リアリティショックの5つの要因と早期離職との関係|企業にできる対策も解説


リアリティショックの5つの要因と早期離職との関係|企業にできる対策も解説

リアリティショックは、理想と現実のギャップに直面してショックを受ける現象です。リアリティショックが原因で、離職率に悪影響が出る場合もあります。人材を確保するためにも、早急にリアリティショック対策を講じるとよいでしょう。本記事では、リアリティショックの原因や企業ができる対策などを紹介します。ぜひ参考にしてください。


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新入社員などが感じがちなリアリティショックの意味

リアリティショックについて、実際にショックを感じた経験のある人の割合に触れつつ解説します。


ギャップにより生み出されるリアリティショック

リアリティショックは、理想と現実のギャップに気づいたことでショックを受ける現象です。リアリティショックは入社や昇進などの環境変化をきっかけに起きやすく、経験した人はモチベーションの低下や将来への不安を感じるようになります。


リアリティショックは、近年に限った現象ではなく、いつの時代にも観察されてきた普遍的な課題です。先人の対処法を学び、リアリティショックへの対策を講じましょう。


新入社員の8割がリアリティショックを経験

パーソル総合研究所の調査によると、1~3年目の新社会人の約8割が、何らかのリアリティショックを受けていました。特にショックを受けた項目としては、「給料・報酬の高さ」「昇進・昇格のスピード」「仕事で与えられる裁量の程度」「仕事から得られる達成感」といった要素が挙げられます。


※参考:パーソル総合研究所×CAMP「就職活動と入社後の実態に関する定量調査」|パーソル総合研究所


リアリティショックが企業や社員にもたらす影響

リアリティショックは、当事者である社員本人はもちろん、企業にも影響を与える現象です。リアリティショックの悪影響を解説します。


仕事に対するモチベーションが低下する

現実を受け入れられないまま働こうとしても、仕事へのモチベーションが上がりません。特に新入社員は、新しい環境に適応するまでさまざまなストレスを受けやすいです。リアリティショックとストレスにより多大な負荷がかかると、メンタルに悪影響を与え、仕事へのモチベーションを大きく低下させるでしょう。


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メンタルに支障が出る

周囲の同僚と自分を比較して焦りを感じたり、企業での将来性に不安を抱いたりするうちに、継続的なストレスを抱えやすくなります。メンタルの負担は、仕事でのミスにつながったり、私生活の質を低下させたりと、さまざまな悪影響を及ぼしかねません。


生産性が低下する

メンタルに支障が出た状態の社員は、仕事でパフォーマンスを発揮することが難しくなってしまいます。結果として、業務効率の低下や、ミスの増加によるクレームの発生など、さまざまな問題が発生するでしょう。


また、チーム内の1人がメンタルに不調を抱えると、チーム全体の雰囲気や生産性にも影響が及び、組織としての機能も低下しかねません。


離職率が高まる

リアリティショックが原因で、離職する社員もいます。リアリティショックを受け入れられない社員は、職場に馴染めず、帰属意識が薄れるためです。


帰属意識が薄くメンタルに支障が出た状態が続くと、社員は離職を検討するようになるでしょう。1人の離職をきっかけに離職の連鎖が生まれると、組織全体が人手不足に陥るリスクもあります。


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リアリティショックが原因で離職に至る人の割合

独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、勤務期間が1年に満たない社員の離職理由の多くは、リアリティショックによるものでした。したがって、新入社員の離職率防止対策のひとつとして、リアリティショック対策が効果的です。


※参考:若年者の離職状況と離職後のキャリア形成Ⅱ|独立行政法人労働政策研究・研修機構


リアリティショックを生み出す5つの要因

リアリティショックを生み出す5つの要因について、具体的に解説します。自社に該当する可能性がある内容をチェックしましょう。


1.仕事関連

仕事関連のリアリティショックにつながりやすい要因の一例を、以下に示しました。


  • 仕事内容が期待していたものと大きく異なっていた
  • 想定以上に残業や休日出勤が多い
  • 学生時代に習得したスキルや知識が生かせない
  • 仕事の意義や目的が見出せない


やる気や希望を抱いて入社した新入社員ほど、想像とのギャップによりショックを受けやすい傾向です。また、これまでのスキルが通用しなかった、想定以上にハードなポジションだったなどの理由で、既存社員でもリアリティショックを感じる場合があります。


