クロスファンクショナルチームとは?メリットや成功事例を解説


クロスファンクショナルチームとは?メリットや成功事例を解説

クロスファンクショナルチームは、企業の課題を解決するために、役職を問わず様々な部署・部門から人材が集められた組織です。

ここでは、クロスファンクショナルチームの概要や設置するメリット・デメリット、企業の事例などをご紹介します。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

近年、企業に起こった問題・課題を解決するために、部署・部門・役職を問わずに集められた人材で構成される「クロスファンクショナルチーム」が注目を集めています。実際にクロスファンクショナルチームを導入する場合、どのようなメリット・デメリットが発生するのか気になる人は多いでしょう。

本記事では、クロスファンクショナルチームの概要やメリット・デメリット、実際に取り入れて成功した企業の事例をご紹介します。

クロスファンクショナルチーム(CFT)とは?


クロスファンクショナルチームは、別名「CFT」とも呼ばれています。

企業全体の様々な問題・課題を解決するために、部署・部門・役職を問わずに集められた人材によって構成されています。

集められたメンバーは起こった課題についての、専門的な知識・技術を持ち合わせており、メンバー全員で共有・ディスカッションした上で問題解決へ導くのが主な役割です。

企業に起こった問題は経営層、もしくは部署ごとに解決策を打ち出すのが一般的ですが、それでは対処できない問題も日々発生します。以前まで行われてきた部署別の対応に不都合が起こったことから、クロスファンクショナルチームの導入が活性化してきているのが現状です。

大きく分けると、一つのチームとして常設される場合と、問題解決までの一定期間限定で招集される場合の二種類があります。

クロスファンクショナルチームの歴史とは

クロスファンクショナルチームという考え方は、1980年代に理論化されました。

1980年代、日本企業は世界的に見て高い競争力を保持していました。当時、日本企業の多くは社内での従業員同士のコミュニケーション・対話が頻繁に行われている状態で、部署ごとの情報共有が円滑にできていたのです。

当時の状況を見た欧米の研究者は、日本企業の部署を超えたコミュニケーションが、高い生産性・品質を実現していると考えました。そこで、競争に優位に立つための仕組みとして体系化を図ったのが、クロスファンクショナルチームの根源です。

クロスファンクショナルチームが注目される理由とは?

現代においてクロスファンクショナルチームが注目されている理由には、部署を超えたコミュニケーションが、昔に比べて希薄になっている点が挙げられます。

以前は自然に部署を超えたコミュニケーションが成立していましたが、縦割り組織が増えたことで部署・部門間での協力が難しくなっているのが現状です。自部門が持つ専門性・特権にこだわり、部門間の対立が深まるケースもあります。

企業全体の問題・課題を効率的に解決するためには、柔軟な発想・アイデアが必要です。結果として、部署間や役職の枠を取り払った多種多様な人材が、一つのチームになって問題の解決を目指すクロスファンクショナルチーム制度が重視されるようになりました。

クロスファンクショナルチームのメリットとは?

クロスファンクショナルチームを構成すれば、企業の課題を素早く、柔軟に解決できます。

具体的なメリットは以下の4つです。

  • 企業を活性化できる
  • 新しい交流や新しい意見が生まれる
  • 企業の難しい問題・課題を解決しやすい
  • 企業全体が最適化される

企業を活性化できる

クロスファンクショナルチームを作ることにより、企業全体が活性化につながります。結果的に企業の利益を上げられるでしょう。

企業における問題は様々ですが、解決のためには問題解決能力のある専門的な人材が必要です。チームを構成するメンバーは部署・部門・役職の枠を超えて集められるため、通常上下関係が重視されている縦割り構造の組織を活性化させられます。

部署を超えて招集されたメンバーが、それぞれ持っている知識・経験をもとに意見交換をすれば、問題解決だけでなく、価値観の変革・業務の効率化・専門性の向上などが期待できるでしょう。企業が活性化すれば、全ての従業員が仕事をしやすい環境になり、業績アップにもつながります。

