正当な解雇理由とは?従業員を不当解雇しないために、会社が注意すべきこと


正当な解雇理由とは?従業員を不当解雇しないために、会社が注意すべきこと

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

「解雇」は会社のもつ重要な権限のひとつです。正当な理由がない状況での解雇は、法的トラブルの原因となるおそれがあります。では、どのような形式や流れの解雇であれば問題ないのでしょうか。

この記事では、正当性のある解雇理由について、法令や就業規則の例を提示しながらみていきましょう。解雇通知や解雇理由証明書の作成について理解を深めておきたい方は、ぜひ参考にしてください。

解雇の種類と解雇理由

解雇とは、使用者が従業員側に対して、労働契約を終了させる行為のことです。同意は必要ありません。しかし、一方的に解雇を行おうとしても、法律上合理的な理由がなければ解雇は無効となります。

ここでは、解雇の種類と解雇理由についてみていきましょう。

普通解雇

普通解雇とは、従業員の債務不履行を理由に労働契約を解除することです。従業員側の理由で契約に定められた業務を継続できない状況が生じている場合、普通解雇が行われることがあります。

普通解雇の主な理由を挙げると以下の通りです。

・業務内容に対して従業員の能力が不足している
・従業員が心身に不調を抱え、業務を遂行できない
・従業員の仕事に対する意欲が協調性が欠如しており、業務に支障を来している

懲戒解雇

懲戒解雇とは、従業員が重大な業務上の過ちや法律に違反した場合に、懲戒処分として労働契約を解除するものです。所轄の労働基準監督署長の解雇予告除外認定を受ければ、解雇予告を行わずに即日解雇できます(労働基準法第20条1項)。

懲戒解雇の主な理由を挙げると以下の通りです。

・従業員が犯罪行為を行った
・従業員が長期間無断で欠勤した
・従業員が経歴を詐称していた
・従業員が職場でハラスメント行為を行っていた
・従業員が会社のセキュリティ管理に関する重大な問題を起こした

整理解雇

整理解雇とは、経営上の理由によって人員を削減する必要が生じたときに行う解雇を意味します。解雇の原因が労働者側にないという点では、普通解雇および懲戒解雇と異なる性質といえるでしょう。

整理解雇には、「整理解雇の4要素」と呼ばれる4つの条件があり、これらを全て満たさなければ不当解雇となることがあります。

整理解雇の主な理由には以下のような例が挙げられます。

・会社の経営状態が悪化しているため、人員の削減が避けられない
・会社の事業規模縮小が決定されたため、人員整理が必要になった

解雇についてより詳しく知りたい場合は、こちらの記事を参照しましょう。

「解雇」については、こちらの記事をご確認ください。

解雇理由の正当性を裏付ける就業規則

解雇の正当性が認められるには、その合理性を明らかにしておかなければなりません。そのため、あらかじめ就業規則に解雇理由を明示しておくことが重要です。場合によっては、就業規則に明示していなかったことによって労働裁判に発展するケースもあります。

ここでは、解雇理由の正当性を裏付ける就業規則の例について、詳しくみていきましょう。

普通解雇の根拠となる就業規則の例

普通解雇の根拠として就業規則を使うためには、普通解雇の理由となる行為の内容を具体的に就業規則に定めておくことが重要です。就業規則に含めるべき普通解雇の理由として、以下のような例であれば問題はないでしょう。

・心身の不調により職務を遂行できない
・仕事に対する意欲が著しく低く、指導しても改善される見込みがない
・協調性が著しく欠如し、指導しても改善される見込みがない

懲戒解雇の根拠となる就業規則の例

懲戒処分にあたるケースについても、就業規則に定めておきましょう。懲戒処分には、解雇以外にも減給や降格処分などいくつかの種類があります。当該行為の悪質性や複数の行為が組み合わされているケースなどによって、解雇すべき状況かどうか判断しましょう。

就業規則に含めるべき懲戒解雇の理由として、以下の例が代表的です。

・正当な理由がないにもかかわらず無断で欠勤した
・業務上の書類などを許可なく改変した
・虚偽の申告や届出により事業所の運営を妨げた

整理解雇の根拠となる就業規則の例

どのような場合に整理解雇を行う可能性があるかについても、就業規則に解雇理由として明示しておきます。代表例は以下の項目です。

・倒産や買収などやむを得ない理由で事業所を閉鎖する場合

不当解雇の例


解雇の正当性が厳しく問われる背景には、不当解雇によって労働者が大きな不利益を被るという事実があるためです。また、不当解雇は、会社に社会的信頼の失墜などの損害を与えることもあります。給与の支払いを求められたり、慰謝料が発生したりする場合は、会社としての対応に問題があったということになるでしょう。

不当解雇を防ぐためにも、企業には高い倫理感と法令に対する理解が求められます。ここからは、不当解雇となる可能性のある事例についてみていきましょう。

普通解雇における不当解雇の例

解雇に合理的な理由がなく、社会通念に照らし合わせて相当ではない場合、その解雇は無効です。例えば、裁判によって普通解雇が会社による解雇権の濫用とみなされた場合、その解雇は不当解雇です。

不当解雇にあたるケース例として、「会社が従業員に十分な指導をしていないにもかかわらず、能力不足と評価して解雇した場合」が挙げられます。

能力不足は従業員の落ち度であり、代表的な解雇理由のひとつです。しかし、会社は従業員の能力向上に努めなければなりません。対応として客観的な証拠がなければ、不当解雇とみなされる可能性があることに注意しておきましょう。

