フリーアドレスオフィスの成功事例を紹介!導入に向いている企業・部署は?


フリーアドレスオフィスの成功事例を紹介!導入に向いている企業・部署は?

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

フリーアドレスとは、固定席を作らずに、毎日好きな席で仕事ができる制度のことを指します。テレワークが普及したことにより、フリーアドレスオフィスを導入した企業が増えたものの、導入に失敗した企業があることも事実です。

本記事では、フリーアドレスオフィスの成功事例をご紹介し、導入に向いている企業や部署、導入の際のポイントについて解説します。

フリーアドレスオフィスの導入を検討している方は、ぜひ最後までお読みください。フリーアドレスオフィスの成功事例

まずは、フリーアドレスオフィスの6つの成功事例をご紹介します。フリーアドレスオフィスの導入により、従業員同士のコミュニケーションの活発化や、省スペース化に成功している事例です。

  • 環境省
  • 旭化成ホームズ株式会社
  • 村田機械株式会社
  • 神谷コーポレーション湘南株式会社
  • 株式会社テラスカイ
  • 株式会社ディー・エヌ・エー

環境省

環境省は、2022年1月からフリーアドレスオフィスを導入しています。

【成功のポイント・効果】

  • 個人の荷物を「1人あたり段ボール1箱分だけ」と制限した
  • 個人用のデスクを2割減らし、自由に机を動かして利用できるスペースを設置した
  • 窓際にあった管理職のデスクをなくし、景色を楽しみながら仕事ができるようにした


環境省は、個人が抱えている大量の資料を処分したことにより、省スペース化に成功しました。

フリーアドレスオフィス導入前は物が多く、通路が狭いという問題がありました。現在はデスクや個人の所有物を減らしたことにより、フロアを移動しやすくなり、従業員同士の交流も活発化しています。

旭化成ホームズ株式会社

旭化成ホームズ株式会社は、長期ビジョンに掲げている「働く人が輝くHappiness Company」の実現に向けた取り組みの1つとして、2023年1月よりフリーアドレスオフィスを導入しています。

【成功のポイント・効果】

  • 集中スペースやコラボスペースなど、業務スタイルに合わせた6種類の環境を用意した
  • 複数人用の席を多く設け、従業員同士のコミュニケーションを促している
  • 新しい機器やシステムに不慣れな従業員向けに、サポートデスクを設置した


旭化成ホームズ株式会社では、業務内容によって席を選択できるようになっており、作業の効率化が図れるようになりました。

複数人で使用するボックス席やモニターを見ながら横並びで作業できる席などを設けたことにより、従業員同士の気軽な打ち合わせが可能です。

固定電話の廃止、デュアルモニターの導入など新しい機器やシステムも導入しています。扱いに不慣れな人向けにサポートデスクを設けるなど、従業員のストレス軽減にも努めています。

(参照:R.E.port「自己判断を促すオフィス」

村田機械株式会社

村田機械株式会社は、2020年10月のオフィス改修を機にフリーアドレスオフィスを導入しました。

【成功のポイント・効果】

  • 在席率を確認し、デスクを大幅に減らした
  • 複数の部署が同じフロアで働くことにより、他部署との交流が増えた
  • 個人ブース・ソファブースなど、業務によって場所を選べるようになった


村田機械株式会社ではフリーアドレスオフィス導入により、従業員同士のコミュニケーションが以前より活発になりました。複数の部署が同じフロアで働くようになり、気軽に声をかけやすくなったそうです。

集中したい業務があるときは個人ブース、チームのミーティングの際はソファブースなど、仕事内容によって使い分けができます。

テレワークの従業員が多いため、デスクを大幅に減らし、省スペース化にも成功しました。

(参照:IRISTORIES 【インタビュー】村田機械株式会社「フリーアドレス導入で起きたコミュニケーションの変化」)

神谷コーポレーション湘南株式会社

神谷コーポレーション湘南株式会社は、2021年10月からフリーアドレスオフィスを導入しています。

【成功のポイント・効果】

  • テレワークによる社内コミュニケーション不足の解消を目指した
  • 事務社員90名分の個人デスクを全て撤去し、68のフリーアドレス席を設けた
  • 従業員同士のコミュニケーションが増え、他部署への関心が薄いという課題解決につながった


2020年のコロナ禍により週2~3日のテレワークが始まったことをきっかけに、フリーアドレスオフィスを導入しました。

固定デスクを撤去し、フリーアドレス席を設けた結果、部署間のコミュニケーションが希薄という課題を解決しています。

(参照:PR TIMES「創業80年の住宅建材会社がオフィスで完全フリーアドレスを導入」)

