カッツ理論とは?人材に求められる3つのスキルと3つの職階


カッツ理論とは?人材に求められる3つのスキルと3つの職階

カッツ理論は役職ごとに必要となる能力の割合を示したモデル図であり、人材育成や組織開発の指針として活用されているものです。

今回は、カッツ理論の基本的な捉え方やカッツ理論の活用法を紹介します。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。


カッツ理論は役職ごとに必要となる能力の割合を示したモデル図であり、人材育成や組織開発の指針として活用されているものです。また、人材によって求められるスキルが3つあり、それぞれポイントを押さえておく必要があります。


この記事では、カッツ理論の基本的な捉え方やカッツ理論の活用法を詳しく解説します。


カッツ理論とは

カッツ理論(カッツモデル)とは、役職ごとに求められる能力の割合を表したモデル図を指します。アメリカの経済学者であるロバート・L・カッツによって1950年代に提唱され、人材育成や組織開発の指針として活用されています。


カッツ理論では、様々な職種に必要とされる能力は3種類あり、職層の違いによって必要な能力の比率が変化すると考えられています。


人材に求められる3つのスキル


カッツ理論では、3つのスキルによって構成されています。「テクニカルスキル(専門能力)」「ヒューマンスキル(対人関係能力・人間理解能力)」「コンセプチュアルスキル(概念化能力)」のそれぞれについて解説します。


人材に求められるテクニカルスキル

カッツ理論におけるテクニカルスキルとは、業務を遂行する能力や定型業務に関する業務知識などをいいます。さらに具体的な個別のスキルを解説します。


PC活用能力

PCの活用能力とは、単にWordやExcel、PowerPointなどを操作する能力だけではありません。メールの作成や検索エンジンで効率的に情報を調べる能力、クラウドサービスに関する知識など、インターネットに関するスキルなども含まれます。


語学力

語学力は英語や中国語をはじめ、ドイツ語やフランス語など外国語の能力があげられます。加えて、日本語における敬語表現や文章作成能力なども含まれるといえるでしょう。


語学力とは、言語を学習することで得られた能力や学習によって身についた会話能力などを意味しています。


情報収集力

情報収集力とは、必要な情報を短い時間で収集できる能力をいいます。資料や文献などから調べる能力やインターネットを通じて得られる情報をきちんと取捨選択して、整理できる能力を指します。


人材に求められるヒューマンスキル

ヒューマンスキルとは、対人関係に関する能力であり、他者との良好な関係を構築できるスキルだといえます。ヒューマンスキルに当てはまるものを紹介します。


コミュニケーション力

コミュニケーション能力とは単に会話に長けているだけでなく、相手の性格や反応を見て適切な対応ができる能力をいいます。人と人とが意思疎通を図る上で、基礎的な能力となるものであり、ビジネスにおいても重要なスキルの1つです。


直接対面で会話をする能力だけでなく、メールやチャットツールなどでやりとりをする部分も含まれます。


ヒアリング力

ヒアリング力は一般的に傾聴力ともいわれますが、相手の話に耳を傾けて、何を伝えたいのかを汲み取る力だといえるでしょう。適切に返事をすることで、相手が話しやすいように促したり、質問をしたりして会話を円滑に進められる能力を指します。


相手の話をただ聞くだけでなく、質問力や話の仮説を立てられる能力ともいえます。


プレゼンテーション力

プレゼンテーション力は、分かりやすく内容を伝え、相手の納得や同意を得るための力です。資料の作成能力と捉えられがちですが、資料をもとに話をする部分も含まれます。


論理的に物事を考えながらも、身振り手振りなどを交えながら、感情的に訴えかけていく能力を指します。


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カッツ理論を用いることで、人材に求められるスキルを客観的に捉えられます。より詳しく、人材の適性を見極めるにはツールを活用することも検討してみましょう。


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コンセプチュアルスキル

コンセプチュアルスキルとは、知識や情報を分析することによって、特定の事象が組織やチームでどのように作用しているかを見出し、物事の本質を捉えていく能力だといえるでしょう。コンセプチュアルスキルの具体例として、3つの能力を解説します。


ロジカルシンキング

ロジカルシンキングは、論理的思考とも呼ばれるものであり、論理に矛盾がない説明手法をいいます。複雑な状況でも問題を分解して整理し、構造化することで何か課題であるかを明らかにする能力です。


先に述べたプレゼンテーション力はロジカルシンキングの能力が必要であり、経験を積むことで次第に磨かれていく能力だといえます。


ラテラルシンキング

ラテラルシンキングとは水平思考とも呼ばれ、特定の問題を解決するために、これまでの常識や方法論などに縛られず、物事を多角的に考察していく能力だといえます。これまでと違った角度から物事を捉えるため、新しい発想を生み出すきっかけにもなるでしょう。


クリティカルシンキング

クリティカルシンキングは批判的思考と呼ばれるものであり、物事を冷静な視点で客観的に判断しようとする志向プロセスを指します。自らの感情や他人の意見に流されずに、物事の本質を捉えていく能力です。


カッツ理論に見る3つの職階

カッツ理論では、職階を「ローワーマネジメント(監督者層)」「ミドルマネジメント(管理者層)」「トップマネジメント(経営者層)」の3つに分けています。それぞれの職階について解説します。


