【心の健康を守る】メンタルヘルス研修の目的とポイントを解説!


【心の健康を守る】メンタルヘルス研修の目的とポイントを解説!

メンタルヘルス研修は、従業員の心の健康を守るために重要な取り組みです。そこで本記事でメンタルヘルス研修が求められている理由と実施時のポイントをわかりやすく紹介します。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

企業においてメンタルヘルス研修が求められている理由と、実施時のポイントをわかりやすく紹介します。ぜひメンタルヘルス研修の実施に役立ててください。

職場のストレスが増加しメンタルヘルス研修の重要性が増加

厚生労働省の発表によると、仕事や職業生活に強い不安や悩み、ストレスを感じている労働者の割合は高い数値を示しています。


平成14年

61.5%

平成19年

58.0%

平成24年

60.9%

平成25年

52.3%

平成27年

55.7%

平成28年

59.5%

平成29年

58.3%

平成30年

58.0%

令和2年

54.2%

厚生労働省は「精神面における健康のこと」をメンタルヘルスという言葉で定義しています。結果を見ると、労働者のメンタルヘルスは喫緊の課題と言っても過言ではないでしょう。


メンタルヘルスの不調は、以下のような問題を生じさせます。


  • 上手く仕事が進まない
  • 休職・退職者の増加
  • うつ病やパニック障害などの疾患リスク


このような問題を解決するためにも、労働者を監督する立場の企業にはメンタルヘルス研修の重要性が求められているのです。

メンタルヘルス研修の目的は3つ

メンタルヘルス研修は、従業員のメンタルヘルスに対する知識・意識を向上させ、メンタルヘルス不調により起こりうる問題を未然に防ぐために実施されます。


メンタルヘルス研修の目的は、以下の3つです。


  • 全従業員のウェルビーイング実現
  • 不調者の早期発見・対処
  • 生産性向上と離職率の低下防止


メンタルヘルスの不調はストレス耐性の低い若手層だけでなく、マネジメント層にも起こりうる問題です。従業員一人ひとりがメンタルヘルスへの理解を深めて、適切な対応が取れるようになる必要があります。

全従業員のウェルビーイング実現

従業員がメンタルヘルスへの理解を深めれば、全従業員のウェルビーイング実現につながります。メンタルヘルス研修で学ぶのは、以下の2点です。


  • 自身のメンタルケア方法
  • 周囲からのサポート方法


これら研修で得た知識を活用すれば、自身・周囲共にメンタル不調を早期発見でき、深刻化を未然に防止できます。また現代は、働き方改革による働き方の多様性が注目されている時代です。企業評価という面からも、企業のウェルビーイング活動に高い関心が集まっています。

ウェルビーイングとは

ウェルビーイングとは、1946年にWHO(世界保健機関)が提唱した概念です。厚生労働省では個人の権利や自己実現が保障された上で、以下の要素が良好な状態にある概念として定義しています。


  • 身体的
  • 精神的
  • 社会的


ウェルビーイングとは、身体が健康なだけでなく、精神的にも社会的にも満たされた幸福な状態を指す概念です。体感できる幸せや、心の豊かさが充実している状態を指すと考えてもらえばいいでしょう。

不調者の早期発見・対処

メンタルヘルスは身体的疾患と異なり、なかなか気づきにくいものです。自覚症状が現れた時は、深刻な状態だったというケースも少なくありません。特に下記のような精神疾患を患った場合は、治療なくして回復することは難しいでしょう。


  • うつ病
  • 解離性障害
  • 強迫性障害
  • 睡眠障害
  • 摂食障害
  • 双極性障害(躁そううつ病)
  • 適応障害
  • パニック障害・不安障害
  • PTSD(心的外傷後ストレス障害)


しかし、メンタルヘルス不調者の早期発見・対処ができれば、最悪のケースを避けられます。

生産性向上と離職率の低下防止

従業員のメンタルヘルスが良好だと、生産性は向上して離職率が低下します。メンタルヘルスの不調者減少は、企業力アップに直結する重要課題と言えるでしょう。ブリガムヤング大学の調査結果では、健康が仕事の生産性に与える影響は高いことが証明されています。


