人的資本経営とは?導入のメリットや注意点、手順をわかりやすく解説


人的資本経営とは?導入のメリットや注意点、手順をわかりやすく解説

人的資本経営は、従業員を「コスト」ではなく「価値を生み出す資本」として捉え、戦略的に投資する経営手法として注目されています。
2023年からは、有価証券報告書での人的資本情報の開示が本格的に始まり、多くの企業が対応を迫られています。しかし、「何から始めればいいのか」「自社はどの段階にいるのか」と悩む経営者や人事担当者も少なくありません。
本記事では、人的資本経営の基本概念から導入手順、成功のポイントまで、実務に役立つ情報を体系的に解説します。

人的資本経営とは?わかりやすく解説


人的資本経営とは、社員のスキルやポテンシャルを「資本」と考えることです。人材価値を最大限に引き出し、中長期的な企業価値を向上させることが目的です。
2018年12月には、ISO30414「人的資本に関する情報開示のガイドライン」が策定されました。ISO30414には、人事や労務に関する情報を明示する際に、意識すべき基本的な指針が集約されています。
 
海外では、投資家などのステークホルダーが人的資本に注目しており、人事や労務に関する情報開示を強く求めている状況です。また、日本政府は2023年度から一部企業に対し、有価証券報告書への人的資本情報の記載を義務付けています。
 
そのため、今後さらに人的資本経営に注目が集まることが予想されます。
ISO30414について詳しく知りたい方は、別記事「​​ISO30414とは人的資本経営に必須の情報開示指針!経済産業省の取り組みも紹介」をあわせてご確認ください。

人的資本経営が注目される背景


人的資本経営が急速に広まっている背景には、社会環境の変化と制度的な後押しがあります。ここでは、とくに重要な4つの要因について詳しく解説します。
 
・投資家や消費者の意識の変化
・技術革新による市場の成熟
・少子高齢化による多様な働き方の推進
・「人材版伊藤レポート」による普及

投資家や消費者の意識の変化

投資家は、将来の成長力を測る指標として「人材育成の方針」や「離職率」などの人材関連の指標を重視しています。短期の利益よりも、持続的に成果を生む企業かどうかを判断するためです。
同時に、消費者も企業の価値観や働き方への姿勢を確認しながら商品やサービスを選ぶようになっています。どのように人材に投資しているかを丁寧に開示することは、企業への信頼感にも直結します。
人的資本経営への取り組みは、企業イメージを高めるうえでも重要な要素になりつつあるといえるでしょう。

技術革新による市場の成熟

AI・IoT・ビッグデータといった技術革新が進むなか、製品やサービスの差別化が難しくなり、競争優位の源泉が「人」に移りつつあります。
かつては設備投資や技術特許が企業の強みでしたが、現在はそれらを活用できる人材の創造性や問題解決能力こそが価値を生む時代です。
同じAIツールを導入しても、使いこなして付加価値を生み出せる人材がいる企業と、そうでない企業とでは成果が大きく変わります。
技術は買えても、組織として活用する力は一朝一夕では身につきません。
そのため、人材への戦略的な投資が重要な経営課題として認識されるようになっています。

少子高齢化による多様な働き方の推進

日本では人手不足が深刻化するなか、企業は限られた人材で成果を出すために、一人ひとりの能力を最大限に引き出す経営が不可欠になりました。
同時に、働く側の価値観も多様化しており、リモートワークや副業、短時間勤務など柔軟な働き方を求める声が高まっています。
こうしたニーズに応えられない企業は、優秀な人材の確保と定着が難しくなり、競争力を失いかねません。人的資本経営は、多様な人材が活躍できる環境を整備し、個々の強みを組織の成果につなげる仕組みとして機能するため、少子高齢化時代の経営戦略として欠かせないものとなっているのです。

「人材版伊藤レポート」による普及

2020年に経済産業省が公表した「人材版伊藤レポート」は、人的資本経営を日本企業に広める転機となりました。
このレポートでは、人材を「資源」ではなく「資本」として捉え直し、投資とリターンの関係を可視化することの重要性が強調されています。
さらに2022年には「人材版伊藤レポート2.0」が発表され、具体的な実践方法として「3P・5Fモデル」や開示すべき情報の枠組みが示されました。
これにより、企業は「何をどう進めればいいか」の指針を得られるようになりました。
政府の後押しによって、人的資本経営は一部の先進企業だけの取り組みから、すべての企業が向き合うべき経営課題へと変化したのです。

