休職とは?休職制度の整備や就業規則への記載、休職中の従業員への対応を解説


休職とは?休職制度の整備や就業規則への記載、休職中の従業員への対応を解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

厚生労働省の令和3年労働安全衛生調査(実態調査)によると、「過去1年間にメンタルヘルス不調により1カ月以上休んだ職員がいる」と回答した企業の割合は8.8%でした。令和2年の同調査では7.8%でしたので、1年で1%上昇していることになります。

昨今はメンタルヘルスの不調など、さまざまな要因で従業員が休職するケースが多いようです。本記事では、従業員から休職の申し出があった場合の対応や休職制度の整備、就業規則の記載について解説します。

休職とは

休職とは、病気やケガなどの理由で働けない従業員に対し、企業側が業務遂行の義務を免除または禁止することです。

従業員に労働の意思がありながらも働けない状態であるため、雇用契約は維持したままとなります。

休職制度の概要

休職制度は、病気やケガなど従業員の自己都合によって業務の遂行が不可能な場合に、職務を免除する制度です。

労働基準法や労働各法において、休職に関する正式な規定はありません。法令では義務付けられていないため、企業が任意で設定します。

病気やケガで勤務できない期間は労務提供義務を果たせないため、解雇される可能性もゼロではありません。そこで、猶予期間を与えて治療に専念させるために、休職制度が設けられているのです。