株式会社テラスカイ

従業員の7割がエンジニアの株式会社テラスカイは、移転を機にフリーアドレスオフィスを導入しました。

【成功のポイント・効果】

  • 従業員同士の交流を増やす、チームと個の働き方を柔軟にする、エンジニアが働きたいと思うオフィスにする、の3つを目的とした
  • 勉強会やミーティングができる講習スペースなど自由な空間を広く設置した
  • 働く場所を自由にし、どこで働いてもよいノマドスタイルで仕事ができるようになった


株式会社テラスカイは、フリーアドレスオフィス導入の目的を3つ設定し、解決を目指すための施策導入やレイアウト設計をしています。

フリーアドレスオフィス導入後は、3つの課題を全て解決できました。従業員のエンゲージメントが高まっただけでなく、選考フローにオフィス見学を入れることによって、採用活動の成功にも効果が出ています。

株式会社ディー・エヌ・エー

株式会社ディー・エヌ・エーはコロナ禍より前にリモートワークを導入していましたが、感染拡大を機にフリーアドレスオフィスを導入しました。

【成功のポイント・効果】

  • 2フロアを閉鎖し、光熱費・清掃費・オフィス維持管理費の削減に成功した
  • グループアドレスを採用し、部署内のコミュニケーションが取れるようにした
  • ネガティブな意見の解消を目指し、ヒアリングと提案を丁寧に行った


株式会社ディー・エヌ・エーでは、部署内のコミュニケーションを優先し、部署ごとに固まって座るグループアドレス制度を導入しています。

フリーアドレス導入前は、「固定席は確保したい」「部署で固まらないと業務に支障が出る」などのネガティブな意見が聞かれました。全部署の事業部長や部長へのヒアリングを実施し、導入の目的をしっかりと伝えたことにより、同意を得られたそうです。

(参照:フルスインググループアドレス制、オフィスチェアの譲渡。総務の施策のタネは社員の声にあった」​​​​​​​​​​​​)​​

フリーアドレスオフィスが失敗する理由は?

フリーアドレスオフィスの導入に成功した企業が多い一方で、導入に失敗してしまう企業もあります。企業がフリーアドレスオフィスの導入に失敗する主な理由は、下記の5点です。

  • テレワーク環境が整っていない
  • 従業員の居場所が把握できない
  • 書類管理ができない
  • 席が固定化してしまう
  • セキュリティ問題が発生する


上記の失敗例について、詳しく解説します。

テレワーク環境が整っていない

テレワーク環境が整っていない場合、フリーアドレスオフィスの導入は失敗する可能性が高いようです。

フリーアドレスオフィスは、従業員全員分の席を設けず、自宅やカフェなどで働くことも想定して座席数を決めます。

テレワーク環境が十分に整っていない場合、書類の提出やオンライン会議などが滞り、業務効率が下がる恐れがあります。

フリーアドレスオフィスを導入する際は、コミュニケーションツールやオンラインビデオ会議ツールなどをそろえてから開始しましょう。

従業員の居場所が把握できない

フリーアドレスオフィスは、毎日異なる座席に座るため、従業員の居場所が把握できなくなる可能性があります。

後輩の指導がしづらくなったり、書類の受け渡しが難しくなったりする可能性も考えられるでしょう。

チャットで常にコミュニケーションが取れるように指導する、座席の位置がわかるシステムを検討するなどの方法を取る必要があります。

書類管理ができない

個人の決められた席がなくなるため、書類をロッカーで保管するか、移動のたびに持ち歩かなくてはいけません。

紙の資料を使用して業務を行っている人は、作業が非効率化したり、書類紛失のリスクが高まったりします。

ペーパーレス化を進め、書類をクラウド上で管理しておけるように準備するのがおすすめです。

席が固定化してしまう

従業員が毎日決まった席に座ってしまうケースも想定されます。

従業員にフリーアドレスオフィスを導入する目的が伝わっていないと、毎日異なる場所で仕事をする意義が見出せません。

従業員の席が固定化すると、フリーアドレスオフィスのメリットの1つである、従業員同士のコミュニケーションの活発化が起こらない可能性があります。

フリーアドレスオフィス導入の際は、目的を説明するだけでなく、決まった席に座らない仕組みづくりも大切です。

セキュリティ問題が発生する

大人数が勤務するフロアの場合、社内外の人の区別がつかず、セキュリティ問題が発生する場合があります。

複数の部署の人が入り乱れて着席する場合、隣の席が知らない人になるケースも珍しくありません。そのため社外の人が紛れ込んでいても、気が付かない可能性があるのです。

セキュリティ問題が起こらないようにするためには、入退室管理システムの導入や、社員証を常に携帯するなど、工夫する必要があるでしょう。

その他のフリーアドレスの失敗例については、下記の記事もチェックしてみてください。

「フリーアドレス失敗」については、こちらの記事をご確認ください。

フリーアドレスに向いている企業・部署の例



フリーアドレスオフィスは、もともとテレワークやペーパーレス化が進んでいる会社に向いている制度です。

従業員全員が毎日出社している場合や、資料を紙で管理している場合は、オンラインミーティングシステムなどの導入から始めなければならず、多額の予算がかかることが想定されます。

