資格手当とは?適応される可能性のある資格や相場を紹介


資格手当とは?適応される可能性のある資格や相場を紹介

人材不足や生産年齢人口の減少などにより、今いる従業員の育成に力を入れる企業が増えています。その取り組みの1つが資格手当です。今回は、資格手当の概要や手当一覧、注意点などについてご紹介します。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

人材不足や生産年齢人口の減少などにより、今いる従業員の育成に力を入れる企業が増えています。その取り組みの1つが資格手当です。従業員のスキル向上や企業の印象・業績アップにつながる有効的な施策だとして注目を集めています。

しかし、どのような資格に対していくら手当を支給すれば良いかわからない方もいるかもしれません。そこで今回は資格手当の概要や手当一覧、注意点などについてご紹介するので、ぜひ最後までご一読ください。

資格手当とは

資格手当とは、円滑に仕事を進めるために役立つ資格を所有する従業員に支給する手当です。従業員側・企業側ともにメリットがある制度であり、導入を検討する企業は増加しています。まずは、資格手当の概要や支給条件、金額などについてご紹介しましょう。

業務の必要性に応じて支払われる手当

資格手当は役立つ資格を保持する従業員への手当で、福利厚生の一部です。福利厚生は法律で義務付けられている「法定福利厚生」と、それ以外の「法定外福利厚生」の2種類に分かれます。資格手当は本来支給しなくても問題ないため、法定外福利厚生の1つです。

ただし、手当によっては企業側にもメリット・デメリットがあります。従業員からすると手当により給与が増えるのであれば取得を希望したいと思い、取得者が増えればより良いサービスを提供できるようになるでしょう。

支給条件は職場ごとに異なる

支給条件は会社ごとにオリジナルで設定しているため、どの資格に対していくら支給するかなどの明確なルールは設けられていません。そのため、同業種であっても企業ごとに対象資格や条件は異なります。

また法定外福利厚生の1つなので、義務ではありません。支給するかどうかは企業が決定するものであり、同じ資格であっても企業ごとに金額は異なります。また、どの資格にいくら支給されるかについては、就業規則で記載することが一般的です。

資格手当の種類


資格手当は主に2種類あります。まずはどのような種類があるのか把握し、自社でどの手当を取り入れるか検討してみてください。

毎月支給される資格手当

資格手当はもちろん、それ以外の手当も毎月の基本給にプラスするのが一般的です。基本給が上がるわけではありませんが、資格を所持しているだけで毎月の収入アップとなるため、入社希望者や資格をまだ持っていない従業員からすれば魅力的に感じるでしょう。

ただし、企業によっては期限を設定しているところもあります。例えば、取得から5年間までとしているケースが該当します。就業規則に期限に関する内容を記載しない場合、基本的には退職まで支給します。

また、資格取得の推進を目的に受験料や受講代などの費用を負担している企業も少なくありません。

資格の取得時に支給される合格報酬金

合格報酬金とは、企業が定める資格を取得した際に一度だけ支給するお金です。取得にかかった受験料などの費用を会社が負担するのを目的としている場合が多いため、報酬金をもらっても従業員側のプラスにならないケースもあります。

ただし、その場合は従業員の意欲を上げることにつながりません。制度を導入しても利用者が増えないため、合格報酬金と毎月の資格手当をどちらも支給する会社も多いです。

金額は会社ごとに様々ですが、大体5,000~20万円が相場になります。資格の難易度が高ければ金額も増える傾向にありますが、「業務に活用できるかどうか」を重視することが大切です。

主要な国家資格の資格手当一覧

資格手当の対象としている資格は様々ですが、難易度の高い国家資格は手当額が高い傾向にあります。ただし、その資格が業務に直結しない場合には手当を支給しないケースもあるでしょう。本章では、主な国家資格の概要や手当相場などをご紹介します。

看護師

看護師は正看護師と准看護師の2種類があり、正看護師は国家資格、准看護師は都道府県資格です。2つの資格を基本給で差を付けず、資格手当額で調整することで差別化を図っています。

手当の相場は正看護師が1~2万円、准看護師が1万円前後と正看護師の方が高いケースが多いです。また、どちらかの資格を持った看護師しかいない病院だと2つを差別化する必要はないとして、資格手当を付けずに基本給をプラスする場合もあります。ただし、明確な決まりはなく、支給額や条件は病院側の裁量によります。

社会保険労務士

年金や労務のプロである社会保険労務士は、「社労士」とも呼ばれています。行政機関への提出書類や就業規則、賃金台帳の作成などが主な仕事で、人事労務には欠かせない存在です。

手当の相場は3~5万円と言われていますが、担当業務や業績によってランク付けしている企業もあります。例えば、手続き事務がメインの従業員と補助的な立場の従業員では業務内容に大きな差が出るため、同じ資格であっても金額に差が出る場合もあるでしょう。

宅地建物取引士

宅地建物取引士は不動産取引が主な仕事で、契約締結時に買主や借主に重要事項の説明を行います。一般的な手当相場は1~3万円だと言われており、支給している企業の多くは不動産会社です。

