マトリクス組織とは?種類や特徴、導入している企業例などを解説


マトリクス組織とは?種類や特徴、導入している企業例などを解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

昨今、国内企業では人手不足が問題となっており、採用に苦戦する企業が増加しています。

このような状況下で注目されているのがマトリクス組織です。この記事では、マトリクス組織の意味や種類、メリットや導入している企業の事例などを詳しく解説します。

マトリクス組織の意味と種類

マトリクス組織は、近年、日本国内において注目され始めた組織体制です。マトリクス組織では、国内企業の弱みを補う体制構築が可能といわれ、期待されています。

ここからは、マトリクス組織の意味や種類について詳しく解説します。

マトリクス組織とは

マトリクス組織とは、従業員が職能や事業、エリア別など複数の部門に配置され、複数の事業やプロジェクトに従事する組織形態を指します。(マトリックス組織と呼ばれることもあります。)これは、マトリクス図のように、縦軸と横軸で構成された組織体制です。

一般的な国内の組織図は、ピラミッドのようにトップからそれぞれの部門に部署が分かれています。この場合、トップの経営方針や事業内容が、それぞれ下の部門に流れていくことで業務を進めていきます。一方、マトリクス体制では、指揮系統が複数に連なる点が特徴です。

マトリクス組織は、大きく分けると3つのタイプがあり、業務内容や企業の組織風土によって取り入れるタイプは異なります。

マトリクス組織における3つのタイプは以下の通りです。

・ストロング型
・ウィーク型
・バランス型

ここからはそれぞれタイプ別の特徴を解説します。

ストロング型

プロジェクトごとに、マネージャーを配置するタイプがストロング型です。この場合、マネジメント専門の部署を別に設置し、その部署からプロジェクトマネージャーを配置します。そのため、専門性を持ったマネジメントが期待できるでしょう。

マネージャーが強い権限を持つことによってプロジェクトが進み、メンバーの負担も軽減される点がメリットとして挙げられます。

反面、プロジェクトマネジメントに特化した新部署設立のコストや、マネジメントのスキルをどう高めるかといった問題にも向き合わなければなりません。

ウィーク型

ストロング型とは正反対のタイプがウィーク型です。ウィーク型の特徴として、プロジェクトマネージャーを配置しない点が挙げられます。

通常のプロジェクトでは、マネージャーやリーダーなどの責任者を決め、リーダーの指示のもと業務に取り組みます。しかし、ウィーク型では明確なプロジェクトマネージャーがいません。メンバーの自由度が高く自主性に沿った行動ができ、柔軟な動きができる点がメリットです。

ただし、これはデメリットともいえます。マネージャーがいないため指示系統があいまいになってしまい非効率的な組織ともなりかねません。プロジェクトの方向性もずれやすく、声の強い従業員のやりたいように進むリスクが挙げられます。

バランス型

マトリクス組織体制の中で、最も多い方法がバランス型でしょう。プロジェクトに参加したメンバーからプロジェクトマネージャーを選び、業務を進めていくスタイルです。

全体を把握したマネージャーで、しかも現場がよくわかっていると、現実的な進め方でスムーズに業務が進みやすくなります。一緒に汗をかいている方がマネージャーになりますので現場の従業員も協力しようという意識が強くなるでしょう。

しかし、マネージャーとなるものは現場での業務も抱えなければいけません。負担が大きくなってしまい、仕事量がひとりだけ膨大になってしまう可能性も考えられます。

バランス型も他のふたつのタイプ同様、メリットもデメリットもありますので、双方をきちんと理解しておきましょう。

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マトリクス組織のメリット



マトリクス組織の導入により、いくつかのメリットが考えられます。ここからは、マトリクス組織のメリットについて詳しく解説します。

生産性が高まる

マトリクス組織では、プロジェクトごとにさまざまな部署が参加して、業務に取り組むのが特徴です。そのため、違う部署の人ともコミュニケーションが取りやすくなって、方向性が共有されやすくなるので、1つのプロジェクトが終了しても、お互いに業務をサポートできる関係性が築けるでしょう。これは、マトリクス組織におけるメリットといえます。

プロジェクトの全体像もわかりやすいので、自分たちの業務が与える影響や、円滑に進めるための手段を見つけやすくなるでしょう。結果として、品質の向上や生産性が高まります。

従業員の能力向上

マトリクス組織では、さまざまな部署と同じプロジェクト内において連携が取りやすくなります。自分の所属部署以外の業務内容を把握するのは、従来の組織では難しかったといえるでしょう。

