ストレスチェックへの対応│詳細手順や結果の活用方法・費用や助成金も解説


ストレスチェックへの対応│詳細手順や結果の活用方法・費用や助成金も解説

事業所の規模に応じて、法律でストレスチェックが義務付けられています。この記事では、人事担当者に向け、ストレスチェック制度の概要や、ストレスチェックの具体的な手順などを解説します。ストレスチェックを実施する際の注意点や助成金についても紹介するため、労働環境の向上にお役立てください。
※本記事は2022年8月に公開したものです。法制度や補助金の詳細については必ずご確認ください。

労働安全衛生法改正によるストレスチェックの義務化

職場でメンタルを病む人が増えたことから、2015年12月より、各事業所にストレスチェックの実施が義務付けられました。ストレスチェック制度が登場した背景や、制度の目的・概要を解説します。

 

ストレスチェック制度が義務付けられた背景

ストレスチェック制度が義務化された背景には、メンタルを病む労働者の増加があります。厚生労働省は、過労死等の労災補償状況を報告しています。精神障害を理由とした労災補償の件数は、2010年には1,181件、2014年には1,456件でした。

ストレスチェック制度を実施すると、大きなストレスを抱える社員にいち早く気がつけます。深刻な状態になる前に、社員をフォロー・サポートしましょう。

 

 ※参考:平成26年度「過労死等の労災補償状況」を公表~精神障害の労災請求件数1,456件、支給決定件数497件、ともに過去最多~(別添資料1)│厚生労働省

 

ストレスチェックの目的と概要

ストレスチェックの目的は、社員のメンタルの把握・社員自身によるセルフケアの実行・職場環境の改善などです。

 

社員はストレスの度合いを測るために、質問票や面談によりストレスの強度が判断され、結果が各社員に伝えられます。社員の希望があれば、各事業所は医師による面接指導を実施しなければなりません。また、ストレスチェックの結果と医師の見解を参考に、事業所は措置を講じます。


健康診断との区別

社員には、ストレスチェックを受ける義務はありません。また、事業所が個々のストレスチェックの結果を把握するためには、本人の同意が必要です。

一方、社員には健康診断を受診する義務があります。健康診断の結果はすべて事業所に報告されます。

関連記事:ストレスチェック制度の義務化とは?内容・導入準備・実施手順をまとめて解説

ストレスチェックの詳細

ストレスチェック制度の詳細について、厚生労働省の導入マニュアルにもとづき解説します。

※参考:ストレスチェック制度 簡単!導入マニュアル│厚生労働省

 

【対象となる事業所】 社員が50名以上の事業所

社員が50名以上であれば、事業所はストレスチェックを行う義務があります。社員が50名未満の事業所の場合は、ストレスチェックは努力義務です。

 

正規雇用・パート・アルバイトなどの雇用形態によらず、事業所で働いていれば社員としてカウントされます。ただし、契約期間が1年未満の社員や、労働時間が所定労働時間の4分の3に満たない社員はストレスチェックの対象外です。

 

【チェックの頻度】毎年1回

ストレスチェック制度は毎年1回以上、実施する必要があります。1回は最低限の基準であり、ストレスチェックを年に複数回実施する企業も見られます。

 

ストレスチェックの時期は、自由に決めて構いません。閑散期と繁忙期ではストレスの程度が変わる可能性がある点を考慮して、実施時期を決めることが大切です。結果を分析する際も、時期の影響を考慮しましょう。

 

【実施者】医師など

ストレスチェックの実施にあたり、実施者と実施事務従事者、面接指導の担当医を決めましょう。ストレスチェックの実施者は医師に相当する資格のある人を指します。以下の人には、ストレスチェックの実施者を任せられます。

 

・医師

・事業場担当の産業医

・保健師

・厚生労働大臣の定める研修を受けた看護師・精神保健福祉士

 

【実施事務従事者】 衛生管理者やシステム部門の事務職員等

ストレスチェックの実施者は、質問票への回答内容を評価します。一方、実施事務従事者は、データ入力・質問票の回収・結果送付などの補助業務のみに従事します。

実施事務従事者には、人事権がある人はなれません。ストレスチェックの結果が社員の処遇に影響するおそれがあるためです。なお、実施事務従事者については、外部業者への委託も可能です。


ストレスチェック機能搭載のシステムが便利

ストレスチェックや、ヘルスチェックの機能が搭載されているシステムも検討しましょう。人材データの管理・分析を行う「タレントパレット」は、ストレスチェック機能を搭載しています。

ストレスチェック機能は、国が推奨する57個の質問票と、新職業性ストレス簡易調査票に対応しています。事業所に適した質問票を選択し、ストレスチェックを実施しましょう。

 

【調査方法】質問票の配布と回収

質問票を自社で作成する場合は、「ストレスチェック制度簡単!導入マニュアル」に記載された国が推奨する57項目の質問票が参考になります。

 

仕事の負担・本人の自覚症状・周囲からのサポート状況がわかるよう、網羅的に質問票を作成してください。たとえば、仕事の負担を問う質問には、労働時間や仕事量、人間関係などが挙げられます。

 

ストレスチェックの実態

厚生労働省の平成29年の報告によると、ストレスチェックが義務づけられている事業所のうち、チェックを実施した事業所の割合は82.9%でした。また、ストレスチェックを実施した事業所の78.3%は、集団分析まで取り組んでいました。

