組織変革の重要なポイントは?フレームワークとプロセスをわかりやすく解説


組織変革の重要なポイントは?フレームワークとプロセスをわかりやすく解説

「組織変革」とは、組織の仕組みや構造、価値観などを根本から見直し、変化・改善させる取り組みのことです。この記事では、組織変革の意味や具体的なフレームワーク、取り組みの注意点などをご紹介します。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。


現代を生きる企業は、社会情勢の移ろいや目まぐるしい技術の進歩など、激しい環境の変化にさらされています。それにともない、組織を抜本的に改革する「組織変革」の重要性も高まっているといえるでしょう。


今回は組織変革について、基本的な意味や目的、具体的なフレームワークなどの様々な観点から解説します。


組織変革とは?

組織変革とは、組織のシステムや構造を全体的に見直し、仕組みを抜本的に改善することを指します。変革の対象はとても幅広く、組織の構造や体制といった目に見えるものだけでなく、文化や風土といった部分も目に見えない含まれます。


それまでの問題点を根本から解消し、業績や生産性の向上を目指したり、人材育成の効果を高めたりするのが組織変革の主な目的です。


現在社会で求められる組織変革

組織変革はとても幅広い意味を持つ概念であり、状況に応じて具体的な内容は変化します。環境の変化が激しい現代のビジネスシーンでは、組織変革の意味や内容もより複雑になっているといえるでしょう。


ここでは、現代社会における組織変革の内容について解説します。


組織変革に何を求めるか

組織変革は組織のあり方を抜本的に見直す行為であるため、実際に着手すれば、大掛かりな取り組みが必要となります。そのため、まずは「何のために組織変革を行うのか」という視点から、自社にとってのゴールを明確にすることが大切です。


企業や組織が目指す最終目的を明らかにし、そこに到達するまでに障壁となる問題点を洗い出すことで、組織変革の具体的な方向性が定まっていくのです。


組織変革が必要なタイミング

組織変革が求められるのは、企業にとって大きなターニングポイントとなる変化が起こったタイミングです。たとえば、経済情勢の変化や革新的な技術の登場、法制度の変化のように、「外部環境が変化したとき」には組織変革の必要性も高まります。


あるいは、離職者数の急激な増加や人員の削減、業績の悪化といった「内部環境にマイナス要因が生じたとき」も組織の抜本的な見直しが必要です。場合によっては、大きな経営リスクにつながるケースもあるため、組織変革による早急な対応が求められるでしょう。


それ以外に考えられるのは、「新たな経営目標を立てるとき」です。経営方針が大きく変化したり、新規の事業を立ち上げたりする際には、従業員のマインドセットを切り替えるためにも組織の構造を大胆に改革すべきケースがあります。


組織図の変更だけでは不十分

単に組織変革という言葉を聞くと、組織の体制や人員配置の見直しをイメージされる方

も多いかもしれません。しかし、単に部署や人員を増減させるだけで、本来の目的である業績・生産性の向上や、優れた人材の育成といったゴールに近づけるとはかぎりません。


組織図の変更だけではなく、組織の文化や風土、人間関係といった部分にも目を向けることが大切です。


従業員の変革も必須

現代における組織変革の根本的な目的は、従業員の変革にあるといっても過言ではありません。なぜなら、業績や生産性を向上させるためには、従業員のモチベーションを高めたり、人間関係を改善したり、理想的な価値観・文化を浸透させたりすることが必要不可欠であるためです。


単に表面的な仕組みだけを変更しても、従業員が実際に感じている問題点や不満の解消につながらないのであれば、新たなシステムもうまく機能してくれません。組織変革では、1人ひとりの従業員にしっかりと焦点を当てたうえで、具体的な施策を検討していくことが大切です。


組織変革前に行うべきフレームワークがある

これまで見てきたように、組織変革では組織図やシステムといった「ハード面」だけでなく、文化や風土、価値観といった「ソフト面」にも目を向ける必要があります。そこで、組織変革に着手する前に、下準備として取り組んでおきたいのが「マッキンゼーの7S」というフレームワークです。


マッキンゼーの7Sとは、アメリカのコンサルティング会社「マッキンゼー・アンド・カンパニー」が考案した組織分析の手法です。組織の要素を「S」から始まる7つの用語に切り分け、それぞれを分析していくことで、自社の現状を客観的に把握するのが狙いです。