懲戒解雇における不当解雇の例

懲戒解雇にも、労働契約法第16条の解雇権濫用法理が適用されます。懲戒解雇は従業員に対するペナルティであることから、その正当性も厳しく判断されるのが特徴です。

不当な懲戒解雇にあたるケースとしては、「勤務態度不良により解雇したが、その程度が懲戒処分にあたらない場合」が挙げられます。

正当な解雇理由でも、解雇の妥当性や悪質性の程度、従業員に悪意や故意があったかどうかなど、さまざまな事情が考慮されなければなりません。例えば、勤務態度が不良だったのが1日限りの場合、行為の悪質性が懲戒処分の対象とはならない程度と判断される可能性があるでしょう。

整理解雇における不当解雇の例

整理解雇には「整理解雇の4要素」と呼ばれる以下の4つの条件があり、全て満たす必要がある点は知っておきましょう。

  1. 人員整理が経営上の十分な必要性に基づいていると認められる状況であること(経営不振や不況など)
  2. 配置転換や希望退職者の募集など、解雇を避ける努力をしたこと
  3. 整理解雇の対象者を選ぶ基準に客観性および合理性があり、運用が公正であること
  4. 労働組合や労働者に対し、解雇の必要性、時期、規模および方法について、十分な説明を行ったこと


不当な整理解雇にあたるケース例として、「新規採用を停止せずに従業員を解雇した場合」が挙げられます。4大要素のうち2つが含まれていると判断されることから、不当解雇となる可能性があるでしょう。

例えば、新規採用と解雇を同時に行っている場合、整理解雇と相反する行為を継続していることになるため、不当解雇となる可能性があります。

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解雇理由の通知義務と通知の方法

解雇における従業員への解雇理由の通知は、会社の義務です。ここからは、解雇理由の通知義務と通知の方法について解説します。

解雇理由の通知義務とは

解雇理由の通知義務は、労働基準法第20条に定められており、会社が従業員を解雇する際、少なくとも30日前に解雇の予告をしなければならないというものです。解雇に合理的な理由があったとしても通知義務がある点は知っておきましょう。

また、解雇予告を行わない場合や解雇予告から解雇までの日数が30日に満たない場合には、会社は解雇予告手当を支払わなければなりません。

従業員に対する解雇理由の通知方法

解雇理由を従業員に書面で通知するときは、解雇予告通知書を作成します。解雇予告通知書とは、会社が労働者との労働契約を解除することを事前に通知するための書類です。

解雇予告通知書の作成は、法令で義務づけられておらず、解雇理由の通知を口頭で行うことも認められているのが現状です。ただし、就業規則に作成する旨が記述されている場合は作成することを推奨します。

 解雇予告に関して、より詳しく知りたい方ははこちらの記事を参照してみましょう。
「解雇予告」については、こちらの記事をご確認ください。
「解雇予告手当」については、こちらの記事をご確認ください。

解雇理由証明書の交付と作成時の注意点



従業員から解雇理由証明書を求められた場合には、速やかに交付しなければなりません。ここでは、解雇理由証明書に関する基礎的な知識と、作成時の注意点についてみていきましょう。

また、解雇予告通知書は交付の義務がないのに対し、解雇理由証明書は請求があれば必ず交付しなければならないと法令に定められています。

解雇理由証明書とは

解雇理由証明書とは、会社が従業員を解雇した理由について記した書類です。解雇理由を明らかにし、労働者が解雇を受け入れるか、正当性を裁判で争うかどうかを判断する材料の1つとなります。

解雇理由証明書は従業員から請求がなければ、事前に発行する必要はありません。しかし、従業員から解雇理由証明書を求められているにもかかわらず発行しなかった場合には、30万円以下の罰金が科されます。

解雇理由証明書の請求を行う権利は、正社員だけでなく、アルバイトやパートなど非正規雇用の職員から解雇理由証明書の交付を求められた場合も同様に、その請求に応じなければなりません。
   

解雇理由証明書の記載内容

解雇理由証明書には、決められた書式はありません。一般的には、解雇の対象となる従業員の名前、解雇を通知した日付、会社の代表者等の署名押印や解雇理由などが記載されます。

解雇理由証明書を記載するうえで最も重要となるのは、解雇理由です。不当解雇とみなされないためには、解雇理由の合理性を明らかにしなければなりません。就業規則がある場合は、就業規則の条項および内容と、解雇理由となる行為が解雇理由証明書に記載されます。

就業規則がない場合は、解雇理由証明書の書面に解雇理由を列挙し、そのなかで該当する理由を示します。そのうえで、具体的な行為と理由を補足しましょう。

解雇理由証明書作成時の注意点

解雇理由証明書には、労働者の請求しない事項については記載してはならないと定められています。また、解雇理由証明書は、労働者が再就職先に提出する目的で請求することもあるため、労働者の不利益になる情報は書くべきではないと考えられているためです。

解雇理由証明書の請求を受けた際には、解雇の正当性を明示すると共に従業員の立場を理解し、法令を順守して作成しましょう。

まとめ

正当性のある解雇は、合理的で社会通念上認められる解雇理由が必要です。解雇理由が不適切である場合、不当解雇となり、労働者だけでなく会社にも不利益が生じるケースも多いといえるでしょう。そのため、正当性のある解雇の条件を十分に理解し、解雇を避けられない場合には正しい手続きを踏むことが必要です。

解雇は双方にとって望ましいものではありません。会社としては解雇に至る前に、従業員に適切な指導を行うために人材マネジメントに力を注ぐといった対策が必要です。

人材データの管理を行いながら、解雇を巡るトラブルの起こらない職場づくりを目指す場合、タレントパレットの人材データ分析機能の活用を検討してみましょう。人材データを一括で管理できるだけでなく、マネジメント能力も含めてスキルの確認が可能です。

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