メンタルヘルスが社会問題となるなかで、多くの企業が前向きにストレスチェックを進めていると考えられます。なお、集団分析については、のちほど詳しく解説します。

※参考:ストレスチェック制度の実施状況を施行後はじめて公表します~ ストレスチェックを活用して働きやすい職場づくりを ~│厚生労働省



ストレスチェック制度の実施手順

ストレスチェック制度を遵守するためには、社内ルールの整備から取り組まねばなりません。ストレスチェック制度は、以下の手順を踏んで実施します。

  1.  社内ルールの策定
  2.  質問票の配布と回答
  3.  高ストレス者の選別
  4.  面談
  5.  分析・職場環境改善
  6.  労働基準監督署への報告

以下では、ストレスチェックの詳細な手順について解説します。

関連記事:ストレスチェック制度とは?実施手順も分かりやすく解説 関連記事:ストレスマネジメントの導入方法とは?その効果や実施手順について解説

ストレスチェックの具体的な方法

ストレスチェックの具体的な方法を紹介します。労働安全衛生法に触れないように、ストレスチェックを実施しましょう。

社内ルールの策定方法

ストレスチェックの前に、ストレスチェックに関する会社内のルールを決めておきましょう。決めるべき内容の一例を以下に示しました。

  • 全体担当者、実施者、実施事務従事者の選任
  • 実施時期
  • 面談担当医の選任
  • 質問内容
  • 質問票の分析、保管方法

ルールを決めたあとは衛生委員会で承認を受け、社員に通達します。

高ストレス者の抽出

高ストレス者とは、職場で強いストレスにさらされており、本人にもストレスの自覚がある人を指します。また、高ストレス者の多くは、周囲からのサポートが十分に得られていません。

高ストレス者が深刻な状況に陥る前に、すぐに対処しましょう。高ストレス者は、ストレスチェックの結果から抽出します。結果を踏まえて面談を行ったのちに、高ストレス者を抽出するケースもあります。


分析・職場環境改善

集団分析は努力義務です。しかし、ストレスチェックを活用するためには、集団分析が有効です。集団分析では、高ストレス者が多い部署やグループについて、労働環境や残業時間などを他部署と比較します。ストレスの原因がわかると、職場環境改善のための対策を立案できます。対策により職場環境が改善したときは、社内で結果を共有して労働環境を向上させましょう。

部門やグループの人数が少ない場合は、高ストレス者が特定される可能性があります。ある程度人数の多い集団ごとに、集団分析を実施しましょう。


関連記事:【企業向け】ストレスコーピングとは?種類や実践方法を解説

労働基準監督署への報告

ストレスチェック指導と面接指導の結果は、毎年労働基準監督署に報告しなければなりません。報告を怠った事業所には、労働安全衛生法にもとづき50万円以下の罰金が科されます。そもそも、ストレスチェックが未実施であると、安全配慮義務違反を追求される場合があります。

※参考:労働安全衛生法 第十二章 罰則(第百十五条の三-第百二十三条)│安全衛生情報センター

 

ストレスチェックの注意点

ストレスチェックを通じて、社員が不利益を受けないよう配慮する必要があります。ストレスチェックの注意点を紹介します。

 

個人情報の取り扱いに気をつける

ストレスチェックの結果や面接指導の結果は、要配慮個人情報に相当します。質問票の配布・回収は実施者や実施事務従事者が行い、ほかの人に情報が漏れないよう注意してください。 

ストレスチェックの結果は、他人を介在させないよう実施者から直接報告します。また、労働者の同意なしでは、実施者は検査結果を事業者に提供できません。


本人からの情報開示請求に対応する

面接指導の結果は、社員本人から開示請求があれば、事業者は原則として開示する必要があります。ただし、開示する範囲は個別に決めて構いません。本人に情報を開示した結果、面接指導をした医師と本人、事業者の関係が悪化するおそれがあるためです。また、情報開示により、本人のメンタルに悪影響を及ぼす懸念もあります。

 

ストレスチェックを受けない社員への差別をしない

事業者にとって、ストレスチェックの実施は義務です。一方、社員にはストレスチェックを受けるか選択する権利があります。事業者は、ストレスチェックを受けない社員に対し、不当な配置転換・退職勧告などをしてはいけません。

 

ストレスチェックを受けない社員は、チェックに対して不安がある場合があります。社員にストレスチェックの目的を伝え、前向きにチェックを受けてもらいましょう。

ストレスチェックに関する費用

ストレスチェックには、さまざまな費用が発生します。助成金も検討し、企業内で制度を整備しましょう。


ストレスチェック制度にかかる費用

ストレスチェックには、複数の工程が必要です。社内ルールの策定と決議・質問票の作成・ストレスチェックの実施・面接指導・集団分析などで人件費がかさみます。面接指導には、特に費用がかかりがちです。

 

高ストレス者への措置にもお金がかかります。自己管理に役立つ研修や、相談窓口の設置・運用などにかかる費用を計画的に工面しましょう。


ストレスチェック精度をサポートする助成金

労働者健康安全機構は、助成金を受けられる事業所の要件を3つ定めています。

 

・労働者を雇用している法人・個人事業主であること

・労働保険の適用事業場であること

・常時使用する従業員が派遣労働者を含めて50人未満であること

 

助成対象は、ストレスチェックの実施費用と、ストレスチェック実施者の活動費用です。実施費用については、社員一人につき500円(税込)が助成されます。活動費用については、1つの事業所で1回の活動ごとに21,500円(税込)が助成されます。なお、活動費用の助成は、最大で3回までです。

 

※引用:令和 3 年度版「ストレスチェック」実施促進のための助成金の手引│労働者健康安全機構


まとめ

社員が50名以上の事業所には、ストレスチェックの実施義務があります。社員をメンタル疾患から守るために、ストレスチェックを実施しましょう。

 

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