マトリクス組織では、他の部署がどんな業務を行っているか、把握しやすくなるのが特徴です。他部署の業務内容が理解できると、自部署における業務効率化のヒントにもなるでしょう。

また部署間で情報を共有することにより、業務効率化も図れます。部署だけではなく、会社全体の業務内容を理解している従業員が増え、従業員の能力向上にもつながるでしょう。

マトリクス組織のデメリットとは



マトリクス組織には、注意したいデメリットもあります。ここからは、マトリクス組織のデメリットについて解説します。

デメリットについては詳しくはこちらの記事でも取り扱っていますのでぜひチェックしてください。

「マトリクス組織デメリット」については、こちらの記事をご確認ください。

仕事量が偏りやすい

マトリクス組織では、1人の従業員が複数のプロジェクトや部署に配置されます。人員が満遍なく配置されればいいのですが、ともすると、業務が1人に偏ってしまうことになりかねません。

他部署との連携性が深い部署や、経営企画などプロジェクトに選ばれやすい部署に在籍している場合は、全社的なプロジェクトに関わる機会も多く、仕事量が膨大になってしまう可能性も考えられます。複数のプロジェクトに関わっているメンバーが休みに入ると、一気にプロジェクトが停滞してしまう可能性もあるでしょう。

部署間の対立が起こりやすくなってしまう

マトリクス組織において、非常に重要ポイントとなるのが、マネージャーの配置です。プロジェクトによっては、マネージャーが複数になることもあります。

責任者が複数になると、意見の食い違いが起こった場合、対立が起こりやすくなってしまいます。部署間の対立やいざこざに発展してしまうと、当該プロジェクトが停滞するだけではなく、後々まで悪い影響を残すかもしれません。

マネージャーが複数になる場合は、双方が綿密な打ち合わせを繰り返し、コミュニケーションを取らなければいけません。マネージャーの決め方などをルール設定しておかなければ、マトリクス組織がまったく機能しない状態になってしまうでしょう。

マトリクス組織を取り入れた企業例

これまで、国内では、ピラミッド型の組織編成が一般的でした。しかし、国内においてもマトリクス組織体制を採用する企業も見られます。ここからは、マトリクス組織を取り入れた企業の事例について解説しましょう。

トヨタ自動車株式会社

日本でも有数の国際企業として名前の挙がる企業のひとつが、トヨタ自動車株式会社です。トヨタ自動車には、7つのカンパニーがあり、それぞれに地域別に複数のビジネス拠点があります。

トヨタ自動車では、これらのカンパニーとビジネス拠点を組み合わせたマトリクス組織を構成しています。トヨタの取り組みとして、乗用車専用のチームや商用車専用のチーム、各種機能別のプロジェクトなどでもチームが作られました。

販売車別や機能別のプロジェクトを作り、取り組むことによって特化したニーズや、トレンドなどを反映しやすくなります。多くのグループを持つトヨタ自動車の強みを存分に生かした組織体制としてマトリクス組織を選択し、機能させています。

株式会社村田製作所

電子部品の製造や販売などの分野で国内を代表する企業が、株式会社村田製作所です。商品と製造をそれぞれ別々の軸として、マトリクス組織を形成しています。

グループ会社も軸とした三次元構造により、グループ全体の効率性や品質などを向上させています。マトリクス組織により、商品と製造を軸としたプロジェクトを作って事業に取り組むことで、作業の無駄がなくなり、全体的なパフォーマンス向上につながるでしょう。

花王株式会社

花王株式会社というと、石鹸のイメージが強いのではないでしょうか。しかし、スキンケアやヘルスケア、ケミカル分野など、事業分野が非常に幅広い企業です。

花王のマトリクス組織としての軸は、物質科学・生命科学といった専門性が挙げられます。もうひとつの軸は、化粧品やスキンケアなどの事業面です。

多様な分野に渡って事業展開をする花王ならではの特徴を生かした組織体制になっているといえるでしょう。

まとめ

ひとりの従業員が、複数の部署にまたがって活躍することもあるのがマトリクス組織の大きな特徴です。ただし、従業員ひとりに業務が偏ってしまう可能性があるので、今まで以上に人事管理が複雑化するといえるでしょう。

マトリクス組織では、正しい評価を下すにはしっかりとした人事管理が必要となります。人事管理を一元管理できる人事管理システム、「タレントパレット」などを取り入れることをおすすめします。

タレントパレットを取り入れることで、誰がどのプロジェクトに配置されているか、一目で確認できるため、仕事量などを分析し、適切な配置ができます。離職率の低下にも役立つシステムといえるでしょう。

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