法定休日と所定休日は付与する日数が異なる!賃金割増率や正しく運用する方法を解説


法定休日と所定休日は付与する日数が異なる!賃金割増率や正しく運用する方法を解説

法定休日と所定休日は同じ休日ですが、出勤させた際に支払う賃金が異なります。正しく運用しないと、トラブルに発展するリスクがあるので要注意です。本記事では、法定休日と所定休日の違いについて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。


「法定休日と所定休日の違いがよくわからない」「休日によって賃金の計算方法が異なるのか」「法定休日と所定休日の設定方法を知りたい」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。


法定休日と所定休日では、社員に与えるべき日数や出勤させた際に支払う賃金が異なります。認識が誤っていると、法律違反になるので注意が必要です。


そこで本記事では、法定休日と所定休日の違いについて解説します。賃金の計算や休日の設定・運用に役立てられる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。


法定休日と所定休日の違い


法定休日と所定休日は割増賃金や設定方法が異なるため、企業の人事担当者や経営者は理解しておく必要があります。休日は、労働基準法によって定義や設定のルールが定められています。違反すると、6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金を支払わなければなりません。法律を守るだけでなく、社員とのトラブルを未然に防ぐためにも、法定休日と所定休日の違いを把握しておきましょう。


法定休日とは労働基準法で定められている休日


法定休日とは、会社が社員に与えなければならない休日です。労働基準法35条では、会社は社員に対して、毎週1日以上、あるいは4週に4日以上の休日を与えることが定められています。違反すると、罰則として6か月以下の懲役または30万円以下の罰金刑に処されるので要注意です。


また労働基準法32条では、1日8時間以上、週に40時間以上働かせてはならないと定められています。法定休日を付与し、1週間に6日間勤務させるなら、1日の労働時間を6時間40分未満にしましょう。週休2日にするなら、1日の労働時間を8時間未満に設定すれば問題ありません。


会社には社員に休日を与える義務があり、守らないと法律違反になります。労働時間を考慮し、適切な日数の法定休日を与えましょう。


参照元:e-Govポータル|労働基準法


所定休日とは会社が付与する労働契約上の休日


所定休日とは、労働契約で企業が定める休日です。「法定外休日」とも呼ばれています。基本的に任意で設定できるため、会社によって所定休日の日数や曜日が異なります。ただし、労働基準法32条を守るには、労働時間を1日8時間以下かつ週に40時間以下にしないといけません。


1日8時間労働の場合、週休2日にする必要があります。なぜなら、1日8時間労働で休日が1日のみだと、週の労働時間が48時間になり、法律違反になるためです。週に休日を2日付与し、一方は法定休日、他方は所定休日としている企業が多いです。


ちなみに、祝日を必ずしも休日にする必要はありません。休日については、就業規則に明記しておきましょう。


法定休日・所定休日に出勤させた場合の賃金割増率


ここでは、法定休日と所定休日の割増賃金の計算方法を解説をします。法定休日と所定休日に出勤させた場合、会社が支払う賃金が異なります。なぜなら、賃金の割増率が異なるためです。


正しい割増率で計算しないと、金額を誤ってしまいます。社員とのトラブルを未然に防ぐためにも、法定休日や所定休日に出勤させた際の割増率を把握しておきましょう。


法定休日出勤の割増率は35%以上


労働基準法37条によると、法定休日に出勤させた場合は、35%以上の割増賃金を支払います。例えば1日あたりの基礎賃金が1万円なら、法定休日に同一の時間労働させると、1万3,500円以上を支払う必要があります。法定休日の労働が深夜にまで及べば、さらに25%の割増率を適用します。つまり、法定休日の深夜労働の割増率は60%になるということです。

また、法定休日の割増率35%は下限であるため、より多く支払うことも可能です。ただし、割増賃金を一度高く設定すると、下げられません。一度設定した割増率を下げると、労働基準法第1条に違反します。法定休日出勤の割増賃金について詳しく知りたい方は、別記事「法定休日割増」をあわせてご確認ください。

参照元:e-Govポータル|労働基準法


法定労働時間を超える所定休日出勤の割増率は25%以上


所定休日は、法律により定めなければいけない休日ではないため、社員に割増賃金を支払う義務はありません。しかし、1週間の労働時間が40時間を超えた場合は、時間外労働の扱いになり、割増賃金を支払います。時間外労働の割増率は、25%以上です。

時間外労働かつ深夜労働の場合は、さらに25%が上乗せされて合計50%以上の割増率を適用する必要があります。たとえば、週休2日制で月曜から金曜まで8時間労働させたとします。5日間の勤務で労働時間の合計が40時間になるため、同一週内の所定休日に出勤させると、時間外労働となります。


合計の労働時間が40時間を超えていなかった場合、達するまでは所定休日に働かせても割増賃金が発生しません。1日の労働時間が7時間なら、5日間で35時間になります。同一週内の所定休日に出勤させても、労働時間が5時間以内なら、賃金の割り増しは不要です。