2.対人関係関連

対人関係関連のリアリティショックの主な要因は、以下のとおりです。


  • 上司や同僚などとのコミュニケーションに課題を抱えている
  • 職場でかかわる人が少なすぎて孤独を感じる


一見すると順調に働いているように見える社員でも、対人関係の課題が原因で離職を選択するケースは少なくありません。リアリティショック対策として、対人関係の取り組みは特に重視しましょう。


3.他者との比較関連

他者との比較関連のリアリティショックの主な要因には、以下のような状況があります。


  • 周囲のスキルレベルが高すぎて、自信を失ってしまった
  • 職場の意識レベルが低く、モチベーションが低下した


他者と比較して落ち込む社員がいる場合、原因は社員個人ではなく企業側にあるかもしれません。たとえ本人に十分な能力があっても、適切な研修制度や支援体制が整っていない環境では、実力を十分に発揮することは困難です。


また、職場の仕事に対する意識の低さについても、社員の問題だけにせず、企業文化や組織体制を見直す必要があるでしょう。


4.評価関連

評価関連のリアリティショックの主な要因には、以下のような状況があります。


  • 頑張って働いているつもりではいるが、成果を評価されない
  • 仕事内容に対して、給与や賞与が見合っていない
  • 希望するポストにつけない


評価関連のリアリティショックは、ある程度勤務年数が長い社員に起きやすい傾向です。周囲の評価されている同僚と比較することで、自身の状況について考え込んでしまう社員もいます。


5.職場環境や企業風土関連

職場環境や企業風土に関するリアリティショックの主な要因を、以下に示しました。


  • 希望した職場に配属されなかった
  • 職場の雰囲気に馴染めそうにない


多くの企業は採用活動において、企業理念や社員の働き方について積極的にアピールします。しかし、実際の現場では、経営層や人事部門の掲げる理想と現実との間に、ギャップが存在するケースが少なくありません。採用時の説明と実態が大きく異なる場合、入社後に深刻なリアリティショックを引き起こす原因となります。


【求職者・内定者向け】リアリティショック対策

以下で紹介する、求職者・内定者向けのリアリティショック対策も検討してみてください。理想と現実のギャップを埋めるために、対象者と積極的にかかわりましょう。


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インターンシップやOB・OG訪問の機会を提供する

インターンシップやOB・OG訪問の機会を積極的に提供すると、理想と現実のギャップを事前に埋められます。将来働く可能性のある職場での業務体験や、先輩社員からの率直な話などを通じて、より現実的な職場のイメージを形成できるためです。


リアリティショック対策では、先輩社員の役割が重視されます。採用担当者と比べると、自身と年齢の近い先輩社員の方が質問しやすいと予想されるためです。得られる情報が増えるほど、求職者は自身の将来像を具体的にイメージできるでしょう。


また、先輩社員が職場でいきいきと働いている様子を知っていれば、自身と先輩社員の姿を重ね合わせることで、入社後の不安が軽減されると期待できます。


採用時のミスマッチを最小限に抑える

採用活動では、写真や動画を活用して、職場環境を誠実に伝えましょう。具体的な数値データを示すと、求職者は自社の状況をより正確に理解できるためです。


企業の魅力を過度にアピールして応募者を増やしても、入社後に期待とのギャップが生じれば、早期離職につながるリスクがあります。そのため、自社の特徴や価値観を正確に伝え、企業文化にマッチする人材を採用することが、長期的な人材定着には効果的です。


内定者とのコミュニケーション強化を図る

リアリティショックの軽減に向け、内定者懇談会などを通じて、内定者同士や先輩社員と交流する機会を設けましょう。交流を通じて、内定者が抱く企業イメージと実態とのギャップを早期に解消できると、入社後のリアリティショックを防げます。


特に内定者数が限られている場合は、孤独感から生じる不安に配慮し、密なコミュニケーションを心がけることが重要です。


【新入社員・中途採用者・既存社員向け】リアリティショック対策

新入社員・中途採用者・既存社員を想定した、リアリティショック対策も解説します。


新入社員・異動者などの受け入れ体制を整える

職場に新たな配属があった際は、業務環境の整備と組織全体でのサポート体制の構築が不可欠です。机やパソコンといった基本的な就業環境が整っていない状況や、相談先が明確でない環境は新しく加わった社員に疎外感を与えます。


迎え入れる準備ができていると示すために、歓迎会などのイベントを開催しましょう。また、特定のサポート役にフォローを丸投げせず、部署全体で支援する体制を整えることも重要です。チームや部署が一丸となって新たに配属された社員を見守ると、日常業務とのバランスを保ちながら、きめ細やかなフォローを実現できます。


