デザイン思考の手法「エンパシーマップ」とは?6つの基本要素から、作り方や目的を解説


デザイン思考の手法「エンパシーマップ」とは?6つの基本要素から、作り方や目的を解説

エンパシーマップはユーザーの視点に立って、感情や行動を理解するためのフレームワークです。

商品開発やサービスの改善、マーケティング施策の精度を高めるために活用できます。今回は、エンパシーマップの基本要素や作り方、目的などを詳しく解説します。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

自社の商品やサービスを販売する上で、ユーザーがどのような感情を抱いているのか把握しておくことは大切です。エンパシーマップはユーザーの視点に立って、感情や行動を理解するためのフレームワークであり、基本的な作り方を理解しておくことで、より効率的なマーケティング施策を実行できるでしょう。

この記事では、エンパシーマップの基本要素や作り方、その目的などを詳しく解説します。


エンパシーマップとは?

エンパシーマップ(Empathy Map)は「共感マップ」とも呼ばれており、ペルソナ視点で感情や行動を整理することで、どのようなニーズがあるのかを洗い出すためのフレームワークの1つです。ペルソナとは、自社の商品やサービスを利用する典型的なユーザー像のことを指し、年齢や居住地域だけでなく、家族構成や趣味など細かな属性をもとに想定します。


また、共感とは「同じ気持ちになる」という意味ですが、マーケティングにおいては「人は感情でモノを買う」といわれることもあり、ユーザーがどのような心理状態であるかを見出すことは重要なポイントです。エンパシーマップを作成することで、ユーザーの立場に立って感情や行動を理解し、商品開発やサービスの改善につなげていくことを目的としています。


ペルソナとの違い

ペルソナはユーザーの属性を細かく設定するものですが、あくまで企業側の視点で作成するものです。そのため、事前にしっかりとリサーチを行わなければ、自社にとって都合の良いペルソナを設定する恐れがあります。


一方、エンパシーマップはペルソナ視点で、自社の商品やサービスに対してどのような感情を抱き、行動するかを見るものだといえます。より実態に即した戦略を立てることに役立ち、有効なマーケティング施策を考える上での足がかりとなるでしょう。


エンパシーマップが必要な理由


エンパシーマップが必要とされる理由としては、主に次の3つの点があげられます。


エンパシーマップを必要とする3つの理由

・エンパシーマップを作成することで、ユーザーの理解が深められる

・ユーザー像をよりリアルに描写することができる

・ユーザーのニーズや問題点に対するソリューション思考を促すことができる


それぞれの理由について、さらに詳しく解説します。


1.エンパシーマップを作成することで、ユーザーの理解が深められる

エンパシーマップを作成することによって、ユーザーに対する理解を深めることができます。エンパシーマップはユーザー視点で作成するものであるため、客観的な判断を下すのに役立つでしょう。


自社の商品やサービスの販売拡大につなげたい場合、利用が想定されるユーザーのことを知らなければ、有効なマーケティング施策を実行することは難しいでしょう。そのため、エンパシーマップを作成することでユーザーの理解につなげていけます。


2.ユーザー像をよりリアルに描写することができる

自社の商品・サービスを利用してもらいたい顧客像として、ペルソナの設定があげられます。しかし、ペルソナはあくまで企業視点で設定されるものであるため、実際の顧客像とは乖離が生じているケースもあります。


エンパシーマップを作成するほうが、ユーザー像の実態をよりリアルに描けるようになります。ユーザーのニーズを深い部分で探ることによって、より確度の高い施策を行っていけるでしょう。


3.ユーザーのニーズや問題点に対するソリューション思考を促すことができる

エンパシーマップを作成すれば、ユーザーが抱えている悩みや本来のニーズを的確に把握することができます。問題点やニーズを明らかにすることで、どのようにすれば解決できるのかを促せるようになるでしょう。


商品・サービスの改善や戦略の立案につなげていくことができ、ユーザーに対するアプローチをより強力なものにしていけるはずです。


エンパシーマップの6つの基本要素

エンパシーマップを作成するときには、6つの基本要素について理解しておく必要があります。基本要素としては、次のものがあげられます。


エンパシーマップの6つの基本要素

・SEE(見ているもの)

・HEAR(聞いていること)

・THINK and FEEL(考えていること・感じていること)

・SAY and DO(言っていること・行動していること)

・PAIN(痛み・ストレスに感じていること)

・GAIN(欲しているもの・得られるもの)


各要素について、ポイントを解説します。


SEE(見ているもの)

まず、自社で設定したペルソナの性格や行動の傾向を踏まえた上で、ペルソナが見ているものを書き出していきます。普段の生活のなかにおいて、どのような情報に触れているかをチェックします。


具体的には、ニュースアプリやSNS、Webメディアの情報や友人・知人などの投稿があげられるでしょう。ペルソナ本人やその家族が目にしているものに関心を持つことが大切です。


HEAR(聞いていること)

次に、ペルソナが普段から耳にしていることに注目します。例えば、「大学時代の友人が近いうちに結婚しそう」「会社の同僚からおすすめのランチについて教えてもらった」など、ペルソナの人間関係においてありそうな会話をピックアップしていきます。


THINK and FEEL(考えていること・感じていること)

そして、ペルソナが日頃から考えていることや感じていることを書き出していきます。周りの人には話していない夢や希望などもここには含まれます。


例えば、「自分のキャリアを高めるために転職したい」「ワークライフバランスを重視したい」「旅行に行きたいけど、費用はできるだけ抑えたい」などがあげられるでしょう。


SAY and DO(言っていること・行動していること)

