後増加する可能性も考えられるでしょう。

この記事では、介護休暇と介護休業の違いや介護休業給付金の申請方法を見ていきましょう。

介護休暇とは

介護休暇は、要介護状態の対象家族を介護するために取得できる休暇です。要介護状態は「身体・精神の病気や障害によって、2週間以上の期間にわたって常時介護が必要な状態」を指します。

介護休暇が取得できる対象家族は、配偶者や両親、子、養父母や養子、事実婚の配偶者も含まれます。原則的に入社6ヶ月以上のすべての労働者が介護休暇を取得可能です。

申請は口頭でも可能であるものの、就業規則によっては診断書や申請書が必要となります。特に申請方法は明確に従業員に伝えておきましょう。

介護休暇を取得できる日数

介護休暇を取得できる日数は、以下の通りです。

・対象が1人の場合は1年間に5日まで
・2人以上対象がいる場合の日数は年間10日まで

ただし、3人以上に増えても1年間に取得できる日数は変わりません。取得できる休暇単位は1日だけでなく、半日や1時間単位でも取得できます。1日の労働時間が4時間未満だった場合は、半日単位の休暇取得はできません。

休暇対象となるのは、食事や排泄の介助など直接的な介護だけではなく、病院への送迎や保険手続き、ケアマネジャーとの面会などの間接的な介護も含まれます。

休暇中の賃金

介護休暇を取得している期間の賃金は法律で定められていません。そのため、それぞれの企業の就業規則に合わせる必要があります。例えば、全く減額とならない有給と同様のケースもあれば、割合、無給とすることも可能です。

企業側の対応として、時短勤務の労働者の給与は時間単位で定めましょう。また、どの立場であっても適用条件を満たしている場合は、同様の対応を行う必要があります。

仮に無給と定める場合は、労働者が有給休暇を利用するか検討するため、あらかじめ社内に周知しなければなりません。

休暇中の賃金は企業ごとに決めるものです。他にも介護休暇が申請された場合、企業は拒否できません。
「介護休暇」については、こちらの記事をご確認ください。

介護休業とは



介護休業とは、要介護状態の家族を介護するために長期休暇を取得できる制度を指します。条件は以下の通りです。企業としても内容をよく確認しておきましょう。

・対象家族は介護休暇と同様
・取得できる労働者は、介護休業の取得予定日から93日+6ヶ月経過する日に契約期間が満了しない者
・開始する2週間前までに企業に書類を提出する必要がある。申請書類に関しては、企業によってフォーマットを変更できる。

企業は、介護休業の申請期限を2週間より短い期間に定めることが可能です。また、終了予定の2週間前までに申請した場合、就労予定日を1回繰り下げられます。

休業期間中の賃金

介護休暇と同様に法律で定められていないため、就業規則によって無給としても問題はありません。従業員の年齢や働き方を考慮したうえで、把握できていない場合や確認しても具体的な数字が見受けられない場合はどうなっているのか一度確認してみることをおすすめします。

ただし、雇用保険の介護休業給付制度を利用すると、休業開始日の賃金月額の67%にあたる給付金が支払われます。

介護休暇と介護休業の違い

介護休暇と介護休業の違いは、以下の通りです。

介護休暇 介護休業
取得可能日数 1年間で5日まで 合計93日まで
給付金 利用できる公的な制度なし 介護休業給付金制度を利用できる
申請期限 当日で口頭でも申請できる(就業規則による) 休業の2週間前までに申請する
制度を利用できる労働者 入社6ヶ月以上の全ての労働者が対象となる 介護休業の取得予定日から93日+6ヶ月経過する日に、契約期間が満了しない労働者が対象となる

