人材不足は業界ごとに格差がある!3つの原因や解消方法について解説


人材不足は業界ごとに格差がある!3つの原因や解消方法について解説

近年では少子高齢化や労働人口の減少により、優秀な人材を獲得することが難しくなっています。今後、人材不足はより深刻になることが予測されるため、会社内の人員不足に悩む経営者や採用担当者は多いのではないでしょうか。


そこで本記事では、人材不足の原因と具体的な対策について解説していきます。


人材確保と離職防止の対策がわかり、優秀な人材を社内に残せるようになりますので、人材不足に悩む方はぜひ最後まで読んでみてください。


人材不足が深刻化している業界6選

慢性的な人材不足は、会社において課題となっています。特に、慢性的な人材不足となっている業界としては、以下の6つが挙げられます。


  • 建設業界
  • 運送業界
  • 介護業界
  • 医療業界
  • 飲食業界


建設業界

厚生労働省が令和3年7月に発表した有効求人倍率において、建築・土木・測量技術者は5.27倍でした。5.00倍だった令和2年からわずかに増加していますが、今でも有効求人倍率が高く、求職者が少ないことがわかります。


建設業における、人材不足の3つの原因をより詳しく解説します。


若年層が少ない


国土交通省が公表しているデータによると、令和元年に建築業で働く人のうち29歳以下の割合はわずか約11.1%であり、若年層が少ない状況が続いています。若者離れが進んでいる理由は、主に以下の3つです。


  • 3K(きつい、危険、汚い)というイメージがある
  • 収入が不安定
  • 仕事内容が体力的にきつい


働き方改革により状況は改善されているものの建築業につきまとうマイナスイメージは未だ拭えていない状態です。


参考:国土交通省


高齢化

国土交通省のデータによると、令和元年に建築業で働いていた人のうち、60歳以上の割合は25.2%を占めています。さらに、就業人口に占める65歳以上の割合は最も多いなど、高齢化が進んでいると言えるでしょう。


建築業界は退職者の人数に対し、新しく入職する若者が少ないため、さらに人材不足が進んでいると考えられます。参考:国土交通省


離職率が高い

建設業における若年層の離職率は4分の1程度と、他の業種よりも高くなっています。


建設産業専門団体連合会による「建設技能労働力の確保に関する調査報告書」によると、若年から中堅が離職する理由の第一は「収入の低さ」とされています。他にも「仕事のきつさ」「作業環境の厳しさ」などが挙げられており、依然として職場環境面での課題は山積みです。


参考:建築技術労働力の確保に関する調査報告書


運送業界

厚生労働省によると、令和2年1月時点の全体の有効求人倍率は1.44倍ですが、運送業は2.64倍となっています。運送業界の人材不足は、深刻化していると言えるでしょう


人材不足の理由は、3つ挙げられます。


参考:職業別一般職業紹介状況


若者の不足と高齢化

厚生労働省の「労働力調査」によると、現場で稼働するトラックドライバーの内、約7割が40歳以上となっています。29歳までの若年の比率は10%以下と、非常に少数です。


運送業において若者離れが進んでいる理由には、以下の3つが挙げられます。


  • 運送業界の3K(キツイ、危険、帰れない)
  • 収入が不安定
  • 仕事内容が体力的にきつい


インターネットの情報や街でドライバーを見かけ、ネガティブなイメージが若者世代に浸透していることが考えられます。


参考:厚生労働省


低賃金

厚生労働省が発表する賃金構造基本統計調査によれば、全産業の平均年間所得額は491万円です。一方、トラックドライバーは大型が454万円、中小型が415万円と、平均より低くなっています。


会社や運転する車体・距離などによって給与は異なるため一概には言えませんが、平均の数字のみに目を向ければ低賃金と言わざるを得ないでしょう。


過酷な労働環境

厚生労働省の調査では、平成30年度における陸上貨物運送事業において「墜落・転落」「店頭」「動作の反動・無理な動作」による死傷災害が増加して、死傷者数が前年を上回りました。死傷者数の人数は15,818人となっていて、前年から7.6%増加しています。