さらに、ペルソナが普段から言葉にしていることや実践していることなどを書き出します。家族や友人との会話、上司や部下に対する発言、SNSでのやりとりなどを想定して考えます。


また、実際に行動していることは仕事やプライベートの過ごし方、自己実現のための活動などがあげられます。


PAIN(痛み・ストレスに感じていること)

ペルソナが普段からストレスに感じていることや、不満・不安・悩みなども書き出していきます。ペルソナにとってマイナスに感じてしまう要素は、逆に言えばそれらを改善することによって、良い商品・良いサービスとして認識してもらえるという意味でもあります。


ユーザーがストレスに感じていることや痛みは、エンパシーマップを作成する上で、重要なヒントが隠されている可能性があるといえるでしょう。例えば、「周りの友人が家庭を持ち始めたので、以前よりも気軽に誘えなくなった」「最近、趣味の山登りに行けていない」などがあげられます。


GAIN(欲しているもの・得られるもの)

そして最後に、ユーザーが普段から欲しているものや求めているものについて書き出します。仕事やプライベートのなかで、それぞれ欲しているものはあるはずなので、丁寧に追っていくことが大事です。


また、ペルソナがどのような点でニーズを満たされていると感じるかも重要だといえます。PAINと同様に、GAINについてもエンパシーマップを作成する上で大事な要素なのです。


あらゆる人事データを統合して分析

エンパシーマップは、自社の商品やサービスを利用してくれるユーザーのニーズや行動を深く理解するために作成します。基本要素を洗い出す作業などは丁寧に追っていくことが求められるため、適した人材を担当者にしてみましょう。


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エンパシーマップを作成する方法


エンパシーマップの基本要素を把握したら、実際に作成作業に取りかかってみましょう。作成の基本的な手順は、次のとおりです。


エンパシーマップの作成手順

  1. ユーザーのプロファイルを作成する
  2. シナリオを想定する
  3. 6項目を書き出す
  4. ビジュアル図を作成する
  5. ブラッシュアップして全体像を確認する


各ステップについて、どのような点を意識しておけばいいかを解説します。


1.ユーザーのプロファイルを作成する

エンパシーマップの作成は、まずペルソナの設定を行うところから始めます。年齢・性別・居住地域・家族構成・職業・年収・趣味・休日の過ごし方・価値観などを細かく設定していきます。


2.シナリオを想定する

次に、ペルソナが普段どのような暮らしをしているかを想定し、自社の商品・サービスにたどり着く流れを考えます。シナリオはいくつかのパターンが考えられるので、複数作成してみるとよいでしょう。


3.6項目を書き出す

そして、先に述べたように6つの基本要素について書き出します。ペルソナが求めている具体的なニーズやどのような行動をとっているのかを設定してみましょう。


4.ビジュアル図を作成する

ここまでの作業を終えたら、一目でペルソナの状況が分かるように、ビジュアル図を作成してみると有効です。視覚的に確認することで、漏れや全体の整合性などを判断できます。


また、他のメンバーと情報共有を行うときには、ビジュアル図があったほうがスムーズでしょう。


5.ブラッシュアップして全体像を確認する

エンパシーマップは一度作成して終わりではなく、そこからブラッシュアップしていく必要があります。ユーザーに対するインタビューやアンケートなどを通じて、実際に検証を進めてみましょう。


リアルな声を聞けば、より正しい方向で戦略を練り直していけます。新たな気づきなどがあれば、適宜追加していきましょう。


共感マップを作成する際の注意点

エンパシーマップを作成するときの注意点としては、作成自体が目的になってはならないという点です。プロジェクトメンバー間で情報共有を行い、エンパシーマップを誰でも確認できる状態にしておきましょう。


また、エンパシーマップと合わせて、カスタマージャーニーマップを活用してみるのも有効な手段です。カスタマージャーニーマップとは、ユーザーが自社の商品・サービスとの関わりのなかでたどっていく一連のプロセスをビジュアル化したものです。


流れを把握してみると、これまで気づかなかった課題の発見にもつながるでしょう。エンパシーマップだけでなく、他のフレームワークと組み合わせながら取り組んでみてください。


まとめ

エンパシーマップは、ペルソナ視点のニーズや行動を把握するために作成するものです。ユーザーが自社の商品・サービスにどのような考えを持っているのかを知れば、より具体的なマーケティング施策を実行できるでしょう。


上手にエンパシーマップを作成するには、プロジェクトメンバーの人選が大事でもあります。その際に役立つものが、「タレントマネジメントシステム」です。


タレントマネジメントシステムとは、人材の能力やスキルを最大限に発揮してもらうために、人材データを集約・一元管理して、高度な意思決定を可能にするシステムをいいます。各人材のスキルや保有資格、経歴などのデータをもとに、計画的な人材育成や高度な配置戦略を練るために活用できます。


また、タレントマネジメントシステムである『タレントパレット』は、データに基づいた科学的な人事を実現するためのシステムです。あらゆる人事データを蓄積・統合することにより、精度の高い分析を行えるので、エンパシーマップの作成やマーケティング施策の実施に適した人材を見つけられるでしょう。


「ユーザーのニーズを把握して売上をアップさせたい」「商品・サービスの改善に取り組みたい」という方は、ぜひタレントパレットをご活用ください。


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