人材評価エラーの種類と対策|どのような評価エラーがあるのか詳しく解説!


人材評価エラーの種類と対策|どのような評価エラーがあるのか詳しく解説!

人材評価の課程で、評価エラーが発生する場合があります。評価エラーには多くの原因があるため、原因別に対策をとらねばなりません。
ここでは、企業の経営者や人事担当者に向け、人材評価エラーの種類と原因を紹介します。原因別の対策も解説するため、公正な人材評価に生かしてください。

公正な人材評価をするためのポイント

公正な人材評価のためには、適切な評価基準や評価項目の設定が求められます。評価基準とは、業績や課題の達成状況、雑用やルーティーンワークへの貢献度を測る指標です。評価項目とは、各評価基準をチェックするための項目です。


人材評価は、社員の処遇にかかわるため公正に実施されねばなりません。評価者は評価基準と評価項目の内容を正しく理解し、社員が納得できる評価をしましょう。


評価者が注意すべき評価エラーとは?

評価エラーとは、評価者の感情や決めつけなどにより、評価に誤差が生じる問題を指します。評価方法には相対評価と絶対評価があり、絶対評価のほうが、評価者の判断力が問われます。相対評価では比較対象者同士で優劣をつける一方、絶対評価では一定の基準に対して優劣をつけるためです。さまざまな評価エラーについては、のちほど詳しく解説します。


評価エラーにより生じる影響

評価エラーは社員の処遇に影響するだけでなく、組織全体に悪影響を及ぼします。評価エラーにより生じる影響を紹介します。


社員のモチベーションが低下する

多くの社員は、評価基準や評価項目を意識して業務に取り組んでいます。正当に評価されなければ、社員は頑張りが報われない労働環境に失望してしまいます。また、評価基準や評価項目が意味をなさなければ、社員は目標とすべき状態もわかりません。


組織全体の生産性が低下する

なぜ自身よりもほかの社員が評価されるのかと、評価に対して不満をもつ社員がでる可能性もあります。評価エラーにより職場の人間関係がギクシャクすると、チームワークや部門同士の連携が弱体化し、組織全体の生産性が低下します。


上司や人事に対する信頼性が低下する

評価エラーは、社員の処遇にかかわります。自身の思惑に反して評価が低ければ、社員は上司や人事に対する不信感を募らせかねません。この職場では自身を評価してもらえないと決断した社員は、離職を選ぶ可能性があります。


組織力が低下する

評価エラーが起きると、優秀な人材が日の目を見る機会が失われ、組織力が低下します。組織力が低下すると、商品やサービスの質が悪化したり、ビジネスのチャンスを逃したりするリスクが懸念されます。

評価エラーとは|評価エラーの定義や発生原因・企業に及ぼす影響・対策などを解説!

評価者が陥りやすい人材評価エラーの種類

評価者が陥りやすい人材評価エラーを解説します。自社の評価者がどのような傾向にあるか分類しましょう。


評価対象者の印象が影響する「ハロー効果」

ハロー効果とは、特定の目立った印象にほかの評価項目も影響を受ける現象です。たとえば、印象のよい社員は高評価を得がちです。一方、「挨拶をしない」「服装が社風にあわない」など印象がよくない社員は、低評価を受けるケースがあります。評価項目同士を混同させては、正当な評価ができません。


評価が中心に偏ってしまう「中心化傾向」

中心化傾向とは、「5段階評価の3」など無難な評価に偏ってしまうことです。実際に社員の能力が平均的であれば問題はありません。しかし、複数の評価対象者の能力に大差がなければ、評価エラーが起きている可能性があります。


中心化傾向は、能力が十分に把握されていなかったり、評価者のスキルが不足していたりする場合に発生しがちです。また、評価対象者に忖度する気持ちから、評価者が極端な評価を避けている場合もあります。


評価が極端に偏ってしまう「極端化傾向」

極端化傾向にある評価者は、評価対象者に「5段階評価の1や5」のような偏った評価を下します。極端化傾向について解説します。


寛大化傾向

寛大化傾向は、極端化傾向の一種です。寛大化傾向が起きると、評価が甘くなります。評価者が業務にかかわった経験がない、業務にそれほど精通していないなどの状態は、寛大化傾向を引き起こしがちです。実態にあわない高評価は、社員の成長を阻害しかねません。


厳格化傾向

もう一つの極端化傾向が、厳格化傾向です。評価者が業務内容に詳しい、業務遂行能力が高いなどの場合には、厳格化傾向が発生しがちです。厳格化傾向が起きると、評価が極端に厳しくなってしまいます。


最終評価から逆算して評価する「逆算化傾向」

逆算化傾向とは、最終的な評価があらかじめ決まっている状態で、つじつまをあわせるように評価項目を埋めてしまう評価エラーです。たとえば、昇進や昇給が決まっている社員には高評価が求められるため、逆算化傾向が起きがちです。


推論で判断してしまう「論理誤差」

評価者の根拠のない決めつけによる評価エラーを、論理誤差と呼びます。評価項目や評価対象者への理解に欠ける評価者は、無意識に推測による補正を行いがちです。


たとえば、「スポーツ経験があるから忍耐強い」「有名大学出身だから業務遂行能力が高い」「高学歴だから専門性に長けている」などの決めつけが、論理誤差を引き起こします。