運送業は遠距離に貨物を運ぶため、どうしても長時間労働となってしまいます。さらに、長時間同じ姿勢で運転するため、心身ともに負担が大きくなってしまうのです。


介護業界


2025年には国民の4人に1人が75歳以上になると言われており、介護職における人材不足の状態が続いていました。また、介護業界は離職率が高く、人材が定着しないという問題を抱えています。


主な原因は、賃金が安いなどといった処遇面です。過去には「解除職員処遇改善交付金」や「介護職員処遇改善加算」などの対策が行われてきましたが、ハードな仕事内容に対する処遇としてはまだ不十分で、人材不足の解消には繋がっていません。


また、離職率の高さも原因です。公益財団法人介護労働安定センターが行った調査では、介護職を辞めた理由で一番多いのが「職場の人間関係に問題がある(23.2%)」となっています。。


介護職員はさまざまな職種の人と協力する必要があり、調整が求められる煩雑さがあります。また、人材不足から1人あたりの業務負担が多く、職場全体の雰囲気が悪いと心にゆとりが持てず、人間関係が悪化しがちです。


参考:厚生労働省


医療業界

日本国内では少子高齢化が進んでいるため、医療従事者の需要は高まっていくと考えられます。その一方、業務量の多さや医療事故への不安などの理由から離職率が高く、慢性的な人材不足が深刻化しています。


2019年からコロナ禍になり、医療従事者の労働環境はさらに過酷になっています。全日本自治団体労働組合(自治労)が医療従事者に対し、職場を辞めたいと思うかどうかを調査した結果「たまに思う」「しばしば思う」「常に思う」と思う人が7割程度を占めているのが現状です。


仕事をやめたいと思う理由は「業務が多忙」が最も多く、次点で「業務の責任が重い」「賃金に不満」などが上位にのぼることから、業務量・責任の重さに処遇が追いついていないことが原因だと考えられます。


飲食業界

飲食業界は一見華やかに見えますが、慢性的な人材不足に悩まされています。年中無休で営業する店舗も多く長時間労働になりがちなうえ、休みが取りづらい、立ち仕事が多いなどの理由で離職率が高いのが原因です。


また、令和3年度の賃金構造基本統計調査によると飲食店店員の平均年収は317万円となっており、他業種と比較しても低い値になっています。飲食業界では、一人当たりの業務が多く、長時間の勤務や残業など業務内容に見合った賃金ではないと考えている人も多くいます。


個人経営も多いため評価制度が設けられておらず、頑張りが賃金アップに反映されづらいため、働く意義を見出せず離職につながってしまうこともあります。


人材不足が起こる3つのの原因


会社の人材不足の原因は、以下の3つが考えられます。


  • 少子高齢化の進行
  • 働き方改革の促進不足
  • 業界と求職者のミスマッチ


少子高齢化の進行

日本は出産率が低下しており、比例して生産年齢人口も減少している状況です。国内生産年齢人口は1995年の8,716万人をピークに減少しており、2060年には4,418万人まで減少すると予想されています。


また、2025年には第一次ベビーブーム時期に生まれた世代が75歳以上になることで、高齢者は44万人増加します。人口減少や高齢化に伴い、働く世代の人口が減っているため、さまざまな企業の人材確保に影響を与えているのが現状です。


出典:総務省統計局


働き方改革の促進不足

2019年4月に施行された「働き方改革一括法」では、有給休暇の取得義務化やテレワークの促進、残業時間の罰則付き上限規制の実施など、勤怠管理に大きな影響をもたらしました。


しかし、実際には「必要性を感じない」「効果を期待できない」などの理由から、取り組んでいない会社も多く存在しています。社員はより好条件で働ける職場に転職を希望し、労働環境が整っている企業に人材が流出することから、人材不足に繋がってしまいます。


