<分析調査>ミドル以上世代の働きがいを創出するポイントとは?40代以上の正社員にアンケート


<分析調査>ミドル以上世代の働きがいを創出するポイントとは?40代以上の正社員にアンケート

タレントマネジメントシステム「タレントパレット」を提供する株式会社プラスアルファ・コンサルティングは、「ミドル以上の世代の働きがいとモチベーション実態調査」として、40代以上の正社員を対象にアンケート調査を行いました。
本記事では、人事・経営部門の目線からアンケートの調査内容を分析するとともに、ミドル以上世代の活躍を促進する人事施策やタレントマネジメントについて考察します。

<調査概要>
調査対象  : 40代以上の正社員
サンプル数 : 1,052件
調査実施日 : 2021年3月

働きがいの源は自身の得意分野を活かせる業務や高い期待

今回行った調査では、40代以上のミドル世代で仕事にやりがいを感じている割合は43.6%でした。では、その社員は自身の業務のどこにやりがいを見出しているのでしょうか。

以下の図は「今の仕事に働きがいを感じていますか?」という設問への回答ごとに、文章を解析する技術「テキストマイニング」によって文章の特徴を抽出したものです。
「とてもそう思う」、「どちらかと言えばそう思う」と答えた層は共通して「楽しい」、「社会」、「やりがい」などの単語を使用していることがわかります。
なかでも「やりがい」について言及している回答では、「資格が必要な業務で自分1人だけが担当していて、責任は重いがやりがいがある」「業務自体は非常に重責の重たい部分を担わせてもらっており、やりがいがあります」など、自身が責任を持って業務にあたれている様子が伺えます。

こうしたことから、ミドル以上世代は自身の能力が評価され、期待されることで仕事へのやりがいを感じているといえるでしょう。

今の仕事に不満を抱く原因から社員のモチベーションを上げる施策を考察

では反対に、働きがいを感じない社員の意見を深掘りしてみます。
「今の仕事に働きがいを感じていますか?」という設問に対し、「どちらかと言えばそう思わない」「そう思わない」と答えた人に共通しているのは「給与」という単語です。

しかし文章の内容を見てみると、言及されているのは単に「給与を上げて欲しい」という要望だけではありません。

「どれだけ仕事しても給与も上がらなければ評価制度もない」「評価が給与に反映されない」など、給与に関する不満の裏には評価制度が適切でないという問題意識が密接に関わっています。こうした”何をやっても会社から認められない”という諦めが無気力感につながり、働きがいの低下、モチベーションの低下につながっていることがわかります。

評価制度に対する意識はモチベーションが高い層でも関心が高く、納得感の醸成は非常に重要な施策であるといえるでしょう。
「モチベーションを上げるために会社に期待すること」という設問で、働きがいを高めるために企業に求める施策としても、「給与・評価」は最上位に位置しています。

人事評価の納得感を高める施策とは

では、人事評価に納得を感じられない原因はどこにあるのでしょうか。
以下の図は、評価についてどんな言葉が共起語として現れるのか分析したものです。
※共起語…ある単語とともに利用される頻度が高い他の単語のこと

「適切」「正当」「公平」など、”正しい”評価を求める意見が目立っており、評価基準の明確化が求められていることがわかります。人事評価で不満を抱く原因はこうした「基準の不明確さ」「不透明さ」から来ていると考えられます。自身の評価がどのように行われているかわからない不安から、人事評価制度自体への不満が生まれているのです。

では、こうした人事評価への疑念はどのように払拭していけばよいのでしょうか。ここでは、社員アンケートをもとに人事評価制度への納得度を向上した株式会社ADKホールディングスの事例を紹介します。

<事例>社員アンケートを分析し課題を抽出、被評価者の不安を発見

株式会社ADKホールディングスでは、人事のKPIとして評価の「納得度」を設定しました。半期に一度のタイミングで社員に人事評価に関するアンケートを実施し、その結果を測定する施策です。
このアンケートでは集計による定量的な分析だけではなく、フリーテキストでの回答という定性的な分析も行いました。すると、被評価者である社員が抱いている制度への誤解が見つかったのです。こうした調査をもとに、株式会社ADKホールディングスでは人事と直接会話ができるウェビナー形式の質問会を開催し、納得度の改善に取り組んでいます。

タレントパレットで実現した「ADK流人事データ活用」
~定量・定性両面でのPDCA~
株式会社ADKホールディングス 人事企画部で人事評価、研修の開発、タレントマネジメントの推進、システムの企画運用などを担当する加藤 雄一郎様は、「個々の社員の感情とデータとの両面からのアプローチを大事にしている」と話します。

モチベーションを支える秘訣は自身の成長

以上の内容から見てきたように、モチベーションを向上するために企業に対して最も期待されるのは評価制度の基準の明確化と、評価への納得感の向上でした。

では、社員が自発的に取り組めるものはあるのでしょうか。
以下の図は、「働くモチベーションを保つために自分で取り組んでいること」という設問への回答から頻出単語を抽出し、働きがいを強く感じている層からそう思わない層まで比較したものです。
共通して資格の取得に取り組むことがモチベーションを支えているとわかりますが、特に今の仕事にやりがいを感じられていない人ほど、資格取得などでモチベーションの向上を試みていることがわかります。自身のスキルアップ、成長の実感をすることが働きがいに通じるのです。

企業側でもこうした社員の成長意欲を支え、スキルアップを支援することで、社員のモチベーションを上げて働きがいの創出を支援することができるでしょう。

人材育成施策を整備し自己啓発の支援を

社内の人材育成施策では、まず各種研修や自己啓発制度を整備することが必要になります。組織の体制を見直し、社員の声や事業計画に沿った人材育成が叶う体制になっているか確認しましょう。
また、ミドル以上世代のスキルアップ支援では、各種の研修のほか、実践的な経験を積ませる、より大きな責任のある業務を任せるなどが考えられます。また、今までとは異なる職種に異動し、経験の幅を広げることも本人の視野を広げることになるでしょう。

人材育成の意味と目的とは フレームワークも確認しよう

ミドル以上世代で働きがいを感じている場合、自身の経験を活かせる業務に就いていることが多くあります。一人一人の希望を確認し、働きがいを感じられる職場づくりには何をすればよいのか、より効果的な施策を計画し、実施し、フィードバックからまた改善を行うことが重要です。

ミドル以上世代の人材を活かす人事施策とは

社歴が長く、ベテランとして扱われるミドル以上世代は、ともすれば上昇志向を失い、モチベーションが低下しがちだというイメージがあります。しかし今回の調査ではミドル以上世代も仕事に対するやりがいを持ち、自身のスキルアップに取り組んでいることがわかりました。
ミドル以上世代のモチベーションを向上し、活躍する人材にするためには、こうした意向を人事・経営部門も察知し、評価制度への納得度の向上、スキルアップ支援などの施策に取り組むことが求められています。