トップマネジメント

トップマネジメントは、カッツ理論の最高位に位置するもので、経営者層を指します。社長やCEOといった経営幹部のことであり、企業であれば取締役などです。


経営方針を策定し、環境に応じた事業計画の立案や組織全体のマネジメントを担う立場にあります。また、経営に対して責任を取る立場でもあります。


ミドルマネジメント

ミドルマネジメントは、カッツ理論の職階では2番目に位置付けられるものであり、部長や課長などの中間管理職、主任などの職位を指します。トップマネジメントによって決められた経営方針や意思決定をローワーマネジメントに伝える役割を担っています。


ローワーマネジメント

ローワーマネジメントは、カッツ理論における職階の1つであり、「監督者層」を指します。具体的には、現場監督や店長などがあたります。


企業や業種などによって、呼び名は異なりますが現場における責任者を意味しています。ローワーマネジメントは、ミドルマネジメントから受けた指示をもとに、現場において具体的な作業を行う立場です。


いかに効率良く業務を遂行するかが問われているといえるでしょう。


カッツ理論の活用法


カッツ理論の基本的なポイントを押さえた上で、実際に活用していく方法を見ていきましょう。3つのスキルに応じた研修について紹介します。


コンセプチュアルスキルに応じた研修の実施

コンセプチュアルスキルを身につけるための研修は、集合型研修が適しています。コンセプチュアルスキルは主に、ロジカルシンキングなどの思考法、知的好奇心などのビジネスマインドといった抽象的な能力が中心となっているからです。


そのため、落ち着いた環境で能力について正しく学ぶ機会を設ける必要があります。普段の業務とは切り離す形で、集合型研修を実施してみましょう。複数人で研修を行えば、グループワークなどに取り組みやすく、より効率的にスキルを身につけられるはずです。


ヒューマンスキルに応じた研修の実施

ヒューマンスキルの場合、集合型研修とOJTを組み合わせる形で実施すると良いでしょう。集合型研修では主に座学で基礎知識を学び、グループワークなどを通じて定着度を測れます。


コミュニケーション力やヒアリング力などは、ロールプレイングを通じて磨いてみるのが適しています。また、OJTにおいてはヒューマンスキルが高い従業員を講師役に立てると効果的です。


営業職であれば、現場での体験を通じてプレゼンテーション力や提案力などを身につけられます。そして、コーチングなどをテーマとした外部研修に参加させてみるのも良いでしょう。


自社にはないノウハウについては、外部のリソースをうまく活用してみてください。


テクニカルスキルに応じた研修の実施

テクニカルスキルを身につけるには、OJTが適しているといえます。業務遂行に必要な知識や技術などは、経験豊富な従業員が指導を行うほうがスキルアップに結びつきやすいでしょう。


ただし、指導役の経験や能力によって指導内容に偏りが出る恐れがあるため、指導役向けの研修もあわせて行うほうが無難です。また、業務と並行しながら部下を指導する形となるため、指導役の業務負担を適切に調整してみましょう。


カッツ理論に基づいた人材育成

カッツ理論を基にして、人材育成を行うときには3つのポイントを意識しておく必要があります。各ポイントについて解説します。


自社が求める能力を具体化して示す

カッツ理論をもとに人材育成を行うには、自社が求める能力を明確に示しておく必要があります。将来の経営計画や人材戦略なども踏まえた上で、どのような人材に育ってほしいかを経営者層が具体的に示すことが大事です。


人材育成の目的が曖昧なままだと、研修そのものが中途半端なものになりかねないので注意しましょう。現場担当者の意見も交えながら、自社が必要とする人材を明らかにしてみてください。


スキル別に研修をする

カッツ理論で取り上げているスキルは広範囲に及ぶため、一遍に身につけるのは難しいといえます。そのため、優先して習得させたいスキルを明示し、スキル別に研修を実施しましょう。


また、研修を実施して終わりではなく、その後に面談を行ったり定期的に効果測定を実施したりするのが大切です。


日々の業務に絡めた教育

カッツ理論であげている各種スキルは、日々の業務を通じて身につけられるものも多いです。そのため、人材育成の対象者の業務と絡めながら、教育を施せないかを検討してみましょう。


現場担当者の協力も必要になるため、事前に人材育成の趣旨を伝えて、理解を得ておくことも大事です。まずは小さな目標から立てて、達成感を味わってもえばモチベーションのアップにもつながるでしょう。


まとめ

カッツ理論は、人材開発や組織開発の指針を示したモデル図を指します。職階や人材ごとに求められるスキルを明らかにしていくことで、個々の人材の適性に合わせた能力を引き出していけるでしょう。


また、強い組織づくりを行うためにも、カッツ理論は有効です。より効率的にカッツ理論を実践していくには、「タレントマネジメントシステム」の活用を検討することも大事だといえます。


タレントマネジメントシステムとは、人材の能力やスキルを最大限に発揮してもらうために、人材データを集約・一元管理して、高度な意思決定を可能にするシステムのことです。各人材のスキルや保有資格、経歴などのデータをもとに、計画的な人材育成や高度な配置戦略を練るために活用できます。


また、タレントマネジメントシステムである『タレントパレット』は、データに基づいた科学的な人事を実現するためのシステムです。あらゆる人事データを蓄積・統合することにより、精度の高い分析を行い、カッツ理論を基にした人材開発、組織開発に役立てられるでしょう。


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