新しい交流や新しい意見が生まれる

クロスファンクショナルチームの結成により、今までにはなかった新たな交流や意見が生まれる可能性があります。

企業によっては、異なる部署の従業員同士がコミュニケーションを取ることが少なく、交流できる機会を設けていなかったところも存在するでしょう。

しかし、クロスファンクショナルチームでは様々な部署から年齢・性別問わずに従業員が集まってくるため、新しい交流によって斬新なアイデアが生まれる可能性があります。異なる部署同士で対話するからこそ、今まで盲点であった事実にも気付かされるかもしれません。

従業員同士の柔軟な交流が日常化することで、現在抱えている問題の解決や抑止、企業の生産性向上にもつながるでしょう。

企業の難しい問題・課題を解決しやすい

クロスファンクショナルチームの特性として、通常の部署によるチームよりも専門性が高いという点が挙げられます。

通常の部署は、その部署で取り扱う知識・技術を持つ従業員が集まっていますが、クロスファンクショナルチームを組む場合は、問題を解決するために必要な専門知識・技術を培ったメンバーが各部署から招集されます。

したがって、各部署だけでは対応しきれない企業が抱える難解な問題・課題を解決できる可能性が高まるでしょう。異なる専門知識を持った従業員同士が意見やアイデアを出し合うことにより、今までにはなかった新たな解決方法が見出せるかもしれません。

また、専門性の高い知識を持つ従業員同士で問題解決に挑むため、それぞれのスキル向上にもつながります。

企業全体が最適化される

従来の部門別チームやプロジェクトの構成では、企業全体の最適化につながるのは難しいです。

企業全体で考えなければならないような複雑な問題・課題が生まれた時に、部署ごとで別々に対処すれば、解決までの時間がかかり、全体での情報共有がうまくいかない可能性もあります。

クロスファンクショナルチームを作ると、各従業員の配属先での経験から得られる現場的な視点と、企業全体を客観的に見る視点の二つの側面から問題解決に取り組めます。全体的に視野を広げることが、企業体制の最適化につながるでしょう。

クロスファンクショナルチームのデメリットとは?

クロスファンクショナルチームを作ることで、素早い問題解決や、従業員同士のスキル向上などの様々なメリットが得られます。

一方で、以下のようなデメリットも存在します。

  • 大きな負担がかかる従業員が出てくる
  • 現場を巻き込むのが難しい
  • 成果はチーム構成によって変わる

大きな負担がかかる従業員が出てくる

デメリットの一つは、従業員の中に大きな負担を抱える人が出てくる可能性がある点です。

部署・部門を超えたメンバーで構成されているため、配属されている部署の仕事を進めつつ、クロスファンクショナルチームでの仕事もこなさなければなりません。

日頃の業務がハードな部署のメンバーや、クロスファンクショナルチームで重要な役割を担っているメンバーは特に負担を抱えやすいため、役割を分散する必要があります。

現場を巻き込むのが難しい

企業にはクロスファンクショナルチームとは別に、日頃から部署別に組まれているチームも存在します。

本来であれば、現場を巻き込んで企業に起こった問題・課題を解決していくのが好ましいですが、日々の業務に追われている従業員に対して協力を求めるのが難しい場合が考えられるでしょう。

また、クロスファンクショナルチームに加入していないメンバーとの、企業の問題解決に対する温度差も生まれやすく、理解・協力を得られず解決に時間がかかる可能性があります。

成果はチーム構成によって変わる

クロスファンクショナルチームで成果を出すには、メンバー構成が重要です。

招集されたメンバーに偏りがあれば、チームが正しく機能しない可能性があります。問題解決に適しているメンバーであるか、メンバー同士の相性がよいかなどを考慮する必要があるでしょう。構成がうまくいっていない場合、問題が解決できないことで、従業員同士の関係が悪くなる恐れがあります。

メンバーを決める際は、問題を解決することと企業の利益を上げることを目標に、適切な人材選びをはじめ、従業員同士が円滑に仕事できる環境を整える必要があります。

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クロスファンクショナルチームの導入方法とは?