出典:人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書(人材版伊藤レポート2.0)

人材版伊藤レポートは人的資本経営の実現に貢献|概要や目的・実践例など解説

人的資本経営を導入するメリット


人的資本経営に取り組むことで、企業は人材の成長だけでなく、業績や企業価値の向上といった多面的なメリットを得られます。ここでは代表的な4つの効果を整理します。
 
・生産性の向上
・企業ブランディングの向上
・従業員エンゲージメントの向上
・投資家からの評価の高まり

生産性の向上

人的資本経営では、従業員一人ひとりのスキルや適性を把握し、最適な配置と育成を行います。その結果、個々の強みが活かされる環境が整い、業務効率の改善が期待されます。
たとえば、データ分析が得意な社員をマーケティング部門に配置し、専門研修を受けてもらうことで、従来よりも精度の高い施策立案が可能です。
また、明確なキャリアパスと成長機会が提示されることで、従業員のモチベーションも向上します。人材の能力・モチベーション向上が事業成果につながる仕組みを作ることで、生産性の向上を達成しやすくなります。

企業ブランディングの向上

人的資本経営への取り組みを対外的に発信することで、「人を大切にする企業」というブランドイメージの構築が可能です。これは採用市場において大きな強みとなり、応募者の質・量の向上にもつながります。
また、人的資本情報を積極的に開示する企業は、経営の透明性が高く、長期視点で事業を運営していると見なされます。その結果、取引先や金融機関からの信頼も得やすくなり、BtoBのビジネスでもプラスに働くようになるでしょう。
さらに、従業員が自社の取り組みを誇りに思い、SNSなどで発信することで、自然な形でのブランド向上も期待できます。

従業員エンゲージメントの向上

人的資本経営では、「社員の成長」と「企業の成長」をセットで考える点が特徴です。キャリアビジョンや育成方針が明確に示され、その実現を支える研修や制度が用意されることで、「この会社で成長できる」という実感をもちやすくなります。
加えて、従業員の声をアンケートや1on1ミーティングを通じて経営に反映する仕組みを整えると、「自分の意見が組織に届いている」という感覚が生まれます。
こうした取り組みが従業員エンゲージメントを高め、結果としてイノベーションの創出や顧客満足度の向上にもつながっていくでしょう。

投資家からの評価の高まり

人的資本に関する情報を適切に開示すると、投資家は企業の長期的な成長可能性をより正確に判断できるようになります。たとえば、育成計画や離職率、多様性への取り組みなどを開示することで、「どのような人材に投資し、どのような将来像を描いているか」を伝えることが可能です。
情報開示によって企業活動の透明性が高まるほど、「リスクが把握しやすい企業」として評価され、資金調達の面で有利になる可能性もあります。
また、「なぜこの人材投資が必要なのか」「将来どのような価値を生むのか」を論理的に説明できれば、投資家との対話も深まりやすく、成長戦略の実行を後押しする要因になります。

人的資本経営に取り組む際の注意点


人的資本経営には多くのメリットがありますが、導入にあたってはいくつかのハードルも存在します。ここではとくに重要な3つのポイントを取り上げます。
 
・データ整備の難しさ
・現場の理解・経営層のコミット不足
・短期成果の見えにくさ
 
あらかじめこのような代表的な課題を理解し、対策を講じておくことで、スムーズな推進が可能になります。

データ整備の難しさ

人的資本経営では、離職率・研修時間・エンゲージメントスコアなど、さまざまなデータを収集・分析する必要があります。
しかし、多くの企業では人事データが部門ごとに分散していたり、紙やExcelで管理されていたりするため、一元的な把握が困難な状況です。

たとえば、研修受講履歴は人事部、スキル情報は現場の部門長、評価データは別システムといった具合にバラバラに管理されているケースが挙げられます。
このような状態でデータを統合しようとすると、フォーマットの違いや重複、欠損値の処理など、想像以上に手間がかかります。
データ整備には時間とコストがかかるため、早い段階からタレントマネジメントシステムの導入や、データ収集ルールの標準化を進めることが重要です。
 

