人事考課面談とは?手順やポイント、問題点についても解説


人事考課面談とは?手順やポイント、問題点についても解説

人事考課面談では、従業員のモチベーションアップや会社の業績アップなどが期待できます。本記事では、人事考課面談の目的や方法・ポイント・評価基準などについて解説しますので、ご覧ください。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

人事考課面談は、上司と部下が話し合いの場を設け、給与や賞与、昇進などの決定や人事育成、組織活性化などを進めるための機会です。適切な面談ができれば、従業員のモチベーションやスキルアップ、会社の業績アップなどが期待できるでしょう。

そこで本記事では、人事考課面談の目的や方法・ポイント・評価基準などについて解説します。

人事考課面談とは?

人事考課面談は、面談対象者となる従業員と話し合いを行って給料・昇進といった待遇を決定する機会です。話し合いの場を設け適切な対応をとることで、人材育成・組織活性化などを進めるために行われるケースもあります。人事考課面談を実施するタイミングや方法についてご紹介しましょう。

人事考課面談のタイミング

実際に人事考課面談を実施するタイミングとしては、半期に1度または半期〜1年の間に1度のペースで評価をするのが基本です。評価対象期間が終了する時期が目安となっており、会社の方針に沿って実施されます。

仮に3月が決算時期であれば、4月1日〜9月30日の上半期と10月1日〜3月31日の下半期で、計2度の人事考課面談を行うケースが多いでしょう。

人事考課面談の方法

基本的に、人事考課面談は上司と部下の1対1で行います。中には社長が全従業員を対象に実施したり、上司よりも上層部にあたる責任者が担当したりするケースも存在します。

被評価者である部下に対する評価内容を伝える場なので、上司や責任者などの上の立場にある人が行うのです。

人事考課面談における3つの目的

企業で人事考課面談を行う目的は、人事考課の伝達に加え、従業員のモチベーションアップやスキルアップなどが挙げられます。人事考課面談は企業にとっても従業員にとっても重要なものであるため、しっかりと押さえておきましょう。

人事考課の伝達

人事考課は、従業員が一定期間のうちどれだけ会社に貢献したのか、定量的な成果やスキル、能力といった様々な要素から査定するために必要とされています。従業員の給与や昇給、賞与、昇格・降格などは、人事考課によって決定され、面談で伝達されるのです。人事考課の内容はデリケートなものであるため1対1の場での伝達が相応しく、それ以外は非公開になる可能性もあります。

従業員のモチベーションアップ

人事考課面談では、期中のフィードバックをもとに来期からも能力を十分に発揮できるよう導きます。日々の業務に追われていると、モチベーションが維持できなくなり、やりがいや目的意識が失われる可能性もあるでしょう。

それを防ぐという目的も込めて、前向きに仕事に取り組めるよう動機付けを行います。業務の意義を伝えたり、相手の意見を引き出したりするなど従業員によって働きかけを変えることが大切です。

従業員のスキルアップ

面談で期中のフィードバックを行うとき、従業員は取り組んだ業務の良かった点と悪かった点を共有します。人事考課面談を行う際、上司が客観的な視点から部下に伝える中で今後期待することも含めれば、来期ではより良い成果を出せるようになります。今後の方針や目標を一緒に考えるのは、人材育成やスキルアップにつながるでしょう。

人事考課面談における3つの評価要素

面談では人事考課の伝達が行われますが、人事考課は明確な仕組みをもとにして評価されます。人事考課面談の評価要素としては、成績考課・能力考課・情意効果の3つを基準に判断されるのが基本です。

成績考課

成績考課は、従業員が期中でどれほどの成果を残し、会社に貢献したかを確かめるための基準です。従業員が取り組んだ活動・成果・業績などは、客観的な数値やデータを比較しながら見ていきます。

その際には、目標達成率や顧客獲得数といった一人ひとりの目標を踏まえた結果の確認が必要です。中には、結果だけでなくプロセスも評価の対象になる場合もあり、努力度や将来性なども考慮されます。

能力考課

能力考課は、従業員が持つ知識やスキルによって評価される基準です。例えば、商品知識をどれだけ持っているか、接客スキルは身につけているかなど、パフォーマンス力の高い能力か査定されます。