  • 健康的な食生活を続けている⇒パフォーマンスが25%増加
  • 週3回以上運動している⇒パフォーマンスが15%増加
  • 良い食事と運動を心がけている⇒欠勤率が27%減少


また離職率に関しても、労働政策研究・研修機構の調査で、メンタルヘルス不調による休職者の離職率は40%を超えることがわかっています。

従業員がストレスを感じる理由は5つ

メンタルヘルスの不調者を減らすには、早期発見・早期対処が必要です。しかし、それ以前に求められるのが防止策でしょう。まずは、不調者が発生する原因を探り出し、全従業員に周知徹底する必要があります。


厚生労働省のアンケート調査によると、「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる」と回答した人が挙げた、ストレスを感じる主な理由は以下の5つです。


  • 仕事量や質
  • 人間関係
  • 失敗への不安
  • 役職の重圧
  • 怪我や災害

仕事量や質

アンケート調査で最も回答率が多かったのが、「仕事量や質」です。仕事量や残業量が多く、その仕事の進め方や量を押し付けられるだけで、「自分の裁量が認められていない」と感じているようです。しかも、自分の実力が十分に活かされる仕事でないため、仕事に対するモチベーション低下を招く結果となっています。


また仕事量に加えて、仕事の質的負担も高いことから、仕事の負荷が自分の限界を超えている人も少なくありません。

人間関係

退職理由や異動希望理由で多いのが人間関係です。近年はパワハラやセクハラなどのハラスメント(いじめ・嫌がらせ)被害が社会的問題となるなど、人間関係が従業員に及ぼす影響は無視できません。


事実、全国の総合労働相談コーナーへの相談件数でも「いじめ・嫌がらせ」の相談件数は347,546 件中79,190 件(22.8%)となっており、9年連続最多を更新しています。職場のハラスメントは、良好な人間関係を築くためにも真っ先に対処すべき課題と言えるでしょう。

失敗への不安

仕事をしていると、毎回、満足いく成果が得られるわけではありません。失敗して落ち込むこともあるでしょう。


「失敗を糧に頑張ればいい」という常套句もありますが、わかっていても引きずってしまう人は少なくありません。経験値の低い従業員ならば「クビになったらどうしよう」などと、悲観的に捉えてしまう可能性もあります。


失敗を引きずると、いつも失敗したときのことが目に浮かび、物事をネガティブに捉えやすくなってしまうのです。

役職の重圧

サラリーマンにとって役職の昇格は1つの目標です。しかし、昇格すれば責任や仕事が増し、ストレスを感じやすくなります。


  • 上司と部下の板挟みになる
  • 部下の育成・管理が負担になる
  • 部下のメンタルケアが負担になる
  • 責任者としての重圧がかかる
  • 仕事量と質が上がる
  • 働き方改革によるしわ寄せがある


特に中間管理職はストレスを抱えやすい役職です。張り切って完璧を求めるほど、プレッシャーが大きくなり、それがストレスへとつながります。

怪我や災害

人間は非日常的なことに遭遇すると、大きな衝撃を受けそれがストレスとなります。危険を伴う作業がある職場なら、作業中の怪我や災害がストレスとなることもあるでしょう。


このケースで受けるストレスは危険に対するもので、その反応も人それぞれです。


悲嘆反応

悲しみや怒り、怪我や災害に遭遇した従業員に対する罪悪感、後悔

外傷性悲嘆反応

死亡した事実に執着し続ける

抑うつ

イライラ感、食欲減退、精神的抑うつ、疲労、絶望

身体反応

頭痛、めまい、胃痛、筋肉痛、動悸、めまい、過呼吸

メンタルヘルス研修の活用だけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析

メンタルヘルス研修は企業規模での取り組みが求められますが、まずは担当者が従業員のメンタルヘルスをはじめとした情報を適切に把握・管理する必要があります。


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企業が行うメンタルヘルス対策は4つ

現在、企業は従業員のメンタルヘルスに対して責任があるという考えが定着しています。そのため、企業競争力を向上するためにも、メンタルヘルス対策は企業に求められる課題の1つと言えるでしょう。そこで厚生労働省が掲げる具体的なメンタルヘルス対策は、以下の4つです。