現場の理解・経営層のコミット不足

人的資本経営は人事部門だけで完結するものではなく、経営トップのコミットメントと現場の協力が不可欠です。
しかし、経営層が、人事部の仕事だと捉えて主体的に関与しなかったり、現場の協力体制が得られなかったりすると、形だけの取り組みに終わるリスクがあります。
 
とくに問題となるのは、経営戦略と人材戦略のつながりが曖昧なケースです。たとえば「DXを推進する」という経営方針があるのに、それに必要なデジタル人材の育成計画が具体化されていなければ、現場は何を優先すべきか判断できません。
人的資本経営を成功させるには、経営層が自ら人材戦略を語り、現場とのコミュニケーションを密にとりながら、全社で取り組む文化を作ることが求められます。

短期成果の見えにくさ

人的資本への投資は、設備投資のようにすぐに成果が表れるものではありません。研修を実施しても効果が出るまでに数ヶ月から数年かかることもあり、その間に「本当に意味があるのか」という疑問が生じる可能性もあります。
 
とくに四半期ごとに業績を評価される上場企業では、短期的な利益を優先してしまい、人材投資が後回しにされるリスクがあります。
この課題に対処するには、最初から長期的な視点で目標を設定し、途中経過を測定する仕組みを作ることが重要です。
 
たとえば、「3年後に離職率を5%下げる」という最終目標に対し、「1年目はエンゲージメントスコアを10ポイント改善」といった中間指標を設けることで、進捗を確認しながら進められます。
短期では見えにくい成果も、段階的に可視化することで組織全体の納得感を得られるようになります。

人的資本経営で企業が開示すべき情報


人的資本経営では、従業員への投資や取り組みを社内外に適切に開示することが求められます。
開示すべき情報は、内閣官房が示す「人的資本可視化指針」で、7分野19項目として整理されています。具体的には、以下のとおりです。

分野

開示項目

主な開示項目の例

人材育成

1.リーダーシップ

2.育成

3.スキル/経験

・研修時間、研修費用

・スキル開発プログラムの内容

・リスキリング施策

ダイバーシティ

4.ダイバーシティ

5.非差別

6.育児休業

・女性管理職比率

・中途採用比率

・外国籍社員比率

・育児休業等の後の復職率・定着率

健康・安全

7.精神的健康

8.身体的健康

9.安全

・労働災害発生率

・健康診断受診率

・メンタルヘルス対策

・平均残業時間

労働慣行

10.労働慣行

11.児童労働/強制労働

12.賃金の公正性

13.福利厚生

14.組合との関係

・差別事例の件数・対応措置

・業務停止件数

・苦情の件数

・深刻な人権問題の件数

エンゲージメント

15.従業員エンゲージメント

・従業員満足度スコア

・エンゲージメント調査結果

・1on1実施率

流動性

16.採用

17.維持

18.サクセッション(後継者育成)

・離職率(自己都合・会社都合別)

・定着率

・採用・離職コスト

・新規採用数

コンプライアンス・倫理

19.コンプライアンス/倫理

・ハラスメント研修実施率

・内部通報件数

・コンプライアンス違反件数

ただし、すべての項目を機械的に開示するのではなく、自社の経営戦略に照らして重要性の高い項目を選び、ストーリー性を持たせて説明することが効果的です。 
「なぜこの指標を追うのか」「それが事業成長にどうつながるのか」を明確にすることで、単なる数字の羅列ではなく、企業の人材戦略が伝わる開示になります。
 
出典:​​『人的資本可視化指針』非財務情報可視化研究会

人的資本経営の導入手順


人的資本経営を実際に導入する際は、現状把握から施策の実行・検証まで、段階的に進めることで効果的な取り組みが可能になります。
ここでは、実務で活用できる4つのステップを順に解説します。
 

  1. 人的資本の現状分析を行う
  2. 経営戦略と連動する人材戦略を策定する
  3. KPIの設定と施策を検討する
  4. 施策の実行と効果検証を行いながら改善につなげる


