休職中の傷病手当金とは?支給要件や申請方法、手続きの流れを詳しく解説


休職中の傷病手当金とは?支給要件や申請方法、手続きの流れを詳しく解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

令和2~3年にメンタルヘルスの不調で休職した従業員がいる企業の割合は、10.1%で増加傾向にあります。今後も、心身の不調で休職する労働者数は増えるかもしれません。
出典:令和3年 労働安全衛生調査(実態調査)

自己都合の病気やケガで休職している期間は基本的に給与が支給されないため、生活の不安を抱える方が多いのではないでしょうか。そこで、健康保険から支給される傷病手当金が重要になります。

本記事では傷病手当金の仕組みや申請方法を解説しますので、ぜひ参考にしてください。

傷病手当金制度とは

傷病手当金制度は、病気やケガで休職している従業員の生活を補償する制度です。

病気やケガで働けない期間は、原則として給与が支払われません。そこで、無収入の期間をカバーするために傷病手当金が支給されます。

健康保険から支給される

傷病手当金は健康保険組合に加入している方が対象で、健康保険給付として支給されます。健康保険の被保険者が、業務外の病気やケガで休んだ場合に支給される仕組みです。

ただし、傷病手当金は休職すれば必ず受け取れるわけではなく、業務中のケガなどの場合は支給されません。

支給される期間

傷病手当金を受け取れる期間は、支給開始日から通算して最長で1年6か月です。

支給開始が令和2年7月1日以前の場合は、途中で出勤し給与が支払われた期間も含まれます。支給開始日が令和2年7月2日以降の場合は、途中で出勤した期間は1年6か月に含まれません。

詳しくは以下の図をご覧ください。


引用:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会

支給される傷病手当金の額

傷病手当金の1日あたりの支給額は、以下のように計算します。

支給額=[支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準月額を平均した額]÷30日×2/3

支給開始日以前の期間が12か月に満たない場合は、以下の2つのうち低いほうの額が支給されます。

  1. 支給開始日の月より前に、直近で継続勤務した各月の標準報酬月額(平均)
  2. 標準報酬月額の平均


支給開始額が平成31年4月1日以降の場合、標準報酬月額は30万円です。

休職手当について詳しく知りたい場合は、休職手当の記事をご覧ください。
「休職手当」については、こちらの記事をご確認ください。

給与や休業補償などほかの制度との違い

傷病手当金と間違えやすいものに、給与や休業補償、障害年金があります。傷病手当金との違いは以下のとおりです。

給与との違い

傷病手当金は健康保険から支給されるもので、会社から支払われる給与とは異なります。

原則として自己都合で休職している場合、給与は支給されません。ノーワークノーペイの原則があるからです。

ただし、給与保証制度を設けている企業では、休職中でも給与が支給されます。

ちなみに、国家公務員の場合は休職中でも1年間は給与の80%程度が支給されますが、2年目以降は無給です。

休業補償との違い

労災保険の休業補償は、業務上の病気やケガに対して支給されます。労災保険から支給される給付で、休業中も労働契約は維持されます。

会社都合など、やむを得ない事情による休業の補償には、雇用調整助成金も活用できます。例えば、新型コロナウイルス感染症に伴う特例などの場合です。

障害年金との違い

障害年金は、公的年金の一つです。病気やケガのために生活や仕事に支障をきたしている方を支える制度で、一時金も支給されます。

障害年金は、心身の状態が障害の基準に当てはまる期間は継続して受給が可能です。傷病手当金は働き始めると支給がストップするため、この点が大きな違いといえます。

休業手当の詳細についてさらに知りたい方は、休業手当の記事をご覧ください。
「休職手当」については、こちらの記事をご確認ください。

傷病手当金を受給するには

傷病手当金を受給するためには、以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。

1.業務外の原因で発症した病気やケガ

傷病手当金は、業務外の原因による病気やケガで療養する場合に支給されます。支給されるためには、医師の診断による「仕事に就くことができない」旨の証明が必要です。

業務上の病気やケガは、対象外となります。

2.仕事に就くことが困難

傷病手当金は療養担当者である医師により、仕事に就くことが困難であると判断された場合に支給されます。

医師は、被保険者の業務内容と症状を考慮した上で診断します。

3.3日連続の休みを含み4日以上出勤できない

業務外の理由による病気やケガで、連続3日以上休むと「待期」が完成します。その後、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して、傷病手当金が支給される仕組みです。傷病手当金は、待期が完成していなければ支給対象となりません。