職務を通して身につけたスキルや能力に対する正当な評価は、企業が継続して発展していくために必要な要素です。従業員の立場や業務内容によって必要とされる能力には違いがありますが、評価者は規定に則って評価しなければなりません。

情意考課

情意考課とは、従業員の業務態度や行動などから、会社にどれだけ貢献しているかを評価するための基準です。仕事に対する熱意や態度などは客観的な視点から評価しなければなりませんが、上司の主観的な考えが入ってしまいがちな要素でもあります。

それでも、熱意や業務態度は本人の言動や態度などに現れやすいです。遅刻・欠勤・早退などの勤怠をはじめ、会社での規律性・協調性なども踏まえて評価します。同僚や部下など複数人からの立場から評価を集計する場合も多いです。

人事考課面談の活用だけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析

人事考課面談は、評価者である部下に対していかに客観的な視点を持って関わるかがポイントです。主観的な考え方が影響してしまう可能性も高いので、適切に評価できるよう努めなければなりません。人事考課面談を正しく実施するには、タレントマネジメントを効率化するタレントパレットの利用が便利です。

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人事考課面談の進め方とポイント


ここからは、人事考課面談の進め方やポイントについてご紹介します。人事考課面談を進める際は、以下の6つの工程に沿って進めていきましょう。

面談準備

人事考課面談では、デリケートな話や踏み込んだ話をするため、面談の準備が非常に大切です。特に、一人ひとりに行う面談の時間には限りがあります。時間内に綿密な話をするには、人事考課表をもとに根拠のある評価内容をまとめた上で、話の筋道も明確にしておかなければなりません。

何を話すのかを整理し、質問がくることを想定してシミュレーションするのも良いでしょう。必要とされるテーマと要点を伝えられるよう準備を進めてください。

日程と場所の確保

続いて、日程と場所の確保を進めます。面談の日程は、業務時間内で30分〜1時間を目安に調整しましょう。場合によっては、1時間以上になってしまう場合もあります。

場所は周囲に声が聞こえないような個室や、落ち着いて話せる静かな場所を選んでください。人が行き交う場所や人が集まる場所の近くでは、被評価者が本音を言えなくなってしまうかもしれません。誠実な態度で、安心して話ができるよう努めましょう。

アイスブレイク

アイスブレイクとは、商談や会議、面談など、緊張感のある場の雰囲気を和ませるために行うコミュニケーションです。普段から話しやすい関係性を築いておけば、世間話や質問などから緊張をほぐせます。

人事考課面談でアイスブレイクから入れば、お互いに意見が出しやすい環境が作れるでしょう。もちろん、本来必要のない話題に時間を使い過ぎないよう注意も必要です。活発な意見交換をするために行い、スムーズに進めていきましょう。

面談目的の共有

アイスブレイクの後は、人事考課面談の目的を伝えましょう。評価者と被評価者の目的にズレが生じてしまうと、評価の伝達をしても納得してくれなかったり、モチベーションが低下したりする可能性があります。

面談の目的と着地点を明確にして共有認識を持っておけば、スムーズな話し合いが可能です。面談における給与や昇進への影響や、長期的なキャリアについての評価などを、部下に合わせた言い方できちんと伝えましょう。

アピール、自己評価

期中のフィードバックを行う際には、まず被評価者である部下から自己評価をヒアリングします。この時、途中で遮らずに最後まで傾聴することに徹しましょう。話を最後まで聞かずに遮れば、相手は本音を話しにくくなってしまいます。

評価者が人事考課表をもとに結果を伝える時には、良い点から話し、続いて悪い点を話してください。この順番にした方が、被評価者も結果を受け入れやすくなります。また具体的な根拠も含めて伝えると、より納得しやすくなるでしょう。

課題の共有と目標設定

お互いに評価を伝えた後は、課題の共有と目標設定を行います。人事考課面談の目的は、課題解決するための目標設定をすることでもあるからです。

従業員の業務上のアドバイスやモチベーション管理などを意識しながら、改善案を確認しましょう。課題はお互いの評価の相違点にフォーカスして質問しながら掘り下げ、本人の気付きから認識させ、改善するための案も考えてもらうようにしてください。自分で改善案と目標を考えてもらえば、来期までのモチベーションを高めることにつながります。