1.人的資本の現状分析を行う

最初に取り組むべきは、自社の人的資本の現状を正確に把握することです。従業員のスキル分布や年齢構成、エンゲージメントスコアなど、定量・定性の両面からデータを収集します。
たとえば、「営業部門にデジタルスキルをもつ人材が何人いるか」「管理職の平均年齢は何歳で、後継者候補は育っているか」といった具体的な問いに答えられる状態を目指します。
 
同時に、従業員アンケートや1on1面談を通じて、働きがいや成長実感、キャリアの不安といった定性情報も集めておくと有効です。
現状分析では、自社が「用語を聞き始めた段階」「部分的に施策を実施している段階」「戦略とKPIが連動している段階」のどこにいるかを客観的に判断し、次に目指すべきステージを明確にすることが重要です。

2.経営戦略と連動する人材戦略を策定する

現状分析をもとに、経営戦略の実現に必要な人材像と育成方針を定めます。ここでは、「会社としてどこを目指すのか」と「そのためにどのような人材がどれだけ必要か」をセットで考えます。
たとえば「海外市場の売上を3年で2倍にする」という経営目標なら、「グローバル人材を50名育成する」「海外拠点のマネジメント層を現地化する」といった具体的な人材戦略への落とし込みが必要です。
 
人材戦略を策定する際は、経営層と人事部門だけで決めるのではなく、現場のマネージャーや従業員の声も反映させることで、実効性の高い戦略になりやすくなります。
また、3年後・5年後といった中長期の視点で、目標・ゴールから現在取り組むべきことを逆算して考えることで、実効性のある戦略になります。

3.KPIの設定と施策を検討する

人材戦略を実行するためには、進捗を測定できる具体的なKPI(重要業績評価指標)の設定が必要です。KPIは「離職率」「研修受講率」「エンゲージメントスコア」など、戦略の達成度を測れる指標を選びます。
重要なのは、単に数字を並べるのではなく、「なぜこのKPIを追うのか」「改善されると経営目標にどう寄与するのか」を説明できる状態にすることです。
 
施策とKPIはセットで設計し、「この施策を実行すればこの指標が動き、その結果として経営目標に近づく」という因果関係を意識します。一度に多くの施策を詰め込みすぎず、優先順位をつけて段階的に実行していくこともポイントです。
 
関連記事:KPIの設定方法とは?人的資本経営・施策別の具体例や成功に導くコツ

4.施策の実行と効果検証を行いながら改善につなげる

施策を実行したら、定期的に効果を測定し、必要に応じて修正を加えることが重要です。人的資本経営は一度実施して終わりではなく、PDCAサイクルを回し続けることで成果が積み上がっていきます。
たとえば、四半期ごとにKPIの進捗を確認し、目標に届いていない項目があれば原因を分析して対策を検討しましょう。
 
また、成功した施策は他部門にも横展開し、失敗した施策は原因を共有して組織全体の学びに変えます。このサイクルを続けることで、人的資本経営が「一過性のプロジェクト」ではなく、企業文化として根付いていくでしょう。
 
これらのステップを円滑に進めるためには、データを一元管理し、分析できる仕組みを構築する必要があります。
そこで活用したいのが、人材管理システム「タレントパレット」です。タレントパレットは、従業員の基本情報からスキル、評価、研修履歴、エンゲージメントスコアまでを一元管理できるクラウド型のシステムです。

人的資本経営を成功させるためのポイント


人的資本経営を形だけのものにせず、実効性のある取り組みにするためには、いくつかの重要なポイントがあります。フレームワークの活用や開示の目的の明確化、戦略との紐づけという3つの視点をもつことで、成果につながる人的資本経営を実現できます。
 
・「3P・5Fモデル」のフレームワークを活用する
・ 情報開示を目的化しない
・戦略との紐づけを徹底する

「3P・5Fモデル」のフレームワークを活用する

経済産業省が「人材版伊藤レポート2.0」で提示した「3P・5Fモデル」は、人的資本経営を体系的に進めるための有効なフレームワークです。
それぞれ、以下の内容を指します。

視点・要素

内容

具体的アクション例

3P(Perspectives:視点)