  • セルフケア
  • ラインケア
  • 産業医等によるケア
  • 外部委託によるケア・研修


それぞれのメンタルヘルス対策を詳しく解説します。

セルフケア

セルフケアは、従業員自身によるケアです。具体的には、メンタルヘルス研修等で以下の情報が提供されます。


  • メンタルヘルスやストレスに対する正しい知識や考え方
  • ストレスへの対処方法
  • 自身によるストレスチェック


ストレスチェックは2015年から、50名以上の事業場に義務化されています。従業員自身へストレスの有無を自覚させ、予防をはかる仕組みです。結果は本人にも通達され、そのデータ分析は労働改善にも利用されます。

ラインケア

ラインケアは、管理監督者による従業員へのケアです。管理監督者とは、直属上司や課長、部長など従業員の管理・監督をする人を指します。具体的には、メンタルヘルス研修等で以下の情報提供やケアを実施します。


  • いつもと違う様子の従業員への声掛け
  • 従業員からの相談への対応
  • ストレスチェック結果に基づく面談指導
  • 人事との面談促進
  • 産業保健スタッフとの面談促進
  • 事業場外資源との面談促進
  • 休職している従業員の職場復帰支援


従業員の性格や特性を理解した上での対応が求められます。

産業医等によるケア

産業医とは、雇用された企業で従業員の健康管理や職場管理を実施する職業です。産業医の他に、保健師や衛生管理者、人事労務担当が、同じ職務につく企業も見られます。


具体的には、メンタルヘルス研修等で以下の情報提供やケアを実施します。


  • 従業員との面談
  • 職業性ストレスの評価
  • 職場環境の改善要望調査
  • 医療機関への受診勧奨
  • ストレス対処法の指導
  • 管理監督者へのストレス要因の軽減提案


なお大半の産業医は開業医や勤務医の嘱託産業医ですが、医療行為は行えません。

外部委託によるケア・研修

外部委託によるケアや研修は、メンタルヘルス関連サービスや医療機関による予防目的を前提としたケア・研修を指します。「内部EAP」と呼ばれる企業に常駐する産業医等に対し、「外部EAP」と呼ばれ、企業と連携してメンタルヘルス対策を実施するサービスです。


具体的な外部委託によるケアとしては、オンラインの相談窓口が挙げられるでしょう。また、外部委託による、全従業員へのメンタルヘルス研修を実施する企業も増えています。

外部委託のメンタルヘルス研修は2種類

メンタルヘルス研修を自社で実施する企業もありますが、講師育成や教材作成等に時間やコストが掛かるため、外部委託するのが一般的です。しかし、メンタルヘルス研修は受講コースが分かれる上、定期的な開催が必要になります。外部委託する際には15〜100万円程度の費用が必要です。


そのためコスト的な問題から、比較的安価で済む以下の研修を実施するケースが多く見られます。


  • eラーニングの活用
  • 外部講師の研修へ参加


各研修のメリット・デメリットは、以下のとおりです。

eラーニングの活用

近年流行りのeラーニングを社内ツールとして導入すれば、メンタルヘルス研修も手軽に実施できます。eラーニングを活用する際のメリット・デメリットは、以下のとおりです。


メリット

デメリット

・時間や場所を問わず研修が受けられる

・講師の質に影響されない(研修の質が均一)

・従業員の研修状況を一元管理できる

・繰り返し同じ研修を受けられる

・インターネット環境が必要

・従業員のモチベーション維持が難しい

・ロールプレイング等の実践や実技ができない

外部講師の研修へ参加

外部講師のメンタルヘルス研修に参加するのもおすすめです。定期的に専門機関やサービス提供企業が研修の講習会を開催しています。外部講師の研修を活用する際のメリット・デメリットは、以下のとおりです。


メリット

デメリット

・評判が高い講習会を選んで参加できる

・従業員のモチベーションを維持できる

・ロールプレイング等の実践や実技が受けられる

・講師や参加者と意見交換できる

・自由が効かない(開催日に合わせる必要がある)

・講師の質に影響される(研修の質が不均一)

・従業員の理解度を把握できない

・繰り返し同じ研修を受けられない

まとめ

企業力を高め、企業競争力を向上させるためにも、全従業員のウェルビーイング実現は不可避です。そのためにも、企業はメンタルヘルス研修に取り組む必要があるでしょう。


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