業界と求職者のミスマッチ

雇用のミスマッチとは、求人側と求職側の需要が合わず、会社の雇用に過不足が生じている状態のことですミスマッチが起こる原因は、3つ挙げられます。


生産年齢人口の不足

生産年齢人口の減少による人材不足により「売り手市場」と呼ばれる状況が続いており、業種によってかなりの差が生じています。人材が不足している状況では、会社が必要としている能力と求職者の不一致が起こりやすく、ミスマッチが発生しやすくなってしまうでしょう。


求人・求職情報が行き渡っていない

求人情報が会社・求職者のどちらにも十分に行き渡っていない場合、情報の入手が難しく、市場全体のミスマッチに影響すると考えられています。求人情報の掲載方法は多様化しており「会社が求める人材に自社を知ってもらうために「どのような形で、どこに掲載するか」を検討する必要があります。


会社側と求職者側の希望がずれている

会社側の都合でばかりを優先した求職条件を提示しても、職者側のニーズと一致せず、応募者は少なくなります。業種・年齢・賃金・雇用形態・地域など、市場の相場を調査し、求職者のニーズも検討したうえで条件を考えることが必要です。


人材不足による3つのリスク


人材不足の状態が長期にわたると、会社にも様々な悪影響を及ぼすため、早期に対策をとることが必要です。人材不足が企業に与える影響を3つ紹介します。


  • 事業の縮小
  • 残業時間の増加
  • 社員のモチベーションの低下


事業の縮小

一人ひとりの業務処理量には限界があるため、人材不足の長期化により処理できる業務量も減少します。その結果、事業規模を縮小し、さらに事業の撤退を決意しなければならない事態に陥ってしまうのです。


少人数で業務を回し続けることは困難なため、残った社員も多くのストレスを抱え、離職につながります。会社としての売上が立たないため、給料やボーナス削減、手当のカットを余儀なくされ、結果的にさらに人材不足が加速するという負のスパイラルに陥ります。


残業時間の増加

人材不足の会社では、社員の残業が慢性化していることが少なくありません。一人ひとりの業務量が必然的に多くなると、営業・事務・企画などの仕事を1人の社員が兼務しなければならない状況になり、結果的に残業時間が増えてしまいます。


残業時間の増加により、社員の心身の疲労やストレスは重くなり、求職や離職につながります。


モチベーションの低下

社員ひとり当たりの業務量が多いと、心身ともに疲労が蓄積されていきます。業務を処理することに追われ続けると、社員の心身の負担が増えモチベーションも低下し、その結果仕事に前向きに取り組むことが困難になってしまいます。


モチベーションの低下とともに会社への愛着心が薄れることで、離職にもつながり、人材不足はさらに悪化してしまうでしょう。


人材不足の6つの解消方法


人材不足を解消する方法として、次の6つを紹介します。


  • ICT化の促進
  • 業務の細分化・単純化
  • 働きやすい環境設定
  • 適材適所への人員配置
  • 外国籍の方・高齢者・育児中の女性の雇用
  • アウトソーシングの導入


ICT化の促進

ICT(Information and Communication Technology)化とは、パソコンやスマホなどのデジタル機器・テクノロジーを導入する施策です。実践すれば円滑なコミュニケーションを取れるようになり、サービス向上などに役立てられます。


ICT化により、これまで手作業で行っていた業務を減らすことができるため社員の負担が軽減され、業務を効率化することができるでしょう。


デメリットとしては、デジタル機器の購入費がかさむ上に、社員が機材を使いこなせる必要があるため、研修を行う必要があることです。


業務の細分化・単純化

業務を細分化して単純化すれば、スキルのない従業員でも業務を遂行できるようになり、社内で業務を回せるようになります。新しい人材を取り入れる際も、求めるスキルを低くすれば採用難易度は下がるでしょう。


しかし、業務を細分化し過ぎると仕事の全体像を把握しづらくなり、モチベーションの低下につながります。細分化をどこまでするのか、役割の認識をどのようにするか検討する必要があるでしょう。


