職場環境のよしあしは、社員のモチベーションやストレスはもちろんのこと、社内の生産性にも大きくかかわります。この記事では、職場環境が悪い会社の特徴や職場環境が悪くなる原因を解説し、職場環境が悪い場合の改善方法なども紹介するため、ぜひ参考にしてください。
職場環境とは?
職場環境とは、社員が仕事を行う環境の総称です。照明・空調・音などの物理的な環境をはじめ、福利厚生や人間関係などの社会的・心理的な環境も含まれます。
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職場環境のよい・悪いを左右する要素
職場環境の「よい・悪い」は、以下の要素によって判断されます。それぞれの要素が満たされていると職場環境はよいといえるでしょう。
物理的条件
物理的条件とは、オフィスの広さやレイアウトなどを含む以下のような物理的な環境です。物理的条件は、社員の快適さや生産性に大きな影響を与えます。
- 勤務場所(屋内か屋外か)
- 照明
- 温度・湿度
- 騒音レベル
- 空気の質
- オフィス家具
- 仕事で使用する備品
人間関係
職場での人間関係も、社員の満足度や生産性に大きくかかわる条件です。他に何の不満がなくても、苦手な上司やメンバーがいればストレスが溜まって職場が嫌になることがあります。
労働条件
労働条件は、社員の働きやすさやモチベーションに大きくかかわる条件です。賃金、労働時間、ワークライフバランス、雇用契約、職場の安全対策、社員の健康維持などが労働条件に含まれます。
仕事の負荷
仕事の質や量が社員の許容を超えていないか、経験値に合っているか、などの仕事の負荷は、社員のモチベーションやストレスに大きくかかわる条件です。仕事量が極端に少ない場合や、単純な仕事ばかりの場合もモチベーションが下がります。
職場環境が悪い会社の特徴
職場環境が悪い会社にはさまざまな原因があります。一般的に以下のような特徴がある会社は職場環境が悪いといえるでしょう。
オフィス環境が悪い
照明が暗い、換気ができていない、不衛生、冷暖房が調節できない、リフレッシュする場所がないなどのオフィス環境は、社内の雰囲気を悪くする原因です。オフィス環境が整っていても、散らかっていると雰囲気が悪くなります。また、資料が散乱している、適切にファイリングされていないなども職場の雰囲気を乱す原因です。
社員の協力体制が整っていない
協調性がないなど、周りの人と協力する気がない社員が多いと職場の雰囲気は悪くなるでしょう。情報共有がしづらい職場は、メンバー間で不一致が生じるなど業務の効率性も低下する原因になります。
パワハラ・セクハラがある
パワハラ・セクハラは職場環境が悪い職場の代表的な特徴です。社員の離職率が高まる原因にもなるため見逃せません。パワハラは殴る蹴るなどの直接的な暴力だけではなく、過度な叱責や侮辱、暴言、陰口、無視なども含みます。
セクハラは性的な内容の発言をされる他にも、プライベートに干渉されたり必要以上に聞かれたりすることも含まれるため注意が必要です。パワハラ・セクハラは、被害を受けた本人だけではなく「次は自分かもしれない」「ハラスメントを見るのが怖いなど」周りの社員にも影響を与えます。
会話が少なく悪口が多い
会話が少ないなどの社内コミュニケーションの少なさは、チームワークが損なわれて生産性が低下するケースがあります。人間関係が希薄になると孤独感を感じる人が出てくるかもしれません。悪口が多い場合も職場の雰囲気が悪くなります。
正当な評価がされない
部下の成果が上司のものになるなど、成果が正当に評価されないことも職場環境を悪くします。努力しても正当に評価されない、昇進や昇給が見合わないなどの場合は、社員のモチベーションが下がり、やる気を失ってしまうでしょう。
ノルマがある・業務量が多い
厳しいノルマは、社員の過労やストレスを増大させて生産性を低下させます。業務量が多く、残業や休日出勤が多い場合も社員の心身を疲労させるため注意が必要です。
職場環境が悪い原因
職場環境が悪い、あるいは悪くなる一般的な原因は以下のとおりです。該当しているようであれば早急な取り組みが必要になります。
コミュニケーションが不足している
社員間のコミュニケーションは、業務上の情報を共有する際に欠かせません。コミュニケーションが不足していると、誤解やミスが生じやすくなって職場環境を悪化させます。近年は、リモートワークが増え、コミュニケーションが大幅に減少している傾向にあるため注意しましょう。
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労働条件が悪い
長時間労働や休日出勤などの過重労働が常態化している職場は、社員の病気やメンタルヘルスの問題が増加しやすい傾向にあります。職場環境を悪くするだけではなく、休暇取得や休業がしづらくなる、労働災害が頻発するなどの問題に発展するケースもあります。
人事評価制度が曖昧
人事評価制度が曖昧な企業は、公平な評価が行われないなどの不満を生みやすくなります。評価者の好き嫌いで評価されている、適当な評価をされているなどの不信感が募ったり、評価基準がわからないと、社員は評価制度が不透明だと感じて満足できなくなったりします。