欠勤・休業・休暇との違い

休職と似ている言葉に、欠勤・休業・休暇があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。

欠勤 労働の義務がありながら働いていない状態であるため、従業員の責務不履行となる。

従業員が欠勤した場合は、給与を支払わなくてよい。

休業 【会社都合の場合】

部品が入荷せず業務を行えない場合などが、会社都合に該当する。休業手当の支払い義務が発生し、平均賃金の60%以上を支払う必要がある。

【従業員都合の場合】

育児休業や介護休業などが該当する。法律に基づいた休みである。

休暇 労働の義務がある所定労働日に、働かずに休むこと。年次有給休暇のように、労働者が希望した日時に労務義務を免除する。

会社が必ず付与する「法定休暇」と、就業規則などで任意に定める「法定外休暇」の2種類がある。

休職理由と内容

休職は、内容や目的によっていくつかの種類に分けられます。多くの企業で設定されている休職の種類は、以下のとおりです。

傷病休職

傷病休職は業務外の傷病を理由とする一定期間の休職で、私傷病休職とも呼ばれます。

傷病休職制度を利用するには、医師による診断書が必要です。

自己都合休職

自己都合休職には、社会貢献活動に参加するための休みも含まれます。例えば、災害復興支援や社会福祉施設でのボランティアなどです。

企業によっては、社会貢献活動で休職する従業員に給与などの手当を支給する場合もあります。

留学休職

留学休職は海外留学の休みです。会社からの指示ではなく、従業員自身の希望で留学することが条件となります。

主に語学や専門知識の習得、資格取得などキャリア形成を目的とした留学で、留学後は職場に復帰することが前提です。

公職就任休職

公職就任休職は、従業員が公職に就任する期間の休職です。

地方議員や国会議員などの公職に就くために、業務との両立が難しくなった場合に利用します。

事故欠勤休職

事故欠勤休職は、傷病以外の私的な理由による休みです。

無断欠勤には該当せず、他のどの理由にも当てはまらない「自己都合での欠勤」を指します。

起訴休職

刑事事件で起訴された従業員を休職させることを、起訴休職と呼びます。起訴された場合に必ず休職させるのではなく、出勤が不適当だと認められた場合の措置です。

企業の社会的信用や社内の秩序を保持するために、該当者に休職を命じます。

組合専従休職

従業員が、労働組合の役員に専従する期間のことです。組合専従員に対し、企業が給与を払うことは労働組合法で禁止されています。

実際に給与を支払わなければ不当労働行為となりますが、それを避けるための仕組みが組合専従休職です。

組合専従員である期間は、組合費から給与が支払われます。

出向休職

出向休職とは、他社に出向している従業員に対する措置です。元の会社との雇用関係を維持したまま、関連会社に出向する際に使われます。

出向期間中は、元の会社では休職として扱われます。

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休職申請と手続きの流れ



従業員から休職の申し出があった場合は、適正に手続きを進めないとトラブルになりかねません。

具体例として、傷病休暇を取得する際の手続きについて解説します。

医療機関を受診

休職の要否を医師に診断してもらうため、該当する従業員に医療機関で受診させます。

休職が適当と判断された場合は、医師に診断書を発行してもらいます。休職する期間についても、医師の診断をもとに決定します。

診断書と休職願(休職届)の受理

医師に発行してもらった診断書を受け取ったら、状況確認を行います。医師の意見書を参考にして、客観的に判断しましょう。

休職が決定したら休職願や休職届など、会社規定の書類に記入してもらいます。

休職申請の手続き

休職届を提出してもらったら、就業規則に沿って申請手続きを行います。休職制度は労働基準法で正式に定められていないため、企業ごとに就業規則への明記が必要です。

休職手続きについては、できるだけ書面でやり取りを行い、客観的な証拠を残しておきましょう。

また、休職中の従業員が傷病手当金を受給できるように、書類対応も進めます。

休職届の記載方法などについて詳しく知りたい場合は、こちらの記事をご覧ください。
「休職届」については、こちらの記事をご確認ください。

休職期間中の従業員への対応

休職中の従業員への対応は、以下のとおりです。特に重要な給与や税金、社会保険料について解説します。

給与

ノーワークノーペイの原則により、休職中は原則として給与を支払う必要はありません。休職期間中に賃金を支払うか否かは、企業が自由に決められます。

ただしトラブルの原因とならないように、就業規則にしっかり記載しておきましょう。

社会保険料や住民税

休職中の従業員は、会社を休んでいる期間も被保険者であるため、企業が社会保険料を支払う必要があります。

無給の期間は給与から社会保険料を差し引くことができなくなるため、「休職中の社会保険料は毎月○日までに指定の口座に振り込む」と就業規則に明記しましょう。

給与から住民税を特別徴収している場合も同様です。住民税は前年の所得に対してかかるため、休職中も支払う必要があります。そのため、本人が支払い手続きを行わなくてはなりません。

傷病手当金

傷病手当金は、休職中の従業員が受けられる手当です。傷病手当申請書は企業が用意しますが、従業員本人が準備しても差し支えありません。

休職者と主治医に該当箇所を記入してもらった後、企業側が事業主記入欄に記入し、保険組合に提出します。

傷病手当金の受給要件については、次項で解説します。

休職手当について詳しく知りたい場合は、こちらの記事をご覧ください。
「休職手当」については、こちらの記事をご確認ください。

傷病手当金(休職手当)を受給するには



傷病手当金制度は、病気やケガで休職している従業員とその家族の生活を保障するための制度で、休職手当とも呼ばれます。

傷病手当金を受給するためには、以下の4つの条件を満たさなくてはなりません。

業務外の事由による病気やケガの療養

傷病手当金を受給できるのは、業務外の事由による病気やケガで療養している場合に限られます。

業務上や通勤災害による病気やケガは労災保険の支給対象になるため、傷病手当金は支給されません。

仕事に就くことが困難

傷病手当金を受給するには、「仕事に就くことが不可能である」ことが必要です。

療養担当者である医師に、病気やケガの状態を判断してもらいましょう。復帰した場合の 業務内容も考慮した上で、就労できるかどうかを判定してもらいます。

3日連続の休みを含み4日以上出勤できない

業務外の病気やケガによって仕事を休んだ日から、連続で3日が過ぎると待期期間が完成します。

その後、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して、傷病手当金が支給される仕組みです。

「待期3日間」についての考え方は、以下の図のようになります。


引用:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会

休職中に会社からの給与支払いがない

傷病手当金は休職中の生活保障制度であるため、給与が支払われる場合は受給できません。

ただし給与の支払いがあった場合でも、傷病手当金の額より少なかった場合は差額が支給されます。

休職傷病手当の詳しい手続き内容や、申請の流れについてはこちらの記事をご覧ください。
「休職傷病手当」については、こちらの記事をご確認ください。

休職制度を就業規則に明記する

休職制度は法律には定められていないため、企業が任意に定めることになります。

社内のルールが整備されていない場合は、従業員との間でトラブルが起こるおそれがあります。就業規則に、休職制度のルールを明記しておきましょう。

社内で新たに休職制度を定める場合は、以下の点を就業規則に盛り込んでください。

休職事由

どのような場合に休職に入るかを定めます。簡単に休職できるような仕組みでは悪用され、業務に支障をきたすおそれがあるためです。

正当な理由がある場合のみ休職できるように、制度を整えましょう。「労務提供が困難であると会社が認めた場合」と就業規則に明記しておくと、制度を悪用されるリスクを軽減できます。