働きやすい環境設定

時給や職場環境などの条件を見直すと、人員を確保しやすくなります。労働に対して賃金が低い場合、社員はより好条件の企業に流れ、企業の継続は困難になります。


社員が長期間働きやすい環境作りのために、賃金だけではなく福利厚生の導入も検討し、社員を生活からサポートすることが必要です。


適材適所への人員配置

スタッフの得手不得手を把握したうえで人員配置を行うことで、生産性の向上につながり、人員を補充することなく人材不足を解消できます。性格や経験、得意分野は人によってそれぞれですが、得意業務ならば短時間で大きな成果を出せるでしょう。


反対に、不得手な業務であれば、成果が低い上にモチベーションの低下に繋がる可能性もあります。日頃から社員とのコミュニケションをとり、適材適所へ配置することが必要です。


外国籍の方・高齢者・育児中の女性の雇用

外国籍の方を雇用する場合、言語や文化の違いによって問題が生じる場合を考慮し、サポート役をつけ快適に働ける環境整備が必要です。実現できれば、よりモチベーションの高い人材を確保できたり、多言語の対応が可能になったりと多くのメリットがあります。


また、高齢者や育児中の女性の雇用について、健康状態や家庭時事用への配慮を必要としますが、即戦力を確保することが可能です。


アウトソーシングの導入

自社の業務を外部に委託することで、新規採用よりもコストを抑えることが可能です。プロが業務をおこなうため、一から社員を育成する手間や時間もかからず、効率的に業務をすすめることができます


タレントパレットでは、数多くの課題を解決してきたノウハウ・データを集積し、人材不足による社員育成や組織力向上などの課題を支援しています。複数のシステムを導入することなく、採用から育成〜採用まで実現し、会社内の煩雑化する日々の業務の効率化に貢献します。


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人材不足の解消にシステムの導入がおすすめな3つの理由


システムを導入することで、人材不足の解消に期待ができます。その3つの理由を紹介します。

  • 働きやすい環境設定ができる
  • 作業を細分化・単純化できる
  • 適材適所への人材配置を実現できる


働きやすい環境設定ができる

社員の勤務時間やモチベーションを分析することで、職場環境に問題を抱えている社員を早期に特定し、対応することで離職を防ぐことができます。また、社員のコミュニケーションを可視化し、チームワークの向上や風通しのよい職場環境を実現することが可能です。

作業を細分化・単純化できる

これまで人力で行ってきた業務から自動化できるものを洗い出し、IT技術に置き換えることで、単純作業の負担を軽減できます。また、適切なツールやシステムの導入を提案することも大切です。


適材適所への人材配置を実現できる

タレントパレットでは社員データを一元化し分析可能なため、人事異動後の人件費や、保有資格などへの影響度を自動的に算出し、フィードバックできます。人件費や売上予測など、経営に関わる部分も即座にシミュレーションが可能です。


プロジェクト単位で人材を管理し、社員を適材適所に配置することができるでしょう。


人事業務の効率化、データ活用をするならタレントマネジメントシステムの導入が必須


人事業務をDX化することで、社員データの一元化・人材検索・人事評価・配置検討などの幅広い業務を効率化できるようになります。また、人材育成・最適配置・社員パフォーマンスの最大化など、組織力向上を目的とした一歩先のタレントマネジメントまで実現が可能です。

また、タレントマネジメントシステムを導入すれば、社員データを集約し人事評価のペーパーレス化や異動シミュレーション、ハイパフォーマー分析など、高度な施策が実施できます。タレントマネジメントを取り入れて、自社のリソースを最大限に活用しましょう。

人材不足の深刻さは業界によって異なる!対策としてツールによる自動化を検討しよう


建設業や運送業など、一部の業界では人材不足が深刻な課題です。優秀な人材を確保し、離職を防ぐためには、社員が働きやすい環境・制度の整備が必須だと言えるでしょう。


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