目標設定に無理がある
無理な目標設定は、社員に過度のプレッシャーを与えます。ストレスを感じさせたりモチベーションを低下させたりするため注意が必要です。高すぎる目標や多すぎるノルマになっていれば、見直す必要があります。また、目標やノルマを達成できていても、残業が前提となっている場合も見直しましょう。
業務が属人化している
属人化とは、特定の業務や作業が特定の人に過度に依存していることを指します。属人化している職場環境では、担当者以外が業務を理解しておらず、担当者が居ないと業務が遂行できません。担当者は、休むことができないなどの過度な責任で心身が疲労してしまいます。
雰囲気を悪くする人がいる
雰囲気を悪くする人がいる場合も、周りの社員の士気が低下して職場環境が悪くなります。パワハラ、セクハラは罰則化されているものであるため、放置されている場合は職場環境が悪化していきます。
職場環境が悪い場合の影響
職場環境が悪い場合は、社員に以下のような影響をもたらすため注意が必要です。
ストレスが溜まる
職場環境が悪く改善されない場合は、社員のストレスが次第に増大するでしょう。ストレスが溜まると、うつや自律神経失調症に発展するケースもあり、休職や離職に追い込まれる原因にもなります。
パフォーマンスが低下する
メンタルヘルスが悪化すると、肉体的・精神的な不調を引き起こし、本来のパフォーマンスが発揮できなくなる社員も増えるでしょう。職場環境が悪い職場は、コミュニケーションが円滑ではないため、効率化やイノベーションの機会を失ってしまうこともあります。
離職率が高まる
職場環境が悪い場合やストレスが増えて病気に発展するような場合は、社員が働きづらさを感じて離職率が高まるかもしれません。離職が続くと人手不足に陥り、残された社員の業務負担がさらに増えるという悪循環に陥ります。離職率の増加は組織全体の効率性や士気が下がる原因にもなるため注意が必要です。
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職場環境がよい会社の特徴
職場環境がよいといわれるような会社には、どのような特徴があるのでしょう。
コミュニケーションが活発
職場環境がよい会社は、コミュニケーションが活発に行われ、自分の意見を言いやすい環境にあります。社員同士が気軽に意見交換できる、業務の進捗や問題点を共有し合えるなど、コミュニケーションが活発な職場は、協力し合って問題を解決できるでしょう。
情報共有がスムーズ
情報共有がしやすい、互いの進捗状況がわかりやすくて協力しやすいなどは、職場環境が良い会社の特徴です。チャットツールや社内ポータルサイトなど、情報共有しやすいツールがあると業務の効率化を図りやすくなります。
意見交換がしやすい
役職や立場に関係なく、社員それぞれが主体性を持って考え、自分の意見を言える環境は雰囲気のよい職場ならではです。批判や叱責を恐れない、何でも相談する、話し合うことができる職場は、トラブルがあっても早い段階で解決できるでしょう。
仕事の負荷が適切
社員に過度なストレスを感じさせないためには、仕事の負荷が適切であることが大切です。社員の適正を判断し、適材適所に配属することを心がけましょう。必要であれば業務量を定期的に見直し、タスクを分担することも重要です。
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働き方の選択肢が多い
働き方の選択肢が多い職場は、社員が自分のライフスタイルに合わせて働くことができます。リモートワークやフレキシブルな勤務時間の導入など、時間や場所をニーズに合わせて選択できるため、社員の満足度も向上するでしょう。
評価制度が公正
努力や成果が適切に評価されるなど、評価制度が公正な会社は職場環境がよいといえるでしょう。わかりやすく正当な評価制度を実施していると、社員のモチベーションも上がりやすいため、人材育成にも結びつきます。
福利厚生の充実
福利厚生の充実は、社員が企業を選ぶ際に関心度が高い要素です。社会保険などの他、病気や育児、介護対応の制度が整備されていることも重要になります。住宅手当、健康診断、スポーツクラブの会費補助などもあると、より充実しているといえるでしょう。
職場環境が悪い場合の改善方法
先述した「職場環境が悪い会社の特徴」「職場環境が悪い原因」に該当している場合は、以下のような方法で改善を試みましょう。
快適なオフィス環境を意識する
快適なオフィス環境は、社員の生産性や満足度が向上します。以下のような方法を取り入れるとオフィス環境がよくなったと感じる社員も増えるでしょう。
- トイレや休憩室に居心地の良さを取り入れる
- 古い設備をリフォームする
- 温度管理・防音対策で集中しやすい環境にする
- 長時間の作業による疲労を軽減できるオフィス家具を導入する
- ドリンクやお菓子を無料または低価格で提供する
コミュニケーションを促進する
コミュニケーションを促進すると、風通しが良くなって業務の効率化が期待できます。具体的な方法は以下のとおりです。
- 定期的に社内ミーティングを行う
- 情報共有アプリやチャットツールなどのコミュニケーションツールを導入する
- 社内で感謝を表現する制度を導入する