休職期間

休職期間は企業の任意で設定できます。あらかじめ決めておきましょう。

中小企業の場合は、1カ月~1年の期間で設定するケースが多いです。従業員の勤続年数によって、休職期間が異なるケースもあります。

休職期間を定める場合は、いつが「休職初日」であるのかをはっきりさせましょう。具体的に、欠勤何日目から休職期間が始まるのかを定める必要があります。

休職開始手続き

どのような場合に休職開始となるのかを決めておくことも大切です。

例えば「業務外での病気やケガによる欠勤が連続○日以上になったら、休職扱いとする」と決めておくことで、スムーズに休職を開始できます。

休職期間中の責務

休職期間中でも労働契約は継続しているため、責務を定める必要があります。傷病休職の場合であれば会社が指定する医師の診察を義務付け、復職の際も医師の許可を得るなどの約束が必要です。

また、休職中は定期的に現況を報告してもらいましょう。現況報告は、できる限り休職者の負担にならないように行います。

電話ではなくメールで連絡を取り合う、といった配慮も必要です。連絡窓口を一本化し、上司や同僚ではなく労務担当者が行うと心理的な負担が減るでしょう。

休職期間満了時の対応

休職した従業員の回復が順調ではなく、復帰が難しい場合についても規定しておくとよいでしょう。

期間が残っている状態で、さらに休職が必要であれば延長対応を行います。

また「期間満了時に休職事由が消滅していない場合は、自然退職となる」など、就業規則に条件を明記しておきましょう。

休職延長制度についてさらに詳しく知りたい場合は、休職延長の関連記事をご覧ください。
「休職延長」については、こちらの記事をご確認ください。

傷病休職から復職する従業員のフォローアップ

ここでは、休職後に復職する従業員のフォローアップについて解説します。傷病休職した場合は円滑に復職できるように、職場復帰プログラムの策定が必要です。

休職中から職場復帰までの流れを、5ステップで明確にしておきましょう。

1.傷病休職中のケア

傷病休職中は、従業員が安心して療養に専念できるようにケアします。この時期は、傷病手当金などによる経済的な補償を行ってください。

不安や悩みを相談できる場所についての情報提供も、効果的です。

傷病休職の期間中は総務部などの労務担当者が定期的に連絡を取り、心理的なケアに努めましょう。

2.職場復帰可能の診断書を受理

傷病休職中の従業員から職場復帰が可能であるとの報告を受けたら、復帰検討のステップに進みます。

主治医が記入した診断書をもとに、職場での業務遂行が可能かどうかを判断してください。

ただし、主治医はその従業員が業務を遂行できるレベルまで回復しているかどうかを判断しにくいかもしれません。そのため、企業に産業医がいる場合は判断を仰ぎましょう。

3.復職支援プランの作成

最終的な復帰決定の前に、復職支援プランを作成します。傷病休職した従業員が、安全かつスムーズに復職できるようにするためです。

業務サポートの内容や方法について配慮し、事業場内の保健スタッフを中心にプラン作りを進めます。必要であれば、部署の異動など配置転換も検討しましょう。

4.最終的な復帰決定

傷病休職中の従業員に状態をヒアリングし、再発の有無がないかどうかを確認します。

復帰が決定したら、職場の受け入れ態勢を整えましょう。試し出勤制度を実施して不安を和らげ、本格的な職場復帰の準備を行います。

5.職場復帰後の配慮

復職の際は、慣れた職場への復帰が原則となります。ただし、傷病の種類によっては配置転換の必要があるかもしれません。

復帰直後は短時間勤務や軽作業に従事させ、様子を見ます。窓口勤務や苦情処理業務などは負担が大きいため、避けたほうがよいでしょう。

従業員が退職を希望する場合

休職中または復職後の従業員が退職を希望した場合は、退職手続きに進みます。

従業員に退職の意思がなくても、休職期間満了時点で復職の見通しが立たない場合は解雇という判断が必要です。ただし退職勧奨を行うことは難しいため、就業規則に条件を規定しておくとよいでしょう。

解雇を行う場合は労働基準法により30日前の告知、または30日分の予告手当の支払いが必要です。

休職と解雇の関係についてさらに詳しく知りたい場合は、こちらの記事をご覧ください。
「休職解雇」については、こちらの記事をご確認ください。

まとめ

本記事では、休職した従業員の対応や休職制度について解説しました。従業員が休職する際には適切に対応し、復職時にもフォローが必要です。

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