不動産会社といってもリフォーム系・建築系・金融系などがメイン業務の場合、宅地建物取引士の需要は低いため支給していない、もしくは安く設定しているケースが多くあります。逆に言えば、会社における有用度や必要度が高ければ、相場以上の金額になる場合もあるということです。

管理栄養士

管理栄養士とは病気の方や食事が取りづらい高齢者など一人ひとりに合わせて、栄養指導や栄養管理などを行う仕事です。病院や学校などのたくさんの食事を作る場所では、管理栄養士を必ず1人以上置くことが義務付けられています。なお、似ている資格である栄養士は健康な方を対象にしており、国家資格ではありません。

管理栄養士の手当相場は、約3万円です。その一方で、栄養士は2,000〜5,000円と2倍以上の差があります。取得難易度や業務量の違いなどを考慮して、2つを差別化する企業は多いです。

電気工事士

建物内で電気を利用するために電線を配線したり、機器の据付や取付工事をしたりするのが電気工事士の仕事です。電気工事士には「第二種電気工事士」と「第一種電気工事士」の2つがあり、それぞれ対応できる工事内容が異なります。ビルや工場、病院などの大きな現場でも作業可能なのが第一種電気工事士であり、その分手当額の相場も高いです。

第二種電気工事士が2,000~3万円である一方、第一種電気工事士は5,000〜6万円となっています。約1.5〜2.5倍の差を設けて、それぞれの手当を支給する会社が多いです。

中小企業診断士

国の認定を受けた経営コンサルタントである中小企業診断士は、様々な視点から企業を診断しアドバイスをする仕事です。経営コンサルタント唯一の国家資格であり、日本版MBA(経営学修士)とも呼ばれています。

合格率は約4%と非常に難しい資格です。手当の相場は1〜3万円と言われていますが、難易度の高さから企業によっては毎月5万円以上を支給しているところもあります。1年に換算すると60万円加算されますので、導入すれば取得を希望する従業員が増加するかもしれません。

基本情報技術者

基本情報技術者とは情報技術全般の基礎知識・スキルを持ち、プログラム設計書の作成や開発の一連プロセスを担当する存在です。基本的なITスキルを所持していることの証明とも言え、エンジニア系やIT系の会社で必要とされる資格になります。

IT関連の資格にも様々な種類がありますが、基本情報技術者の手当相場は5,000〜1万円と比較的低めです。それ以外の応用情報技術者やITストラテジストやITサービスマネージャなどはさらに金額が高い傾向にあり、2倍以上になる場合もあります。

衛生管理者

衛生管理者の主な仕事は、作業環境や労働者の衛生・健康管理です。安全な環境を保つため現場や設備を定期的に確認し、問題がないかどうかをチェックしています。50人以上規模の企業に必ず置かなければならない存在であり、必要人数は規模の大きさに比例していくのが基本です。

また衛生管理者は第一種・第二種・衛生工学に分かれますが、いずれも様々な会社から必要とされる存在になります。合格率は40〜50%と国家資格の中では比較的高めである点から、手当額も数千円とする会社が多いです。

保育士

保育士は、児童福祉法で定められている国家資格です。就労や病気、出産などが理由で子どもを療育できない保護者に代わって保育や、保護者への保育指導などを行っています。専門知識や技術を所持し、保育士試験に合格した方のみが取得可能です。
保育士資格手当の相場は5,000〜2万円です。園によって差があるほか、従事する仕事によっても金額は上下するため、相場はあくまでも目安として理解しておきましょう。

理学療法士

理学療法士とは、病気やケガ、加齢などによって身体機能の障がいや衰えが見られる方のリハビリを担当する存在です。運動療法や物理療法などを用いて、基本動作をする力の回復や維持、悪化などを予防し身体機能回復を図ります。病院や介護施設はもちろん、保険センターやスポーツチーム、デイケアセンターなどでも必要とされる資格です。

資格を取得するためには養成学校で3年以上学ばなければならず、筆記試験・口述試験・実技試験をクリアする必要があります。合格までに時間を要することから、1〜2万円の手当額とする会社が多いです。

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人材確保や資格取得の推進などを目的に、資格手当の導入を検討する企業は増加しています。しかし、資格ごとに金額の差や条件が異なるため、全従業員のデータを管理するのは容易ではありません。

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主要な民間資格の資格手当一覧


民間資格であっても手当の対象とする会社は珍しくありません。続いては、数ある民間資格の中からいくつかピックアップし、それぞれの特徴や相場をご紹介しましょう。

日商簿記

経理や会計業務で役立つ資格が日商簿記です。企業の活動を記録、整理して現在会社が置かれている財政状態や実績などを明らかにできることから、経営管理能力の持ち主である証明になります。

日商簿記には1〜3級まであり、基本的に3級は資格手当の対象にはなりません。実務に役立つ2級以上を対象にしていますが、手当相場は数千円と低めです。しかし、経験を積むほど手当額を増やす会社もあり、従業員の能力や実績に合わせて柔軟に変化させているところもあります。

TOEIC

TOEICは英語の試験で、リスニングとリーディングの2つから構成されています。他の英語試験と違って点数制度となっており、満点は990点です。そのうち、支給対象となるのは500点以上とする会社が多いですが、海外派遣があるところでは600〜700点以上に設定されているケースもあります。

