メンタルヘルスケアとは?注目される背景や具体的なケア方法を紹介


メンタルヘルスケアとは?注目される背景や具体的なケア方法を紹介

近年働く人のメンタルヘルス不調が社会問題となっていますが、メンタルヘルスケアはどのように行うべきでしょうか。本記事では、メンタルヘルスケアの注目される背景や具体的なケア方法を紹介します。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

メンタルヘルスケアとは、心の健康を保つために必要なケアです。近年、働く人のメンタルヘルス不調が社会問題となっていますが、メンタルヘルスケアはどのように行うべきでしょうか。本記事では、メンタルヘルスケアが注目される理由や具体的な方法を解説します。

メンタルヘルスケアとは?

メンタルヘルスケアとは、心の健康を保つために必要なケアを指します。メンタルヘルスケアには、自分自身でおこなうセルフケアや職場の上司や同僚がおこなうラインケア、企業の産業医や保健師がおこなう事業場内ケア、専門的な機関や専門家を活用する事業場外ケアなどがあります。メンタルヘルスケアを適切に実践すれば、心の病気を予防したり早期発見・早期治療したりできます。

メンタルヘルスケアが注目される背景

メンタルヘルスケアが注目される背景には、心の病気の増加が挙げられます。厚生労働省の調査によると、令和2年度に労災認定された精神障害の件数は1,659件で、過去最高の数字となりました。また令和2年度の自殺者数は20,919人で、前年度より750人増加しました。

心の病気は早期発見・早期治療が重要ですが、自覚症状がなかったり周囲から理解されにくかったりする場合もあるため、知識をつけておく必要があります。

企業でメンタルヘルスが必要な理由

企業でメンタルヘルスが必要な理由には、様々なものが挙げられます。心の健康が損なわれるとストレスや不安、うつなどの心の病気にかかりやすくなります。そこで企業でメンタルヘルスをケアすれば、心の病気を予防したり早期発見・早期治療したりすることができます。

従業員が健康でいるため

従業員が健康でいるためには、心の健康が大切です。心の健康が損なわれると、ストレスや不安、うつなどの心の病気にかかりやすくなります。

心の病気は身体の病気と同じように治療が必要ですが、自覚しにくかったり周囲から理解されにくかったりする場合もあります。そのため、企業でメンタルヘルスをケアを実施して早期の対応を行う必要があります。

業務の効率化と生産性向上のため

従業員が心の健康を保てるようになると、仕事に対するモチベーションや集中力が高まり、業務の効率化や生産性の向上につながります。逆に心の健康が悪化すると仕事への関心や意欲が低下し、ミスや遅刻・欠勤などの問題行動が増えるおそれがあります。また、コミュニケーションや協調性も低下し、職場の雰囲気やチームワークにも影響するので注意が必要です。

企業全体でメンタルヘルスをケアすると、従業員が仕事に積極的に取り組むので職場の活気や結束力を高められます。

労働環境を改善するため

従業員の心の健康は、労働環境に大きく影響されます。労働環境とは仕事内容や仕事量、人間関係や評価制度など、職場で働くうえで直面する様々な要素です。労働環境が良好であれば従業員はストレスを感じにくくなりますが、労働環境が不適切であれば従業員はストレスを感じやすくなります。

企業でメンタルヘルスをケアすれば、従業員のストレス要因を把握して労働環境の改善に努められます。

リスクマネジメントのため

企業でメンタルヘルスケアを行うのは、リスクマネジメントの観点からも重要です。メンタルヘルスの不調による休職や離職は、企業にとって人材の損失やコストの増加となります。またメンタルヘルス不調による判断力や注意力の低下は、事故やトラブルの原因にもなります。

さらに、メンタルヘルスの不調による労災や訴訟があると、企業の信用やイメージを損なうおそれがあるので注意が必要です。

企業としての役割を果たすため

企業でメンタルヘルスケアを行なうのは、企業としての役割を果たすためにも必要です。企業は従業員や家族、取引先や顧客、地域社会など様々なステークホルダーに対して責任を持ちます。この責任は、CSR(企業の社会的責任)と呼ばれます。