社内イベントを実施する
より一層コミュニケーションを促すには、社内イベントの開催も有効です。社員間の交流を深めるだけではなく、普段交流のない他部署など、多くの社員と知り合う機会にもなります。
業務負担や働き方の改善を試みる
過度な業務負担は社員のストレスを高めます。業務の効率化や適切な人員配置を行って負担を適正化することが重要です。社員の経験やスキルを考慮した仕事を任せてみましょう。
また、フレックスタイム制、テレワークなどの導入で、ワークライフバランスの実現を図るのも有効です。さらに、週休3日制、アニバーサリー休暇、ボランティア休暇など、多様な休暇制度を導入すると、社員は自分らしい働き方を実現しやすくなります。
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スキルアップや資格取得を支援する
社員のスキルアップや資格取得を支援すれば、社員のモチベーションが向上し、生産性の向上も期待できます。中堅社員向け研修などの社内研修の実施、ワークショップ・外部セミナーへの参加支援、資格取得費用の補助などが有効です。
相談窓口の設置や社内アンケートを実施する
社員専用の相談窓口を開設すれば、社員はトラブルを1人で抱えこまずに済みます。相談窓口は、匿名で相談できる、プライバシーを守るなどの工夫が必要です。社員の本音を把握するためには、匿名で意見が出せる社内アンケートも効果があります。アンケート結果を分析して、課題に対して具体的な改善策を検討することが重要です。
職場環境が悪い場合に転職・退職を決断するタイミングに注意
職場環境が悪い状況が続くと、社員は転職・退職を決断する可能性があります。以下のような状況や傾向が見られたら決して放置せず、転職・退職を決断する前に手を打つ必要があります。
職場環境が改善されない
職場環境を改善する方法を試してみても効果がみられないときは、社員が転職や退職に踏み切ってしまう恐れがあります。不満や不安を聞き、一緒に問題点を見つけて改善策を提示することが重要です。
精神的につらい
パワハラやいじめを受けているなど精神的に追い込まれている社員は、転職先が見つかっていなくても耐えられずに退職するケースがあります。社員から相談を受けたら反論せず、まずは耳を傾けることが重要です。改善の意思を伝えることで思い留まってくれる可能性もあります。
自分の成長につながらない
職場環境が悪く、自分の将来や成長につながらないと判断して転職・退職を考える社員もいます。社員のキャリアビジョンをヒアリングして希望条件への提案を図るなど、職場に残って働き続けたいと思ってもらうことが重要です。
職場環境が悪いときの相談先
職場環境が悪く悩んでいる場合は、1人で抱え込まずに誰かに相談するのもよいでしょう。一般的な相談先は以下のとおりです。法律に抵触している可能性がある相談は、弁護士に相談するのがおすすめです。
- 上司や先輩
- 会社の相談窓口
- 労働基準監督署(労基署)
- 総合労働相談コーナー
- 都道府県労働局の雇用環境・均等部
- 労働条件相談ほっとライン
職場環境の改善は助成金が出るケースがある
職場環境を改善すると助成金が出るケースもあります。改善したくてもコストが心配な場合におすすめです。
働き方改革推進支援助成金
中小企業における労働時間設定の改善促進を目的とした助成金です。労働時間短縮、職場環境の改善、多様な働き方の導入などに対し、助成金が支給されます。
※参考:働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース) |厚生労働省
キャリアアップ助成金
派遣労働者や短時間労働者など、非正規雇用労働者のキャリアアップを促進する助成金です。正社員化、職場定着のための取り組み、多様な働き方の導入などが対象になります。
※参考:キャリアアップ助成金|厚生労働省
団体経由産業保健活動推進助成金
事業主団体などを通して、中小企業等の産業保健活動の支援を行う助成金です。以下のようなケースは、産業保健サービスの助成対象になります。
- 健康診断結果の意見聴取
- 保険指導
- 面接指導・意見聴取
- 健康相談対応
- 治療と仕事の両立支援
- 職場環境改善支援
- 健康教育研修・事業者と管理者向け
※参考:令和6年度「団体経由産業保健活動推進助成金」について
人材確保等支援助成金(テレワークコース)
良質なテレワークを制度として導入・実施し、効果をあげた中小企業事業主を支援する制度です。2024年からは、以下も対象になっています。該当する場合は利用を検討してみましょう。
・テレワークを導入していて実施を拡大する事業主
・仮想オフィスに係るサービス利用料
・クラウドを用いたコミュニケーションツールやペーパーレス化ツールの利用料
※参考:人材確保等支援助成金(テレワークコース)|厚生労働省
まとめ
職場環境が悪い場合は、社員のストレスが溜まったりパフォーマンスが低下したりするだけではなく、離職率が高まるなど企業にも大きな影響を与えます。まずは、職場環境が悪くなっていないかどうかのチェックが必要です。
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