TOEICの場合は毎月支給のケースは少なく、基本的には合格報酬金のみです。資格手当というよりも、採用時や昇格の際に関係する資格になります。相場は数万円となっていますが、得点次第では金額を高く設定する企業も少なくありません。

秘書検定

秘書検定を持っているとビジネスにおける一般常識やお客様対応、文書の作成などの能力が身に付いている証明となるため、秘書以外の方でも取得を目指す方は多いです。女性秘書が多いことから取得者も女性が多いイメージがあるかもしれませんが、接客業務やお客様対応に役立つことから男性にも役立つ資格だと言えます。

1級から3級までありますが、実際に実務で活かせるスキルは2級以上になるでしょう。なお、手当の相場は数百円から数千円ほどです。

インテリアコーディネーター

インテリアコーディネーターとはそこに住む人の要望をヒアリングし、希望をカタチにする空間の提案をする仕事です。内装や家具、設備などの幅広い知識を保有しており、住宅メーカー・工務店・家具店などで活躍しています。インテリア関係の資格は他にもあり、インテリアコーディネーターはインテリアプランナーやインテリアデザイナーよりも難易度の高い資格です。

資格手当の相場は5,000〜1万円になります。その他、取得にかかる受験代や講義代を補助する企業も多いです。

MOS

MOSとはマイクロソフトオフィススペシャリストの略称です。パソコン作業に欠かせないWordやExcel、Power Pointなどを問題なく使えるスキルの証明に役立ちます。試験費用は1科目1万円ほどで、3科目一緒に受けることも可能です。

また、それぞれで一般レベルと上級レベルがあり、実務に活かすのであれば上級レベルは所持していた方が望ましいでしょう。レベルによって手当相場は異なりますが、難易度が比較的低めのため1,000〜2,000円であることが多いです。

資格手当は課税対象なのか

毎月支給の資格手当は給与の一部となるため、所得税・住民税の課税対象です。そのため、資格手当を1万円としても、その額すべてが従業員の手元に入るわけではありません。資格手当以外の家族手当や役職手当なども基本的に課税対象となります。

ただし、継続的な支給ではない合格報酬金は非課税になるケースもあります。会社の仕事に直結する資格であること、会社の要請を受けて取得したことなど業務遂行に欠かせない資格であれば、非課税になる可能性が高いです。また、受験料だけでなく講義代も非課税となります。

一方で、仕事に直結しない、従業員が自主的に取得した場合は合格報酬金であっても課税対象です。業務に必要な資格かどうかの判断は難しいため、企業側が専門家へと問い合わせる必要があります。

資格手当をもらう際の注意点

多くのメリットを与えてくれる資格手当ですが、従業員側から見た注意点もあります。「収入が上がるから」「一時金が欲しいから」などの理由で取得をしても、希望どおりの支給とはならないケースもあるためです。特に以下のポイントにご注意ください。

永久に支給されるとは限らない

資格手当は法律で義務付けられた福利厚生制度ではないため、退職まで継続的に受け取れるとは限りません。初めから期間が定められていたり、取得後に突然廃止になったりする恐れもあります。特に、業務に必要のない資格は途中で支給がストップする可能性が高いです。

ただ手当が欲しいからという理由で取得するのではなく、実務に役立つか、自身のスキルアップにつながるかなどを考えることが大切になります。取得前に今一度、その資格は業務に必要なのかを考えてみましょう。

取得済みの資格に関して合格一時金がもらえない可能性あり

従業員の資格取得を応援するための制度であり、入社時点で保有している方への合格一時金を支給していない会社もあります。資格の有無が採用に影響しないのであれば、入社後に取得した方がお得です。

また、合格報酬金を目的に挑戦するのであれば、それ以外のサポートがあるかも確認してみましょう。資格によっては独学での取得は難しいものもあるため、資格取得にかかる受講料を負担する制度や不合格時のサポートがあればぜひ活用してください。

タレントパレットの活用で従業員の資格を見える化

タレントパレットは様々なシーンで役立ちますが、その中の1つが従業員の資格の見える化です。従業員数が多いほどそれぞれのスキルや育成状況、保有資格などの把握が難しくなりますが、タレントパレットならチェックシートに回答するだけでわかりやすく表示されます。

また、従業員データを一元にまとめることで誰が何を得意とするか、どのくらい成長しているのかを確認することも可能です。スキルや能力を基にして人材配置をしたい、従業員のポテンシャルを見つけたい場合も役立ちます。

まとめ

今回は資格手当について詳しくご紹介しました。資格手当の導入によって収入が増えるという従業員側のメリットはありますが、企業側にとっても資格取得者が多いアピールになり、高品質なサービスの提供も可能です。しかし、正しく資格手当を支給するためには、データ管理が欠かせません。

タレントパレットは従業員一人ひとりの資格や能力などのデータ管理が可能になるほか、業務の効率化や組織の見える化などにも役立ちます。スキルに応じた人材の抜擢を行いたい人事担当者・採用担当者の方はぜひ導入をご検討ください。

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