どちらも正社員だけでなく、パートやアルバイト、契約社員など雇用形態にかかわらず取得できます。ただし、日雇い労働者は制度を利用できません。

また労使協定を結んでいる場合には、所定労働日数が1週間のうちに2日以下のケースは利用できないと規定できる点は知っておきましょう。

労務管理だけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析

時代は人材情報「管理」から人材情報「活用」へ!
タレントマネジメントシステム『タレントパレット』で、様々な労務課題と向き合えます。

・ペーパーレス化で労務管理、手続きを効率化
・入社手続きや身上届などスマートフォンでも申請可能
・自動チェックで入力漏れ確認も不要
・データをタレントマネジメントに活用

タレントパレットの資料を見てみたい

介護休業給付金とは



介護休業給付金とは、雇用保険から給付金を受け取れる制度です。受給するには、以下の2つの要件を満たさければなりません。

  1. 雇用保険の被保険者である
  2. 介護休業を取得した日から2年前までに、雇用保険の加入期間が通算12ヶ月以上ある
  3. 2の条件を満たしたうえで同じ事業主から1年以上雇用されている(雇用期間の定めあり)
  4. 介護休業開始予定日から93日が経過する日から6ヵ月経過する日まで雇用が終了しないこと


12ヶ月以上の換算は、介護休業開始日の前日から1ヶ月ごとに区切った期間のうち、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1ヶ月と数えます。

介護休業給付金の給付金額

介護休業給付金の金額を算出する際は、以下の計算式で求めるとよいでしょう。

「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」

支給金額は上限が定められており、毎年8月1日に発表される毎月勤労統計の平均定期給与額によって、上限金額が変化します。2022年8月1日時点の介護休業給付金の上限金額は、33万5,871円です。

また、介護休業に有給休暇を取得している場合は、その金額によって介護休業給付金が減額や支給されないケースもあるため、事前に確認しておきましょう。

なお介護休業給付金は非課税で、所得税や雇用保険料なども徴収の必要がありません。口座への入金は、通知書に記載されている支給決定日から1週間程度で振り込まれます。

介護休業給付金の申請方法

介護休業給付金の申請は原則、企業が管轄のハローワークに提出するものです。しかし、希望すれば労働者自身がハローワークで手続きできます。企業として対応する機会が今後増加する可能性があるため、知っておきましょう。

申請期間は、介護休業が終了した日の翌月から2ヶ月後の月末までと規定されており、例えば、5月15日に介護休業が終了した場合は、5月16日から7月31日までに手続きをしなければなりません。

介護休業給付金の申請に必要な書類は、以下の5種類です。

  • 介護休業給付金の支給に関する申請書
  • 労働者が企業に提出した介護休業申出書
  • 住民票など介護対象家族の氏名や続柄などが確認できる書類
  • 介護休業期間中の休業日数が確認できる書類
  • 介護休業期間を対象として支払われた賃金が確認できる書類


介護休業給付金の申請手続きはハローワークの窓口だけでなく、電子申請もできます。

まとめ

介護休暇と介護休業は、休む期間や申請期限が異なる全く別の制度です。どちらの制度も企業の就業規則によって対応が異なるため、自社の制度を確認し周知しておくことが大切です。

介護休業では休業開始日の賃金月額の67%にあたる介護休業給付金が支払われます。介護休業給付金の申請は、原則的に介護休業が終了した翌月から2ヶ月後の月末までに、企業が行わなければなりません。そのため、必要書類も把握しておく必要があるといえます。

高齢化が進むにつれて介護休業と介護休暇の重要性は増し、社内の制度を充実させるとより優秀な人材の確保が可能となるでしょう。介護は、労働者にとって経済的だけではなく、精神的にも体力的にも深刻な悩みです。そのため、企業としても労務管理や企業体制を整えておく必要があるといえるでしょう。

タレントパレットであれば、労務管理を一括で管理可能です。人事情報の最新データを一つのプラットフォームに集約するため労務管理もすぐにできるでしょう。労務管理にお悩みの方はぜひタレントパレットをご活用ください。

タレントパレットのHPはこちら