人事考課面談をスムーズに進める話し方

アイスブレイクのように、人事考課面談をスムーズに進めるための話し方にはポイントがあります。ここでは、効果的に話を進めるフレーズを4つ紹介しましょう。

成果を認めるフレーズ

まずは、被評価者の成果を認めるフレーズです。例えば、「日々、地道に努力したから成果につながった」「以前はミスしてしまったけど、今回は成功している」などのように、期中での取り組みを肯定する話し方が良い例となります。

たとえ成果が出なかったとしても、成長している部分があればきちんと伝えましょう。上司が見守っていること、部下の考えや行動、成長を認めていることが伝わると、部下も自信を持って取り組むようになります。

改善に向けて問いかけるフレーズ

次に、改善に向けて問いかけるフレーズです。例えば、「この部分はどうすれば改善できる?」「この課題はどうすれば解決できると思う?」など、部下が自分で答えを導き出せるような問いかけを行います。

「はい」や「いいえ」で応えられるような問いかけでは、本人の本音が聞けません。本人が気付いていない部分を補うように問いかけて考えを引き出すようにすれば、自然にアドバイスができ、部下からも納得されやすいでしょう。

気付きを与えるフレーズ

人事考課面談では、気付きを与えるフレーズも効果的です。例えば、「あなたの強みは○○です」「○○はあなたの長所です」などのように、部下が自分では気付いていない長所や強みを指摘するフレーズは、仕事をする上で重要な気付きを与えられます。

自分では気付かなかった強みを伝えられると、自己理解が深まり自信もつくでしょう。また、新たな気付きを伝えてもらったことで、「いつも自分を見てくれている」と肯定的に感じ、信頼感や安心感を持って接してくれるようになります。

従業員をサポートするフレーズ

最後におすすめしたいのが、従業員をサポートするフレーズです。例えば、「○○について一緒に考えよう」というように、一緒になって考えサポートするフレーズは、類似性が感じられる伝え方でもあります。

上司が自分と同じ方向を向いてくれていることが伝わると、部下はどうすべきかを安心して考えられるでしょう。本人に良い案が浮かばない場合は、問いかけのフレーズも使いながら自分なりの答えを出せるようになります。

人事考課面談における注意点


上司が部下に人事考課面談を実施する場合は、面談の効果を出せるよう適切に進めていかなければなりません。適切な面談ができなければ、従業員のモチベーション低下や退職につながる恐れもあります。注意点は、以下の2つです。

評価者の主観・能力が影響する

人事考課面談は客観的な視点から評価結果を伝え、課題解決に向けた改善策や目標を設定することが必要です。しかし、それでも上司と部下が1対1で面談をした場合、評価者である上司の主観や能力が影響する可能性があります。

上司の主観で評価されれば、公正な人事評価ではなくなる可能性があり、面談内容や質にも差が生じてしまうでしょう。人事考課面談は人材育成も目的としているため、適切な面談が行われなければ部下のモチベーションを低下させ、退職につながってしまう恐れもあります。

従業員一人ひとりに実施する面談のレベルを均一にするには、評価者の指導や研修、システム導入などが必要です。

働き方改革への対応が必要

基本的に、人事考課面談は上司と部下が1対1で対面での実施となります。しかし、働き方改革によって最近では会社に出勤せず、リモートで仕事をしている人も多いです。また、人材の流動化やフレックス制も相まって、対面での面談が困難なケースも少なくありません。

会社に出勤しない機会が多くなると、人事考課面談を調整しにくくなります。今後は、働き方改革を踏まえてリモートワークへの対応や、面談方法の再検討が必要になる可能性が高いでしょう。

まとめ

人事考課面談は、部下にとっては給与や昇進が決まる重要な場であり、上司や会社にとっても目標達成や業績アップにつながる大切な機会です。質の高い面談は、組織の活性化や生産性向上など、様々なメリットがあります。

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