ここからは、マッキンゼーの7Sの具体的な内容について見ていきましょう。


マッキンゼーのフレームワーク・ハードのS

マッキンゼーの7Sでは、組織を構成する要素を「ハード」と「ソフト」の2つに大別するのが特徴です。ハードのSには3つの要素があり、いずれも可視化されやすいところに共通点があります。


トップの意向でいつでも変更できるものが多く、変革の効果もすぐに見えるため、着手しやすいのも特徴といえるでしょう。


1.Strategy:戦略

「Strategy」は企業の戦略のことであり、競争優位性を維持するための全体的な方向性を示すものです。具体的には経営戦略や事業の方向性などが当てはまります。


また、ヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源の分配方法や、一定期間にわたる具体的な行動方針なども含まれます。


2.Structure:組織

「Structure」は組織の仕組みや特徴のことであり、具体的には組織形態や組織構造、指揮命令系統などを指しています。たとえば、「意思決定が分権化している/意思決定が集権化している」といった組織のあり方を示す要素です。


3.System:システム

「System」は文字通りシステムのことであり、組織の管理方式や情報システムなどを指しています。社内で定められている仕組みが正しく稼働しているか、効率的な設計が行われているかなどが分析の観点となります。


マッキンゼーのフレームワーク・ソフトのS

ソフトのSとは、人材や行動様式、価値観などのことです。ハードのSと比べて、ソフトのSはいずれも実体がないため、改革を行うのには時間がかかってしまうのが特徴です。


しかし、組織変革が形骸化してしまうのを避けるためには、ソフト面の改革にも着手しなければなりません。そのため、分析にもしっかりと時間をかけて、丁寧に状況を把握していくことが大切です。


1.Shared Value:価値観

「Shared Value」とは、経営理念や会社方針のように組織全体で共有された価値観のことです。チームや従業員の意思決定を左右する土台となるポイントであり、組織変革を行ううえでも無視できない要素といえます。


2.Skill:スキル

「Skill」とは、組織全体として持っている競争優位性のことです。飛び抜けたマーケティング力や技術力、営業力などのことであり、場合によっては経営の中心的な人物に備わった資質も含まれます。


3.Staff:人材

「Staff」は人材のことであり、従業員個人が持つ能力だけでなく、人材の質をどのように活かせるかといった観点も含まれます。また、人材育成や人材開発の手法なども人材に含まれる要素です。

4.Style:スタイル

「Style」とは組織の文化や風土のことを指します。具体的には「変化を求める/伝統を重んじる」「ボトムアップ型/トップダウン型」など、組織に根付いている基本的な姿勢が分析の観点となります。


組織変革のために、あらゆる人事データを統合して分析

組織変革を行ううえでは、組織の現状を丁寧に把握することが重要な第一歩となります。特に人材に関する分析は、組織変革の根本的な目的や方向性を決める大切な要素といえるでしょう。


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組織変革のためのプロセス

組織変革では様々な取り組みを実践する必要があるため、途中で方向性を見失ってしまいやすい面があります。そこで、以下でご紹介する基本のプロセスに沿って、組織変革の全体像を把握しておきましょう。

組織変革の8つのプロセス

  1. 危機意識の共有
  2. 変革を推進するチームの創設
  3. 適切なビジョンと戦略の策定
  4. ビジョンと戦略の周知徹底
  5. 従業員の自発的行動促進
  6. 短期的成果の達成
  7. さらなる変革を進める
  8. 変革の定着

1.危機意識の共有

「何のために組織変革を行うのか」を明らかにするには、危機意識を共有するのが近道です。自社を取り巻く外部環境と、内部に生じている問題を丁寧に分析し、どのような危機が潜んでいるのかを全体で共有しましょう。


2.変革を推進するチームの創設

組織変革の目的を明確にしたら、実行の中心者として推進チームを立ち上げます。一定の影響力と権限を持つメンバーを集め、綿密な情報共有が行えるように環境を整えましょう。


3.適切なビジョンと戦略の策定

取り組みの軸を明確にするために、組織変革のビジョンと戦略を策定します。各従業員に変革を受け入れてもらううえでも、意義や目的、それによって生まれるメリットなどを明確にすることが大切です。