評価者自身を基準にしてしまう「対比誤差」

対比誤差とは、評価者自身のスキルや能力を基準に、評価対象者をみてしまうエラーです。たとえば、評価基準とは関係なしに、自身より丁寧に資料を作成する評価対象者を「資料作成能力が高い」と判断した場合は、対比誤差といえます。評価者の能力を基準にしていては、評価の客観性が損なわれてしまいます。


評価期間中の最後の評価が強くなる「期末誤差」

期末誤差とは、評価期間の終わりに発生したものごとほど、評価に影響を及ぼす状態です。たとえば、「期末に起きた失敗に過度の低評価をつける」「期初の失敗は評価に含めない」などは期末誤差です。同程度の貢献や失敗であれば、時期によって評価を変えないように注意しなければなりません。

タレントマネジメントシステム「タレントパレット」なら、実際の評価データをもとに評価者の傾向を診断。評価エラーが起きていないか確認することが可能です。

評価エラーの種類別の対策

評価エラー別に、対策を紹介します。評価エラーごとに適切な対策を検討し、公正な評価に役立てましょう。


ハロー効果の対策

ハロー効果を防止するためには、明確な評価基準や評価項目の設定が大切です。迷う余地のない基準があれば、評価者の思い込みや決めつけを防げる可能性があります。日常的な評価対象者の態度や行動をつぶさに記録させ、評価に反映させましょう。また、公正な評価のためには、項目ごとに評価者を変えることも有効です。


中心化傾向の対策

中心化傾向は、評価者の自信のなさから起きがちです。そのため、中心化傾向を防ぐためには、評価者に評価基準や業務内容を理解させ、余裕ある評価期間を確保する必要があります。


また、「評価項目を具体的にまとめる」「評価対象者に対する評価者の割合を増やす」などのサポートも必要です。


極端化傾向の対策

極端化傾向を避けるためには、評価の目的を理解し、評価基準を明確にする必要があります。寛大化傾向がみられる評価者については、評価は社員の成長のためという目的を理解させましょう。甘い評価を下す危険性を理解すると、適正な評価につながる可能性があります。


一方、厳格化傾向がみられる評価者については、評価と指導を混合しないように指導しましょう。


逆算化傾向の対策

逆算化傾向に備えるためには、評価項目や評価基準を明確にして、評価者にとって都合のよい判断を避けさせましょう。たとえば、定量評価できる項目を盛り込んでください。営業利益を○%アップさせるなど、数値化された目標を基準にすると評価者の気持ちが入りにくくなります。また、総合評価と各項目を別々の評価者に任せると、評価の公平性が増します。


論理誤差の対策

評価に対する説明会や研修の機会を設け、評価者に正しい評価のあり方を学んでもらいましょう。組織として、人事評価をどのようにとらえているかも伝える必要があります。評価者の思い込みや決めつけが、評価過程でどのように悪影響をもたらすか認識させることも重要です。


評価項目の定量化や、業務日報による事実確認のルール化なども、評価対象者の印象に左右されにくい評価体制を構築できます。


対比誤差の対策

対比誤差の対策としても、上述した数々の評価エラーへの対策と同じく、評価項目の明確化や評価基準を適切にすべきです。たとえば、可能な限り定量的な指標を導入すると、評価基準がぶれにくくなります。


また、評価者自身のスキルや能力を基準にする評価方法では、社員の個性をつぶしてしまう可能性があります。評価制度や人材育成に関する説明会や研修を実施して、正しい評価について学ばせましょう。


期末誤差の対策

評価期間全体のできごとを平等に評価できるように、定期的な面談を通じて、評価者に評価対象者の状況を確認させましょう。評価期間が長いほど、期末誤差が発生する可能性は高まります。あとで全体を見直せるように、常日頃からの記録は欠かせません。


評価対象者に中間報告を出させたり、評価者側にもこまめに記録をつけるよう促したりして、最終的な評価に反映させましょう。

適切な人材評価をするための注意点

適切な人材評価をするための注意点を紹介します。コミュニケーションの強化や、評価者の意識の変革などに注力しましょう。


フィードバックをする

評価結果をもとに、評価対象者へのフィードバックを実施させましょう。高頻度にフィードバックを実施するほど、評価対象者の実態をつかめます。また、課題や解決策をすりあわせできると、評価者と評価対象者間の信頼関係が構築されます。


人材育成につなげる

評価者に対し、評価や面談は人材育成につながるという意識をもたせましょう。自身の評価が人材育成や組織力強化に結びつくと考えると、評価者は適正な評価の大切さを理解しやすくなります。


コミュニケーションを重視する

数字やデータでは見えない部分を補うために、評価者と評価対象者とのコミュニケーションを重視しましょう。適切な評価のためには、フィードバックのみでは不十分です。日常的なやりとりを通じ、評価者と評価対象者の信頼関係を構築させましょう。

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まとめ

評価エラーが起きると、社員のモチベーションが損なわれ、組織全体の生産力が低下したり、組織力が低下したりする懸念があります。評価者が陥りやすい評価エラーにはたくさんの種類があります。評価エラーごとに対策を打ち、公正な評価に努めましょう。


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