待期期間には土日や祝日の公休日も含まれます。待期3日間の考え方は、以下のとおりです。


引用:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会

4.休業期間中に給与の支払いがない

傷病手当金は業務上の事由による病気やケガで休業する際に、生活を保障するために支給されるものです。

したがって、給与が支払われている場合は支給されません。ただし、給与額が傷病手当金よりも少なかった場合は、差額が支給されます。

休職の仕組みや概要について詳しく知りたい場合は、休職の記事をご覧ください。
「休職」については、こちらの記事をご確認ください。

傷病手当金申請の手続き



全国健康保険協会への傷病手当金申請は、企業が行います。従業員が傷病手当金の受給を希望した場合は、以下の流れで申請しましょう。

1.従業員から休職の申し出を受ける

従業員より傷病で休職したいという申し出があった場合は、まず傷病名と期間を確認します。有給休暇取得の希望も、併せて確認してください。

社内用の休職申請書がある場合は、このタイミングで提出させます。

2.申請書を用意し従業員に渡す

休職する従業員が傷病手当金の受給を希望する場合は、健康保険傷病手当金支給申請書を渡してください。申請書は、協会けんぽのサイトからダウンロードできます。

申請書の1〜2枚目は従業員本人が記入し、4枚目は主治医が記入します。主治医に依頼する際は、従業員が病院に申し込みます。

3.申請書の作成

従業員と医師が記入した申請書が戻ってきたら、記入漏れがないか確認します。企業側が記入するのは3枚目です。

申請時に添付書類が必要な場合もあります。申請前に忘れずに確認してください。

4.協会けんぽへの申請

申請書の1~4枚目をすべて記入したら、申請先の協会けんぽへ郵送しましょう。

1~2か月ほどで支給が決定し、従業員本人に通知が届きます。その後、従業員の銀行口座に傷病手当金が振り込まれるという流れです。

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傷病手当金が支給されないケース



休職中でも傷病手当金が支給されないケースは、以下の5つです。

給与を支給している

休職中に給与の支払いがある場合は、原則として傷病手当金は支給されません。傷病手当金は業務に従事できず、給与を受け取れない場合の補償であるためです。

休職中に給与が支払われている場合でも、傷病手当金の日額より少なければ差額が支給されます。

障害厚生年金か障害手当金を受給

傷病手当金と同じ病気やケガで、障害厚生年金や障害手当金を受けることになった場合、傷病手当金は支給されません。ただし、障害厚生年金支給額の1/360が傷病手当金の日額よりも少なければ、差額が支給されます。

また、厚生年金保険法の障害手当金を受け取る場合も同様です。傷病手当金の合計額が障害手当金の額に達するまでは、傷病手当金は支給されません。

老齢(退職)年金を受給

傷病手当金を受給している方が老齢(退職)年金を受ける場合は、傷病手当金は支給されません。

ただし、老齢年金額の1/360が傷病手当金の日額よりも少ない場合は、差額が支給されます。

労災保険の休業補償給付を受給していた

以前に労災保険の休業補償給付を受けていた方が、同一の病気やケガで働けなくなった場合、傷病手当金は支給されません。

別の病気やケガで、労災保険の休業補償給付を受けている期間中も同様に、傷病手当金は支給されません。

出産手当金を受給

出産手当金と傷病手当金の両方を受給できる場合は、出産手当金が優先されます。

一方で出産手当金が傷病手当金よりも少ない場合は差額が支給される仕組みで、この場合は、傷病手当金の申請が必要です。

傷病手当金に関するよくある質問

傷病手当金に関する、よくある質問と回答をまとめました。従業員から問い合わせがあった場合の参考にしてください。

Q.うつ病など精神疾患も対象になりますか?

A.業務外の理由で発症した精神疾患であれば、傷病手当金を受給できます。

精神疾患の例として、適応障害やうつ病、抑うつ状態、双極性感情障害、統合失調症、不安障害、パニック障害、強迫性障害、社交不安障害などが挙げられます。

Q.長期間会社を休む場合はどのように申請する?

A.傷病手当金を申請する際は、給与支払いの有無について事業主が保証しなくてはなりません。

そのため、長期間会社を休む場合は、1か月単位で給与の締め日ごとに申請するとよいでしょう。

Q.退職後も傷病手当金を受け取れますか?

A.以下の4つの要件を満たしている場合は、退職後も引き続き受け取れます。

  1. 資格喪失前日(退職日)までに、継続して1年以上の被保険者期間がある(国民健康保険や任意継続保険の被保険者だった期間は対象外)
  2. 退職時に傷病手当金を受けていた、または受けられる状態にあった
  3. 在職中に受給していた疾病が治らず、退職後も労務不能な状態である
  4. 支給開始から1年6か月以内である


ただし、挨拶や引継ぎなどで数時間でも出勤した場合は傷病手当金が支給されないため、注意が必要です。

まとめ

本記事では、傷病手当金の仕組みや申請方法、支給される条件について解説しました。

傷病手当金は、病気やケガで休職している従業員の生活を支える健康保険の制度です。休職中の従業員が安心して療養できるよう、正しく迅速に申請手続きを行いましょう。

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