CSRには経済的責任だけでなく、社会的責任や環境的責任も含まれます。企業全体でメンタルヘルスをケアすれば、CSRを実践して社会から信頼される企業になることができます。

メンタルヘルスケアは3つの段階に分けられる


メンタルヘルスケアは、一次予防・二次予防・三次予防の3つの段階に分けて考えられます。一次予防は、心の不調や病気を未然に防ぐための対策です。二次予防は、心の不調や病気が起きてしまった場合に早期発見・早期対処するための対策です。三次予防は、心の不調や病気で休職した場合に職場への復帰を支援するための対策です。

一次予防:未然の対策

一次予防とは、心の不調や病気を未然に防ぐための対策です。自分自身で行うセルフケアや職場で行うラインケアがあります。

セルフケアとは、自分の心の状態をチェックしたり、ストレスを発散したり、リラックスしたりすることが該当します。またラインケアとは、上司や同僚が従業員の心の状態に気づいたり、話を聞いたり、助言や支援をしたりすることなどが挙げられます。

二次予防:不調の早期発見

二次予防とは、心の不調や病気が起きてしまった場合に早期発見・早期対処するための対策です。ストレスチェック制度や産業医・保健師・人事労務担当などによるケアがあります。

ストレスチェック制度とは従業員が自分のストレスレベルを把握し、必要な場合は面談や相談を受けられる制度です。従業員が心の不調や病気を訴えた場合やストレスチェックで高ストレスと判定された場合に、適切な診断や治療を受けるような支援が求められます。

三次予防:職場への復帰支援

三次予防とは、心の不調や病気で休職した場合に職場への復帰を支援するための対策です。休職中や復職前後のフォローアップや職場環境の整備があります。休職中や復職前後のフォローアップは、休職者や復職者が治療やリハビリテーションを継続して職場への適応を促進するために、産業医・保健師・人事労務担当などがおこなう定期的な連絡や面談です。

職場環境の整備は、休職者や復職者が職場に馴染みやすくするために、上司や同僚が協力したり仕事の内容や量を調整したりするなどが必要です。

メンタルヘルスケアの活用だけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析

メンタルヘルスケアは3つの段階に分けて行うと、効果的です。しかし、メンタルヘルスケアの活用だけで終わらずに、メンタルヘルスケアの結果や効果を定期的に評価して改善点や課題を見つけることも必要です。

そのためには、あらゆる人事データを統合して分析することが有効です。タレントパレットならば、従業員の健康管理やストレスチェックデータを一元管理可能です。義務付けられているストレスチェック制度にも対応しているため、必要なタイミングでスムーズに活用できるでしょう。

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企業に必要な4つのメンタルヘルスケアの具体例 

メンタルヘルスの不調は、休職や離職、生産性低下、事故やミスなどのリスクを高めます。そこで、企業が取り組むべきケアを4つ紹介します。

1.セルフケア 

セルフケアは、自分自身で心の健康を保つために行う活動です。自分自身の心の状態を把握して適切に対処する能力を高められます。企業は、従業員にセルフケアの重要性や方法を教育し、環境や制度を整備することでセルフケアを促進できます。

2.ラインによるケア 

ラインによるケアは、上司や同僚などの職場内の人間関係において行う活動です。職場内で信頼関係や協力関係を築き、ストレスや不満を軽減できます。企業は上司や同僚にラインケアの重要性や方法を教育し、役割分担や責任者指定などを明確にしましょう。

3.産業保健スタッフなどによるケア 

産業保健スタッフなどによるケアは、産業医や保健師、メンタルヘルスカウンセラーなどの専門家によって行う活動です。企業は産業保健スタッフなどの専門家を配置し、従業員に利用しやすいシステムを整備するとケアを受けやすくできるでしょう。