経営戦略と人材戦略の連動

・経営目標から逆算して必要な人材要件を定義する

・経営会議で人材戦略を定期的に議論する

As is-To beギャップの定量把握

・従業員のスキルマップを作成する

・年齢構成や専門性の偏りを分析する

・将来必要な人材と現状の差を数値化する

企業文化への定着

・KPIを設定して定期的にモニタリングする

・PDCAサイクルを回して施策を改善する

・成果を経営層や投資家に報告する

5F(Common Factors:共通要素)

動的な人材ポートフォリオ

・社内公募制度の導入

・ジョブ型雇用への移行

・戦略的な中途採用

知・経験のダイバーシティ&インクルージョン

・女性管理職の登用推進

・外国籍人材の採用

・異業種からの中途採用

リスキル・学び直し

・DX人材育成プログラム

・自律的な学習支援制度

・資格取得支援

従業員エンゲージメント

・定期的なエンゲージメント調査

・1on1ミーティングの実施

・キャリア開発支援

時間や場所にとらわれない働き方

・リモートワーク制度

・フレックスタイム制度

・副業・兼業の容認

このフレームワークを使うと、「自社はどの要素が弱いのか」「どこから強化すべきか」が整理しやすくなります。ただし、あくまでガイドラインであり、自社の規模や業種にあわせて柔軟にカスタマイズする姿勢が重要です。

情報開示を目的化しない

人的資本の情報開示は、投資家や社会に対して透明性を高めるうえで重要ですが、「開示すること」自体が目的になってしまうと本末転倒です。数字を並べるだけでは、企業の姿勢や戦略は伝わりにくくなってしまいます。
 
重要なのは、開示を通じて「自社が人材をどう捉え、どこに投資し、どのような成果を目指しているか」というストーリーを伝えることです。
開示を準備する過程で自社の課題が明確になり、それが経営改善につながるという好循環を生むことが理想です。開示の質を高めることは、結果的に人材戦略そのものの質を高めることにつながります。

戦略との紐づけを徹底する

人的資本経営で失敗しやすいパターンのひとつが、経営戦略と人材施策が別々に動いてしまうケースです。
「研修を増やす」「福利厚生を充実させる」といった施策が、経営目標とどうつながるのか説明できなければ、それは単なるコストになってしまいます。成功している企業は、必ず「この経営目標を達成するために、この人材施策が必要だ」というロジックを明確にもっています。
 
たとえば新規事業を立ち上げるなら、「いつまでに何人の専門人材が必要か」「社内育成か外部採用か」「そのための予算は」といった人材面の計画も同時に検討しましょう。
経営会議でも、売上や利益だけでなく人的資本KPIの進捗を定期的に報告し、経営層全員が人材を経営課題として認識する文化を作ることが重要です。

人的資本経営の導入事例

中小企業向けに生命保険事業を展開する大同生命保険株式会社では、「自律」と「多様性」を軸とするEX改革(従業員体験改革)に取り組んでいます。
従来、人事情報やスキル情報、研修データが部門ごとに分散しており、従業員が自身のキャリアを一体的に考えることが困難でした。
 
この課題を解決するため、タレントパレットを導入し、目標設定・スキル診断・研修情報を一元管理する環境を整備しました。内務職員を対象に、希望するキャリアプランを毎年申告する仕組みや、38種類のスキルを診断して能力開発計画を立てる仕組みを構築。
 
従業員は自分の現状と理想のキャリアとのギャップを明確に捉え、主体的に学習計画を立てられるようになりました。
その結果、従業員の学習意欲が向上し、自律的なキャリア形成を支援する環境が整いつつあります。研修後のアンケートもシステム上で即時集計できるようになり、人事部門の業務効率も改善されました。

人的資本経営を支えるインフラとしてのタレントパレット~大同生命のEX改革とは~
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人的資本経営の導入に際してよくある質問


人的資本経営を導入する際に、多くの企業が共通して抱く疑問があります。ここでは、とくによく寄せられる質問とその回答をまとめました。
 
・人的資本経営とは何ですか?
・人的資本の情報開示は必須ですか?
・人的資本経営と健康経営の違いは何ですか?

人的資本経営とは何ですか?