4.ビジョンと戦略の周知徹底

変革を成功させるためには、全従業員に対してビジョンと戦略の周知徹底を行うことが大切です。単に内容を伝達するだけではなく、必要に応じて研修などの機会も設け、理解が得られるまで丁寧に浸透させましょう。


5.従業員の自発的行動促進

ビジョンの共感が得られたら、実際に従業員の自発的な行動を促していきます。このとき、各従業員に対して、具体的な行動と結果に基づくこまめなフィードバックを行うのが理想です。


6.短期的成果の達成

組織変革は大規模な取り組みとなるため、行動が具体的な成果に結びついているかどうかを確認するため、短期目標を設定することも大切です。特に、変革について否定的な意見を持つメンバーに対しては、短期的成果の達成が大きな説得力を持つケースも少なくありません。


7.さらなる変革を進める

短期目標を達成することができたら、さらなる変革を推し進めていきます。ハード面だけでなく、ソフト面についても目を向け、丁寧に着手していくことが大切です。


8.変革の定着

組織変革を成功させるためには、単に変化を実行するでなく、習慣として定着させていく必要もあります。元の状態に戻るのを防ぐためにも、継続的に状況分析や研修を行い、変革を根付かせていくことが大切です。


組織変革を成功させるためのポイント

最後に、組織変革を成功させるうえで重要となるポイントを3つに分けて見ていきましょう。


従業員と経営陣のコミュニケーション

組織に関する変化は、その規模が大きければ大きいほど、経営陣と従業員の間で考え方のギャップが生じてしまいやすいものです。組織変革は従来の価値観や仕組みをガラリと変える取り組みのため、スムーズに従業員の理解を得られるかが重要な課題となります。


経営陣は「なぜ組織変革が必要なのか」「個々の変化がどのような影響をもたらすのか」などを明確に示し、従業員の不安を取り除くことにも力を入れることが大切です。


変革のリーダーの存在

変革について従業員の理解を得ることはもちろん重要ですが、はじめから全メンバーに賛同してもらうのは現実的に不可能といえます。場合によっては、強力なリーダーシップで取り組みを推進していかなければならない場面もあるでしょう。


それだけに、中心者となるメンバーの選定も、組織変革の成功を左右するポイントとなります。変革を推進できるスキルだけでなく、人望や信頼、コミュニケーション能力なども踏まえてメンバーの見極めを行いましょう。


変革を嫌う従業員を巻き込む

変革を推進するうえでは、反対派の従業員をどれだけ巻き込めるかがカギとなります。「先の見えない状況に不安を感じてしまう」「新しいことを覚えたくない」という心理は、程度の差こそあれ、人間には誰しも備わっている共通の感覚ともいえるでしょう。


新しい動きに馴染めない従業員を放置したり、変化を押し付けたりすれば、組織変革はスムーズに進んでいきません。まずは、そうしたメンバーの目線に立ち、抵抗感を覚えてしまう原因を冷静に見つめることが大切です。


そのうえで、変革による具体的なベネフィットを一緒に考えたり、現状維持するリスクを客観的に伝えたりするなど、1人ひとりに合わせたアプローチを行うのが理想です。


まとめ

組織変革は組織の価値観や方向性、仕組みを根本から見直す手法です。変革には大きなコストと労力を必要としますが、外部環境の急激な変化にさらされたり、内部に重大な課題が見つかったりしたときには、企業が生き残るために避けて通れない道ともいえるでしょう。


組織変革を行う際は、様々な事柄に目を向けなければなりませんが、特に重要となるポイントは「従業員の理解と共感を得ること」にあります。そこで活用したいのが、「タレントマネジメントシステム」です。


タレントマネジメントシステムとは、人材の能力やスキルを最大限に発揮してもらうために、人材データを集約・一元管理して、高度な意思決定を可能にするシステムをいいます。人材一人ひとりのスキルや保有資格、経歴などのデータをもとに、計画的な人材育成や高度な配置戦略を練るために活用できます。


また、タレントマネジメントシステムである『タレントパレット』は、データに基づいた科学的な人事を実現するためのシステムです。あらゆる人事データを蓄積・統合することにより、精度の高い分析を行えるので、「組織の抜本的な見直しをしたい」「意思の共有がスムーズな組織をつくりたい」という方は、ぜひタレントパレットをご活用ください。


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