クロスファンクショナルチームを作る際の導入方法は以下のとおりです。

  • チームを構成する
  • 各部門からメンバーを選ぶ
  • チームを動かす


ここでは、それぞれの項目について詳しく説明します。

チームを構成する

クロスファンクショナルチームの成功を左右する第一歩として大切なのがチーム構成です。チーム構成で特に意識する必要があるのは、チーム結成の目的と収集人数です。

既存の部署・チームとは別に新たなチームを作るとなると、配属される従業員の負担は大きくなるため、稼働期間・頻度なども事前に考えておく必要があるでしょう。

従業員の総合的なタスクを偏らせないことが、チームを効果的に機能させる方法の一つです。

各部門からメンバーを選ぶ

クロスファンクショナルチームの作成において、メンバー選びも重要です。

チームメンバーは各部署から集め、中でも「問題解決能力のある人材」を選ぶ必要があります。

クロスファンクショナルチームは、各部署に分かれての解決は難しい問題・課題解決を目的としているため、メンバー選出は慎重に行う必要があるでしょう。総合的な問題解決能力に加え、該当する問題に対しての専門知識・技術が優れているかどうかも大切です。

チームを動かす

チームの構成が決まり、各部署・部門からメンバーを集めたら、実際にチームを稼働させましょう。

円滑な活動のためには、メンバー同士の連携がしっかり取れるような工夫をすることや、一人一人が持つノウハウを出し惜しみせず、全員が積極的に意見を出せる環境作りが大切です。

また、長期間チームを稼働させると、各部署の業務に支障をきたす可能性があるため、あらかじめ期限を決めておくとよいでしょう。

クロスファンクショナルチーム導入で失敗しないためには

クロスファンクショナルチーム導入で失敗しないためのポイントは、以下のとおりです。

  • チーム発足の目的を明確にする
  • メンバー全員が対等な立場で意見する
  • 成果を数値化する


ここでは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。

チーム発足の目的を明確にする

クロスファンクショナルチーム結成による失敗を防ぐためには、まずチーム発足の目的を明確にする必要があります。

「何のためにチームを結成し、稼働するのか」という基本的な部分を、メンバー全員が明確に理解しなければ、何を解決するべきかが曖昧になってしまうでしょう。目的を明確にすれば、チームの士気が高まり、早期の問題解決にもつながります。

メンバー全員が対等な立場で意見する

クロスファンクショナルチームでよくある失敗として、メンバーの中で正直に意見や提案ができないという問題が挙げられます。

多方面から集められたメンバーであるがゆえに、ほかの部署から招集されたメンバーに対して遠慮してしまうケースも考えられるでしょう。

部署・役職などの枠は取り払って、メンバー全体が対等な立場で意見をすることで、今までになかった斬新なアイデアや解決方法の発見につながります。そのため、メンバー全員が率直に意見できる環境作りが大切です。

成果を数値化する

優秀な人材が集まるチームといっても、目に見える効果を実感できなければモチベーションの維持は難しいでしょう。

したがって、クロスファンクショナルチームが稼働して出た成果を、小さなことでも数値化し、目に見える形で示すことが大切です。

なお、確実な効果測定のためにも成果の数値化は重要です。データに基づいた分析・検証を行えば、成果を客観的に判断できます。

クロスファンクショナルチーム導入での成功事例

クロスファンクショナルチーム導入での成功事例として有名な企業が、日産自動車とりそなホールディングスです。

今でこそ自動車業界の中で安定的な立ち位置となった日産自動車ですが、1990年代には業績不振によって、倒産寸前まで追い込まれていました。

しかし、1999年にカルロス・ゴーン氏の就任と同時にクロスファンクショナルチームを結成し、あらゆる立場から多数の問題解決に関するアイデアが生まれたことで、業績の回復を実現しています。

りそなホールディングスは、2020年4月からクロスファンクショナルチームを結成し、あらゆる業務プロセスや組織構成の見直しを行っています。

さらに、チームを効果的に活用し、顧客のニーズ・社会情勢のへ対応力を高めるために設立したのが「Resona Garage」です。Resona Garageは、クロスファンクショナルチームや様々な業種の企業が集まる拠点として、経営基盤の次世代化に貢献しています。

まとめ


様々な部署・部門から問題解決能力が優れている人材を集めたクロスファンクショナルチームは、今まで解決できなかった難しく複雑な問題にも対応できます。導入の際は、目的・人選・各従業員のリソースなどを慎重に考え、全ての従業員が気持ちよく働けるチームを作ることが大切です。

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