人的資本経営とは、従業員を「価値を生み出す資本」として捉え、その能力を最大限に引き出すことで企業価値を高める経営手法です。
従来の人材管理が採用や配置といった業務的な視点だったのに対し、人的資本経営では従業員への投資とそのリターンを明確にし、経営戦略と連動させます。詳しくは、人的資本経営とは?わかりやすく解説をご覧ください。

人的資本の情報開示は必須ですか?

上場企業の多くは、有価証券報告書で人的資本に関する情報開示が求められるようになっています。内閣官房が示す「人的資本可視化指針」では、7分野19項目の開示例が整理されており、これが投資家が企業を比較する際の共通の物差しとして活用されています。
 
義務化の範囲は企業規模などによって異なりますが、開示を進める企業ほど投資家との対話がしやすくなり、中長期の資金調達にもよい影響を与えやすくなるでしょう。
未上場企業でも、金融機関や採用候補者に向けたアピール材料として活用できます。開示項目については、人的資本経営で企業が開示すべき情報をご覧ください。

人的資本経営と健康経営の違いは何ですか?

健康経営は、従業員の心身の健康を守り、高いパフォーマンスを発揮できる状態を作ることに焦点を当てた取り組みです。健康診断の充実、メンタルヘルスケア、運動機会の提供などが代表的な施策にあたります。
 
一方、人的資本経営はより広い概念で、健康経営を含みつつ、スキル開発やキャリア支援、エンゲージメント向上から多様性推進まで、従業員の能力を総合的に高める取り組み全体のことです。
健康経営は人的資本経営の一要素であり、健康な従業員がパフォーマンスを発揮しやすい環境を作ることで、人的資本経営の土台となります。両者は対立するものではなく、相互に補完する関係にあります。

効果的に人的資本経営を進めるなら「タレントパレット」の利用がおすすめ


人的資本経営を実践するには、従業員のスキルや経験、エンゲージメントなどのデータを一元管理し、分析できる仕組みを構築する必要があります。
しかし、多くの企業では人事情報が部門ごとにバラバラに管理されており、全体像の把握が困難な状況です。
 
そこで活用したいのが、大手エンタープライズ・中堅企業売上シェアNo.1(*)の人材管理システム「タレントパレット」です。タレントパレットは、従業員の基本情報からスキル、評価、研修履歴、エンゲージメントスコアまでを一元管理できるクラウド型のシステムです。これにより、離職率や研修時間といった人的資本KPIをリアルタイムに可視化し、戦略に沿った意思決定に活用しやすくなります。
 
さらに、タレントパレットは人的資本の情報開示に関する国際規格「ISO30414」の認証を取得しており、人的資本データの計測・管理・出力の仕組みが国際基準に沿っていることが裏づけられています。
有価証券報告書や統合報告書に必要なデータを効率よく抽出できるため、開示業務の負担軽減も可能です。
また、国内上場企業の人的資本開示情報と自社を比較し、時系列の推移を確認することができる機能も実装しているため、他社と比較した取り組みの実施度合いを把握することも可能となります。
 
人的資本経営の導入を検討している企業にとって、データ整備から施策実行、効果測定までをワンストップで支援するタレントパレットは効率的な人的資本経営を支えるツールとなりえます。
人的資本経営を進めたい企業は、タレントパレットの無料デモや資料請求を通じて、自社のさらなる発展に活かしていきましょう。

(*)出典 ITR「ITR Market View:人材管理市場2026」人材管理市場:ベンダー別売上金額シェア(2024~2025年度予測) 

タレントパレットのHPはこちら

この記事の監修者

蒲谷崇

株式会社プラスアルファ・コンサルティング

執行役員

【保有資格】

事業会社の人事・総務部門、社労士法人や人事向けシステムベンダーなど約20年に渡って、人事労務、タレントマネジメント分野に従事。

社労士法人では、労務アドバイザリー業務を担当、タレントマネジメントベンダーでは約12年間、企画、営業など幅広く担当し、市場の黎明期からシステムの普及を牽引。現在は、コンサルティング部門の責任者として、金融、自動車、メーカー、電力・エネルギー等のエンタープライズ企業のタレントマネジメント導入プロジェクトを多数推進している。

HRカンファレンスへの登壇など講演活動や記事執筆に精力的に取り組み、幅広く情報発信を行う。「HR未来共創研究所」の研究員としても活動し、2025年より執行役員に就任。