4.事業場外資源によるケア 

事業場外資源によるケアは、社外の専門機関や団体などによって行う活動です。社内では解決できない問題や悩みに対し、中立的かつ専門的な視点から支援を受けられます。企業は、従業員に事業場外資源の存在や利用方法を周知し、利用しやすい環境や制度を整備するとケアを受けやすくできるでしょう。

企業が4つのメンタルヘルスケアを実践するための方法 


企業が取り組むべき4つのメンタルヘルスケアを解説します。具体的な方法を紹介しますので、ぜひご覧ください。

現場の状況把握と改善策提案 

職場のメンタルヘルスケアは、現場の状況を正しく把握して問題点や改善点を見つけるのが大切です。たとえば、ストレスチェック制度の実施があります。ストレスチェック制度とは、労働者にストレスチェックテストを受けさせ、結果に基づいて面談指導や集団分析などを行う制度です。

常時50人以上の労働者を使用する事業場では、法律で義務化されています。ストレスチェック制度を実施すると、労働者のストレスレベルやストレス源を把握し職場環境の改善に役立てられるでしょう。

現場の状況把握と改善策提案は、メンタルヘルス不調を未然に防ぐ「一次予防」にあたります。職場環境の改善は労働者のメンタルヘルスだけでなく、生産性やモチベーションの向上にもつながるでしょう。

正しいメンタルヘルスケアの情報提供 

メンタルヘルスケアは、労働者自身がストレスに気づいてメンタルヘルス不調に対処するための知識や方法を身につける「セルフケア」が必要です。メンタルヘルスケアやストレスマネジメントの研修では、メンタルヘルスに関する基礎知識や、ストレスの原因や影響、ストレスのコントロール方法などを学びます。研修では、実践的なワークショップやグループディスカッションなどを行い、労働者の理解度や関心度を高められるでしょう。

正しいメンタルヘルスケアの情報提供は、「セルフケア」を促進するために必要です。労働者が自分のメンタルヘルスに対して意識を持ち、自己管理可能な状態を目標にしましょう。

メンタルヘルスケアが必要な人の早期発見 

メンタルヘルスケアは、医師の診断前の段階で何らかの精神的不調を抱える労働者の早期発見・早期対応を目指す「二次予防」が必要です。たとえば、産業医との面談があります。

産業医は労働者に対して面談指導を行い、メンタルヘルスの状態やリスクを評価し、必要に応じて治療や休職などの勧告を行います。企業は、労働者が産業医との面談機会を利用できるようにすることが求められます。

メンタルヘルスケアが必要な人の早期発見は、「二次予防」にあたり、早期発見・早期対応することで、メンタルヘルス不調の悪化や休職・離職を防げます。

職場復帰するための支援の導入 

メンタルヘルスケアは、メンタルヘルス不調によって休職した労働者の職場復帰をサポートする取り組みが必要です。たとえば、復職支援プログラムがあります。復職支援プログラムとは、休職中や復職前後の労働者に対してメンタルヘルスの回復や職場適応を促進するためのプログラムです。

具体的には、カウンセリングや心理療法などの心理支援や職場見学や短時間勤務などの段階的な復職支援などがあります。企業は、メンタルヘルス専門の外部サービスと連携して、労働者に復職支援プログラムを提供するのが望ましいでしょう。

職場復帰するための支援の導入は、「三次予防」にあたります。復帰へのフローを企業内でしっかりと設定し、労働者が安心して職場に戻れるようにするのが重要です。

まとめ

近年心の病気が増加しているため、メンタルヘルスケアが注目されています。企業は従業員がいなければ回らないので、従業員の心の健康を守る必要があります。心の健康を守るには、ストレスチェック制度の活用やセルフケアを学ぶ研修などが効果的です。

タレントパレットではメンタルヘルスチェックだけでなくあらゆるシステムのデータを統合して分析できる機能が備わっています。従業員の健康管理やストレスチェックはもちろん、スキルや資格など様々な従業員の情報を一括に管理可能です。

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