参照元:e-Govポータル|労働基準法


振替休日と代休の違い


振替休日と代休もともに休日ですが、与えるタイミングや賃金の計算方法が異なります。正しく給与を計算するには、振替休日と代休の違いを理解する必要があります。給与計算のミスによって社員とトラブルになることもあるため、正しい知識を身に付けておきましょう。


振替休日は休日出勤させる前に付与する【原則割増賃金なし】


振替休日とは、前もって出勤日の代わりに付与する休日です。法定休日である日曜日に出勤させ、同一週内の水曜日を休日にするなどが可能です。休日と出勤日を交換しただけなので、基本的に割増賃金は発生しません。


ただし、休日出勤した週の総労働時間が40時間を超過する場合は、割増賃金を支払います。40時間を超過した分は時間外労働の対象になり、25%以上の割増率を適用します。また、振替休日は出勤日の前日までに決定し、社員に通知しましょう。前もって設定しないと、振替休日とみなされないため注意が必要です。


代休は休日出勤させてから付与する【割増賃金あり】


代休とは、休日勤務させた後に、出勤日となった日の代わりに与える休日です。あらかじめ休日と出勤日を交換していたわけではないため、割増賃金が発生します。例えば、法定休日に労働させると、通常の賃金に35%以上割り増しして支払う必要があります。


また、代休は付与しなくても問題ありません。しかし代休を与えないと、週の労働時間が40時間を超える可能性があります。超過分は、時間外労働の割増賃金が発生します。


法定休日や所定休日を正しく運用する4つのポイント


法定休日や所定休日を正しく運用するために、以下の4つの注意点を押さえておきましょう。


  • 労働基準法の要件を満たす
  • 36協定を締結しておく
  • 休日に関する事項を就業規則に明記する
  • 割増賃金を正確に計算する


注意点を把握しておくと、正しく休日の設定や運用ができるようになりますので、経営者の方はぜひご覧ください。


労働基準法の要件を満たす


法定休日と所定休日を正しく運用するには、労働基準法を守るために、以下の2点を満たす必要があります。


  • 1日8時間の労働、週に40時間の労働時間を超えてはいけない
  • 週に1回以上もしくは4週間に4回以上の休日を付与する


遵守しなければ法律違反となるため、社員の労働時間や休日をしっかりと管理しましょう。タレントパレットを活用すると、労務管理の負担を軽減できます。労働時間を把握したり、休日を正しく設定したりしたい方は、ぜひ導入をご検討ください。


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36協定を締結する


法定休日に労働者を働かせたり、時間外労働させたりするなら、36協定の締結が必要です。労働基準法の第36条に記載されている内容のため、一般的に36協定と呼ばれています。36協定を締結する際は、事業所の代表者が管轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。


該当する社員が1人でも、届出は必要です。怠ると法律違反となり、罰則(6カ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金)が科されます。休日出勤を命ずる可能性があるなら、36協定を締結しましょう。法定休日の出勤について詳しく知りたい方は、別記事「法定休日出勤」をあわせてご確認ください。


参照元:厚生労働省|労働基準法第36条(時間外・休日労働協定)について


休日に関する事項を就業規則に明記する


休日日数や週の起算日などの休日に関する規定は、就業規則の絶対的記載事項とされています。労働基準法を遵守できれば問題ないため、必ずしも法定休日や所定休日を特定する必要はありません。しかし、休日出勤させた場合は、法定休日と所定休日を区別しないと、正しく割増賃金を計算できません。


法律的には違反でなくても、実務での負担が大きくなる可能性があります。特別な理由がないなら、法定休日と所定休日を特定しましょう。トラブルを未然に防ぐためにも、休日に関する規定を詳細に明記しましょう。


参照元:厚生労働省|【リーフレットシリーズ労基法89条】就業規則を作成しましょう


割増賃金を正確に計算する


割増賃金を正確に計算できないと、社員とのトラブルが生じることがあるので要注意です。休日出勤させた場合、法定休日と所定休日で割増賃金の計算方法が異なります。割増賃金は、以下の条件によって変動します。


  • 割増率はいくらに設定するのか
  • 所定休日の労働時は時間外労働が発生しているか
  • 深夜労働の割増はあるか


少しでも間違っていたり、認識が誤っていたりすると、社員とトラブルになりかねません。状況に応じて、正しく賃金を計算できるようになりましょう。


法定休日 所定休日のまとめ


法定休日は、週に1日あるいは4週に4日は与える必要がある休日です。一方で、法定休日は任意の日数を付与できます。しかし、1週間の労働時間の上限が40時間と法律で定められているので、遵守できるように休日を設定しましょう。


所定休日と法定休日では、出勤させた際の割増賃金の計算方法が異なります。賃金の計算を誤ると、法律違反になってしまいます。所定休日と法定休日がどのように違うのかを理解した上で、適切な割増率で賃金を計算することが重要です


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