解雇予告とは?進め方について、解雇予告手当がいるケースや注意点を含め解説


解雇予告とは?進め方について、解雇予告手当がいるケースや注意点を含め解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

会社はやむを得ず従業員を解雇することがあります。しかし、解雇によって従業員の生活に与える影響は大きく、生活の基盤をゆるがすものになる可能性もあるでしょう。

そのため、労働基準法などによって解雇にあたってのルールが定められています。場合によっては、解雇を予告する必要もあるものの、どのような手続きを行っていいのか判断がつかないケースも少なくありません。


本記事では、解雇にあたって必要な手順のひとつである、解雇予告についてみていきましょう。解雇をめぐる労使トラブルを起こさないためにも知っておくことが大切です。

解雇予告とは?





解雇予告とは、労働基準法で定められた解雇にあたって必要な手続きのひとつです。ここでは、解雇予告とはどのような制度なのかみていきましょう。

労働基準法で定められた会社の義務

解雇にあたっての手順は、次のような規定があります。

・会社が従業員を解雇する場合には、30日以上前に解雇予告を行う
・30日以上前に解雇予告ができない場合は、30日に満たない日数分の解雇予告手当を支払うことで代替する

ここでいう「30日以上前」とは、解雇予告を行う日を含めずに計算します。また、やむを得ず30日以上前に解雇予告ができない場合は、30日に満たない日数分の解雇予告手当を支払うことで代替することも可能です。

解雇予告をせず、解雇予告手当も支払わない場合は労働基準法に違反し、会社側には6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課される可能性があります。

解雇予告に関する規定は、労働者の経済保障を目的とするものです。つまり、解雇後に次の会社に就職するための準備期間を与える意味を持ち、それが用意できないときには、金銭による一定期間の生活の保障しなければなりません。

解雇予告の実施手順




解雇予告の概要にふれたうえで、実際に解雇予告を実施する場合の手順と注意点の概要についてみていきましょう。

解雇事由そのものは個別性が高く、必要に応じて弁護士などの専門家に相談をしながら慎重に進めていくことを推奨します。

解雇予告通知書を作成する

解雇予告を書面で通知するための「解雇予告通知書」を作成します。解雇予告は口頭でも書面でも構いません。しかし、労使トラブルを未然に防ぐ観点から、書面で通知を行うことが望ましいでしょう。

解雇予告通知書には、以下のような事項を記載します。

・作成日付
・解雇対象となる従業員の氏名
・解雇予定日
・解雇事由
・会社の代表者氏名、社印

解雇通知書は、事前に社内の関係者間で内容を共有しておき、実際に交付する際は、複数の関係者の立ち会いのうえで交付するとよいでしょう。

解雇理由証明書を作成する

解雇予告をするにいたった理由を記載した書面を「解雇理由証明書」といいます。この書面は、必ずしも解雇予告通知書と一緒に手交する必要はありません。ただし、従業員からの求めがあれば速やかに作成し、手交しなくてはならないと定められています。

解雇理由証明書は、解雇事由をめぐって裁判などのトラブルになった場合に、会社が示した解雇事由の証明として役立つため、作成しておきましょう。

解雇予告をしない場合は解雇予告手当を支払う

解雇予告をしない場合は、解雇予告手当の支払いで代替することもできます。解雇予告手当の算出方法は、「対象となる従業員の1日あたりの平均賃金×解雇予告の期間が30日に満たない場合の不足日数」です。

手続き上は30日分の解雇予告手当を支払うことで即日解雇も可能になります。解雇予告手当の考え方や具体的な支給額の計算方法については、以下にて詳しく解説をしているため、あわせてご確認ください。
「解雇予告手当アルバイト」については、こちらの記事をご確認ください。
「解雇予告手当」については、こちらの記事をご確認ください。

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解雇予告の規定の適用除外


解雇予告の規定は、会社で働くすべての人に適用されるわけではなく、対象外となる場合もあります。ここでは、解雇予告の規定の適用除外となる例についてみていきましょう。

適用除外者

解雇予告は労働基準法20条によって定められおり、21条においては
以下のような場合は適用除外者として定められています。

・日々雇い入れられる者
・契約期間が2カ月以内の者
・4カ月以内の季節的業務に使用される者
・試用期間中の者

「解雇予告適用除外」については、こちらの記事をご確認ください。

例外的に解雇予告手当を支払わなくてもよい場合

労働基準法第20条のただし書きにおいて、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」や「労働者の責に帰すべき事由によって解雇する場合」については、解雇予告の適用外です。

ただし、ここでいう例外事由に該当するかどうかの判断は、会社がするのではなく、労働基準監督署長の認定が必要である点には注意しましょう。

解雇予告をしても不正解雇とされるケース




解雇予告は解雇をするにあたって必要な手順ですが、手順を踏めば必ず解雇できるわけではありません。解雇事由によっては不当解雇とされる可能性もあります。ここでは、不正な解雇とされる代表例をみていきましょう。

関連記事:正当な解雇理由とは?従業員を不当解雇しないために、会社が注意すべきこと

法令上解雇が制限されている場合

労働基準法などで、事由を問わず解雇をしてはならないと定められているケースがあります。

例えば、業務上の災害による労災で休業をしている期間にある者や法令で取得が義務付けられている産前産後休業中の者です。復職から30日が経過するまでの期間は解雇をしてはならないとされています。

このようなケースにおいては、業務が遂行できないのは本人に過失のある事由によるものではありません。かつ、解雇されても次の勤務先を探せる状態にないため、より従業員の生活に与える影響が大きいとして、解雇が制限されているといえるでしょう。。

解雇権濫用とされる場合

解雇は、客観的に合理的な理由がなければ、権利を濫用したものとして、無効とすることが法律で定められています。

この規定は、雇用主である会社は従業員に対して強い立場にあることから、雇用主が解雇権を濫用して、従業員の立場を不安定にすることを防ぐために定められた規定です。第三者が客観的事実に基づいて判断した結果、解雇が妥当とされるかについて、個別事情を勘案し総合的に判断します。

解雇理由についてより詳しく知りたい方はこちらの記事を参照しましょう。
「解雇理由」については、こちらの記事をご確認ください。

まとめ

本記事では、解雇をする際に欠かせない手続きである解雇予告についての基礎知識をまとめました。解雇は法律や手順に合わせなければ、大きな労使トラブルに発展しかねません。

そのため、対象者本人との対話や専門家への相談をしながら、慎重に進める必要があります。特に本人の能力不足を理由として解雇を行う場合は、具体的な要求水準などを話し合いながら記録を残しておきましょう。

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