研修を充実させる

新入社員や中途採用者に向けた研修も大切です。職場でのリアリティショック対策として重要な役割を果たします。体系的な学習プログラムを通じて必要なスキルを習得した社員は、業務遂行への不安を軽減でき、自信を持って働けるようになるでしょう。


さらに、入社前から組織文化やルール、リアリティショックが起きる可能性について、具体的に説明しておくことも大切です。心理的な準備ができた社員は、職場によりスムーズに適応できます。


1on1・メンター制度を運用する

メンタル面へのアプローチによりリアリティショックを解消するために、1on1やメンター制度を運用しましょう。


不満や悩みを相談できる相手がいないと、社員の孤立が深まります。1on1やメンター制度で相談先を見つけられると、社員は心のよりどころを得て安心できるでしょう。なお、メンターを任せる人材は、適性や双方の相性を見て選定する必要があります。


メンター制度成功のポイント|導入におけるメリットやデメリット、注意点を解説


公平で透明性の高い評価制度を運用する

勤続年数が長い社員の離職傾向が目立つ組織では、評価制度の見直しが必要となるケースも少なくありません。公正な評価基準の確立と、評価基準に連動した適切な報酬体系の整備が重要です。


また、評価フォーマットを統一し、評価者による判断のばらつきを最小限に抑えると、社員の働きに見合った待遇を実現でき、モチベーション維持につなげられます。


リーダー・マネジメント層を育成する

リアリティショックに適切に対応するためには、リーダー・マネジメント層の育成が不可欠です。部下がリアリティショックを経験した際、上司には高度なコミュニケーションスキルと、豊富な知識を活かした適切なサポートが求められます。


部下の心理状態やフォロー方法を理解している上司は、1on1の実施やメンターの選定において、適切な行動を取ることが可能です。


リーダーシップ研修の内容や導入手順、注意点をわかりやすく解説


良好な職場環境を作る

風通しのよい職場では対人関係に起因するリアリティショックだけではなく、業務内容や組織文化に関するさまざまなギャップも、自然に解消されやすくなります。


社員が率直に意見を交わし、互いにサポートし合える環境づくりを推進して、社員の職場への適応をスムーズに進めましょう。


リアリティショックが起きやすい環境

以下の環境では、リアリティショックが起きやすい傾向です。


  • 看護業界
  • IT業界
  • ベンチャー企業


看護業界では、理想とする看護が実践できないもどかしさや、命に関わる責任の重さと想定以上の業務量などが、リアリティショックの引き金となります。


IT業界は、一般的に抱かれる華やかなイメージとは異なり、実際には過酷な現場が少なくありません。エンジニアとして自身の成長が思うように進まない場合も、リアリティショックを引き起こします。


ベンチャー企業においては、急速な成長に伴う組織変化が、リアリティショックの大きな要因といえるでしょう。初期の自由な社風や柔軟さが規模拡大とともに変化していく過程で、社員はリアリティショックを感じる場合があります。


リアリティショック解消にはタレントパレットがおすすめ

リアリティショック解消に向けて、本記事では対象者別に対策を紹介しました。リアリティショックの解消に向けた施策を円滑に進めるには、タレントマネジメントシステムのタレントパレットがおすすめです。


タレントパレットには、社員のエンゲージメントの測定に役立つアンケート機能や、1on1などの社員の発言から離職予兆をキャッチする、テキストマイニング機能などが備わっています。


MBOやコンピテンシー評価など、各種人事評価に役立つ機能も搭載されているため、リアリティショック解消以外にも幅広い活用が可能です。


学校法人阪南大学の事例

学校法人阪南大学では、リアリティショック解消の取り組みとして1on1面談を採用しました。離職の兆候が見られる面談対象者は、タレントパレットのPulseサーベイを活用してピックアップしています。同大学が特に評価している点は、面談対象者の過去のコンディションまで遡って確認できる機能です。


まとめ

想定外の変化に直面したとき、人はリアリティショックを感じる場合があります。リアリティショックは、離職につながる可能性もある問題です。リアリティショックに適切に対応できる体制を整え、対象者のフォローに努めましょう。


タレントパレットは、多くの導入実績を持つタレントマネジメントシステムです。採用・育成・配置・離職防止から経営の意思決定支援まで、ワンプラットフォームで実現します。リアリティショックへの対策をお考えの方は、ぜひ導入をご検討ください。


組織の見える化

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