一部の部署のみフリーアドレスオフィスにする場合は、外出の多い営業部や、打ち合わせの機会が多い企画部・マーケティング部などが適しているといえるでしょう。

フリーアドレスに向いていない企業・部署の例

フリーアドレスオフィスは、機密情報を扱う部署が多い会社や、従業員の在席率が高い会社には向きません。

隣に同じ部署の人以外が座ることも想定されるため、機密情報のセキュリティ事故が発生する可能性が高くなります。

従業員の給与など、重要な書類を扱う経理部や、従業員情報を扱う人事部、デスクで仕事が完結しない開発・研究関連の部署は、フリーアドレスに向いていないといえるでしょう。

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事例から学べるフリーアドレスオフィス導入のポイント



フリーアドレスオフィスが成功している組織の事例を参考に、導入のポイントを説明します。

フリーアドレスオフィスを導入する際のポイントは、以下の5つです。

  • フリーアドレス導入の目的を明確にする
  • ABWを導入する
  • 在席率を計算する
  • グループアドレスを導入する
  • 運用ルールを決める

フリーアドレス導入の目的を明確にする

フリーアドレスオフィスを検討するために、導入の目的を決めましょう。

株式会社テラスカイは、従業員同士の交流を増やす、働き方を柔軟にする、エンジニアが働きやすいオフィスにする、という3点の目標を達成するためにフリーアドレスオフィスを導入しました。

上記の目的を達成するためにオープンスペースの導入や、働く場所の自由化を取り入れ、3つの課題を解決しています。

フリーアドレス導入の目的を最初に決めることで、オフィスのレイアウトや、取り入れるべきシステムを決めやすくなるでしょう。

ABWを導入する

ABW(Activity Based Working)を導入すると、フリーアドレスオフィスがうまく活用できます。ABWとは、従業員が仕事内容によって自由に勤務場所を選択する働き方のことです。オフィス内に留まらず、自宅やカフェなどで働いても問題ありません。

村田機械株式会社や株式会社ディー・エヌ・エーでは、働く場所の制限をなくしています。テレワークの従業員が多いため、デスクの削減や不要なフロアの閉鎖など、省スペース化やオフィスの維持管理費の削減にも成功しているのです。

在席率を計算する

自社にフリーアドレスオフィスが適しているかを確認するために、従業員の在席率を計算しましょう。フリーアドレスオフィスの場合、全員分の座席は必要はありません。

村田機械株式会社、環境省、神谷コーポレーション湘南株式会社の事例では、営業で外出する人やテレワーク利用者の数を鑑みて座席数を減らし、その分自由に使用できるスペースを増やしています。

部署別・曜日別・時間別に在席率の調査を行い、必要な座席数やレイアウトを決めていきましょう。

グループアドレスを導入する

部署内でやり取りする仕事が多い場合や、郵送物の受け取り、後輩指導などに不安がある場合は、完全なフリーアドレスではなく、グループアドレスの導入もおすすめです。

グループごとにシャッフルする機会を定期的に設ければ、他部署とのコミュニケーションの機会も創出できます。

株式会社ディー・エヌ・エーが導入しているのは、グループアドレス制です。フリーアドレスオフィスで人が探しにくくなる問題や、部門間の交流が不足する問題を解決しています。

運用ルールを決める

フリーアドレスオフィスを導入する際は、運用のルールを決めましょう。

決まった席に座らないために「毎日座席を変える」、荷物を増やさないために「個人の荷物はロッカーで管理する」など、運用のルールを決めておくとトラブルが起きにくくなります。

環境省では、1人が置ける荷物の量を、段ボール1箱分と決めています。無駄な資料の削減や職場環境の美化に成功しました。

まとめ

フリーアドレスオフィスの導入を成功させるには、導入の目的を明確化し、テレワークシステムの導入なども進める必要があります。

フリーアドレスオフィスでは、テレワークを導入するのが一般的です。毎日従業員の顔が見られない分、従業員のエンゲージメントを確認するのが難しくなります。

タレントパレットでは、従業員への簡単なアンケートで、モチベーションのチェックが可能です。あらゆるシステムのデータを統合して分析できるため、従業員の「やめたい」にいち早く気付けます。

「従業員のエンゲージメントを高めたい」「退職を食い止めたい」と考えている場合は、ぜひお問い合わせください。

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